表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第一章:四十代から入れるダンジョン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/1237

14:初めての同業者

ダンジョンで潮干狩りを

Renta!等いろいろなサイトで発売中です。是非とも続刊のためにもご購入のほうよろしくお願いします。


 たどり着いた先は二層の階段を下りてすぐのところだった。三匹のグレイウルフと対峙している大学生ぐらいの女性を見つける。

 そういえば、グレイウルフに会うの初めてだな。初めまして、安村です。


「あの、手伝ってもらっていいですか!ちょっと厳しくて!!」

「わかりました、手伝います!」


 手伝いますといった後に俺は気づいた。今日は俺バール持ってきてない!

 仕方なく万能熊手を両手に装備した俺はグレイウルフの内一匹と対峙する。


「ほれワンちゃんこっちだ」


 タタタッとグレイウルフが駆け寄ってくる。爪からくるか、牙からくるか?

 グレイウルフの……グレイウルフAの右前足がこちらへ向かってくるのを察知した俺は左へと回避しようとする。が、少し遅かったのか、ツナギの襟首を軽く引っ掻かれることになった。


 しかし、すれ違いざまにグレイウルフAの首筋に万能熊手を掻き入れることができた。グレイウルフAはクビから出血しているが、致命傷ではないだろう。万能熊手では得物が短すぎた。


「手伝ってもらってなんですけどあなた得物は!?」

「これです、万能熊手」

「ダンジョン舐めてません?」

「一層しか回らない予定だったんですが、正直舐めてるとは思います、すいません」


 謝りつつももう一度グレイウルフAと向かい合う。リーチの差は埋められない。なら相手が噛みついてくるスキを狙って眉間に万能熊手をねじ込んでみるか。

 相手の動きに完全に対応できてはいないけど、俺はそれなりに冷静だったと思う。


 グレイウルフAを正面に構える。グレイウルフAはこちらへまた素早く駆け寄ってくる。噛みつき来い、噛みつき来い……来た!


 噛みつくために飛び上がってきたグレイウルフAの軌道を読んで俺は万能熊手を振りかぶる。当たった!グレイウルフAの顔を引っ掻いた万能熊手はそのまま相手の眉間に食い込んだ。

 グレイウルフAは体勢を崩して倒れこむ。

 俺はもう片手に持っていた万能熊手を利き手に持ち替えると、さっき引っ掻いた首筋に向かって思いっきり突き刺した。うまく急所を狙えたかな。


 グレイウルフAが黒い粒子になっていくのを確認した俺は、残りの二匹に目を向けた。

 グレイウルフBとCは助けを呼んだ彼女と絶賛戦闘中だった。

 交互に攻撃を仕掛けるBとCを槍を使って上手く往なしながら、徐々にダメージを蓄積させていってるようだった。片方こっちに来ないかな。よし、ここはひとつ……


「ワン!」


 俺は吠えた。BとCの足が一瞬止まる。彼女も一瞬止まる。いや君も反応してどうすんのさ。

 その間に俺はCに対峙し、彼女はBだけを相手取ることになる。これで一対一だ。


 もう一度さっきの戦い方をやってみよう。爪で来たら左右に避けて首筋を。噛みつきに来たらスウェーバックして眉間を。


 対峙したまま動かない俺とC。すると、Cに槍が突き刺さる。どうやら考えてる間にBは彼女にやられてしまったようだ。


 ABC三匹が無事黒い粒子に還ったことを確認する。ドロップは無かったようだ。


「大丈夫でしたか?」


 彼女にそう尋ねられる。


「えぇ、首筋をやられましたが皮一枚持っていかれずに済みました」

「それは良かったです。助けを呼んでおいてケガさせちゃったら悪いですから」

「そちらはケガされてたりしますか?」

「少し擦り傷切り傷がある程度で済みました。助かりました」

「お互い被害が少なくて良かったですね」


 結構余裕そうに見えたんだけど、俺本当に必要だったのかな?


「二匹相手に上手く戦ってたように見えましたけど、私の助け必要でしたか?」

「最初は六匹に囲まれていたので、さすがに一人ではちょっと厳しくて……」

「失礼ですがお仲間は?」

「ソロで潜ってたんです、二層ぐらいなら一人でも大丈夫かなって」


 バツの悪そうに彼女は言う。


「そうでしたか。なんにせよ力になれてよかったです」

「あの……質問しても?」

「なんでしょう?」

「熊手でここへ何しに?」

「スライム退治ならこの装備で十分だと思いまして。やっぱりバールとか持ってたほうが安全ですか?」

「スライムを熊手で倒すんですか……はぁ」


 なんかすごく呆れられてる。


「中々これでもイケるもんですよ」


 と、腕をまくってできる男を演出して見せる。


「ま、まぁ人それぞれ戦い方はあるんですね、少し勉強になりました」

「いいえ勉強だなんてそんな。私まだ潜り始めて三日ぐらいですので」

「あぁ、それでそんなナメたそ……軽装で」


 今ナメた装備って言いそうになったね?


「私はこのまま帰ろうと思うんですがあなたはどうされますか?」

「私も帰ろうと思います。さすがに疲れたので」


 結果的に二人で出口を目指すことになった。

 途中現れたスライムは俺が処理することになった。


「潮干狩り……?」


 彼女がそう呟くのを聞き逃さなかった。言われてみればそうである。


作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
狼の群れが襲ってくる階層で、ソロ探索は自殺行為じゃね。
大学生くらいの女性1人でも進める2階層が目の前に有るのに、何故かスライムを殲滅する事に拘る主人公…サイコパスな御趣味をお持ちですね? でも、この流れだと主人公は2階層へ行くのか? 遂に伝説の神器(バー…
ここでタイトル回収か〜 熱いぜ w
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