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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三章:日進月歩

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214:リベンジカレーマッチ




 予想より三十分遅れでカレー屋に着いた。今日はハニーナンを注文する、それだけは硬く心に誓っている。それ以外を何にするかは全く考えていないのでインスピレーションで行こう。出入り口から中へ入ると、前と同じ店員がそれなりに忙しそうにしていた。


「イラッシャイマセー」


 店員の挨拶が響く。やはり昼時だからか、俺以外にも何人か客はいた。とりあえず席案内は無いので好きに座れという事だろう。一人でテーブルを使い切らないようにここはカウンター席に座っておこうか。


 メニューを見る。この間とは違ってランチメニューをまだ頼めるようだ。せっかく頼めるんだからランチを頼もうかな、と周りを見渡すと、ランチを頼んでいるらしき客が居る。カレーとナンの量を確認することはこの手のカレー店では大事だ。


 カレーとナンのバランスを間違えると、カレーだけをひたすら飲み込むか、ナンをひたすら噛み続ける事になり、どっちもペース配分が難しい。ナンは二枚食べたいので、ランチのセットメニューからカレーの多そうなほうを選びたい。


 どうやらAからEの五種類のセットがあるらしく、Bセットまではカレー一種類、Cセット以降はカレーを二種類頼めるらしい。タンドリーチキンも付くようだ。これはCセット以降で決まりだな。ちなみにどのセットでもナンオカワリデキルヨ。


 DやEの違いはシークケバブが付くかどうか、サモサが付くか、あたりで別れるらしい。お値段も千百円、千三百円、千五百円と二百円刻みで上がっていく。ライスが欲しければ別で注文するか、ナンを諦めてライスにするかのようだ。ドリンクはBセットから付いてくる。


 ここは少し悩んで、シークケバブとタンドリーチキンをつけてくれるDセットにした。後はカレーも選べるのか……よし、まず一つはマトンカレーだ。前回同様マトンは外せない。あと一つはサーグカレーにしよう。飲み物はチャイが選べれば……うん、大丈夫だ。辛さは一から五まで選べるらしい。


「すいません、Dセットハニーナン、マトンカレーサーグカレー辛さ四、飲み物はアイスチャイで」

「ワカリマシタ、チョットマッテテネ」


 ハニーナンを頼むとプラス百円だが構わない。俺はハニーナンを食いたいんだ。お通しにサラダが運ばれてくる。インドカレー店のサラダにはかなりの確率で乗せてくる人参ドレッシングらしき甘い何かが食欲を増進させる。早々にサラダを食べきってしまう。まだかなぁ。オナカスイタナァ。


 暫くしてワンプレートにスマートに並べられたカレー二種類とシークケバブとタンドリーチキン、そして皿を無視して鎮座するデカいハニーナンが運ばれてきた。甘いはちみつの香りが更に俺の胃袋を刺激する。


 さぁ早速いただこう。俺の腹はもう限界だ、ここでお預けとかされたら暴動を起こす自信すらある。まずはやはりマトンの肉から一口目に入る。舌の上で溶け切らないマトンの脂の食感を奥歯でかみしめる。やっぱりマトンはいいなぁ。


 続いてはサーグカレーだ。サーグとはほうれん草をメインとした菜の葉の総称らしいが、大体の店ではほうれん草がメインらしい。他のカレーより粘性の高いカレーになっている。まず一口。おそらくペースト状にしてあったのだろう。野菜を食しているという感じは無いが、野菜の風味は損なわれていない。コクがあり、ちょっとした深みを感じさせられる。


 続いてハニーナンを単体でいただく。はちみつがひたすらに甘い。主食というよりはおやつという感じのほうが近い。これは甘すぎたかな? と思ったが、カレーが辛めなので甘いのと辛いのを交互に味わうには悪い感じはしないだろう。ただ、お代わりをするならプレーンナンを頼もう。


 さて、次はシークケバブだ。一本しかないが、しっかりと焼かれていて香草の香りが俺の胃にさらに刺激を与える。まず一口。スパイスがガツンと来る。いろんな香辛料が使われているのが解る、肉の食感よりもスパイスを楽しむ肉料理って感じだ。


 肉はひき肉を使っているのだろう、口の中でバラバラになっていき、同時にスパイスも口の中に広がる。これは後で楽しんでも良かったな。一口水を飲んで口の中をリセットする。


