1371:確実な収入と一年の成果
ダンジョンで潮干狩りを
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食休みを終えて再び七十一層へ。階段を下り切るといつものサメを相手にしながら胃袋も程よくこなれてきたことを感じる。よし、今日もしっかり稼げそうだ。
グリフォンの相手も問題なく行えているし、たっぷり休日を満喫しただけの体力もメンタルも問題なく、絶好調とまではいかないが好調であることは間違いないらしい。
このまま七十一層をグルグルと回ってひたすら稼ぎに入ろう。今日は新年一発目とはいえ、気楽に稼いで帰るという選択肢を取る理由はない。ガッツリ回ってガッツリ稼いで、そしていつもの時間に帰る。出社時間と退社時間だけは確実に守るがそれ以外は自分の実力で収入が決まる職場だ。
ならば新年とはいえ手を抜かず、いつも通りかいつも以上に踏ん張りを入れて稼いで帰るほうが納得もできるし家に帰ってからの風呂も気持ちいいものになる。
風呂と言えば、最近サウナ行ってないな。天然温泉かけ流しは旅行で行ったばかりだが、サウナでじっくりと体を温めるのも悪くない。そういえば最近知ったんだが、サウナを出てすぐ水風呂に入るのはあまりよろしくないらしい。今後はサウナでは汗をかいて、サウナを出て掛け湯をした後低温風呂にじっくり入ってほんわかすることにしよう。早速今日行こうかな?
年始からサウナ、悪い話じゃないな。仕事が終わったら営業してるかを確認して、営業していたら早速入ることにしよう。
おっと、グリフォンからポーションが落ちたぞ。一富士二鷹三茄子の内、鷹はゲットしたって感じだな。新年から縁起がいいということでこれはちゃんと保管庫に保管しておいて追加で必要になった場合にと大事にしておこう。多分、これだけ難航しているということはポーションの消費も行われているはずだ。
初めはラットから実験して、順番に他の実験動物に効果を試しておいて、最終的に人間で治験する、ということになるんだろう。本当にあの三本で足りたのだろうか。今手持ちは六本あるのでそれも提供したほうが良いんだろうか。
一度ギルマスと相談する必要があるだろうが、ギルマスのほうから連絡をつけてくる可能性もあるからこっちから事前に根回しをしておく必要はそこまで感じられないか。何にせよ、こちらとしては来月に控えている価格改定でついでに七十二層までのドロップ品が全部公開されることを願っているところだ。
早いところ決まらないもんかねえと思うが、ここまで遅れたなら二月に期待をするところだな。それまで保管庫に溜めつつ眠っていてもらおう。保管庫がいっぱいで早く査定を受けないと満タンになってしまうわけでもない。
さて、次のグリフォンを探すか。でもグリフォンのドロップが出た以上、午後五本目のキュアポーションは見込みは薄くなったかな? まあ素早く動いてみればわかることだ、今日もあきらめずに金になることをしていこう。
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グリフォンのポーション抜きにして五本目のキュアポーションを無事に手に入れた。これで一般のご家庭なら一生生活して行けるぐらいの金額が溜まったはず。時間もそろそろいい頃合いなので家に帰ろうと思う。今日は何の弁当を食べようかな……家に帰っても温めるだけで弁当が選べて食べられる、というのは相当いい環境だと言える。
今後も定期的にデパ地下に通って色んな弁当を買いあさるという行事をやっていこうかな。どうせ夕食は経費で落ちないんだから必要なものを必要な分だけ毎日コンビニに求めに行くよりは健康に良いような気もするし、今年の目標はデパ地下グルメを堪能する、という所にしておこうか。
七十層に上がって車でエレベーターまで行き、車を収納するとリヤカーを持ち直してエレベーターへ入り、七層のボタンをポチッとな。後はエレベーターの中でいつもの仕分けをする。今日は……豊作だな! 新年から景気のいいことになった。
キュアポーションが午前午後合計して七本、グリフォンのポーションも一本、それに加えて普段通りの狩りで出てきたフカヒレと魔結晶。これだけ積みこめばそらもう大漁ということになる。
