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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十七章:閑話休題

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1294:最近の小西ダンジョンの様子

 気持ちのいい朝だ。まだギリギリ寒くはなっていない。冬布団を出すにはまだまだ早いな。今日もお祈りすると布団の空気を入れ替えさせるような感じで干すように布団をかけておくと、今日も元気に朝飯を作り始める。


 昨日の残りのカレーを温めて、焼いたトーストに乗せて食べる。これはこれで美味しい。一応二日目のカレーということにはなるのでより素材の味がカレーに溶け込んでいて二重に美味い。朝からカレー、朝カレー。ご飯ではなくパンだが、これも悪くないぞ。


 キャベツと目玉焼きも陰ながら応援してくれているのできっちり食べきり、今日の朝食のカロリーはそこそこ高いものになった。今日はあんまり動き回る予定の無い日だが、たまにはこうして違うものを食べるのも悪くない。


 さて、昼食は最近もやったがサンドイッチだ。六十五層辺りで【火魔法】の試運転をやりたい。【火魔法】で焼き尽くすなら三鎖緑球菌君もサナダムシも問題なくこなすことはできるだろうという見込みから来る試し狩り。七十層から二つあがって六十八層という手もあるが、あくまで試運転であり本気狩りではないので今回はなしということになっている。


 いつも通りツナと卵と野菜のサンドイッチをそれぞれ作り、もう一品何か欲しいな、というところ。両面にバターを塗って刺身状にした馬肉を並べてもう一品ということにしておこう。これが一番時間がかからなくて楽な方法だ。


 さて、今日は時間をしっかり使っていく予定なのでいつもより早く出るぞ。一時間ほど早い出立になるが、エレベーターで各階層を回ってノートをチェックしていくにはちょうどそのぐらい使うだろう。端数の魔結晶を一気に放出する時は今。


 とはいえ、そろそろエレベーター一階層分以外の残弾を補充することも考えておくべきだろうな。カニうまダッシュでも決めて程よい数を確保しに行くのも考える必要があるだろう。むしろ、早く出た分一時間ほどカニうまダッシュして溜めておくというのも手だな、考えておこう。


 柄、ヨシ!

 圧切、ヨシ!

 ヘルメット、ヨシ!

 スーツ、ヨシ!

 安全靴、ヨシ!

 手袋、ヨシ!

 籠手、ヨシ!

 飯の準備、ヨシ!

 嗜好品、ヨシ!

 車、ヨシ!

 レーキ、ヨシ!

 保管庫の中身……ヨシ!

 その他いろいろ、ヨシ!


 指さし確認は大事である。今日は気楽な半休出勤みたいなもの。稼ぎの効率を考えずのんびり行こうではないか。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 いつもより一時間早くダンジョンに着いたおかげで、朝一で潜る探索者の多さを確認することが出来た。やっぱり、九時出勤に慣れているのは昔から小西ダンジョンに潜ってる一部の探索者だけらしい。結構な数の探索者が入ダンの列を作っている。


 多分だが、イベントの噂を聞きつけて早速潜ってみようと隣のダンジョンや近隣の探索者が少し増えているせいもあるんだろうな。これがトレジャーダンジョンの効果か、とも考えると充分にイベントを行っただけの成果は出ているとも言える。ただ、流石に多いかなとも感じる。


 入ダンの列に並び、俺の順番が来ると受付嬢が俺の顔を見て意外そうな顔をしている。


「今日は随分お早いんですね? 」


 いつもより一時間も早いとそれは何かあるのか? とも考えられるのは当然だろう。


「イベントの様子を見にちょっと各階層回ろうかなと。後はノートとボールペンの補充もありますし」

「なるほど、今日もご安全に」


 あまり深く追及されることなくいつも通りの流れで入ダン手続きを済ませたので、早速自分のリヤカーを装着すると、まずは七層。いつもの茂君をダッシュで刈り取ってくる。いつもより時間が早いのでもしかしたらタイミング悪く誰かが刈り取った後湧き切らないうちに到着する可能性もあったが、今日のところはいつも通り茂ってくれていたので回収、そのまま走って七層に戻る。


 次は……二十一層か。リヤカーをエレベーターに押し込んで二十一層のボタンを押して十分ほど待ったが、まだ到着しない。どうやら乗り降りが混んでいるらしい。停車位置待ちをエレベーターの中で体験するのは初めてだな。それだけ多くの探索者が今二十一層で行われているということなんだろう。


