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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第一章:四十代から入れるダンジョン

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3:探索者とは

ダンジョンで潮干狩りを

Renta!等いろいろなサイトで発売中です。是非とも続刊のためにもご購入のほうよろしくお願いします。

  次の日、さっそくダンジョン庁が主催しているという講習会へ赴こうとしたが、講習会は週に二回しかやっていないようで、三日程暇ができてしまったのでダンジョンについていろいろ調べることにした。


 ダンジョンは今から三年ほど前に地球上に突如出現し、出現した当初は社会に混乱を引き起こした。

 自衛隊が内部に突入し、余りにもファンタジーな内容だったため一旦探索を中止しその日のうちに対策本部が設置されることになった。


 即日対策本部において会議が行われ、【身勝手に突入する民間人への対処】【内部で得られた情報の共有】をベースにした【ダンジョンについてどこまで民間に情報を共有するべきか】等について協議された。


 有識者として選ばれていた中には生物学、地質学の権威からSFやライトノベル作家等バリエーション豊かであったらしい。


 冗談か? と思ったがいたって真剣に情報交換が行われたらしく、ダンジョンの中に出てくる怪物はモンスターという名称でひとくくりにしてしまうこと、ダンジョンの内部にはモンスターが徘徊し危険である事。


 モンスターを倒すと黒い粒子になって消滅し、運が良ければドロップ品と呼ばれる戦利品を手に入れられる事。


 モンスターには小火器等の現代兵器が見た目ほどに効果を発揮しない事。


 当初は一般人が物珍しさでダンジョンに突撃し、帰ってこなかったものもそれなりにいたし、中でお宝をゲットしたものの不法侵入扱いで逮捕され成果を没収されたりと散々だったようだ。


 簡略化されたダンジョン内部の生物は自衛隊による検証の結果、一般人に開放できるパブリックダンジョンと国家が管理運営するプライベートダンジョンの主に二つに分けられた。


 ダンジョンの取り扱いについてはダンジョン庁というあたらしい庁が創設され、ダンジョンに関する事務的処理や資源の取り扱いを一元管理すること。


 また、ダンジョンを管理するためにダンジョン庁下にダンジョン作戦群が組織され、指揮権自体は防衛省にあるが所属がダンジョン庁というややこしい部隊がプライベートダンジョンの攻略・管理に当たることになった。


 ダンジョン探索者という職業カテゴリを創設し、ダンジョンを攻略する能力についてランク付けを行い、無茶なダンジョンアタックを制限するための機構を設けること。


 また、ダンジョンの発生が確認された場合、周辺の土地は地権者から土地を買い上げる代わりに内部で取得された物品の換金額の一部を補填することが法案として挙げられ、極めて短時間で可決されたらしい。


 日本らしくない法案の通り方だと思うが、それ以上にこんなファンタジーじみた環境に適応するのが早すぎるんじゃないかと思うがあれか、国民そろってラノベの読みすぎってやつか。海外では国が一括管理したり民間に全部丸投げしたりそれぞれで対応が違うようだ。


 俺はダンジョン攻略ウィキみたいなサイトをいくつか巡りながら、出てくるモンスターや収入についていくつか調べてみた。


 各階層に出てくるダンジョン別モンスターの情報やおすすめの武器・おすすめのスキル等、完全にゲームの中の情報みたいなものから、ドロップ品の市場価格や探索者の人口密度等の情報も随時更新されている。


 掲示板にあるパーティー募集のスレッド等、生活が懸かってるので真面目に目を通していたが、どの情報が有用なのかはまだ若干ぼやけたままだ。実際にダンジョンに潜ってみないとわからないことが多いんだろう。



 ◇◆◇◆◇◆◇


 講習を受ける日がやってきた。

 講習は座学で三時間ほどあるらしい。特に持っていくものがなかったようだが、念のためメモとペンと身分証明書だけを持って出かけるとする。


 講習会場はダンジョンに併設されているようで、現在パブリックに公開されているダンジョンの中で自宅から最も近いところに行くことにしたが、それでも片道一時間の距離があった。


 講習会場へ行くために何十年かぶりにバスに乗ったので、バスの乗車賃の支払い方でひと悶着起こしてしまったのは記憶の彼方へしまい込んでしまおうと思う。田舎のバスは距離で料金が変わるんだよ……


 同じバスにはカジュアルな服装で同じ方向へ向かう人たちがいたが、彼らも探索者なんだろうか。


 たしかダンジョンの前にはレンタルロッカーがあるらしいから、そこに装備なんかは預けてるんだろうな。みんな大学生ぐらいに見えて若い。そして眩しい。人生の片手間でダンジョンをエンジョイしてるようなオーラにあふれている。俺にもあんな時代があったのかなぁ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 小西ダンジョンは電車とバスを乗り継いで俺の家から合計一時間ほどのところにある。名前の元はダンジョンの前の土地の持ち主の苗字らしい。


