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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十八章:新ダンジョンラッシュ

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1320:日常に変化が欲しい

 今日も気持ちのいい、だがちょっと寒い朝だ。布団のぬくもりが恋しくて仕事をする気がなくなっていくが、今日は芽生さんと潜る日なのでそんな甘えは許されない。若者の貴重な時間を中年のお布団気持ちいいで奪ってはいけない。よし、起きよう。


 朝食を作って今日はバターだけを塗って食べる。目玉焼きはちょっと焼き過ぎて黄身が固まったが、毎回スレスレのところを見極めるのは中々にスリリングで楽しい。新しい遊びを覚えたぞ。食べ物で遊ぶなとはよくいうものの、目玉焼きの焼き方で遊ぶなとは言われて育たなかったし、これもまた訓練になってヨシ。


 バターだけのトーストをどんどん食べていく。早く新しいバターのパッケージを開けるために今のバターは率先して消費していかなければならない。その為にもバターを多めにぬりぬりしておく。全面に綺麗にバターを塗り終えると、二枚目を口にする。うむ……やはりバタートーストは中々の発明だな。アメリカ人にお礼を言わなくてはならない。


 朝食を終えたところでいつもの昼食作成タイム。炊飯器のスイッチを入れてから何を作るか考える。パスタは最近食べたからな。シチューも先日作ったし、カレー、サンドイッチも同様だ。ごった煮はカレーやシチューと被るからこれもなし。サンドイッチみたいなものだから揚げ物サンドもパスだ。


 ここは最近作ってない回鍋肉と行くか。いつもの名古屋味噌で甘く仕上げていくことにしよう。さて、何の肉で作るかな。やはりボア肉かな。最近ボア肉が多いが、そろそろボア肉もたまには査定に出して数を減らさないと、茂君の往復のついでで日々溜まっていく一方だ。


 今日は回鍋肉にネギも追加しよう。キャベツとピーマンとネギ。そしてバラ肉みたいにしたボア肉。今日はちょっと辛めでいこう。たまにはちょっと豆板醤を足し込んで辛みを入れてもいいだろう。調味料を先に混ぜ込んでおいて、油でバラ肉風に切り刻んだボア肉をしっかり炒めて色が変わったらネギ、キャベツ、ピーマンの順で熱していく。しんなりしてきたら混ぜておいた調味料を投入して、よく混ぜ合わせて出来上がり。


 温かい間に保管庫に放り込んで、後は炊飯器で米が炊けるのを待つ。何か付け合わせを考える必要があるかな……もやしとツナ缶があるな。ごま油で香りづけして中華風出汁でまとめてチョッと火を通して一品としてお出しするか。よし、そうしよう。あまり時間もかからないし一品としては充分なものだし、あまったら夕飯のおつまみにちょうどいいしな。唐辛子を一振りして辛みのスパイスを加えておけば食欲も増すだろう。


 炊飯器から音がしたのでちゃんと炊きあげられているかどうかを確認。サクッサクっと米を切って今日も美味しいであろう米を確認。一口味見。うむ、甘味と雑味があって美味しい。良い感じだ。


 食事を丸ごと保管庫に放り込むと時間までニュースを確認。天気予報では今週から徐々に寒くなってくるらしい。服装を変えるつもりはないし、ダンジョンの中では気温は一定だ。行き帰りの寒暖差だけ注意しておけばいいだろう。


 柄、ヨシ! そういえばこいつ結構長持ちするな。

 圧切、ヨシ! 今回は出番ないかも!

 ヘルメット、ヨシ!

 スーツ、ヨシ!

 安全靴、ヨシ!

 手袋、ヨシ!

 籠手、ヨシ!

 飯の準備、ヨシ!

 嗜好品、ナシ! 今日はあげない日!

 車、ヨシ! ガソリンはまだしばらく入れなくていいはず。

 レーキ、ヨシ! 五十六層いかないからこいつは次から確認から外そう。

 保管庫の中身……ヨシ!

 その他いろいろ、ヨシ!