七層に到着して目隠しの後、帰りの茂君をきっちり刈り込むと、新年初仕事は無事に終わったということになる。やはり年初から仕事の調子がいいと何事にもいい方向に行く気がしてたまらない気持ちになる。
一層にエレベーターで戻ってリヤカーを引きながら受付へ。退ダン手続きを済ませるとそのままリヤカーごと査定カウンターへ向かい、いつもの要領でお願いする。
「あけましておめでとうございます。今年も頑張ってますか」
査定嬢に初狩りどうでしたかと進捗を問われる。
「結果は数字で出てくるのでそれによります。一つよろしくお願いしますよ」
「はい、かしこまりました」
いつもの手際の良さで順番に査定を始めて、五分ほどで結果が届く。本日新年一発目のお賃金、四億六千百八十七万六千八百円。 四億後半ときたか。これは新年一発目としてはかなり美味しい金額になったな。
リヤカーを返しに行ってから支払いカウンターへ赴く。いつもの振り込みをお願いするのと、午前中に頼んでいたギルド税納付一覧、つまり去年一年分の俺の稼ぎが書かれたリストがちゃんとできているかの確認だ。出来てなければまた後日受け取りに来る予定にはなっているので、もし今日一日忙しいか、昨日のうちにものすごい行列ができていて間に合わなかった場合はまた別だが。
振り込みを依頼するついでに、納付表について確認を取る。
「安村さんのは……あぁ、出来てますね。今日午前中にお願いされた分については出来てるんですけど、流石に皆さん一年で学ばれたようで、結構な数の方が納付表の提示のお願いに来てまして、その方々の分はまだできてないんですよ」
ほう、動きが速いな。これから税理士探しという人もいるだろうし中々に大変そうだ。
「はい、これが昨年一年の……随分稼がれましたね」
「他の人には内緒ね」
「はい、個人情報は口外無用なので。これで彼女がいなければ全てを差し出してでも安村さんについていこうとする女性はいるでしょうからね」
支払い嬢はにっこりと笑っているが、目に少し本気の光を宿している。あまり深くは詮索しないでおこう。
「それと、ギルマスからこちらに来て欲しいとの連絡がありました、今日はギルドの締め番なのでまだ居ると思います。出来れば早めに行ってあげてください」
ふむ、ギルマスからの呼び出しか。ならば今のうちに済ませてしまうのが好都合だな。
「早速行くことにしますよ。書類ありがとうね」
支払い嬢がぺこりと頭を下げてくれたのを見送ると、早速二階へ。いつものドアをノック三回。返事を確認せずに中に入っていく。
「どうも、あけましておめでとうございます」
「やあ安村さん、あけましておめでとう。新年早々すまないね呼び出して」
「いえ、まあ仕事なので。で、本日はどのような話で? 」
今回は何の話も聞いていないので突然呼び出された形だ。何の話題について話すかもサッパリ思い浮かばない。
「今回はね、預かってるポーションの話なんだ」
「預かってるポーションというと、グリフォンからだけドロップされるアレですか」
「今のところ一番ドロップ品の中で価値があるんじゃないか、と考えているそのポーションだ。実は実験途中でポーションが枯渇しちゃってね。治験の段階まで進めないことが分かってきたんだよ」
つまり預かっていたポーションを使い切ったってことだろう。そこまで調べないとわからないポーションだということなんだろうな。
「現状までで解ってることとかはありますか? あのポーションについて」
「それについては今のところ極秘事項だが、口伝として伝わってきている範囲で教えることはできる。勿論、安村さんが文月君以外に話すのもご法度だ。それはいいかな? 」
「まあ、芽生さんだけ一緒に取りに来てて知らされないってのは不公平だとは思いますからそこは良いですが、そんなにヤバイ効能なんですか? 」
そこまで話すということは、傷を治すとか病気を癒すとかそういう効能のポーションではないんだろうな。
「うん、実はね……どうやら寿命を延ばす効果があるような現象がマウス実験で確認された」
「ほう、寿命をですか……つまり持病が治るとか疾病の進捗が遅くなったり疾病そのものが回復する、というような効果ではなく、寿命が直接延びるのか、それとも今まで生きた時間を取り戻すか、というところですか」
「どうやら効果的には後者のほうらしいけどね。いわゆる細胞の老化が開始するのを遅らせるか、細胞の活性化を見込むのかまではともかく、短くなったテロメアが伸びる、といった効果も認められたそうだ。これを人体で実験する為にはサンプルが欲しいとの事なのだけれど、今の手持ち何本あるの? 」
