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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第四章:中年三日通わざれば腹肉も増える

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260:十二層初回到達ボーナスはあるのかないのか


 十一層を進む。おっかなびっくりでゆっくり進んでいた前回に比べれば早い歩みだ。さすがに通算三回目ともなると十一層慣れするらしい。足音も聞き取りやすいし、空気はうま……くはないが十層ほど騒がしくない。ここはそこそこ狩りに向いている。


 聞くところによると十二層はジャイアントアントがさらに少なくなるらしいので、オーク狩りにはモアベターな場所だろう。十一層では七対三ぐらいでオークが出てくるのだから、十二層はそれ以上という事になる。


 肉肉祭りの開催場所までしばし蟻をぶっ叩きながらオークもぶっ叩いて歩いていく。


「タフさに目をつぶればゴブリン並みに楽だな」

「そうかもしれません、ゴブリンなら一発で倒せるところを四、五発叩き込まなければいけませんがそれに目をつぶれば楽ですね」


 精神的な負荷はほぼ無いと言っていい。どうやらオークは三枚……じゃない、三体ワンセットが十一層での最大数のようだ。一塊で一個ドロップがあれば良いペースということになる。運が良ければ肉と魔結晶が同時に落ちるボーナス付きだ。


 今度はジャイアントアントが四匹連れで来た。二匹ずつ近接で仕留めておしまい。キュアポーションごちそうさまです。


 オークの主成分は肉とヒールポーションランク2で出来ている。魔結晶はおまけみたいなものだ。確か探索・オブ・ジ・イヤーにもオーク肉の価格はしばらく高値安定だろうとかいう話も載ってたような覚えがあるし、Cランク探索者の旨味をこれでもかと教えてくれている。


 あぁ、これで帰りに十層を通る事が無ければ帰り道にかかる負荷が軽減出来ていいのに。どこかに直通エレベータ的なものは無いんだろうか。帰り道だけでも良いので欲しいところだ。行きにもあれば更に良い。


 この世界のダンジョンには、いや少なくとも小西で目視できる範囲ではそういう機構は無いらしい。ちょっと残念であるが、もしかしたらダンジョン転移的なスキルがどこかに存在する可能性はまだゼロではない。それに期待しよう。


 いずれ小西ダンジョンもCランク探索者であふれる事に……今のところなりそうにないな、せめて七層まではもうちょっと頑張ってほしい。その為のインフラ設備の拡充は大事なことなんだろうな。自転車三台では足りなくなるかもしれん。


 足音に感、オーク三体が近づいてくる。一体に対して二人で【水魔法】と【雷魔法】の同時攻撃で感電させ動きを完全に止める。その間に一対一の戦いを挑み、殴り倒した後でまだビリビリしている残りの一匹に止めを刺す。


 これがお互いに負荷がかかりづらくてとても楽な方法だ。ドロップ肉。わーいお肉だ。今のところ爺さんに卸しに行く以外は全部ギルドに納品しているが、ギルドから中買いに、中買いから消費する店舗や会社に渡る段階で仲介手数料が発生し、末端価格ではかなりの値段で取引されるのだろう。


「お、ファーストお肉ですね。今日は何個集められるでしょう」

「目標まで粘るか? たとえば五十個とか」

「それも目標として有りですね。なら猶更十二層で頑張りましょう」


 雑談しながら時に狩りに集中し、時に考えこみ、時に水でのどを潤す。今日の目標はオーク肉五十個か。そこまで頑張ってみるか。解りやすい目標だ。時間で区切るよりも解りやすいし確実にうま味を得られる。


 そういえば爺さんが六千円で買い取っているのも実際にはかなり安く仕入れている事になる。探索者としては少しでも高い価格でという形で買い取ってくれるので有り難く納品してはいるが、中買いが無いだけ安く仕入れている分爺さんは儲けているんだろうな。


 あのトンポーロウの味は忘れられない。また卸しに行ってごちそうになりたい。そういう一品だった。


 オーク二体がふらっと現れる。小指、二、一。問題なく一対一で対処。文月さんはウォーターカッターで首をスパっと落とせないか試していたが、首回りが太過ぎて諦めたようで串刺しにしていた。ドロップ肉。


 一パック六千円の肉なんてあそこで注文する客他に居るのか? とも思うので、今後は聞いてみて足りないなら卸す、という感覚で良いだろう。ボア肉やウルフ肉は比較的そこそこのペースで納品したら喜ばれるかもしれん。


 中華屋には世話になってる人も他に居るだろうし、わざわざこっちから持って行ってさぁ買い取れ、というのはなんか違う気がするんだな。足りてるかい? と声をかけて足りなかったら補充しに行く。そういうスタンスのほうがお互い良さそうだ。


 ジャイアントアント四体。二匹ずつ丁寧に磨り潰す。ドロップは魔結晶三。割といい。キュアポーションが落ちるとなおいい。


「肉は中華屋のお爺さんのところに分けに行くほうが良いのかな」

「それを丁度考えてたが、あんな小さな店で一パック六千円もするようなものをそうホイホイと消費しないと思うんだよね。だから聞いてみて必要だったら渡す、みたいな感じで行こうかと思う。注文来なくて高級肉の在庫を抱えてる姿なんかを見たくないし」

