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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三十章:新年

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1375:七十三層 2

 七十三層を迷う。構造自体は一層から四層とあまり変わらないような感じだ。ちょっと広いところにはマグマゴーレムがいて、細い道や道中にはフレイムサラマンダーが居るのがこのマップの特徴らしい。比較的フレイムサラマンダーが多いので戦闘では苦労しないのがありがたいところ。


 やはり、七十二層のモンスターを一撃で倒せるようになったのはちょっと強くなり過ぎていたのかもしれない。


「楽過ぎてちょっと拍子抜けですね。強くなり過ぎましたか」

「まあ、苦戦して戦うよりはよっぽどマシかな。この暑さで厳しい戦闘を強いられないだけ楽な道行が出来るということで」


 しばらく歩くが、結構入り組んでいる。地図を作りながらなので今のところ迷ってはいないが、目印っぽいものが少ないのできっちり部屋の形や道筋、まだ歩いていない道の方向などを記録していく。


「どうですか、なんか勘とかでこの辺にありそうとか思いつきそうですか」


 先を少し歩きながら警戒している芽生さんから声がかかる。


「流石にそういうものは感じ取れないかな。一層から四層のマップと見比べてみても……うん、同じような感じの部分はないし、今のところ新しいマップでしかないな。残念ながら参考になりそうな情報はなさそうだよ」


 おかげで地図作りが楽しくて仕方がない。芽生さんにある程度戦闘を任せているおかげで地図作りに集中できるのもなおいい。マグマゴーレムも芽生さんでも難なく倒せることが分かっているので今日は一日地図作りマンとしての活動をしていく予定になるはず。芽生さんも自分の討伐仕事に集中できると互いの仕事に集中できるのが良い感じにマッチしている。


「これ、階層進んだら数が出てくるんですよね。そうなった場合は洋一さんにもしっかり戦ってもらいますからそのつもりで」

「おう、今のところは戦闘頼んだ。バッチリ録画もしてるから芽生さんの雄姿をしっかりと刻み付けているぞ」

「なんかそれはそれで照れますが、ちゃんとモンスターのドロップも報告できますし、撮影兼マップ係は頑張ってくださいね」


 芽生さんからドロップ品を受け取りつつ、ちゃんとお仕事をしている。勿論カメラの陰でドロップ品は収納している訳だが、ここの魔結晶は七十二層よりもやや大きい。正直、モンスターの強さに比べればもうちょっと小さくても良いような気はしないでもない。


 ただ、階層が深い分だけ強いモンスター、という認識で言えば本来こいつらも強いモンスターであるはずなんだろう。実感がわかないのと、芽生さんとの相性が良すぎる、後は俺が雷魔法を鍛え過ぎたというこの三点のおかげでただ歩きながら地図を作るだけで済んでいるところもあるんだろうな。


「ちょっとここらで出来るだけ外側を歩くような意識をしてみようか。階層自体の広さを知りたくなってきた。階層が広い場合階段もそれだけ遠くなるからな。まずは全体マップを作ってそこの中でどの辺に今いるのか、どの辺に上がり階段があるのか、辺りを調査したいな」

「なるほど。ここまでずっと適当に回ってきましたが、ここで路線を変えますか」

「右手の法則という奴で行こう。迷路は常に右側を歩いていればゴールに必ずたどり着けるって奴だ。方角は方位磁石がちゃんと機能してくれているから問題ない。後はマップの広さを把握すれば、おおよそ階段の位置も特定しやすいはずだ」


 本来なら最初からやるのがセオリーなのだろうが、ここからはひたすら右側、つまり東西南北で言う東側に向かって歩き続けるプランを選択した。南東方向に階段があったらアウトだが、そこまで焦って探索をする場面でもない。ここはゆっくり地図を広げていって階層全体を把握するのが先だ。


 もし階層の広さが十分以上に広かった場合、かなりの移動を強いられることになるだろうが、一層から四層程度だった場合、今日中に次への階段は見つかりそうな算段をつけることができる。その為にもまずはマップの端っこがどの辺にあるかを把握する必要があるな。


 てくてくシュパッ、てくてくシュパッとテンポよく進んでいくおかげでマップの東の端っこらしい行き止まりまではたどり着いた。後は地図通りに書き込みつつ、壁際を歩きながら順番に巡っていくとするか。