 指さし確認は大事である。食料と武器と車が揃ってれば後は大体何とかなる。今日こそ掴んでみせるぞ、雷魔法の次への手がかり。今日必ず来るとは限らないが、そろそろ来てくれてもいいはずだ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 いつも通りのダイヤの電車とバスに乗り、ダンジョンに到着。芽生さんは外で待つには少し寒かったのか、休憩室で待っていた。


「そろそろスーツじゃ寒いか? 」

「寒いかどうかで言うなら確かに寒さは来ますが、この寒さにも慣れなきゃいけないところでしょうし、ダンジョンに入ったら外よりはマシなのは確かですからこのちょっとの間は我慢ですね。慣れていかないといけません。それに、七十層近辺も同じぐらいな気温ですが、中に入れば体も動かすので程よく温まってくれると思います」


 準備が整ったところで入ダンからいつもの茂君刈り取りからの七十層倍速エレベーター。残りの二十分で今日の予定と昼食の内容、それから全力巡りで何時間ほど魔力が持つようになったかを報告。


「その調子だと頑張れば今年中には息切れせずに全力戦闘を続けられそうですね。今年中に新しいダンジョンの階層が増えるかどうかはわかりませんが、その先でもきっと役に立つはずでしょうから強くなっておくに越したことはないですね」

「五十五層で散々やったことをこっちでもやるわけか。爪や肉の査定が始まるのと次の階層が出来るの、どっちが先だろうな」


 爪も肉も結構な数が溜まってきている。ドバッと放出して身軽になりたいところだが、ギルドから査定開始のお知らせが来るまでにどれだけ貯まるのかが楽しみだな。一体いくらで取引に応じてくれるんだろう。肉はここでしか手に入らない希少な食品としての需要があるのは確か。ワイバーン肉同様高止まりする可能性はある。


 しかし肉はともかくとして爪はどうなんだろうな。爪はダンジョニウムを加工するための素材としては申し分ないと言える。実際にダンジョニウム合金がどのぐらいの粘性や耐久性、硬度を誇っているのかは専門家に聞かなければならいないが、少なくとも爪に対して歯が立たなかったことを考えれば、ダンジョニウム製品を加工するための先端工具としての需要はあるんじゃないかな、とは考えている。


 ダンジョニウムのほうが鉄よりも確実に強い金属であることは確かなのだから、既存の物よりも確実な加工ができるようになるならば需要はいろんな工場にあるな。


「うむ……とりあえず時間待ちにして先延ばしにする作業が多すぎるな。保管庫の中のグリフォン素材といい、七十三層から先といい、雷魔法の成長といい、今は我慢の時かな? 」

「まあ、我慢してる間にしっかり稼いでお金をためておきましょう。どこかで贅沢に使う機会が現れるかもしれません」


 芽生さんも今後忙しくなるのかどうなるのかは解らない所なので、二人で潜れる時にはできるだけ潜っておいて、今後の資金を貯めておくのも大事だろう。その為には一頑張りしないとな。


 会話が止まったので月刊探索ライフを二人で読む。主に料理欄が充実している月刊探索ライフは困った時の食事メニューのお供みたいなところがある。


「このパエリアは美味しそうですね。洋一さん作れますか? 」

「パエリアか……作ったことはないはずだな。一回チャレンジするのもいいかもしれないな」


 料理欄のチキントマトパエリアに目が行って気になったので、付箋を貼ってマーキングしておく。レシピはここにあるので作る際の材料さえあればまた芽生さんと探索する際に是非振る舞うとしよう。サラダは付けるとして、一品料理として出せるのは手軽で良いかもしれないな。


 七十層に到着していつもの車召喚からの七十一層側へ移動。


「そういえば、ガソリンは大丈夫なんですか? 保管庫に入りっぱなしのおかげで忘れそうになりそうですけど」

「一回は補充したからな。それに、今のところはあと三百キロメートルぐらいは走れるらしいからしばらくは心配しなくていいかな。布団屋に納品に行くときはこの車で行っているし、地上でもそれなりに乗ってるからその辺のチェックは……うん、車検もまだいいらしい」


 車のあちこちをチェックするのは基本的に車検の間だけらしいんだが、今はまだどこも問題なさそうだから大丈夫だろう。日本人は車のメンテを車検に任せ過ぎという話もあるらしいが、その車検でしばらくの間持たせてくれるのも充分凄いとは思うところだ。一年点検まで時間があるし、その間はしっかり使い倒していこう。


 七十一層への階段で車を停めて収納。さて今日もいつも通り、最大火力で七十一層を午前中目一杯戦っていこう。


 七十一層に下りてすぐのサメをきっちり倒して戦闘開始。移動速度はチョイ早め。芽生さんがいる分火力的には余裕がある。一人で二匹を相手しなくていいこともあり、かなり気楽に精一杯の努力をぶち込み続けている。