 更に三分ほど待ってようやく俺の出番が来たらしく、久しぶりの二十一層の廃墟の景色を見ることになった。リヤカーをエレベーター脇に一時的に停めると、すぐそこにあるノートを確認。


 ノートにはドロップ情報、スキルオーブ情報のほかに、ここで宝箱見つけた、という報告と内容について書かれているものが有ったのでスマホで撮影しておく。ついでにノートとボールペンの補充も済ませて一通りの情報を仕入れると、次は二十八層だ。


 二十一層から出ていく探索者は少なく、逆に入ってくる探索者のほうが多いように感じられた。Cランクで宝箱を狙うならこの階層をうろつくしかないからな。それも人の手の入っていないところとなると場所は限られてくる。そのあたりで宝箱を探して見つかったら御の字という所だろうが、おそらく宝箱探しをしているよりも狩りに出かけたほうが金銭的効率は高いんじゃないかと考える。


 この階層だと出ても青魔結晶かヒールポーションのランク3あたりだろう。そこまで高い宝箱は出現していないと思うが、もし今後ミルコがこの階層でスキルオーブ出しました、なんて話を作り出すと更に二十一層は混雑しそうな気がしてくる。


 到着した二十八層も中々に混んでいた。ノートを確認する限りだと、結構均等に宝箱はばらまかれているが基本的には地面に設置されていて、木の上にある、というようなケースはないらしい。こっちもパシャパシャとスマホで写真を撮っていくと、ノートとボールペンを補充。二十八層は二十一層よりも消耗が激しいようで、徐々に積み上げられている過去ログノートが交流の頻繁さを物語っていた。


「お、安村さんだ。宝箱探しにきたん? 」


 よく顔を知る、名前は知らないが同業者だと認知できる範囲の知り合いに話しかけられる。


「いやあ、流行ってるかどうかだけ見に来ただけ。後はノートとボールペンの補充と情報収集かな。もし深刻なバグが発生してたらダンジョンマスターに教えてやらないといけないからね」

「それは大変だなあ。とりあえず俺の聞いた範囲で変な所に湧いたりとかはしてないはず。水の中とか木の上とか」

「それは助かる。どっかに湧いてたら削除するなり無理矢理取りに行くなりで対処しなきゃいけないからね。何事もないならそれが何よりだ」


 再びリヤカーを引くと二十八層へ下りてきた探索者と入れ違いで今度は三十五層へ移動する。やはり、そろそろ手持ちの魔結晶の端玉が危ういか。一階層分ずつ下りるなんて滅多にやらないからな。ここらでカニうまダッシュして午前中の仕事を誤魔化していくか。


 三十五層に降り立ったが、ノートとボールペンは補充が必要なほど減っていなかった。まあ、B+ランクがそこら中に湧いて出ている訳ではないので当然でもある。しかし、確実に人は来ているようで前にスノーオウルを狩りに来た時に比べてテントがいくつか増えている。どこで戦っているかまでは判断がつかないが、この近辺で探索をしているパーティーが居るのは間違いないらしい。


 そして、そこそこのスキルオーブのドロップが確認された。【風魔法】と【物理耐性】【索敵】【隠蔽】のドロップ情報が確認されている。【索敵】はワイバーンも落とすんだな、一つ知識を得た。後はスノーベアからも【隠蔽】が出るらしい。両方狙えるのは美味しい所だな。雪原マップの美味しさが一段階上昇したことになる。


 きっちり証拠をスマホに収めたところで四十二層に下りる。今日はいったんここで階層を降りるのはやめにして、一時間ほどカニうまダッシュしていこう。それをエレベーターの燃料の予備にしておくことで潤沢な燃料をご用意しておく事が必要だ。


 四十二層にもいくつか書き込みはあったが、お前らイベントは行かないの? というあおり文章も記されている。どうやら階層を独占したいパーティーが居るらしいな。思わずフフッと笑いが漏れる。リヤカーも一つこの階層に用意されているので、現時刻のパーティー数は少なくとも一つ。ノートもボールペンも潤沢にあるようなので追加は要らないな。


 さて、俺もちょっと軽く運動してくるか。一周一時間ほどして帰ってきて、エレベーター用の燃料を保有しておくのだ。


 細かいことをつつけばエレベーター用の燃料ならバトルゴートやレッドカウでも充分なんじゃないか? とは思うが、あいつらは確定で落とさない。そして、二十一層から先はイベントのおかげで人がごった返している。三十五層近辺もそれなりにB+探索者が居る。なので四十二層で確実に魔結晶がドロップする上、倍速で七層から一層へ移動する分の燃料が期待できるドウラクやリザードマンあたりが時間効率的な意味で探索に最も適している、と考えられるわけだ。


