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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第四章:中年三日通わざれば腹肉も増える

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266:肉とチーズって無限に食えるよね



 七層に戻ると自転車は三台。小寺さんたちが使っていったものと、自分たちが行きに使っていったもので合計三台という事かな。


 二人自転車に乗るとシェルターに駐輪。ノートに何か面白い書き込みが無いかを確認する。


「噂の七層見に来ました。記念カキコ」

「意外と何もないですね」

「どうやら交換ノートらしいのでお願いを書き込みます。スキルオーブ出た人は日時と種類をお願いします。また見に来ます」


 これはスレのドロップ検証班の人だろうか。こんな所まで確認ご苦労様だな。一応自分たちの出した分を書いておこうか。念のため字体と書く間隔を変えておこう。特定されても困るしな。


「XX月▽▽日 六層ダーククロウから【水魔法】でました」

「XX月〇〇日 九層ジャイアントアントから【雷魔法】でました」

「何時か忘れたけど五層ワイルドボアから【火魔法】でました」


 この三つは記しておこう。これは公表されても良いものだ。実際人目を忍ばずに使っているので問題ない。ドロップ検証班には通じると思う。二、三日してまたノートを見に来るだろう。その時に名無しとして情報提供しておいて悪い事は無い。


 テントに戻ると、文月さんが椅子に座って飯を催促している。今日の夜食はウルフ肉のチーズ掛けだ。文月さんのローカロリー意見を受け入れてボア肉ではなくウルフ肉を使った。肉とチーズが美味しくないはずがない。


 スキレットとバーナーを用意するとウルフ肉を二パック開け、肉を焼きつつチーズをかけて蕩けさせていく。スキレットが汚れやすいが帰って洗浄するので汚れは気にしなくて良いだろう。肉汁にとろりと蕩けたチーズのとろみが胃袋を刺激し、香りが周りを支配する。つい深呼吸してしまう。


 早速作り上げると文月さんはいただきますしてアツアツのうちに食べ始めた。食べてる表情を見る辺り、上手く調理できているのだろう。早速自分の分も食し始める。


 美味い肉とチーズ。アメリカナイズされたジャンクフード的なものになった。過剰な焼肉とチーズの摂取は体に悪いが精神にとても良い。これからもちょくちょくチーズを使っていこう。疲労も取れるらしいしな。


 パックライスは半分こで良いだろう。たっぷり食べて寝るのも良いが、後は寝て帰るだけなので軽めで良いと思う。


 カロリーがお高めになっているが、その分の消耗は十分してきたと思う。実際俺も腹が減ってきた。匂いのおかげでもあるが、ガッツリとはいかなくても満足しそうな料理を満足に食べたい気分だった。


 肉にチーズが絡み合って奥歯の奥の脂の幸せさを感じる器官もご機嫌だ。汚れることを横に置いておけばキャンプ飯として新たに一品美味しいものが加わったと言っても良い。


 大満足な量、という訳ではないが満足できる質の食事をすることが出来た。あっという間になくなってしまったのがその証拠だ。コーヒーを淹れて一休憩、この後仮眠だ。


 食事の後片付けをすると早速仮眠の準備に入る。ダンジョンを出た後の活動も考えて、長めに休憩を取っておいて良いだろう。また五時間ぐらい仮眠を取ろう。


「やる事の再確認だ。五時間休憩して上まで戻って、その足で情報を収集しに行こう」

「そういえばそんな話もしてましたね。忘れてました」

「これからのモンスターの行動パターンとか色々知りたいからな。俺だけ調べて後で教えるより、二人でまとめて知ったほうが合理的だと思う」

「そうですね、じゃあ地上に戻ったらまずはネカフェ探しからですか」

「近くにあれば良いんだけどな。最悪名古屋まで行って調べものかな。俺の最寄り駅にはネカフェは無かったはずだ」


 都市部ではない田舎では駅の近くにネカフェがある事は少ない、大抵郊外の車で出かけるタイプのネカフェである可能性が高い。田舎はやはり車社会だ。こういう点では都市部が羨ましくなる。


 コーヒーを飲み終わりう~んと伸びをすると、片づけをして仮眠の準備に入る。今から五時間寝るとすると……朝一でダンジョンを出ることになるかな。もしかしたらちょっとスライムを狩る時間が出るかもしれない。それは楽しみだな。


 とりあえず枕を取り出して横になる。疲れがそれなりに溜まっていたのか、眠りに落ちるのはすぐだった。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 五時間経ってアラームが鳴った。時刻は午前六時。真っ直ぐ駆けあがって九時ってところか。良いタイミングで目が覚めたな。目覚めのほうもバッチリだ。枕はちゃんと機能している、ありがとうダーククロウ。また帰り道に狩り尽くすからな。


