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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三章:日進月歩

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145/1246

145:通常勤務 2/4 えらいもんがでた

 


 五層の光景はいつも通りだ。どうやら、先に入った人は居ない模様。視界内に見えている木は一本で、そこに行く間にワイルドボアが数匹見えている。これは中華屋に持っていく分が増えるな。


 ワイルドボアはこっちを見つけると早速嬉しそうに突進をかけてくる。今更突進に驚く俺でもない。優しくグラディウスで受け止めて突進の姿勢そのままに黒い粒子に変わっていく。ドロップを拾いながらそれを繰り返す事八回、一本目の木にまでたどり着いた。奥には二本目の木がもう見えている。


 木に止まっているダーククロウは七羽。枕一つ分にはとてもじゃないが足りない。七匹全部の胴体に狙いを定めると、いつもの一斉発射で黒い粒子に還る。魔結晶が出たのは二つかな。


 枕用の羽根は百二十グラムほどになった。まだまだ足りないな。早速二本目の木へ向かおうじゃないか。道中にはワイルドボアが六匹ほど見えている。二本目の木に行くまでにきちんとお肉に変わってもらおう。


 前後に人が来る様子はない。ここには風が吹かないので、ステータスブーストして耳を澄ませて聞こえる足音はワイルドボア以外は人しかないのだ。その音すらしない。身動きが取れない探索者が居ない限り、今この時点で耳に聞こえる範囲には誰も居ない事になる。安心してスキルを使ったりできるな。


 お肉を補充しつつ二本目の木にたどりつく。足音はまだ増えない。二本目の木には四匹止まっていた。とっとと羽根と魔結晶に変わってもらうと、ドロップ品を拾い三本目の木に行く。目に見える範囲にモンスターは居ない。


 これは次は楽できるな。とっととミッションを終わらせて四層へ戻りたい。受け身の戦闘は一人だと気を張って疲れる。


 視界も一人分しか確保できないのでモンスターリポップが真後ろで行われると対応に遅れが生じる可能性が出てくる。そうなると、いくら俺でも真後ろから体当たりされたら怪我するかもしれない。それはできるだけ避けたい。


 気分は長丁場のだるまさんがころんだ。時々後ろを振り返ってリポップを確認する。だるまさんがころんだ。……だるまさんがころんだ。……だるまさんがころんだ。 あ、リポップだ!


 リポップしたワイルドボアに颯爽と近寄ると仕掛けられる前に仕留めてしまう。


 よし、これでしばらくは大丈夫だろう。三本目の木を経由して六層の階段へ向かう。道中には今のところ何もないので、このままテクテク歩くだけで済むだろう。……だるまさんがころんだ。


 と、何もない草陰に動きがある事に気づいた。ワイルドボアかな……そっと近寄って確認してみる。すると、一匹のスライムがぽよんと飛び出してきた。


 居るとは言われているものの、サバンナエリアでスライム見かけたのはこれが初めてかもしれない。半透明なせいか、サバンナエリアのスライムは風景と同化していて見分けがつかないからだ。俺も良く目を凝らさなければきっと見逃していただろう。


 これは記念すべき初めての五層のスライムだ。思わず拝んだ。スライムはぽよんぽよんと俺を無視して何処かへ行こうとしている。何処へ行こうというのだね。


 俺は祈りを込めてスライムを潮干狩りした。スライムは黒い粒子に還った。ドロップは何もない。何も残さなかったが、俺の心に満足心を残してくれた。この出会いは大切に記憶の奥底に仕舞っておこう。


 そして無事六層への階段にたどり着いた。早速階段を降りる。六層でもスライムに出会えるといいな。


 六層の様子はいつもと変わらなかった。ワイルドボアが複数疾走したり草の臭いをかいだりしている。人の気配はない。見えている木には葉が茂っている。よし、これで目標の羽根は集められるな。


 早速一本目の木へウキウキ気分で近寄る。すると、ウキウキ気分でワイルドボアも集まってくる。ウキウキ気分とウキウキ気分の戦いだ。


 よりウキウキしているほうが勝つ。三分ぐらいの戦闘の後、俺のほうがよりウキウキしていることが証明された。そのままウキウキ気分でドロップの肉と魔結晶を拾い始める。


 さて、一本目の木には十五羽ほどダーククロウが繁っていた。十五羽なら一回で仕留められるな。もはや定番になったバードショット弾で目標を定めて一気に打ち放ち、すべてのダーククロウを撃ち落とす。もうおれダーククロウの羽根を集める業者になっても良いんじゃないか?


 三百グラムほどの羽根と四つの魔結晶を手に入れ、早速二本目の木に向かう。二本目の木はいつもどおり、一本目の木より繁っている。これで確実に羽根を集めきることが出来るだろう。


 黙々と歩きながら突進してくるワイルドボアを一回ずつ丁寧に受け止め、その度にグラディウスを刺してはドロップが出たら拾う、を繰り返していく。


 ワイルドボアが来たら受け止め、来たら受け止め、来たら受け止め。肉が出る、魔結晶が出る、革が出る。テンポよくいい調子でドロップをまき散らしてくれるため、今日の査定が楽しみだ。


 都合十二匹ぐらいを処理し、二本目の木にやってくる。今日の本番メインミッション、ダーククロウの踊り食いだ。


 周りを見渡して誰も居ないことを確認する。その後冷静に何匹いるかを丁寧に数えていく。五十超えたらさすがに厳しいが、三十八匹止まっていた。


 数えられるという事は全部貫けるという事だ。三十八羽分のイメージを持つと、全弾発射した。三十八羽中三十五羽にヒット。残り三羽は空に飛び立った。飛び立った分はとりあえず置いといて残りの三十五羽分のドロップを拾うべく木に向かいながら、上空からフンが来るかどうか警戒する。


 ちょうど一羽攻撃しに近寄ってきた。相手の軌道を読んでそこにグラディウスを置いておく。ダーククロウは自ら刃に刺さっていき無事黒い粒子に還った。


 都合三十六羽分のドロップをまとめて収納すると、残り二羽に気を張る。空中を狙ってバードショットを再び放つ。一羽は落とせた。残り一羽、しぶといカラスだな。


 最後の一匹を仕留めるのに一分かかった。なかなか降りてこない上にこっちの攻撃を再三避けられるという苦戦を強いられたが、無事に処理できたので良しとしよう。


 さて、さっきのドロップを確認……


 ……


 ……


 スキルオーブ(水魔法) x 一


 ……


 ……あれ?


 どうやらさっきの三十五羽の中にドロップしたダーククロウが居たらしい。それにしても【水魔法】か。烏の行水ってか。


 いずれにしても出たものはしょうがない。とりあえず保管庫に仕舞いっぱなしにしておこう。


 さて……頭を冷やすためにこのまま七層で一服していくか。


 とりあえず使い道を考える時間が必要だ。出来るだけ冷静に考えられるようにするためには七層の安全地帯で行うほうが良いと思う。三本目の木にダーククロウが止まっていないことを確認すると、そのまま七層への階段へ向かい始めた。


 道中のワイルドボアをぼーっとした頭で対応しつつ、七層に着いた。お泊まりセットは保管庫に突っ込みっぱなしだ。急いで保管庫からバッグに取り出すと、七層のシェルターへ向かう。


 このスキル、どう使うかな。

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― 新着の感想 ―
[一言] 細かい指摘で申し訳ないのですが、イノシシか鳥の区別が付けにくかったので鳥の数え方を匹ではなく羽にしてほしいです。
[一言] また売っちゃうのかな?
[良い点] これぞエンジョイ勢よ
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