 そんなわけでここからはようやく戦闘のお時間。しっかり稼いで帰るとしよう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 一時間ほどカニうまダッシュをして、魔結晶を百チョイほど手に入れた。誰も居なかったのが一番の幸運だったと言える。リヤカーに拾ったドウラクの身とドウラクミソを並べると、リヤカーを引いてまた四十九層へ。そろそろ到着している探索者が居ても不思議はないが、居ないなら居ないで確認することに意味がある。


 四十九層へ下りると、まだ誰も居なかった。もしかして、みんなボス討伐であくせくして進まない感じなのかな。それはそれで寂しいものが有るが、やはり地図を提供して気軽に下りてきなよ! という風に仕立てる必要があるのだろうか。でもそこまでして無理に下層まで来させる理由もないからな。個人的には花園マップで精一杯迷って楽しんでからここに来てほしい、という気持ちがある。俺の手元に地図があることはみんな分かってるだろうから、どうしても地図が欲しいと嘆願されるまでは出さないでおくか。


 そんなわけでノートとボールペンの補充もせず、新しい書き込みも見られず……という感じだ。古い書き込みはあるのでそれを見てみるが、大体知った内容であり、過去の内容であり、今入手してもどうのというものではない。


 今のところ後発組の到着階層は四十六層あたり、と言った感じか。四十九層まで来れば、後は五十二層で隠蔽なしでの戦闘の洗礼を受けることになるはずだ。結衣さん達も味わったであろう地獄の連続戦闘を楽しんでほしいところ。


 この様子なら五十六層には通う必要は無さそうだな。そのまま飛ばして六十三層へ行こう。そして六十五層へ入って【火魔法】のテストをするのだ。


 何度もリヤカーを出し入れしているおかげで無限に続くような気がしてきたエレベーターの出入りをする。今日の午前はこれで最後だ。落ち着いて燃料を入れると六十三層のボタンを押す。しばらく待って、六十三層に到着。リヤカーは……あるな。ということは結衣さん達は下かな。追いかける形になるかもしれないが気にせず行こう。


 念のためノートを確認すると、結衣さん達が頑張ってスキルオーブを色々と出している様子がうかがえた。どうやら丁寧に全階層でスキルオーブを出して、それを日付ごとに記録してくれているらしい。【火魔法】【水魔法】【土魔法】【物理耐性】【魔法耐性】あたりが見受けられる。これで結衣さん達も粒がそろっているとはいいがたいがちゃんと戦力として一塊の火力に相当する分は出せているようだ。


 さて、俺も後を追いかける形になるが、六十三層で……まずは昼飯かな。もしかしたら結衣さん達も昼食に戻ってくるかもしれないし、そうなったら一緒に六十五層以降で探索、という手もある。ゆっくり机を出してまずは午前中の事務仕事の疲れを癒すか。コーヒーを飲み、そしてサンドイッチを頬張っていると、やはり六十四層方面から歩いてくる集団が居る。高橋さん達なら七十層でやっているはずなので結衣さん達しかいないだろう、五人だし。


 結衣さんもこちらを見つけると手を振ってアピールしてくるので、手を振って返した。


「何、今日は一人でこんなところで。スキルオーブ探しにでも来たの? 」

「いんや、各セーフエリアの見回り。ノートとボールペンが減ってたら補充するついでに、トレジャーイベントのバグチェックかな。今のところミルコに報告するような内容のバグ報告はなくて何よりだよ」

「そう、それならいいんだけど。午後からはお暇……にしては六十三層に居るし、何かのテストでもするのかしら」


 鋭い結衣さん。その通りだよ……というか他に理由もないのにここには俺は居ないか。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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なんでおじさんって生肉喰いたがるんだろう、気持ち悪くならないのかな? 生の馬肉とパンとか俺には無理だ、せめてカツにして食わんと。 ショウガ醤油に漬け込んでおいて食べる前に火魔法で焼くとかの方が美味しい…
> 六十五層辺り」 過去の鬱憤晴らしのためにソロでエレベーターからニ層潜るおじさん > 両面にバターを塗って刺身状にした馬肉」 生臭おじさん > なるほど」 『いつもの奇行ですね』 > 十分ほど…
>>古い書き込みはあるのでそれを見てみるが、大体知った内容であり、過去の内容であり、今入手してもどうのというものではない。 こういうので大事なのは書き込みの内容そのものではなくて、時間経過だったりし…
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