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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三章:日進月歩

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146:通常勤務 3/4 休憩と四層狩り



 七層のシェルターへ着いた。敷き布団が無いな。誰かが使っているんだろうか。注意書きの紙皿もセットで何処かへ行っている。誰かが気持ちよくなっていると考えよう。


 椅子を出すと冷えたコーラをとりだし、飲み干す。血糖値の上がる音と、食道を通る冷えた感覚が俺の気分を鎮静化させてくれる。


 午後〇時。昼食にはいい時間だ。バッグから保管庫経由でカルボナーラを取り出すと、どうするかを考えながら食事を開始する。まずどう切り出すかだ。どうせサプライズになるのだから、話し始めをどうするかが問題だろう。


 ふー……さて、使い道を考えるか。探索者専門雑誌「探索・オブ・ジ・イヤー」の相場を再確認する。売ればそのまま三千万円ほどになるらしい。三千万円か……決して安い値段ではない。だが、その希少性ゆえそのまま売却してしまうのも及び腰になる。


 これはパーティーの戦力拡充に貢献してくれるのではないか。探索を取るか、それとも金をとるか。探索者にとってはより深い探索の為の装備集めのための収入集め、という一面も有る。それにドロップ数に人数制限があるわけではないので、金を貯めればいつか手に入る物でもある。


 しかし、それがいつになるかは解らない。下手をすると数か月先になるだろう。そして、今の手持ちの現金でこれが買えるかと言うと非常に厳しいところだ。納税用のお金を取り除いても、支払える金額ではない。


 それが今手元にある。これはどうするべきか。やはり、覚えてしまうほうが先を見据えると効率的であると考える。正直金額的な損失とは考えない。むしろ狩りの効率が上がる分、有用なスキルであると考えられる、なにせ三千万円ポンと出せる額のものなのだ、それだけの効果はあるんだろう。


 覚えてたとしても使いこなせるようになるには時間がかかるだろう。一層から順番に潜りながら。自分のスタイルを作っていっていかねばならない。


 結構先になりそうだな。まず【水魔法】で何が出来るかを調べなければいけない。探索・オブ・ジ・イヤーにも今月のスキル情報 みたいな感じでスキルの紹介紙面があったが、今月は【水魔法】ではなかった。


 俺が事前に調べた範囲では、水を生み出すことが出来ることは知っている。戦闘に応用すると、ウォーターカッターみたいに水を圧縮するイメージで打ち出して使用することが出来る。また、水の膜を張ることで相手の勢いをそぐこともできる。そのほかにはどのようなものに応用できるのか。


 今後どうしていくかの話を始めて、その流れで「実はこんなもんをドロップしてしまったんだが」と言う流れに持ち込むか。それが良さそうだな。


 大手を振って遠距離攻撃し放題になることは俺にとってメリットは結構ある。ダーククロウも落とし放題になるだろうし、ジャイアントアントが後ろから酸を吐きだそうとしているときでもシールドを張ることが出来るだろう。


 スキルを覚えてもらったとして、どのくらいで使いこなせるようになるかも課題だ。俺も今の使いこなし用に持っていくにはそれなりに試行錯誤があった。


 オーブが二つ出て、二人で覚えて同時に訓練を始めるのが一番やりやすいんだが希少レアにそれを求めるのは無茶と言う話だ。……【水魔法】か。


 文月さんに覚えてもらうのが最善手だ。公にはしづらいものの、俺にはもう保管庫スキルがある。これで遠距離攻撃も出来るし、手数としては十分なものだ。


 文月さんを納得させてこれを覚えてもらうほうが戦力になる可能性が高いという事だ。二人とも遠距離攻撃が出来たほうが手数はさらに増える事になる。


 多分滅茶苦茶焦って、最初は断ると思うんだよね。どうやって納得させるかが問題だな。俺が個人で狩りしてる間にドロップしたものを譲ってもらってどういう反応を示すのか。多分断ろうとするだろうけど、どうやって説得しようかな。


 さて、時間的猶予は八十日ぐらいある。急ぐ必要も無いから今はこれだけ考えておけばいいだろう。食事も終わったし、休憩もした。あと七時間ぐらいは出入り口まで余裕がある。実際の狩り時間は三時間ってところか。


 今日の収入は既に三千万と後は誤差みたいなものだな。一気に高額納税者だ。もっとも、こいつは使う予定なので収入には入らないから誤差のほうがいくらになるかだけ考えよう。税務署はその誤差を突いてついてくるから、一円単位でしっかりしてないといけないな。


 再び狩りの準備をして七層を出る。四層まで真っ直ぐ戻って四層で狩りをしよう。六層にはまだモンスターはそれほどリポップしておらず、相変わらず六層側から見て三本目の木にはダーククロウが止まっていない。カラス避けでも設置されているのだろうか。いやそれならスライムが溶かしてしまっているか。