 さぁ、お楽しみのナンカレーだ。はちみつの甘さとカレーの辛さ、どちらに軍配が上がるか世紀の第一戦が始まる。はちみつが手に付かないようにそっと手に持ち、マトンカレーに浸して食べる。


 これは……何とも不思議な味わいだ。甘さと辛さが口の中で争い合っている。甘さと辛さが交互に口の中を刺激する。不味くは無い、不味くは無いが、味の統一性は無い。これはハニーナンはおやつ感覚でつまむのが正しい選択だったか。だが食は進んでいく。


 ハニーナンを食べ切る前に、店員さんにプレーンナンのお代わりを要求する。これでハニーナンを食べ終わるぐらいのタイミングでお代わりのナンが届くはずだ。タンドリーチキンは色のわりに辛くなく、むしろ若干爽やかな味わいが口の中に広がっていく。これも正解だった。


 プレーンナンの分のカレーを残しつつ、ちょいちょいと口の中に入れていく。お代わりのナンが届くのを今か今かと待つ。五分ほどしてお代わりのナンが届いた。待ってました。やはりカレーにはプレーンナンだな。プレーンと名乗る割にほのかな甘みがある。このぐらいの甘さがカレーにはちょうど良かったのかもしれない。


 マトンカレーとサーグカレーの辛さに負けないプレーンナンのほのかな甘さ。ここからは胃袋に詰まる限りカレーとナンを楽しむ。やがて、そろそろ食い終わるかどうかのタイミングでアイスチャイが運ばれてくる。ベストタイミングだな。店員侮りがたし。


 シナモンの香りと牛乳の乳臭さを味わいながら、残りの料理を片付けにかかる。さて、ここでもう一品。お持ち帰りでチョコナンを頼むことにする。前来た時に気になっていたんだ。チョコナンという食べ物は一体どういうものなのか。


「すいません、持ち帰りでチョコナンできますか」

「デキマスヨ。ナンマイ? 」

「一枚で。二枚はちょっと多い」

「ワカリマシタ」


 ナンを何枚も食わせる気だったのか、恐ろしい店だ。うっかり枚数を二枚と言っていたら明日の朝食までナンになる所だった。


 食事を終えて一服する。胃袋は満足した。夕食にチョコナンを足そう。名前からしてお菓子系のナンに違いない。夕食に甘いものをチョイスするのは悪くない。寝る前に糖分を多めに取るとさらによく眠れると聞いたことがある。


 俺の想像通りのチョコナンがくるなら、それはチョコチップを一杯に乗せてナンと一緒に焼いたフカフカのもののはずだ。実に楽しみである。


 十分ほどしてチョコナンがアルミホイルに包まれて出てきた。どうやらチーズナンと同じく円形らしい。受け取ると会計に入る。なんだかんだで二千円近くの出費になったが、出費だけの満足は得られた。


 やはりインドカレー……と言っても働いてるのはネパール人がほとんどらしいが、インドカレーは心の安らぎになる。充分胃袋も膨れるし、この店はまたちょくちょく寄る事にしよう。


 店を後にすると、まっすぐ家に帰る。チョコナンは車の中で保管庫に入れた。夕食までは十分暖かいまま食べられる事だろう。


 夕食のメインはチョコナンになった。食事というよりおやつというイメージだが、たまにはそれも良いだろう。どのくらいチョコなのかが気になるが、それは夕食まで見るのを楽しみに取っておこう。


 もし物足りないならコンビニで買い足せばいい。とりあえずチョコナンだ。早く味わいたい気持ちを抑えて帰路に就く。今日もインドカレーは中々の強敵だった。


 胃袋からこみ上げるカレーの香りを口の中で存分に味わいながら家に向かう。次はどんな外食を開拓していこうか。ジャンルは色々ある、食への探求は尽きる事は無いだろう。



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― 新着の感想 ―
[一言] この話を書く前に孤⚪のグルメ観て栄養補給してそうやな
[一言] チョコナンなんてあるんだ。今度探してみよう。
[良い点] 少しずつ生活が変わっていくのが毎日読んでて面白い。 [一言] 相方の大学生活とか、もうちょい話を広げてほしい。
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