「一人で巡った時は三時間ぐらいで最初の眩暈が来たんだが、芽生さんがいてくれれば半分で済むから気楽でいいな」

「そうですよ、有能な相棒にもっと頼っていいんですからね。私個人としても、多重化が進んでいくとどこまでの火力が出せるのか、どこまでのことができるようになるか興味がありますし、おそらく先例のないスキル強化具合でしょうから楽しみですねえ」


 グリフォンは確実に俺が相手に、その他はお互い手が空いていて近いほうから攻撃する、というやり方でどんどんとモンスターを倒していく。それが実を結んだのか、芽生さんの身体強化がまた一段階上がったようだった。


「おっ、おっ、これはきましたね。また一つ強くなった気がします」

「それは何より。俺もそろそろ来てもおかしくないんだけどな。やはりある程度強さのあるモンスターに挑まないと頭打ちになるってことなんだろうか」

「そうかもしれませんが、それは最初からダンジョンに通ったことのない人物を綿密に調べて、身体強化を使い始めた時からカウントを始めて徐々に明らかになっていく気がします。今の私たちで測定できるものはそう多くはないかと」

「精々上限がどこまで上がるのか、ぐらいか。やはり何回あがってきたのか数えておくべきだったな」

「過ぎたことは仕方ありません。それよりも次へ行きましょう。素早く回れるほど収入が増えるんですからきっちり稼いで今日も帰るんです」


 まるで芽生さんに背中を押されるように歩く速度が上がる。一匹三十五万、運が良ければ一匹五千八百万。ポーションが出るかどうかで大きく変わる収入だが、その一匹を逃すかどうかで一日の収入が一人頭二千万円強変わってくるなら、目を皿にしてモンスターを探してどんどん倒していくのも気持ちはわかる。それだけで一般人の年収の数倍を稼ぎきってしまえるのが今の俺たちなのだ。


 以前ほど目を血走らせるかのような形相で戦っている芽生さんではなくなったが、やはりポーションが出るかどうかは気になるらしく、倒すたびにモンスターの消えた後を確認して魔結晶だけのサメを見ると落胆している。


 俺は俺で、雷魔法の威力と持久力を上げていくことに専念しているため、ドロップのほうにはあまり目が行っていない。出たら収納することしか考えていない。今は何がドロップするかよりも、いつになったら俺の【雷魔法】は一定のラインを越えて六重化できるのか、というほうに頭がいきがちだ。


 しかし、二人の目的は違うが向かう方向性は同じであり、より多くのモンスターを倒すこと。その為にはこのマップを出来るだけ急いで動き回ってモンスターを探し、数多く仕留めることに終始一貫する。


 向かってくるはすべてが俺達の経験値であり、収入であり、そして日課である。索敵に引っかかったものから順番に倒してはドロップを拾い、一喜一憂する芽生さんと、さっきの雷撃はちょっと捻りが足りなかったかな……等と考える俺。グリフォンも中々にしぶといが、まだ確殺というほどには至れていないのが現状だ。でも、もう少しで何かが見つかりそうな気がしてきたのも確か。


 そして、午前中の探索が終わって七十層に帰ってくる。帰ってくるときのサメももちろん一発で消し飛ばしての御帰還だ。残念ながら午前中には雷魔法が強く出来るよ! という予兆みたいなものは現れなかった。今少し、時間が足りないか火力が足りないか。


 しかし、精一杯の努力のおかげでグリフォン撃破率は八割まで上昇させることが出来ている。これが確殺できるようになればそのタイミングが訪れるのか、それとももっと別な形で突然現れるのかは解らない。もっと詳しく話を聞いておくべきだったかな。


 さて、何はともあれ昼食だ。机を展開すると、回鍋肉ともやしとツナのナムル風の何かをお出しして、炊飯器からご飯をよそって出す。


「じゃあいただきますね。今日は回鍋肉ですか」

「おあがりよ。ここは寒いからちょっとだけ辛みを足しておいた」

「暖かくなるものなら歓迎するところですね。ちょっと肌寒い季節になって来ましたし、これからはお鍋の季節になるんでしょうか」

「鍋の素は色々入ってるから鍋週間なんてこともできなくはない。ただ具材のチョイスに頭を使いそうだな」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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エレベーターの待ち時間あるんだからコート着てエレベーターで保管庫に入れれば良くない? 出すの忘れても下層のテントに忘れてきたって言えば誤魔化せるし。 お金あるんだから経済回しましょうよー。 もちろん税…
スーツに合わせられるコートなんか用意してもいいかもですがダンジョン素材で作るか既製品で合わせるか悩みどころですねえ
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