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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第四章:中年三日通わざれば腹肉も増える

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271:高輪ゲートウェイ官民総合利用ダンジョン十四層と新しい武器

 


 引き続き高輪ゲートウェイ官民総合利用ダンジョン十三層攻略の様子を見る。映画に限らず映像を見るときはポップコーンを食べながらというのが相場だが、残念ながらこの店にはポップコーンは販売してなかった。仕方が無いのでチャーハンを注文し文月さんと分けつつ、無料のソフトクリームをもう片手に動画を見続ける。


 やがて動画を撮影してるほうも長々と回し続けるのは電池の無駄と悟ったらしく、映像が飛び飛びになっていく。映像が飛んだ先はスケルトンネクロマンサーとの出会いからだ。


 スケルトンネクロマンサーと出会った瞬間に全力で駆けだす探索者達。何やらポーズをつけて地面を光らせているスケルトンネクロマンサー。徐々に頭部が生えてくるスケルトン。まるでビーチフラッグのような様子がそこには映し出されていた。スケルトンが召喚されるのが早いか、探索者達がスケルトンネクロマンサーを倒すのが早いか。手に汗握るデッドヒートが繰り広げられている。


 どうやら今回は探索者側が一歩早かったらしく、スケルトンが召喚される前にスケルトンネクロマンサーは倒され、召喚されている途中の地面から生えている腰まで召喚されたスケルトンも同時に黒い粒子へ還った。どうやら完全に召喚される前のスケルトンは失敗すると途中で消えるらしい。


 もし完全に召喚されてしまったら、スケルトンも倒さなきゃいけないようだ。スケルトンネクロマンサーは真珠のようなものをドロップする。


 探索者がカメラに向けてそれを見せる。確かに真珠のようにも見えるが、天然真珠や養殖真珠をじっくり見比べたことが無いのでそれがどのくらいの価値があるものかは解らないが、綺麗カテゴリに入る事だけは解る。


 また映像が飛ぶ。どうやら階段にたどり着いたらしい。道中のマップはこれで解らなくなったが本当に知りたければ高輪ゲートウェイ官民総合利用ダンジョンまで来て地図を買えって事なんだろう。もし高輪ゲートウェイ官民総合利用ダンジョンに行く機会があったら購入しておくと記念になるだろうな。


 階段を下りて十四層に到着する探索者一行。セーフエリアだからなのか、全員肩の力が抜けたように歩きだす。どうやら十四層にも順路があるらしく、順路通りに行くとみんながテントを寄せ合って過ごしている広場みたいな場所に出るらしい。


 探索者達が広場の様子を映す。さすがに十四層ともなると清州の七層みたいに屋台はみあたらないが、その分高輪ゲートウェイ官民総合利用ダンジョンの人口の多さゆえか、複数のテントがありそこそこの人が駐留しているという事を物語る。画面でざっと見て四十個ほどのテントがあるだろうか。小西の七層よりも数は多い。


 連絡要員として大手パーティーに所属している人が十四層と七層の情報の高速伝達のために常駐している姿などが解説を交えて紹介されている。


「んー、十三層のマップ作りが肝になるのかな。小西で潜る前に一遍清州で試してみたいところだ」

「そうですねぇ。とりあえず方眼紙片手に書き込みながら初めてのマップをうろつくのはちょっと難易度高いですね」

「その点清州は十五層まではマップが売られているから迷う事は無いと思うよ」

「どんなマップなんでしょう? 多分今までのマップとはなんか作り方が違うような気がしますが」

「買いに行って……文月さんはこの後講義だからそっちへ行くとして、鬼ころしへ行くついでに清州ダンジョンで地図を買ってきて読み込んでみるよ」

「じゃあその辺はお任せします。……そろそろ時間的にギリギリですね。私は大学のほうへ行こうと思います。後はお任せで」

「OK、じゃあここでお別れだな。支払いは済ませておくよ」

「助かります。じゃ、また潜る時に連絡ください。予定合わせて行きます」


 精算を済ませるとネカフェを出てそれぞれの目的地に向かう。文月さんは大学へ、俺は鬼ころしへ。グラディウスに代わる新しい武器を何か見繕わないといけない。今使ってるグラディウスよりちょっと長いものを用意したいところだ。でないとオークの心臓に直接刃を立てることが出来ぬだろう。


