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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第三十章:新年

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1365:年末の一晩

ここからまた新章です、よろしくお願いします。

 旅行から帰ってきて一日空けて、今年最後の探索に行って来た。流石の芽生さんも旅行疲れが出ているのか、それともお土産を配りに回っているかで都合が悪かったらしく、ダンジョンには来ない様子だった。


 一人でのダンジョンも慣れてきたが、やはり相棒が居ないと寂しいのは事実で、少しばかり収入のほうもそれに見合ったものだった。それでも一日四億近く稼いでいることには違いはないのでやはり七十一層は美味しい階層である。日々【雷魔法】もキレを増してきているので、七重化への道は遠いだろうけど何とか頑張っているというところだ。


 今日も一人寂しくダンジョン活動を終わり、そして今日で今年のダンジョン探索も終わり。まだ二日ほど年が明けるまで余裕はあるが、年末年始ぐらいゆっくりどこにもいかず休んでいても誰も文句は言わないだろう。しっかり過ぎるほど稼いでるしな。


 俺は別に探索をしなければ死ぬマグロのような存在ではない。そうではない、と思いたいが実際は最低でも二日に一回はダンジョンに潜り、何かしらの利益を得て帰ってきているのは間違いない。そこに文句のつけようは誰もないだろうが、他の職業についている人からすれば羨ましいところに居るんだろうな、というのは想像がつく。


 帰りのバスで今年一年いくら稼いだんだろう? というのを推測しつつ、自宅最寄りのコンビニで夕食を買い求めてから帰宅。


 家の前まで帰ってくると家の中に明かりが。早速芽生さんが来ているのかな。だとしたらちょっと嬉しいところだ。


「ただいまー」

「おかえりー」


 声をかけると奥から声が返ってきた。芽生さんの声だ。どうやら夜には一仕事終えたらしく、早速半同棲の準備を始める模様。なんだか通い妻の雰囲気がして悪くない。出来れば通わず妻になってくれると……と切り出すのはまだ時期尚早と言えるだろう。


「おかえりなさい洋一さん」


 普段着の芽生さんが出迎えてくれる。あぁ、こういうのいいよな。なんか憧れていた、自分には存在しなかった人生の一ページって感じがする。


「ただいま芽生さん」

「お夕飯どうします? 今から作ります? それとももう食べてきちゃいましたか? 」


 いきなりの訪問だったので流石に夕飯の準備まではしてなかったらしい。夕方に来るって知ってたら食材のいくつかを家に残しておいて、芽生さん任せで一食作る、というのも悪くなかったかもしれんな。


「一応買っては来たけど一人分だけだな。今から買いに走るか」

「だったら、何か作りますのでそれも含めて二人で食べましょう。何が良いですかねえ」


 食材を適当にドサドサと出すと、夕食にと買ってきたカレーとサラダチキンは今は出さないでおく。


「この通り食材は色々あるから何かピンときたものでもお手軽メニューでもいいよ」

「そうですねえ……あまり時間がかかるのもお腹が空いちゃいますし、お手軽メニューで行きますか」


 芽生さんは麻婆春雨を手に取ると、ササっと作り始めた。


「ご飯は炊く? 」

「一合あればいいと思います。洋一さんは春雨とご飯は行ける派ですか」

「基本的におかずであればなんでも行ける派だな。お好み焼きでもタコ焼きでも」

「なら安心しました。ちゃちゃっと作ってしまうのでその間に買ってきた夕飯の温めでもしててください」


 芽生さんがフライパン片手に厨房へ向かっている間に、炊飯器をセットし直し米を一合半炊き足す。明らかにご飯のほうが出来が遅くなるだろうが、ご飯抜きで麻婆春雨とカレーで食いつなぐのは少々無理がある。早めに麻婆春雨が出来上がっても保管庫の中で美味しさを維持してもらいつつ、米が炊けるのを待とうと思う。


 それ以外に何か作るものはあるかな……サラダぐらいか。芽生さんの横で生野菜にササっと手を加えて、謎ドレッシングをかけると一品サラダの出来上がりだ。これでもうちょっと食卓に彩りが加えられるだろう。


