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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三章:日進月歩

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197/1247

197:やっちゃったんだZE

たまにはいいねとか評価してもらえるとありがたいです。

偶にじゃなくて毎回してくれるともっと喜びます。

 



 四層に降りる。耳を澄ますと他のパーティーが一つここで活動してるようだ。先に行っていてくれると行程が短縮できて楽なんだが。五層への階段を寄り道せずに歩いていく。行く先にリポップが無いことを考えると五層へ行ったパーティーが近くに居るのかもしれないな。


「なにも居ませんね。前にパーティーが居るんでしょうか」

「多分ね。そのまま六層まで先導してもらおう。その後は是非後ろを振り返らずズンズン前に進んでいって欲しい」

「人が居たら私が茂君を倒せばいいのでは? 」

「その手があったな。自力でなんとかする事しか考えてなかった」


 文月さんの【水魔法】に頼ることも出来るんだったな。すっかり忘れてた。


「千五百万円分の働きを茂君で賄うにはあと何回討伐すればいいんですかね」

「百グラム千五百円計算だと一トン。千回ぐらい倒せばいけるかな」

「それだけあったら日本中の布団の需要を満たしきってしまうのでは」

「布団以外にも使う業界があるだろうし、さすがにそれで供給過多になることはないと思うよ」


 四層をそのまま戦闘無しで通り抜けるかとも思ったが、ソードゴブリンとゴブリン三匹の団体さんが側道から出てきた。


「ちょうどいいので【水魔法】の調整に一役買ってもらいましょう」


 俺が戦闘に入る前に文月さんが水の刃を四枚発射する。全ての刃がゴブリンを貫き、スパッと体を半分にしてしまった。これには俺も驚きだ。ソードゴブリンもスッパリ行っていた。


「前より威力が上がってる。いい切れ味だ」

「これで九層まで一発で落とせれば十層にもチャレンジできるかもしれませんね」


 短い間でよくここまで成長したな。正直びっくりだ。ちなみにドロップは無かった。


「これは俺も楽が出来るな。やっぱり文月さんに託して正解だった」

「お値段以上の働きはしないと。このままオークもスッパリいってくれますかね」

「その前にCランクに上がるのが先だな。じゃないと十一層に入る事すらできない」

「こっそり入ったらダメですかね」


 文月さんが十層を突破する前提で話を続ける。まず十層だと思うんだけどなぁ。話しながらも四層を巡る。


「禁止区域入った時点でバレてるらしいぞ。何処で何を判定しているのかは解らないけど」

「怖……何でしょう、預けてある探索者証が点滅するとかですかね」

「それもそれで怖いな。一体どういう仕組みなんだあれは。何にせよ十層突破できるかどうかも大事かな。あの物量が毎回来ると思うと辛い」


 もっと早く正確に動けるようにステータスを上げていかなければ。俺の成長も課題の内だな。四層を練り歩くとやはり一回二回はエンカウントする模様だ。休日だし多少探索者が増えているはずだが、四層には初心者の壁なるものがある。装備をそろえて突入するほどまでは行かない探索者も多いんだろう。


 ソードゴブリン一、ゴブリン三。また文月さんがノリノリでスッパリと切り裂いていく。


「無理にスキル使ってはいないよね。強さを調節しておかないと俺みたいに眩暈起こしたり」

「その場合は相棒が介抱してくれるはずなので心配はしてません」


 言い切りおった。まぁ介抱するけどさ。ドロップはゴブリンの魔結晶二個。悪いドロップではないが下層の稼ぎと比べるとしょぼく感じるのはだんだん麻痺してきたからだろう。


「そういえばなんで三層で狩りしてたんですか? 」

「中華屋に定期的に卸すお肉の確保とヒールポーションの予備を貯めておきたかった」

「また何か美味しいものを作ってもらいに行きましょう」


 あの中華屋にオーク肉を持っていったらどういう料理を出してくれるのかな。楽しみではある。


「そのためにもボア肉は九層で、ウルフ肉は三層で、かな」

「ウルフ肉なら二層のほうが数は多い気がしますが……そういえば二層の探索者増えてましたね。取り合いになりやすいと? 」

「それもあるけど、三層ならヒールポーションも見込めるからこっちのほうが稼ぎが良い」


 五層への階段へ着いた。疲れはない。このまま茂君までまっすぐ行ってしまおう。


「休憩なしで七層まで行ってもいいかな」

「いいですよー。まだまだ体力も精神力も問題ないです」


 五層の階段を降りる。いつも通りのサバンナだ。ワイルドボアは視界内に三匹。木の奥にはまた三匹ぐらいいるだろう。ダーククロウは……上空に三羽ほど舞っている。とりあえずダーククロウを落とすか。バードショット弾を用意して周りを見渡して他の探索者が居ないことを確認すると、そのまま放った。


 三匹綺麗に落ちてくる。魔結晶がボトっと落ちてきたので自分の頭の上に当たらないように避ける。羽根は出なかったようだ。


 その間に文月さんはワイルドボアの処理に向かっていた。槍で思い切りぶん殴っては黒い粒子に変えて行っている。遠近両方でとてもよろしい。お肉を拾うと嬉しそうに駆け寄ってきた。


「そういえば今日のお昼は何ですか? 」

「たまにはレトルトも良いかと思って。あらかじめ熱めに温めたものを保管庫に放り込んである。小鍋も用意したんで温めて食べよう。ご飯は焼き飯風にしてちょっとお焦げをプラスして行こうかと思うんだが」