「それもそうですね。ウルフ肉とかボア肉ならそこそこ需要ありそうな感じですか」

「それも聞いてみないとだなぁ。肉に限らず羽根もそうだけど、供給過多はあまり宜しくないと考える」

「その点を考えると、ドロップはほぼ買い取るギルドと言う仕組みが非常にありがたいですね」


 全くだな。どれだけ太いサプライチェーンを築いているというのか。魔結晶から肉からポーションまで一通り取り扱う上に、供給過剰だからという理由では買い取り拒否をしない。


「結局ダンジョン探索はギルドありきなんだなぁ」

「個々人でパイプを作るのは限界がありますし……商社でも立てれば別なんでしょうけど」

「やはり、さらに効率化、高給料を進めるためには会社化が視野に入ってくるな。今のところ個人のパイプって肉と羽根だけか。無いよりマシだが無くても困らない……いや羽根は大いに助かるか」

「羽根は何故です? 肉も同じだと思いますが」

「保管庫使ってるところ見られる可能性が限りなく低くできるから。収納する時以外は自宅で全て行えるし……でも品質の良さでどうやって収納して持ち出してきたのかまで注目されると流石にまずいか」

「念のため例のCランクハンドブック軽く流し読みした範囲だと、Cランク以上の探索者ならもし隠してるそぶりしてても生暖かい目で見送ってくれるらしいですよ」

「らしいな。今のところ他のCランク探索者は一グループしか知らないんだが……」


 小寺さんたちはどうなっているんだろう。無事にCランクになれたのだろうか。


 歩みを進めている間に階段の場所まで到達したらしい。下向きの螺旋階段が崖に埋まっている。さて、降りるとするか。


「初めて人が踏み込むらしい十二層はどんなんかなーと。多少不本意ではあるが、誰より先に来ちゃったもんは仕方ないな」

「前人未踏と言われるとそこまで来たかぁって感じますね。もしかしてあんまり嬉しくなかったり? 」

「できれば誰かが作った道を踏み歩きながら気軽に探索をしたい人生だよ」


 降り立った十二層は、マップの隅っこだった。これは解りやすい。早速メモ帳にざっくりと正方形を書くと、隅っこに十一層への階段と記しておく。マップ作りがなんて簡単な階層なんだ。あの広大な無の七層に比べれば天地の差だ。


「角ですね。どっちに行きましょう? 」

「さて、どっちへ行こうかねえ……適当に決めるか」


 グラディウスを地面に立てて適当に倒す神頼みの儀式を始める。グラディウスは……階段のほうに向いて倒れた。


「……帰れと? 」

「もう一回やりましょう、もう一回」


 もう一度グラディウスを地面に立てる。グラディウスはしばらくの均衡を見せた後、向かって右側に倒れた。


「どうやらあっちへ行くと良い事があるらしい」

「早速オーブドロップしたりしませんよね? 」

「精々ヒールポーションが多めに得られるぐらいで抑えてくれるとありがたい。でないと帰りが怖そうだ」


 行く方向を決めたところで耳を澄ます。確かにオーク特有の重たい足音が多めに聞こえる。ジャイアントアントは……居ない訳ではないがそれほど音がしない。やはりジャイアントアントは少なめなんだろう。


 二分ほど右方向へ歩いていくと、早速オークが四体近寄ってくる。小指、四、二。四体チームは初めてだ。どうやって二匹を抑えて行くか。とりあえず先頭二匹に雷撃をしかけて動きを止めてその間に後ろからくる二匹を……ちょいと強めに雷撃撃っておくか。


 先頭から突撃してきたオークは無事に痺れて地面に膝をつく。今がチャンスだ。目前のオークを放置し後ろのオークと一対一で戦い合う。冷静に相手の棍棒の動きを見て、避けたところに逆撃で一刀を放つが、さすがの脂肪の厚さ、致命傷にはならない。刃の長さが足りないか。


 追撃をするが、後ろに下がられて二撃目を外す。体勢を崩さないよう冷静に力を抜き入れしてその場に踏みとどまる。そこに再びオークの攻撃が迫る。ここは受け止めて腋からグラディウスを差し込み、雷撃を入れて確実に止めを刺す。


 オークが動けなくなる雷撃の強さは解っているが、使いすぎで眩暈がこないようにちょこちょこ調節しながら打ち込む。動けなくなる強さ、剣を差し込み心臓経由で止めを刺す強さ、一発で昇天させる強さの三段階の調節が出来るようになった。


 目の前のオークを倒して返す刀で最初に痺れさせたオークの首筋を狙って真っ直ぐに差し込み、首を断ち切ろうとするが、やはり刃の長さが足りない。それでも首を半分ぐらい切り終えたところで黒い粒子に変わってくれた。完全に断ち切らなくてもダメージはきっちりあるらしい。


 文月さんも同じく痺れているオークを尻目に一対一でオークを退けた後、最後の一匹を頭の後ろから一気に体重をかけて貫いて見せた。さすが乙女のか弱い細腕だな。


 さて、最初のオークのドロップは……肉、魔結晶、ヒールポーションランク2。大盤振る舞いだ。これは初回からいいことあったな。


「四匹で……四万七千円。美味しいな」

「全部がこのぐらい出してくれるといいんですが」

「それは贅沢ってものだろう。ゆっくり地図を埋めながら回るとしますか」


 この続きもおいしくあってくれるといいが、そうは問屋が卸さないだろうな。もしもだが五匹連れで出てきたときが考えどころだろう。


作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] トンポーローたべたい [気になる点] モアベター構文をみると、本当に40代?50の間違いでは?と疑ってしまう。 オブジイヤー…イヤーのつづり確認しようね、安村さん
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