 テーブルにサラダを並べてカレーを温め直し、保管庫へ放り込んでおく。カレーの臭いと麻婆春雨が喧嘩しないようにと、冷めて美味しくなくなるのを防ぐためだ。


 しばらくして、芽生さんからいい匂いが……いや、芽生さんのフライパンからいい匂いが立ち込め始めた。芽生さんはいつもいい匂いがするのでそこは問題ではない。


 出来上がった麻婆春雨を保管庫に放り込み、後はご飯が炊けるのを待つ。その間に、家の案内をしておく。今後家で色々自由にやってもらうために、風呂の沸かし方とか何処の電気が何処のスイッチか、等を案内しているうちにご飯が炊きあがった。早炊き機能はちゃんと壊れずに動くようだ。


 ご飯が炊きあがる音で二人ともお腹が空いたのか、同時に腹が鳴る。


「続きは食べてからにしますか」

「そうだな。今日もしっかり仕事したからお腹が空いているんだ」


 ご飯を二人分盛ると、保管庫にしまい込んでいた夕食のおかずを並べ、そしてカレーライスも並べる。サラダチキンは協議の結果、細かくしてサラダに散らせることでたんぱく質を高めることになった。


「では、いただきます」

「いただきます」


 早速ご飯を食べ始める。手作りの愛情のこもった料理と呼ぶにはちょっと遠い料理ではあるが、俺のために作ってくれたという点では同じ。味も食べ慣れたものだが問題ない。大事なのは作ってくれたということだな。自分の手間で料理をしなくていいというところが一番に美味しいところであるのは芽生さんには伝えないでおこう。


「美味しい」

「ありがとう」


 ちゃんと作ってくれて美味しいことは言葉にして伝えるのが大事って何かで読んだ。なのできちんと作ってくれてありがとうを伝えておく。ここであまりオーバーにリアクションをすると、ガチで作った料理の時に褒めるための言葉の語彙が失われてしまうのでほどほどにしておこう。


 ご飯に対してカレーが足りないが、ご飯と麻婆春雨でご飯を消費しつつ、カレーはカレーで食べる。カレー麻婆という食べ物もあったな、というのをふと思い出したが、カレーに春雨は果たして合う食べ物なのだろうか。今度レシピを調べて試しに作ってみよう。


「しかし、カレー好きですねえ洋一さんは」

「毎食カレーでも良いぐらいには好きだな。コンビニのカレーでもいいし専門店のカレーでもいいしインドカレーでもいい。カレーというジャンルについて全てにおいて好きだな」

「では、私もカレーの腕前を磨いておくのはありですね」

「おう、楽しみにしてる」


 芽生さんもカレーについて研究を始めるらしい。カレーの世界は奥深いぞ。ただ、カレー沼にはまらないように忠告だけはしておかないとな。


「ただ、勘違いしないで欲しいのはスパイスから作るとかそういう方向性で作るほうが美味しいとか嬉しいとかじゃないからな。ルゥは市販の物でいいんだ。その中で好みの味が見つけられると良いな、というところだ」

「なるほど、そこはお手軽で良いんですね。後は残りの材料や工程にどれだけ創意工夫と愛情を注げるか、というあたりでいいってことでしょうか」

「そうなるな。食材にしろちょっとした隠し味にしろ、そういう部分で期待するよ」


 芽生さんはなるほど……といいながらカレーを食べつつ、包み紙の成分表を見ている。流石にそこを見ても解らないとは思うんだけどな。俺でもそこを見て何が入っているかどうかは解らんぞ。


 二人で食事を片付けた後、試しにと風呂を沸かしてもらって風呂に入る。今日は一人で入りたいらしいのでそれぞれ別で、だ。俺の後から入ってオッサン臭いから水入れ替えるとか言い出さないかは心配だな。


 普通に風呂から上がって芽生さんとバトンタッチ。芽生さんが風呂に入り始める。今日はお風呂でイチャイチャする気分ではなかったらしい。同棲するとはいえほどほどの一人の時間というのは大切だ。


 芽生さんだって風呂でゆっくり考え事をする時間も必要だろうし俺の都合だけで一方的に一緒に入ろうというわけにもいかない。結婚とは言わず、同棲に大事なのはお互いの一人の時間を確保する機会があることと、お互い譲れない物事が出た時にどこまで妥協できるか、というのはどこかで読んだ。


 芽生さんが出てくるまで暇、というわけではないが、いつも通りスレッド見回りと熊本第二ダンジョンでの目撃情報を適当に探しておくか。


 芽生さんが出てきて髪を拭きながら、こちらが何を調べているか横からチラ見。


「先日の件ですか? 何か書き込みがないかとか」

「そんなところ。目撃されてるなら十四層近辺かなーとは思ってたけど、一応目撃はされてたみたいだな。スーツ姿の二人組がリヤカー引きながら回ってたけどこの辺の探索者じゃないよな? 旅行者か? みたいな書き込みぐらいだ。これと言って注目されることはなかったらしいな」