 小西さんは所謂大地主であり、ダンジョン関連法案が可決された後も買い取り価格を理由に立ち退きを拒否してダンジョンに立て籠るなど最後まで抵抗したらしい。


 ダンジョン周辺の土地を国家が召し上げた後も、そのさらに周辺の土地を買い占めることで実質的にダンジョンの利用を不可能にしたりと嫌がらせを繰り返し、交渉を長引かせた。


 交渉を粘り強く続けた結果、ダンジョン名に自分の苗字をつけることで双方矛を収めた経緯がある。自家用車駐車場が狭いのが一番のネックで、ほとんどの利用者は電車とバスを乗り継ぐ必要がある。そのせいか、探索者人口は少ない。


 電車と一時間に一回しか来ないバスを乗り継ぐよりも電車二回乗り換えでたどり着ける清州ダンジョンのほうが人気があるそうだ。


 一連の騒動の結果息子は相当嫌われているらしい。


【小西ダンジョン前】というバス停を降りると、目の前にプレハブ二階建ての建物が目に入る。これが小西ダンジョンの管理棟らしい。ここで講習も受けられ、そのつもりならすぐにダンジョンに入ることができるらしい。


  講習会場には自分含めて十人ほどが参加していた。周りを見回すと若い子だらけで自分は浮いてしまっている。

 キョロキョロと周りを見回していると、二人組の若い女の子がひそひそ話し始めた。


「何あの人、あんな歳で探索者になろうっての?」

「マジあり得ない。足引っ張ってダンジョンの中で迷惑かけるだけじゃない」

「勘弁してほしいよね~」


 そこのお姉さんたち、全部聞こえてるぞ。


 講習が始まると【はじめてのだんじょん】なる冊子が配られた。なんでひらがな。


 冊子の中身は誰でも理解できるようにしているのか、極力漢字の使用を控えて居る上にほとんどにルビが振ってある。そして文字だらけの内容を緩和しようとしているのか、アニメ調のかわいいイラストが花を添えている。


 探索者なめてんのか?と思わなくもないが、きっと読まない人が多かったんだろうなと納得することにした。


 講習内容は主にダンジョンの成り立ちから現状までの歴史から始まり、ダンジョン内でのルールや推奨される服装、持ち歩ける武器類についての注意事項、ダンジョン内で入手できる物の持ち出しや序盤に出会うであろうモンスターの特徴や習性等一気に詰め込まれた。


・ダンジョン内では基本的に日本国法律に基づいて行動すること。

・ダンジョン内でのトレイン(モンスターを引き連れて擦り付ける)行為は厳重に処罰される。

・得られたアイテムについては自由な売買を行ってもよいが、収入は雑所得の扱いとなる。

・アイテムの種類によってはその場で銃刀所持許可証を発行してもらうための手続きが必要。

・探索活動で得られた財産は探索者ギルドにそのまま売却する場合ダンジョン税として十%を納めることになるということ。

・ダンジョン外で資源を取引する場合も、雑所得として扱われる事。

・ステータスというものが存在しており、モンスターを倒すことで身体能力が上昇するらしい。細かいことはまだ研究中であり、はっきりしたことは解っていない。

・ステータスを上げるには強いモンスターと戦うことで強くなっていく。

・モンスターには銃器など現代兵器は下層に行くほど効果がない。

・探索者はAからFのカテゴリ分けをされ、ランクによって潜るダンジョンの深さを制限すること。


 大事なところは自分のメモ帳に書きながら適当に流し読みしつつ、講義を聞いていく。

 メモ帳持ってきてよかったと思う。特に税金周り、簡素化されていて後で悩まずに済むのは良いことじゃないかな。


 さっきまで俺をディスっていた二人は半分夢の中のようだ。頭がフラフラしている。

 あとで小テストを行い結果で探索者証が発行される。というあたりになって急に目が覚め始めたらしい。大丈夫なんだろうか。



作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
何十年も前にダンジョンが発見されたのならまだしも、たった3年前の事すら知らない主人公って…余程情報に疎い人なんだね? ダンジョンなんて未知の物が存在したら、連日TVやネットで大騒ぎされるだろう? そう…
[一言] この作品を読むのは二回目なんですけど、 …小西さんすごいっすね 改めて笑いましたw
[一言] 確定でステータス上昇があるのなら、中年にこそ相応しい職業なんじゃないだろうか
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