 ここより南に階段があった場合は一周回っただけ丸損になるが、次回の探索の時に階段が近くにあると判別しやすいのでその時はその時でラッキーだと考えておこう。


 今のところフレイムサラマンダーは芽生さんが、マグマゴーレムが出た場合は俺が雷切を伸ばしてそれぞれ倒している。お互い得意な所を活かして活動しているので不満も出ない。しいて言うなら金にならない、その一言に尽きるわけだが。


「あ、ポーション出ましたよポーション。これもお高い若返りの奴なんですかねえ」

「今在庫がないから、ポーションとだけ出たらその可能性が高いな。まさかこの短期間でポーションのグレードが変化する可能性は低いからそうだとは思うが」


 保管庫に入れるが、相変わらずポーション扱いである。精々七十三層で苦戦しているうちに沢山出して、後から財布を潤してもらうことにしよう。


 しかし、マップの広さに対してモンスター密度が薄い。もうちょっとモンスターでごった返してくれてもいいんだが、最初の階層はこんなもんかな。もしかしたら予想よりもマップが狭いのかもしれないし、そのへんは北の端っこが確認されるあたりで改めて地図を見返して判断することにしよう。


 十五分ほど戦闘しながら進んだところでどうやら北の端っこに到着したらしい。これは一周一時間、という感じかな。左右に長かったらその計算は崩れることになるが、標準的な正方形をイメージするとそのぐらいの広さ、ということになる。七十三層はあまり広くはないのかもしれないな。


「さて、こっからは西行きだ。ぐるっと回って全体の広さが解ってから内部調査に乗り出そう」

「壁際にあるとわかりやすいんですが、そうもいかないかもしれませんね」

「まあ、まだ最初のマップだ。全ての階段が壁にある森マップみたいな形ならともかくとして、全体の広さは把握しておきたい。最初のマップでもあるし、モンスターの数を考えても充分ゆっくり回っても良いぐらいのペースだし、今日は時間がたっぷりとある。あと四時間ぐらいは迷っても問題なさそうだからな」

「後四時間……帰りの茂君はいいんですか? 」

「進捗による。今日の目的は階段探しだからな。階段が見つかったら最短ルートを見つけてそれを記録。記録出来た時間によっては早く帰るか、もしくは七十四層を覗いて帰るかの二択になる。どっちにせよ探索行程にそれほど大きく差は出ないし、探索に時間がかかる時は茂君をパスしても仕方がないからな。前もそうだったろ」


 茂君は時間的な余裕がある時に刈る。時間が後を押していたり、明らかに時間がかかるような場面や探索行程が計画されている場合は飛ばす。そういう芽生さんとの約束でやっているので、今日の午後の分はパスしても何ら問題ない。


 西向きに歩みを進める。外周は何となくつかめてきた。やはり、暑いだけの洞窟マップ、というイメージは払しょくしきれない。階段からちらりと見えたマグマもおそらく熱はあるんだろうが、というかその熱で温められてこのマップの気温を上げているんじゃないかとも思われる。


 しかし、実際のマグマだったとしたら熱がこもるはずのこの気温を維持できずにもっと高い気温を維持しているはずなので、やはりイミテーションマグマなんじゃないかな、と考えるのが今のところの感想だ。


 実際にそれを確認するには【採掘】のスキルで外壁を破壊して、マグマが流出してくるかどうかを確認する以外に術はないだろう。そんなこと絶対やりたくないが。


「【採掘】で壁を掘ったらマグマが出てきたりするんですかねえ」


 物騒な相棒も同じことを考えていた。そんなことはあってはならないとは思いつつも、ちゃんと反論はしておく。


「それでマグマがあふれ出して行き道も帰り道もなくなったら困るの自分達だし、その時はミルコが直しに来るだろうから大丈夫だと思うぞ」

「それもそうですねえ。でも、壁に触って火傷をしない辺りを考えるとマグマは見た目用なのかもしれません」


 芽生さんが手を岩に触れさせ始めた。俺が怖くてできないことをやってのける芽生さんであった。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 西の端まで戦闘を行いながら来た。フレイムサラマンダーの革は五枚ほど溜まった。これは今日一日の分をまとめて新しいドロップ品として納品するのが良さそうだ。そして、東西の幅も大体わかった。どうやらほんのりとだけ、歩行時間にして五分ほどの間、東西のほうが長いらしい。まあ誤差だな。このまま南へ行って東へ行って、階段に戻って一周。