「それはそれで良かったのか悪かったのか判断に困りますね」

「まあ、目立ちたくてスーツで潜ったわけでもないしな。逆にダンジョンマスターと会ってる部分を目撃されてるわけでもないし、一日二日の探索だけで目を付けられて追いかけまわされる面倒もないようだ」


 ふむ、誰かの配信に写り込んだりもしているようだが、深くは問い詰められたりはしてないようだ。これで一安心か。さて、今日はともかくとしてその前までに何か事件が起きていたらその対応は年明け以降になる所だっただろうが、その予想は運よく外れていてくれたようだ。


 そういえば今日はミルコは出てこなかったな。流石に次の階層は完成していなかったらしい。年末までには完成してるといいなあとは思っていたが、予想は裏切られるものらしい。


「七十三層まだかなあ。そろそろ七十一層に通い続けるのも飽きてきた」

「洋一さんが飽きるってことは相当通いましたね? 」

「まあ、今月前半はフルに潜ってたからな。それだけで……四十億ぐらいにはなってるんじゃないかな」

「ずいぶん稼ぎましたねえ。良かったですねえ今年の内に税理士さん決めておいて。今年からは消費税の納付も始まるでしょうし、それらを一括して管理してくれる佐藤税理士には百万円でも安い気がします」

「その分ちゃんと書類は溜めてあるし毎回チェックしてるけどな。一応年が明けたら念のための確認ということで、布団屋のほうは一年分を纏めた書類をもらえないかという話をしてある。それさえあれば……後は爺さんに納品したエンペラか。その三種類ぐらいしか今年は取引をしてないから後はギルドで出してもらう年明けの取引記録表だな。それを出してもらえれば一通りの仕事は終わりになるかな。個人事業主になった分書類仕事が増えるかと思ったが、余計な出費がない分だけその分収入は多めになりそうかな」

「私は今年はギルドの収支表貰ったらそれで終わりですね。出費のほうは先日の旅行の経費がどこまで通用するかだけですね。流石に最終日の旅館は経費に入れると目を付けられそうなので私費ということにしておきますが、移動の金額は経費で落とせるはずですからその分はしっかりつけておくことにします」


 忘れていた。旅行の分の経費を計算してなかった。急いで調べて宿泊時の領収書と一緒にメモに書いて……これでよし。後はこのメモも一緒に佐藤税理士に渡して今度こそ終了だな。


「芽生さんのおかげで経費が一つ増えたよ、ありがとう」

「いけませんねえ。旅行から帰ったらまずは経費を精算するようにしないとうっかりで忘れてしまいますよ」

「経費と言えば、ダンジョン通いのためにマンションを買ったらそれも経費になるんだろうか」

「登記のために必要な経費や保険なんかも経費に出来ますね。後、土地や家屋の評価は不動産購入扱いになるのでまた面倒くさい話になりますね。基本的にですが、鉄筋造りの場合は二%という所になりますが」

「減価償却し終える前に寿命が来そうだということは解った。けちる訳じゃないが、来年買うとしても徐々に経費として回収して行けるならありだな。よし、来年は事務所と称してあのマンションを買おう。これが来年の目標だな」


 こっちの家はどうしようかな……たまには様子を見に来るのは良いとして、寝具は持ち歩くとしても家具類は新しく買い足す必要があるな。いや、その前にそもそも抽選に当たらなきゃ意味はないんだ。


「まずはマンションの抽選がいつ行われるかと、説明会がいつ行われるかだな。それが確認できてからでも遅くはないし、今すぐに準備する必要はないんだ。今はゆっくり年末年始を過ごすとするか」


 そういうとノートパソコンを閉じて寝る準備を始める。


「どうする? 一緒に寝る? 」

「何もしないなら、ですかね。一緒に寝るのに毎回だと疲れますし、私も明日は自宅に用事があるので」

「じゃあ、そういうことで湯たんぽを確保だ」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
> ダンジョンには来ない」 べ、別にちょっと気まずいからって訳じゃないんだからねっ > それに見合った」 高収入だった(ソロ最効率おじさん) > 【雷魔法】もキレを増し」 仕上がってるおじさん …
麻婆カレーはあるけど麻婆春雨カレーは聞いたことないなあ 春雨カレーも聞いたことないし果たして相性は如何に
( ◠‿◠ )
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