33:まず殴られてみるのは相手が弱そうな時だけにしましょう。
ダンジョンで潮干狩りを
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二層から三層へ行く道筋は一層から二層へ行く道筋よりも短い。およそ十五分ほど歩くと三層への階段が見えてきた。自転車があれば五分もかからないだろう。道中の道も細い道は無く、まるで大通りで接続されているようだった。
道中のグレイウルフは数こそそこそこ多かったけれど、こちらは二人組だ。四匹ぐらいならお互い二匹ずつ相手にすることで精神的にも肉体的にも余裕があった。筋肉痛も治まってきたしな。
手が空いているときは三層の情報を文月さんに聞く。三層は少量のスライムとグレイウルフに加えてゴブリンが出現するらしい。よかった、ここにもスライム君は居るんだな。
「ゴブリンは男性より女性を先にターゲットしますから、ゴブリン見かけたらまず私のほうにヘイトが来ると思ってください。できれば私のほうを向いてるうちにスパっと殺っちゃってください」
「そううまくいくといいんですけど、私ニンジャじゃないから気配消すとかうまくできませんよ?」
「とりあえず最初ぶつかりに行ってあとは流れでお願いします」
「高度の柔軟性を維持しつつ、臨機応変に対処すればいいんですね、解りました」
行き当たりばったりで大丈夫か?
やがて二層の道は三層への階段に行きついた。ここからは未体験ゾーンなので少し緊張する。
ここでバッグから小盾を取り出しておく。
「小盾なんて持ってたんですか?」
文月さんに聞かれた。保管庫から出すの見られてないよな?
「一応、念のためです」
「恰好がゴブリンっぽくなりましたね。あっちも棍棒で武装してるんですよ」
「褒めてないよねそれ」
軽口を叩きつつ三層に入る。
◇◆◇◆◇◆◇
三層も一層から変わらず洞窟型マップだった。
「見た目代わり映えしませんね」
「五層から先は全然違った景色になりますよ」
「行ったことあるんですか? 」
「以前大学のサークル勧誘で誘われた時に一度だけ行きました。天井が無くて明るくて、すごく不思議な所でした」
「天井が無いんですか……どうなってるんでしょうね」
「ダンジョンの不思議って奴じゃないでしょうか」
俺の中のダンジョンの二十四ある不思議の内の一つがまた増えたな。
会話をしながら道を進むと、第一ゴブリンとの遭遇が始まった。
「ギギッ、ギッ? 」
「来ますよ」
文月さんがそう声をかけると、ゴブリンは一直線に俺……ではなく、文月さんにターゲットを定めたらしい。本当にゴブリンは女性が好きみたいだな。
「ギギーッ! 」
駆け寄ってくるゴブリンと文月さんとの間に体を入れると、ゴブリンは「邪魔すんなボケ」とでも言わんばかりに俺にターゲットを変えた。
俺に対して棍棒を振りかぶってくる。まずは相手の攻撃力調査だ。
腕に取り付けてある小盾でゴブリンの攻撃をあえて受ける。小盾はたわみはするものの、割れることなく攻撃を耐えきってくれた。腕へのダメージは……結構痛い。受けて返すよりもうまく受け流す必要があるかな。逆の手でゴブリンの腕を切りつけると、相手はそのまま後ろへ一歩後ずさる。
「グギッ、グギ! 」
ゴブリンにしっかりダメージは入っているみたいだ。さっきよりも動きが鈍い。今度はこっちから行くか。ゴブリンをしっかり見定めると首筋に向かってマチェットで突き切ろうとする。
とっさに受けようとしたみたいだが、傷ついた腕ではカバーしきれなかったらしい。首筋をなぞる様に上手く刃が入った。これで二撃目。そのまま首を断ち切る様に回転しながらマチェットを振りぬく。首の半分ぐらいまで刃が入ったところでゴブリンは力尽きたらしく、黒い粒子になって消えた。
「よし、こんなもんか」
ドロップは何もなかった。まぁいきなり何かくれるようなことは無いだろう。
一連の流れを見た後文月さんが尋ねてくる。
「なんで攻撃わざと受けてたんです? 」
「相手の攻撃どのぐらい痛いかちょっと試したくなりまして」
「……正気ですか。下手すると頭の骨凹むんですよあれ」
「じゃぁ、頭で受けて全力で切りかかるのは廃案ですね」
「そんなこと考えてたんですか!? 」
半分冗談だが、頭で受けて問題ないならそうするのも一つだと思っていた。でもヤメだな。今度ソロの時に試そう。
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