「たまにはレトルトも良いですね。チョイスに期待しておきます」


 期待されてしまった。今日のレトルトは鶏の炭火焼きだ。香ばしさに期待しつつ五層を進んでいく。途中の木にはダーククロウが八羽ほど止まっている。


「複数対象のテストしてみる? 」

「してみる。失敗したらカバー宜しくお願いします」

「お願いされた。いつでもどうぞ」


 文月さんが八匹に狙いを定めるのか、木ごと丸ごと切り刻むかは解らない。その辺の草を刈ってしまうことが出来たのは確認済みだが、木そのものを切れるかどうかはまだ未知数だったな。


「せっかくだから木ごとぶった切るイメージでやるのはどうだろう? 」

「なるほど、それは試してみる価値ありますね。一匹ずつじゃなくてどでかい水の刃で一気に殲滅ですね。やってみましょう」


 文月さんは少し考えた後、集中しているのかピタッと動きを止める。やがて深呼吸すると普段より三周りぐらい大きい水の刃を生成する。高速で水の刃はダーククロウの止まっている木を直撃し、ダーククロウもろとも木を切断してしまった。


 鍛えるとここまで出来るんだなぁ。という事は俺もその気になれば木ごと破壊できるのか。というか木は非破壊オブジェクトじゃないんだな。きっと根本だけは非破壊オブジェクトになっているんだろう。草と同じだ。


「これ、目印が上半分消えちゃったけどどのくらいでリポップするんだろう」

「帰り道までに復活してればいいんじゃないですかね。吹っ飛ばしたのも上のほうだけですし、目印はまだ残っているという事で」

「これ、人に見られたら大事件だぞ」

「今見てないなら犯人は闇の中だからセーフですセーフ」


 まぁ、それでいっかぁ……木の根元に近づくと範囲収穫でドロップ品を回収する。ダーククロウの羽根は二百グラムほど、魔結晶は二つ手に入れた。後……


 サバンナの木 x 一


 どうやら破壊可能オブジェクトは収納できるらしい。収納したところでどうという事はないが何かの機会に投げつけてしまおう。正直使い道が思いつかない。


「木が保管庫に入った。サバンナの木というカテゴリらしい。使い道は……解らん。保管庫の肥やしにしておこうと思う」

「何に使うんでしょう? もとい、何に使えるんでしょう? 」

「DIYで机作ったりする趣味はないからなぁ。そういう伝手もないし。これは本気で肥やしにするか、射出でぶつけるぐらいしか使い道がなさそうだ」


 とりあえず次の木へ向かおう。道中のワイルドボアをスパスパ切っていく文月さんの後ろをついて上空にダーククロウが居ないかどうかの確認だ。役割分担はちゃんとできている。


 二本目にたどり着いた。やはり八匹ほど止まっている。今度は俺の番かな。周囲を確認して問題が無いことを確かめると、すぐさま八匹に向かってバードショット弾を撃ち込む。全弾命中。範囲収納でドロップを確保。また二百グラムほど羽根が溜まった。これだけあればもう一枚布団を作るぐらいの量が溜まっただろう。卸しに行くのが楽しみである。


 三本目の木にむかい、道中のワイルドボアから肉を回収するとへそくりに二個追加しておく。どんどんへそくりが溜まっていくな。これは文月さんにも見えないので緊急用の食料としても扱える、便利なスキルだ。


 三本目の木にはなにも止まっていなかった。代わりにダーククロウが数羽旋回している。


「アレに向けて【水魔法】打てる? 」

「うーん、ウォーターカッターが届くまでに速度差があって安村さんみたいにはうまくいかないと思います。ホーミング機能でもあれば別でしょうが」

「そっかー。思わぬところに落とし穴があったな」


 さすがに射出速度では俺のほうに一日の長があるらしい。逆に俺がお荷物になる可能性は低くなった。そのまま真っ直ぐ階段までのダーククロウをバードショットを一つずつ射出して上空のダーククロウを撃ち落としていく。


 ドロップを拾いに行くのが面倒なのはデメリットだな。ダーククロウは木に止まっていてくれたほうが移動がなくて良い。


 上空のダーククロウを潰し終わったところで行く先に居たワイルドボアの処理も終わったらしい。文月さんは出来るだけ【水魔法】を使ってワイルドボアを処理しようとしていたらしい。ドロップを拾いに走り回っている。


「ドロップ拾いに行くの面倒くさい」

「素直に近接攻撃で仕留めれば手元にドロップ落ちるのに。何事も使い分けだな」

「範囲収納の応用で遠い場所のドロップも拾えたりしないんですか」

「まだ五メートルぐらいが関の山かなぁ。十メートルぐらいの範囲で拾えればもっと楽にはなるんだろうけど、予想外のものまで拾いそうで調節が難しい」


 サバンナマップなら基本何もないから心配はないだろうが、何も考えず収納だけを念じるとその範囲にあるものを全て収納しそうな気がする。収納と言えばさっき拾ったサバンナの木、接ぎ木にしたら地上でも育ったりするんだろうか。興味あるからとっとくか。


 六層への階段に着いたところでここまでの収入はお肉を除けば魔結晶で七千円といったところだ。まぁ今日の主戦場は九層なので行き掛けの駄賃と考えておけばいいだろう。



作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] つまり★を押して☆にする作業を毎日すればいいということか 偶数日には増えて奇数日には減る
[気になる点] 迷宮の中でチェーンソーは使えるのかな? [一言] 木がどういう物かは検証班が調べているのでは、斧で切り倒して持ち帰ろうとした先駆者が居ると思う。 斧で切り倒す労力に見合った報酬が得られ…
[一言] つまり、持ち出す手段と切る手段があれば森で木を伐って材木に加工して即席の小屋とか七層に作れるんじゃ?
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