 一時間半ぐらい使うことになったが、およそのマップの広さの見当がついた。おそらくボス部屋のある七十五層はまた別のギミックが仕込んであるかもしれないが、それ以外の階層では指針になるべき広さがわかっただけでも十分な利益と言えるだろう。


「これで広さは大体わかった感じですか」

「そうなる。後は南だが、階段がある可能性を考えてちゃんと巡っていこうと思う。それに全体の広ささえわかってしまえば後はしらみつぶしに巡って階段を探すだけになるからかなり楽になると思う」


 そういうと再びてくてくシュパッとフレイムサラマンダーとマグマゴーレムをきちんと倒しながら道を作っていく。ああ、マップ作りは楽しいなあ。


 そのまま南へも向かい階段まで戻った、やはり外壁に必ず階段があるわけではない、ということがハッキリした。


「さて、どっちにいくかねえ。よし、こっちだ。俺がこっちだと決めたからには……」

「私が選ぶこっちのほうが階段に近い、ですよね」


 いつものアレを存分に発揮すると、マップの内側を埋め始める。丹念に端っこから……というわけではなく、何となくこの辺に階段がありそう、という予測を立てつつ、途中でしっかり水分補給とウォッシュと乾燥をかけて、万全な状態での探索だ。多分これ以上ないぐらいのバッファを設けての探索なので、汗で張り付いて動きにくいとか汗かき過ぎて脳が参ってしまいそう、ということもできるだけすくなくしている。


 とはいえ、低温サウナ状態なのは変わらないのでこの階層に長時間居続けることはあまりよろしくないのだろうということも自覚している。何とも、面倒くさい階層ではある。


 しかし、今回は運がいいのか作りがいいのか。階段から二十分ぐらいのところで階段を見つけてしまった。おそらく戦闘に手間取っていたなら三十分かかるだろうという距離なので、普段いかにサボらずに探索をしているかの重要さが垣間見えた。


 とりあえず階段で一休憩。経口補水液の補充と塩タブレットの追加、ウォッシュに乾燥をかけて、しっかりと体のコンディションを良いほうに持っていく。


「後一時間ぐらいは七十四層で色々出来るかな。そっちの方が儲けも多そうだし、ポーションももう一本ぐらい出そうだ。そっちに賭けたほうがいいよね? 」

「そうですねえ。モンスターの数から考えてドロップ率もそう悪くないようですし、階層を降りたほうがもうちょっと運動のし甲斐があるというか、頭の使いようがあるというか。全力で探索してる感じがして悪くないと思います」


 芽生さんの同意も得られたことだし、外周部分の七十三層の地図もでき上がっている。階段の最短経路は帰り道に探すか、もしくは今の道を最短経路だと断定してしまうとして、それで一時間余裕があるのだから、次回は二時間半ぐらい七十四層以降の探索に時間を割けることになる。


 順調と言えば順調。しいて言うなら収入が少ないことだが、ここまで来ると収入の九割ほどがポーションに依存する体制になってくるので収入のバリエーションとしては中々に厳しいライン。


 ポーションの一斉値下げなんかが始まったら目も当てられなくなるが、最高級ポーションがそうそう取れないことと、取れる場所が限られていること、更に取れる探索者が実質いないことを除けばこのポーションの値段が下がることは、効能から考えても難しいと言えるだろう。


 細かいことは値段が下がり始めてから考えればいいか。今は目の前の階層を潜り広げていくことに意識を集中させるほうが良いな。それに、考え事で頭を一杯にしているとその内のぼせそうなぐらいの気温だ、この気温に慣れる方法も考えないといけない。さて、どうすればいいんだろうな。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
> 苦労しない」 空気になるウパオ > 拍子抜け」 つまり通常運転のおじパ > なんか勘とかで」 劣悪な環境によりスキップを要求する芽生さん > 楽しくて仕方がない」 困難を快楽に変えるおじさん…
推定若返りのポーションが出たから金額が固まればそっちで大いに稼げそうですが既存のポーションはじきに値下がりはするんだろなー
以下、安村さんへのツッコミです。 [ここからはひたすら右側、つまり東西南北で言う東側に向かって歩き続けるプラン] ん?なんの事を言ってるのかな。右手の法則使うってくだりどこ行ったのです? [まず全体…
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