 ぐにぐにと体を動かす。疲れは残ってないようだな。目覚めはいいし体調もいい。荷物を運びきれない事を除けばもう一回九層へ向かっても良いぐらいだ。今日はそれよりも先にやるべきことがあるのでこのまま帰るんだが。


 ツナギをいったん脱ぐとタオルを出し水に浸して顔を拭き、体の汗を拭くとツナギを着直す。テントから顔を出し隣のテントを見て、中でごそごそしているのを確認すると、テントの中にタオルを放り込む。


 テントの中からありがとうという声が聞こえる。文月さんが身支度をしている間にこっちはこっちで朝のルーティンである二杯分の水を沸かすこととストレッチを始める。たまたまテントから出ていた田中君と目が合う。お互い頷きあい、お元気ですねという目線を送る。


 そのままストレッチを続ける。手首足首をグリグリと回し、違和感がないかどうかを確認。両腕を上にあげると両腕の肘を持ち、そのまま左右に。プチプチといい音が聞こえる。二の腕を脇に挟み込むと肘を引いて首を肘と逆方向に向ける。これで二の腕と肩と背中を伸ばす。


 後ろ手を組んで手のひらを外にしながら上へ上げようとする。なかなか上がらない。なかなか上がらないが、何かがうに~んと伸びている気はする。その後血流が流れて行く感覚を覚えるので、きっと効いているのだろう。


 体育座りになると手を後ろにつき、膝を曲げ足首を膝に乗せて足のストレッチをする。立ち上がって腰を回すと右手と左足を前へ出すとゴリゴリっという音と共に背中から腰にかけて音が鳴る。逆もやる。


 お湯が沸いたようだ。コーヒーを二杯分入れてストレッチの感覚をおぼえたまま飲む。寝ているうちに抜けて行った水分がコーヒーを通して体内に流れ込む。後で水もちゃんと取ろう。コーヒーだけだと水分が足りない気がする。


 身支度を終えた文月さんが枕とタオルを手に持ってテントから出てくる。枕とタオルを受け取るとそのままコーヒーを飲み始める。どうやら若いとストレッチをする必要がないらしい。いいな、若いと。


 コーヒーがまだ熱かったらしく、自分で水を出して冷ましている。文月さんがコーヒーを飲んでいる間に持ち物の整理しとくか。テントに戻ると今日のドロップ品を仕分けしていく。


 魔結晶・魔結晶・ボア肉・ボア革・ポーション・オーク肉・その他。ボア革とポーションは背中のバッグに入れておくので実質エコバッグ五個か。エコバッグ五個はちょっと多いので文月さんのバッグにボア革とポーションを詰め込んでおこう。


 しかし今日も中々の収入だな。休憩抜いて正味十四時間働いてこの収入なら夢は大きい職業だと思う。ただ明らかに四人分ぐらいの持ち物なのでそこまで詰め込んで帰れない事を考えると、その半分が物理的限界になるだろう。そう考えると我々は二人で四人分の働きをしている事になるな。


 むしろ保管庫が三人分の荷物を持ってくれているということだろう。これだけでもウン千万の価値がある。持ち込み放題持ち出し放題。これで人の目を気にしないでいられるならばその価値は億以上出してもまだおつりがくるだろう。


「文月さん、ちょいとボア革とポーション任せていいかい」

「今日は荷物四つ? 五つ? 」

「持ってくれれば四つで行ける。重たいのはこっちでなんとかするから」

「解ったー。じゃあこっちによこして」


 ボア革十八枚とポーション合計二十六個を文月さんに押し付ける。軽いけど体積はあるから少し文月さんはたじろいだが、重さを確認すると安心してバッグに詰め込んでいる。


 テント周りの片づけをし、帰る準備を整えた。後はこのエコバッグを人の見てないところで片づけるだけだ。両手いっぱいに荷物を抱えると腰にグラディウスをぶら下げ意気揚々と我、帰路につかん。


 シェルターに立ち寄ると自転車は無かった。自転車に乗るにしてもハンドルにエコバッグをぶら下げる買い物帰りのカーチャンスタイルで挑むことになっていたのか。それはそれでバランスが取り辛そうだな。大人しく歩いていく事にしよう。


 ノートを一応確認したが、追記されている内容は無かった。俺の書き込みはまた後日審議される事になるんだろうな。他の人でもドロップらしき報告は無かった。



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― 新着の感想 ―
雷と水は隠さずオープンで使ってるので誤魔化す必要がわからない なんなら元々七層まで通ってる人数が少ないのでギルドの入ダン履歴と書いたタイミングだけで即バレするのでは
[気になる点] >焼肉とチーズは体に悪いが精神にとても良い 野菜不足が悪いのであって、肉とチーズは身体に悪くありません。 嘘情報を流さぬ様にもっと勉強してください。 国語もね。
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