22:レアドロップとお得な買い物
ダンジョンで潮干狩りを
Renta!等いろいろなサイトで発売中です。是非とも続刊のためにもご購入のほうよろしくお願いします。
一層に戻った俺は時間を確認し、また人の居ないところでスライム狩りに没頭することにする。考えることは……今日の夕飯を何にするかと、ホームセンターで補充するものだ。
時間を忘れないようにスマホのアラーム機能を一七時にセットすると、思考の海に潜りこみながらせっせと潮干狩りに勤しんだ。
水と携帯食料は買うとして、どのぐらいのグレードの刃物を購入するか。長さは一メートル前後までにしたほうがダンジョンの広さの都合上良いだろう。後、余裕があるなら防具も欲しい。
たとえば武器一本で相手と相対する時、後の後を取る場合まず武器で相手の攻撃をうまく往なしてから振りかぶって切りつけるという三動作が必要になるが、小盾があればこれを利き手と反対に備え付けることで両手を攻防同時に扱うことで二動作で済ませられる。
また、武器と同じ側に装備することで切り込みながら防ぐ、という手段を取ることもできる。取り付けが簡単で強度があるポリカーボネートあたりの素材がいいかな。
段々買うものが決まってきたぞ。後はそうだな、消毒薬ぐらいは持っていて損は無いだろう。うっかり噛まれた跡が化膿してジステンパーにでもかかってしまったら大変だ。今のところダンジョン内固有の病気というものは聞いたことはないが、気分的な問題もあるしな。
「後はそうだな~簡単につまめるおやつかなんかがあれば気分的に楽になれるかな……ぁ?」
本日三百五十匹目のスライムを処理したところでそれはドロップされた。
半透明の緑色の液体の入った小瓶だった。試しに保管庫へ入れてみる。
ヒールポーションランク1 x一
ランク1のヒールポーションがドロップしたようだ。
「ポーションが出るのか。まだまだスライムも知らないことだらけだな……っと、そろそろいい時間か」
俺は帰り支度を始める事にした。アラームが鳴るまでまだ少し時間があるが帰りの道すがらに出てきたスライムを処理しながらならいい頃合いになるだろう。
◇◆◇◆◇◆◇
出口で退場受付を済ませると、その足で査定カウンターへ向かった。今日は査定と買い取りの担当が逆らしい。
「お疲れ様です安村さん。査定でしたらどうぞ出してください」
「はい、お願いします」
おっと、保管庫がばれないようにバッグの中で出し入れしてしまわないとな。
「今日もスライムばっかりですか?」
「いえ、二階層にも少し行きました。すぐ戻ってきちゃいましたけど」
「じゃあ、スライム以外とも戦ってみたんですか?」
「えぇ、グレイウルフと少しばかり戦ってみましたがやっぱりスライムみたいに上手くあしらえませんでしたね。あ、これグレイウルフから出た魔結晶です。それと」
俺はポーションを取り出す。
「おー、ポーション落としましたか。グレイウルフも滅多に落とさないんですよ。レアゲットですね」
「あぁ、これスライムから出ました」
その場の空気が凍った。彼女の手も止まる。
「……もう一回言ってくれます?」
「スライムから出ました」
「スライムから! ポーションが! ドロップしたと! 」
「三回目ですが、スライムから出ました」
俺は査定カウンターで質問攻めにされていた。なぜか怒られている。
「二層にも行かれたんですよね? 潮干狩りスタイルで」
「あー、今日はバール持って行ったんで潮干狩りスタイルではないんですが」
「バール一本で二層に突撃するのも問題ですが、一層でポーションがドロップしたという話は私、まだ聞いたことありません」
やはり刃物が確実性が高いらしい。初日にバールを買ったのは失敗だったな。
「わたしも初めてドロップしました。今日までにえーと……千七百匹以上倒してきたのでそのぐらいの確率ででる……とか?」
「千……そもそもそんな短時間でスライム倒す時点で前代未聞なんですが」
「まぁ、出てしまったものはしょうがないじゃないですか。ポーションも査定お願いします」
「はー、まぁ本当にどこで出たかはまた今度にしましょう。一応聞いておきますが、誰かから奪ったってことはないですよね? 」
「だったら奪われた人がこっちに駆け込んできてると思いますよ」
「解りました。問題にならないように二層で拾ったって事にしときますね」
うーん、まぁいいか。変にスライムに人が増えて俺の効率が落ちても困るし。しかしポーションでこれだけ言われるなら、スキルオーブ手に入れたこと話したら彼女心臓止まるな。絶対言わずにおこう。
今日の稼ぎはスライム潮干狩りをする時間が短かったが、ポーションの査定価格がなんと一万円だった。おかげで過去最高効率の稼ぎだったぜ。いぇい。
支払いカウンターについたときに、そういえば武器防具をそろえる話を思い出したため、職員さんに少し尋ねてみることにした。
「そういえばこの辺ってダンジョン用の装備揃えるような店ありませんよね。ほかの方ってどうしてるんでしょう?」
「あ、それはですねー。当ダンジョンと提携を結んでる取引先さんがありましてー、探索者証見せることで割引する制度があるんですよー」
なん……だと……
「もう二日ぐらい早く知りたかった……」
「割引と言っても五%ぐらいですけど、高価な装備品をお求めならぜひ使ったほうがいい制度ですよー」
「それってここでも使えます? 」
と、いつもお世話になってるホームセンターをスマホ画面で見せてみる。
「メインスポンサーさんですねー」
にっこりと笑顔で返されてしまった。決めた、帰りに寄って買って帰ろう。
「じゃあ次からここで買うもの見繕ってみますよ、ありがとうございます」
「いえいえ、儲けてもらうのも私たちの仕事ですので」
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