 鬼ころしについたところで早速武器コーナーを探す。武器の長さを考えると選択肢は絞られて行く。最初に目に入ったのはシミターのような湾曲した剣だ。シャムシールとも呼ばれているらしい。


 グラディウスより少し長く、その分肉厚は少し薄くなってしまうが、切れ味には問題なさそうだな。価格は……六万円ほどか。値段の分自信がある一品なんだろう。刃はグラディウスに比べて若干薄く、薄い分だけ切れ味のよさが何となく見て取れる。第一希望としておこう。


 それ以外にもいろんな刀剣類が飾られているが、いまいちピンとこない。日本刀という選択肢もあるんだが、強度的にどうなんだろう。数人斬ったら血脂で斬れなく……あぁ、モンスターは血の代わりに黒い粒子をまき散らすんだったな。だとしたら候補に入るか。


 しかし、ちゃんとした日本刀は結構なお値段がする。二十万から百万ほどが相場らしい。これはいっそのことグラディウスのまま十三層へ突入して現地調達でスケルトンの剣を奪い取るという事も頭に入れておくべきではないだろうが。問題はドロップ率だが、統計的に見ると二パーセントぐらいでしか落とさないらしい。


 低すぎるドロップ率に己の命をかけるのはちょっと厳しいな。だとするとやはりシミターか日本刀という辺りが無難な気がする。う~ん、悩むな。


 暫くにらめっこしていると店員がにじり寄ってきた。どうやら武器を選ぶのに悩んでいるのを見て声を掛けに来たようだ。


「武器の選択で悩んでらっしゃいますか? どのぐらいの階層を巡る予定なのでしょうか? よろしければお手伝いいたしますが」

「えっと、十三層あたりでも活躍させられる武器を探しているんですが、なかなか決められなくて」

「Cランク探索者の方でしたか。でしたらこちらのシャムシールなんかも人気が水面下で上昇していますよ」


 水面下で上昇ってそれ注視してないとよく解らない奴だろう。そこまで細かい事は俺にも解らないぞ。


「細すぎてオーク辺りを相手にすると棍棒に砕かれそうでいまいち効果を発揮しそうにないんですよね。耐久力に問題があるのは折れた時のカバーがしにくいし、曲刀なので体に馴染んでくれるかどうかが不安で」

「なるほど。でしたら……この辺のものはいかがでしょう。少々重くなりますがダンジョン内ならそれほど重くは感じないと思います。それに最近開発中のダンジョン素材を使っています」

「ダンジョン素材……というとジャイアントアントの牙とかスケルトンの骨とかそういうあれですか」

「そういうあれです。細かい事は解りませんが、ダンジョン素材を粉末化した後ある一定率混合させて鍛造することで強度と切れ味が増すことが最近解ってきてまして、その量産シリーズの第一号になるんです」


 出てきたのは直刀だった。形としては日本刀の中でも古い部類に入るらしく反りが無い真っ直ぐな形をしている。基本的には日本刀と変わらないが、反りが無い分素直に刃が当たるため斬るための技術もそれほど必要がないらしい。


 手に取って見て触ってコッソリ刀身を曲げようと努力してみた感じ武器としての耐久性能は十分に見える。グラディウスよりも若干長く、求めていたものとしては一番イメージに近い。片刃だが、力で押し切られた時に自分に傷がつきにくいという点も良いところとして挙げられるんじゃないだろうか。


「グラディウスを使っていたんですが、以前研ぎに出した時にそろそろ寿命かもしれないと言われていて」

「そうですか……オーク相手にするという事は、グラディウスでは刃先が短くて致命打を与えられないとかそういうイメージで合ってますか? だったら猶更直刀を選ばれるのが良いと思います。多少重量バランスが変わる事になりますがダンジョン内ではそれほど違和感なく使えると思いますよ」


 値段を見ている。二十万円ほどだ。今日の稼ぎの三分の一ほどで買えてしまう事になる。今後も使い続けていく事を考えると悪い出費ではなくなるな。


 これに……してみるか。いざ使ってみて使えなさそうだったら保管庫の肥やしにしてしまえばいいし、何なら射出用のお高い武器として保管しておける。


 ただ、重さがグラディウスよりも若干増えているので構えている間はともかく、腰にぶら下げて移動する際には違和感を感じるだろう。それは慣れて行くしかないか。


 しかし、店員のおすすめという事が引っかかる。もしかしたらあんまり売れない商品を売りつけようという魂胆かもしれない。もうちょっと悩んでみるという事も出来るが、あまり時間を掛けたくないのも本当のところだ。