どうせ溜めておいても金にはならないんだ、ここで手持ちを大放出してしまって後でまとめて金で支払ってもらうほうが効率的だろうな。
「今手持ちに六本あります。これをお預けするので効果的に使ってください。どうせ手元に残しておいても金になりませんし、欲しければ自分で取りに行けますから」
「自分で取りに行けるってのは強みだねえ。承諾した。ポーションのほうをよろしく頼むよ」
保管庫からさっき取れたてほやほやの物を含めた六本のポーションをギルマスに託す。
「これでざっと十億ですからね。うっかり飲んで自分が若返った、なんてことはしないようにお願いしますよ」
「そんな目で見られてもそんなことはしないよ。私は素敵に年齢を重ねていく方に楽しみを覚えるたちだからね。それよりも安村さんこそ、適度に飲んだら文月君と良い感じの寿命年齢になってそっちのほうこそ効果的なんじゃないのかい? 」
そういう考え方もあるか。でも、俺の答えは決まっている。
「その辺は彼女たちと相談しながらですかね。枯れ専とまでは言いませんが、適度に年齢を取ってる男性のほうが好みらしいですから。飲み過ぎて若返りすぎてストライクゾーンを外すような真似はしないつもりですよ」
「それは何よりだ。そういえば、新階層はいつごろできそうかね? まだ七十一層あたりをフラフラしてるんだろう? 」
新年最初の進捗報告もここで終えてしまうか。
「ミルコからは間もなくだ、という話を聞いてますからね。開放次第乗り込む予定では居ますが、それまではちょこちょことお小遣いを溜めていく方針ですよ」
「億単位のお金のやり取りがお小遣いか。探索者もえらく稼げる職業になったもんだ。一昨年はスライムを大量に駆除して私から表彰状貰ってた人物が今では小西ダンジョンの顔だからね。二年でこうも変わるものかね」
「そうですねえ。すでに懐かしさすら感じますよ。では、私はこの辺で。ポーションの輸送のほう、よろしくお願いしますね」
「間違いなく研究機関に渡るように手配しておくよ。後、グリフォンの素材に関してだけど、価格改定の時にまとめて発表される予定だ。期待をそう裏切らない金額にはなると思うので楽しみにしててね」
最後のギルマスの言葉に手を振って対応しながら部屋を出る。やはり二月か。それまでにしっかりと溜めておくことにしよう。
さて、バスの時間は……丁度だな。バスの中で夕飯何を食べるか考えながら帰る。ふとマンション建設予定地の横を通っているが、流石にまだ松の内、仕事をしている様子は見られず、まだ基礎が出来ている段階の地面がわずかに見えた程度だった。ここが新しいハウスになるかもしれないのか。楽しみだな。
夕飯は……エビフライが食べたいな。エビフライが入った弁当があればそれを、無ければエビ以外での揚げ物で一つ食べることにしよう。後は……しっかり体を動かした分、やはりたんぱく質の補給は大切だな。サラダチキンをコンビニで買い足して、温めてそれも栄養にしていこう。
今年は初日から忙しいな。今年の価格改定と自分の確定申告、新階層のオープン、新ダンジョンの建設、それから芽生さんの就職。どこでどう何が動くかはさっぱりわからないが、どれに対しても自分ができることをするだけだな。
さて、家に帰ったら腹ごしらえからだ。今日も一杯働いた。明日は……やることもないし、明日も潜るか。布団の山本へ納品するダーククロウはいつも枯渇状況らしいので、在庫を蓄えて持っておく分には問題がないはず。前みたいに二往復して三十キログラム納品できるだけの蓄えはある。
去年一年分の取引金額をまとめた書類を受け取りに行く都合上、どうしても一回は行く必要があるのでその分は確保されている。スノーオウルはそろそろ一回狩りに行ったほうがいいかもしれないが、これは芽生さんがいない日ににでも考えて取りに行くことにしよう。彼女も車の免許の取得のほうが大事だろうし、時間は、充分にある。
作者からのお願い
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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。
後毎度の誤字修正、感謝しております。





