13:初めての共同作業
ダンジョンで潮干狩りを
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グッ、プツッ、コロン、パン。
この四つの音だけが只管に響いていた。俺がスライムをテンポよく処理していく音である。
まず、スライムをグッと掴む。そして万能熊手をプツッとスライムに差し入れ、引き破るとコロンと核が落ちる。そこをパン、と靴で踏む。
一時間ごとの倒した数を記録しながら、俺は完全にスライム処理マシーンになっていった。
「どうして容器に入った物をドロップするのか。魔結晶が体内に見えないのにドロップ品として出てくるのはどういう理屈か。そもそもモンスターとは何なのか」
誰かが応えてくれるわけでもないが、俺は考える。
このダンジョンは意思がある。地球に住まう生物に対して何らかのアクションの一つの形としてダンジョンを生み出したというほうがより正しいのかもしれない。
さらに言えばこのダンジョンを生み出した存在は人間が持つ文学的知見を持つ。ファンタジーとは人間が生み出した創造物の一種であり、この宇宙上にファンタジー世界と酷似した環境が存在する可能性は天文学的確率で存在するのかもしれない。
しかし、そんなファンタジーな世界から来た存在が地球を見つけ出しファンタジーの「種」を埋め込む、という現象は天文学的確率であり、実質存在しないと考えるほうがより自然ではないか。
ならばやはり、ダンジョンの意思というものが存在して何らかの理由や目的をもってダンジョンを発生させたと考えるほうが自然であると思う。
もしそうならば、モンスターを倒しても死体が残らないというご都合主義や、素材をはぎ取るのではなく素材が決まった形でドロップするという事にも説明がつく。むしろ、「ドロップ」というシステム自体の説明をつけるためにはそうでなくてはならないのではないか。
そんなことを考えながらも黙々とスライムを屠る。
丁度三百匹目、この一時間で五十匹目のスライムを屠ったとき、俺の前に眩い光を放つ玉がドロップとして出た。
「なんだこれ、オーブ? もしかしてこれがスキルオーブって奴か?」
スキルオーブというスキルを覚えるためのレアドロップが存在するという話はネットでも見たが、俺の手元に来るとは予想外だ。
何のスキルか確認するべく手に取ろうとすると、頭の中に音声が流れ始めた。
『【保管庫】スキルを習得しますか? Y/N 残り二千八百七十九 』
「なるほど、スキルオーブはドロップした時点で何のスキルかは決まってるんだな」
スキルオーブか……どうするかな。
売るか、使うか……売ったらいくらになんだろ。事前に調べときゃ良かったー。
後で考えるか、とりあえずバッグに入れとこ。さぁカウントの続きだ。
結果、この一時間での処理数は七十四匹だった。ドロップ品はスライムゼリーが二十三個、魔結晶が六個、そして【保管庫】のスキルオーブが一個出た。
◇◆◇◆◇◆◇
その後四時間追加で無心に狩り続けた結果、合計で三百九匹、ドロップ品はスライムゼリーが六十四個、魔結晶が十八個出た。
今日一日の合計は五百五十九匹、ドロップ品はスライムゼリーが百六十五個、魔結晶が五十一個出た。
昨日と査定金額が同じなら、九千四百八十六円かな。
午後、魔結晶はあまり出なかったなぁ。オーブが出た分、運勢の揺り戻しがあったのだろうか。とりあえず一日一万円はコツコツ稼げるという事がわかったので良しとしよう。
人の居ないところだとゆっくり自分のペースで無理なく狩りができることが実地で証明できた。明日は何しようかなぁと考えながら俺は二層への階段付近から入り口まで戻ろうとした。
「すいません誰かいませんか!」
ふいに女性の声が聞こえる。なんだ、援軍要請か?ここ一層だよな?スライムしかいないよな? そう考えながらも俺は声のほうへ駆け足で向かった。
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