「切れ味のほうが少々気になりますね。どのくらいのものなのか解らないので」

「だったら地下に試し切り用の藁束がありますが、切っていかれます? 今なら無料で行っておりますよ」

「試し切りが出来るんですか。それはちょっと興味ありますね」


 結局店員の甘言によって地下にあれよあれよという間に案内されてしまった。ここまで来たら試し切りをしてみるしかない。備え付けられた藁束に向かってまず振るってみる。藁束は切り口こそガタついているものの、スッパリと切れてしまった。これ、仕込みとか無いだろうな。


「慣れてらっしゃいますね。剣術とか習われたりしてますか? 」

「いえ、これは我流ですね。さすがに戦闘回数だけはこなしてきているので」

「なるほど、ですが綺麗に斬られているところを見るとそこそこ腕の立つ探索者であるとお見受けします」


 ほめ殺しで店員が何としても買わせようとしている。営業は大変だな、俺には務まりそうもない。だが選択肢としてはそもそも悪くない形状をしている。値段はともかく、ここから先の戦いをこいつに頼って良いのかという考えが頭を支配している。形の都合からするに切っても良し突いても良しといった具合だろう。


「衝撃に弱いとかそんなことはないですよね。あくまで用途は切り結ぶ事なんですが攻撃を受けて曲がりやすい、なんてことはないでしょうか」

「その辺りは何と戦うかにもよりますが……少なくともCランク探索者にはそこそこの頻度で購入して頂いているタイプです」

「同じ人が? 」

「ははっ、さすがにそれは無いです。実際オークと戦って武器の長さに不満を持つ方は結構居られますので、妥協点として買っていかれる方は確かにいらっしゃいます」

「妥協点にするにはちょっと値段がねえ……かといってダンジョンには安心して確実なものを持って臨みたいですし」


 すると店員が電卓を持ち出し、金額を提示してくる。一割引きか。


「このぐらいまでならお勉強させていただいても構いませんが……いかがでしょう? 」


 ふむ……十八万円。金額の問題ではないんだが、試し切りもさせてもらって感覚もなんとなくわかったしこれを使ってみることにするか。いざやっぱり使えないとなったらグラディウスに戻せばいい。何なら二刀流……保管庫で切り替えながら使う事も出来るな。


 そういえばダンジョン物の話だとモンスターのレアドロップを拾ってそれを使っていくという流れが多いんだろうがこのゆったりとしたダンジョンではそれに期待するにはスケルトンと対峙しつづけるまで待たなければいけないだろうな。


「解りました。それでお願いします。握りの調整お願いします」

「お買い上げ誠にありがとうございます。鞘のほうはセットになっておりますのでそちらもお持ちください」


 一日で、もっと言えば六時間で稼いでしまえる金額だ。財布のひもを厳しめにしなければならないと朝考えていたような気がするが、ここは緩めてしまってもいい場面だろう。元々予定にはあった買い物だし、セーフセーフ。


 握り部分をグラディウスと同じ感じに調整してもらった。これなら違和感も多少薄れるだろう。新しい武器、ヨシ!


 他の装備品をいじるつもりは今のところ無いので、これだけを購入して清州ダンジョンへ向かう。支払いを現金で済ませると鬼ころしを出て清州ダンジョンのギルドの建物へそのまま徒歩で移動し、建物内の比較的暇そうなカウンターで清州の地図十三・十四層の地図を購入する。


 どうせワンコインの地図なら、五百円玉とボタン一つで地図が出てくる自販機でも設置すればもうちょっと手間を小さくできるんじゃないだろうか。


 とりあえず今日の昼までの予定は終わった。帰って洗濯とか色々しないとな。その前に腹ごしらえも考えないと。さすがにチャーハン半分こしただけでは胃が収まらん。ネカフェに居る間にもうちょっと何か食べておくべきだったな。


作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
暇そうなカウンターで買えるなら自販機はコストに見合わない?
おじさん色々無駄使いしてるし、スキルオープ積極狩行かないし、ただが20万メイン武器ケッチしてるし意味分かんらん?
[一言] 文月さん、探索者の格好で大学へ? 自宅経由?
感想一覧
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