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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三章:日進月歩

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165/1225

165:いたずら再び~朝~

 朝だ。今日もさわやかな目覚めをダーククロウの枕に感謝する。ありがとうダーククロウ。今日も良い目覚めだったよ。


 今日の朝食は豪勢だ。昨日の夕飯の残りのナンとカレーを温めなおして食べる。朝からガッツリと食事することになる。栄養バランス的にちょっと野菜が欲しいところか。チーズナンをまず一切れ食べて血糖値を上げた後、野菜を簡単に刻んでサラダとして追加する。


 二日目のカレーは煮込み続けてあるわけではないので味は多少落ちるが、美味い事に違いはない。またあのカレー屋に寄ることが有ったら別のメニューを試してみよう。


 まずは他のナンからだな。今回はチーズナンをチョイスしたが、他にもチョコナンとかちょっと未体験のゾーンもあった。ぜひ踏み込んでみたいところだ。


 さすがに昨日の残りだけではナンが足りなかったらしく、カレーが少し余ってしまった。トーストを焼いてカレーをそぎ落とすようにしてすくった後食べる。これで綺麗に食い終わることが出来たな。家から歩いていける距離にカレー屋があるなら是非とも通うんだが残念ながら。


 朝食の片づけを終えるとメールの確認だ。自転車台は十時ごろに届くらしい。届いたら小西へ行ってさっそく机も一緒に設置してやろう。ついでに大きい自家用テントも設置することにしようか。


 荷物が届く間に駐輪場と書いた紙を印刷して三枚作る。ラミネート加工しておけばより確実だが、手持ちの機材では残念ながらそれは出来ない。クリアファイルにでも挟んでテープで止めておけば代わりにはなるか。


 自転車のカギは外しておいたのでわざわざ自転車のカギだけを持ってきて付けるような輩が居ない限り誰でも使えるし、もしそんな輩が居たとしても保管庫経由で開錠が可能だ。盗難の心配は無い。盗めるものなら盗んでみてほしい。安全管理は整っていると言える。


 とりあえずバッグに三つ折りにできる長机を放り込む。これは誰かが見てる前で立てる可能性が高いからバッグに入れておくのが安全だろう。自転車と自転車台は保管庫の中で良い。テントもバッグの中のほうが良いかな……よしかろうじて入ったぞ。


 冷蔵庫から適当に冷えたコーラと水を保管庫のアイスバッグに捻じ込む。アイスバッグの保冷剤を新しいものに変える。刻み野菜を作るとまとめて一つのチャック付きポリ袋に入れる。


 後、夕食用の生姜を細かく刻んで汁ごと別のチャック付きポリ袋に入れると、砂糖、しょうゆ、酒をある程度の比率にして調味し、薄力粉をラップに包むと生姜と一緒に保管庫に詰める。


 万能熊手二つ、ヨシ!

 マチェット、ヨシ!

 グラディウス、ヨシ!

 ヘルメット、ヨシ!

 防刃ツナギ、ヨシ!

 安全靴、ヨシ!

 手袋、ヨシ!

 トランシーバー、ヨシ!

 食料水、色々種類あって、ヨシ!

 持っていく自転車・テント、ヨシ!

 保管庫の中身……ヨシ!

 その他いろいろ、ヨシ!


 指さし確認は大事である。

 後は自転車台が届くのを待つだけだ。ボーっとニュースでも見ていよう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 十時になりまもなく、呼び鈴を鳴らされる。来たかな? 玄関に出るとどうやら来たようだ。荷物が三つ、それなりの大きさのものが積み上げられている。


「御届け物でーす」

「ご苦労様でーす」


 サインをして品物を受け取る。結構な体積があるな。さっそく外装を外して中身だけにし、保管庫に入れる。これで出かける準備はいいな。


 ダッシュで向かって十一時。そこから八時間で降りて組み立てて帰ってくる。何とかなりそうだが、時間ギリギリを攻めるのはあまり好きではない。


 う~ん、泊まりにするか。二回連続で中で一泊というのも悪くない。新しいテントの寝心地を試す意味でもここは一泊コースにしよう。


「今日も小西に泊まる。新しいテント試したい」 一応送っておく。


 よし、出かけよう。いつも通り家から出て、昼食をコンビニで見繕う。大盛のパスタを一つだけ買う。これだけあれば十分だろう。後は現地調達だ。アツアツに温めた後移動中に保管庫に仕舞う。これでアツアツのパスタがダンジョン内で食えるぞ。


 駅で電車に乗り、電車を降りてバスで小西ダンジョン前まで乗る。新しい道具を試すときってなんでワクワクするんだろうな。早くダンジョンにたどり着かないものか。自転車漕いで来ればよかったかな。


 逸る気持ちを抑えながらバスに揺られ続けて、漸くダンジョンに着いた。さぁお楽しみタイムの始まりだ。


 さっそく入ダン手続きをする。


「今日も宿泊でお願いします」

「今日は一人ですか」

「えっと……あ、後で合流するらしいです」

「解りました。お気をつけて」


「七層までに追いついてみる」レインの返事が来ていた。気づかなかったな。

「待ってる」返事を送っておく。


 まずはテントを立てるために真っ直ぐ七層へ向かおう。道中誘惑が多いが、誘惑に負けないようにしなければ。


 一層の魅惑のスライム地帯に対する誘惑に負けずに急いで下層へ向かう。道中のスライムだけ狩っていこうかな。そうしよう。うん、道なりにエンカウントするだけなら仕方ないよな。


 早速スライム狩りだ。熊手に持ち替え嬉々としてスライムに立ち向かう。わ~いまてまて~。


 ……


 グップツッコロンパン。グップツッコロンパン。

 グップツッコロンパン。グップツッコロンパン。


 ……


 気が付くと三十分経っていた。まだ一階層だぞ、こんなところで時間を潰してどうする。俺は下層に行くんだった。恐るべしスライムの誘惑。急いで二層へ向かう。道中のスライムにはさすがに今は目をつぶる。