 とにかくモンスターが居ないうちに六層を速足で移動してしまおう。この際儲けは無視だ。儲けるのは四層に上がってからで十分だ。フラフラ移動しながら緩々と狩るよりも、集中して密度の高い狩りしたほうが緊張感も時給もいい。


 ワイルドボアも精々四、五匹程度しか現れなかった。さすがに七層タッチダッシュでは六層ではリポップに時間がかかるようだ。そもそもここは密度が低い、じっくり狩るには向かない場所だ。短時間高密度のモンスター狩りを楽しむ場所だ。


 二本目の木にはダーククロウが順調に集まりつつあった。とりあえず周りを確認して全部撃ち落とす。さすがに二個目のスキルオーブドロップという訳にはいかなかったが、魔結晶は羽数に対して多めに落ちた。ちょっと美味しい。


 一本目の木までに六頭ほどのワイルドボアを退治し、そのまま急ぎ六層を脱出する。ダーククロウはこの際無視だ。そのまま五層も走り抜けてしまって四層で密度の高い狩りを狙うのだ。


 五層は行きと変わらず数匹のワイルドボアが見える程度だ。これもちょっとずつ近寄る間に処理していけばいいだろう。


 道中のダーククロウは無視、メインミッションは終わった。後は調子に乗らないように集中して狩りを続けることにする。


 五層をダッシュする。走って狩って、二十分で四層側階段にたどりつくことができた。結構短縮できたかな。たしか【火魔法】を拾った時の記録は一層まで全力ダッシュして一時間半ぐらいだったか。


 とりあえず階段を上がり、四層に入ったところで一息つくためにコーラを飲む。さぁこっからが稼ぎ時間だ。血糖値とテンションが徐々に上がり始める。


 耳を澄ます。四層に他の探索者は一名。独り占めという訳には行かないが、相手側の取り分も残しておかないとな。


 地図を見て人が居ない側の通路をインプットしていく。よし、大体頭に入ったな。さて、三時間は集中して戦えそうだ。自分のペースでやりますかっと。


 若干の早足で通路を巡ると、早速ソードゴブリン付きの五名の団体様とであった。こんにちは、死ね!


 相手が戦闘態勢に入る前にこちらから斬り込む。ソードゴブリンは剣を振りかぶる前にこちらの攻撃に対処できずそのまま消滅する。


 間髪入れずに次に近いゴブリンに仕掛ける。こちらの動きの速さに対応できなかったのか、ゴブリンは何もできずにそのまま黒い粒子へ還った。


 残り三匹。同様の速さで攻撃を仕掛けていく。さすがにまずいと感じたのか、ゴブリンたちは焦ってこちらに向き直るが、ゴブリンが向いた方向にもう俺は居ない。更に後ろを取って頭から下まで一直線に切り落とす。


 残り二匹。どうやらパニックを起こしたらしく、どっちを向いたらいいか解らなくなっているゴブリンの首を落とす。


 最後。正面から挑んで棍棒を弾きそのまま腹にグラディウスを差し込むと上へねじ上げて終了。


 ほんの四十秒ほどで戦闘は終わった。ドロップはゴブリンの魔結晶が二つ。まずまずの幸先だ。この調子で回っていこう。


 三十分ほど練り歩く。足音でゴブリンを感知できる分、出合い頭にパンを咥えたゴブリンとぶつかる代わりにグラディウスをお見舞いすることが出来る。先手を取れることはまず大事だ。先手を取れればこっちが出来る行動が二つは増える。


 振りかぶって、斬る。つまり先手を取るだけで確実に一匹仕留められる。刺すだけなら一行動で済む。


 つまりこの階層で俺より先に攻撃できる奴は何らかの隠密行動が出来るモンスターじゃないと難しいという事だ。


 ここ四層では常に相手が団体だ。先手を取れることは大きい。相手の攻撃をこっちは嫌と言うほど見てきている。相手のちょっとした動作で次の攻撃が解る。


 その動作の次を予想することでそこでも相手より先手が取れる。つまりここでは団体さん相手でも常に先手を取り続けることが出来る。精神的にもこれは負荷が低くてよろしい。


 さぁ、ゴリゴリと相手の数を削り取っていくぞ。まだまだ時間はある、ここで生活費を稼いで行こう。




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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] パーティーでの財産の扱いによると思いますが、下手したら贈与税が掛かる案件かと。
[一言] 恋人、人生のパートナーフラグかな? 少なくとも大学卒業後も冒険者続けて主人公とパーティー組むことを文月の方が了承しててそのように進路について行動してないと本人が使うのいやがるだろうし、普通の…
[気になる点] もう着いていけない。作者の既定路線にはめすぎてる [一言] 145話楽しませてくれてありがとうございました
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