 結局一層を抜けるのに一時間かかった俺だが、二層三層を合計四十分で走り抜ける。もちろんトレイン行為はしない。出会ったモンスターは丁寧に処理しながら、だ。


 四層手前で水分補給。ここで昼時ではあるが、飯を食うのは四層を抜けてからにしよう。今はまだそれほど腹が空いてない。もうちょっと落ち着いてからでもいい。水分を補給したらすぐさま四層に降りる。


 四層は相変わらず混みもせず少なすぎもせず、一パーティー居るんじゃないかなぁ? というような感覚だ。音のする方向からして、五層へ向かってるパーティーが居るようだ。


 これは道中あまりエンカウントせずに済むかな? 期待を込めて速足で駆け抜ける。と、残念ながらすぐさまエンカウントしてしまった。運が悪いな。だが運が悪いのはモンスターのほうもだろう。ゴブリン四匹を一撃ずつ打ち込み確実に倒していく。


 背中がごそごそする。やはり折りたたみとはいえ背中に机があるのは違和感があるな。とっとと七層へ降りて解放されたいものだ。


 四層をそのまま駆け抜ける。道中引っ掛けたゴブリンたちはきちんと処理していく。ゴブリン四匹。ソードゴブリンとゴブリン三匹。ゴブリン三匹。ソードゴブリンとゴブリン三匹。ドロップもきちんと拾っていく。


 残念ながらゴブリンソードのドロップは無かったが、そこそこのドロップを期待する分出た。ヒールポーションを一本拾えたのは走り抜けただけのわりに美味しい収穫だった。


 五層への階段へたどり着くと、今度こそ昼食だ。ちょっと遅めのランチはコンビニのパスタだ。大盛なので食べがいがある。味の妙技についてはコンビニ飯なのであまり期待していないが、腹はしっかり膨れる。


 こういう所でまた中年太りが加速していくんだろうなぁという自覚はあるが、まぁ体動かすしいいよな? で自分をごまかしていく。


 パスタを食べてしっかり腹が満ちたところで水分も取り、中盤戦の開始だ。五層六層を腹ごなしの運動として通り抜けて七層へ向かう。


 五層へ降りるといつもの光景、いつもぐらいの数のワイルドボア、そして仄かに繁る木。先に向かっていた様子だったパーティーは四層へそのまま駐留したのか、それともとっとと通り抜けて六層へ行ったのかは定かではないが、目の前には居ない。ワイルドボアが居る所を見ると、四層をそのまま巡っているんだろう。


 とりあえず木に向かいつつ、ワイルドボアと腹ごなしに相撲をする。一発当たって後は流れでお願いします。作り通りの相撲をワイルドボアと何戦か繰り広げたところで一本目の木に着く。周りを見渡し誰も居ないことを確認して、バードショット弾で狙いを定めて試合は終了。


 ダーククロウのドロップ品を木の根元に向かって範囲収納して終わりだ。毎回ダーククロウの羽根を提供してくれて俺はとても感謝している。彼らの犠牲のもとに俺の快眠は担保してもらっているのだ。


 二本目の木までも同じように作りのある試合をワイルドボアと繰り広げ、二本目の木の葉を綺麗にする。五層もパターン化したな。五層まで駆け抜けて六層手前で休憩、という七層までの道がこれで確立できたか。


 三本目の木には何も茂っていないようだ。ワイルドボアの数は木までに四匹。全部来ると考えて進む。すると後ろから足音が聞こえてきたので振り向くと、もうリポップしていたのかワイルドボアが単騎で突き進んでくる。


 試しに、ぶつかった瞬間にワイルドボアの牙を両方折ってみる。突進の威力がこれで削げるだろう。するとワイルドボアはその場をグルグル回り始めた。どうやら牙が折られて混乱しているようだ。新鮮な反応だ。


 改めてワイルドボアを背中からグラディウスを突き刺して倒す。肉が落ちた。たまたまだろうな。牙を折ってから倒したら肉が必ず落ちる。そんな情報ならすでに探索者中に出回っていてもおかしくない。


 だとすると、どうすればいいのか。ワイルドボアについて調べるなら九層で調べたほうがより安全に効率的にできるな。今後の課題としてメモ帳に残しておこう。肉が狩れば狩るほど手に入る、という情報はギルドにとっても有益になるに違いない。


 なにより計算も簡単だ。スライムみたいに査定でてんやわんやする可能性もグッと低いしな。負担増にはなるだろうがギルドの赤字を解消する手段として悪くないだろう。


 さて、改めて三本目の木へ向かう。木にはダーククロウは止まっていない。頭の上を旋回しているダーククロウも居ない。後はワイルドボアだけ相手してればいい。気が凄く楽だ。なにせ上を見上げて首が痛くならない。


 鼻歌交じりにワイルドボアを一匹ずつ仕留めて六層への階段へたどり着く。さぁ中盤戦ラストだ。さすがに六層は気を抜くとワイルドボアが複数まとめて襲ってくる可能性があるからな。順番を考えながら戦わないといけない。文月さんが居れば安全に狩れるが今は一人だからな。安全策を取っていこう。



作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 家族の連絡みたいなやり取りだ。 「来るとき大根買ってきて」(笑)
[気になる点] この作品、鍛冶方面はまだそんなに発達してない? ダンジョンドロップ素材を入れて鍛えた武器防具とか?
2022/12/12 11:28 退会済み
管理
[一言] もうダーククロウが安眠枕用素材として見られてなくて草。 飛ばれる前に全羽撃ち落とせば問題無いんやw
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