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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十七章:閑話休題

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1287:宝探しイベント開始

 今日もまだ寒くはない。そして一昨日のニンニクの匂いは残っていない。ベストな朝を迎えることが出来た。今後もちょっと家で臭うものを食べる時は注意していこう。


 昨日はスレッドを覗いてROM専に徹したが、どうやら最深層では通信ができる、ということには誰も考えが至っていないようだ。いずれはバレることになるだろうが、それまではこのことは黙っていることにしよう。


 ところで、ダンジョンマスターからの情報伝達は結局誰が行ったことになっているのだろう。まあ最深層に潜っているうちの誰かで俺以外、ということで話はついているようだしそっちに責任は押し付けておこう。迂闊に気が付いてそこをつつかれるとちょっと厳しい話になっただろうが、ここらで一つ小西ダンジョンの最深層では通信も使える、ということを公表しても問題はないんだろうが、もうしばらくは内緒ということで通してもらいたいところだな。


 朝食を食べて昼食を作る時間。今日は……パスタは作った、サンドイッチも作った。丼も作った。鶏肉の照り焼きと行くか。ここは一つグリフォン肉で照り焼きに挑戦しよう。どうやらこっちはワイバーンと違い下処理が必要ではないので普通の手順で作れるのが強みだ。いつもの甘辛タレをさっさと作り上げると、早速片栗粉をまぶして下準備をする。炊飯器もちゃんとセット。


 グリフォン肉は皮がないので余分な鶏脂が出ないのがポイントだ。その分焼く前の油は多めに投入しておく事でしっかりとした焼き目をつけることができる。そして焼き目が付いたら裏返して余計な油をふき取る。両面ともしっかり焼き目が付いたらタレを投入してかけるように中火で煮詰めて、しっかりとグリフォン肉に浸透していくようにタレをかけ続ける。


 軽く焦げ目がつくかもしれない、と言うところでフライパンから上げて、一口大に切りそろえて、キャベツの上に敷く。彩りを考えるなら赤い野菜やミニトマトなんかを添えると良い感じだが、俺一人で食べるので彩りは気にせず、カロリーと栄養だけ考えておけば良い。鶏肉で美味しいんだからグリフォン肉でもきっと美味しいだろう。


 念のため味見をしておく……うむ、これは良い胸肉だ。皮目がないので脂っ気はないが、その分サッパリとしていてするっと胃袋に入ってくる。味も良い。これを昼食にするにはなかなか贅沢だ。これで今日も元気に一日三億を稼ぐことができるだろう。


 今日はいつもの時間に出ることにするか、それとも早めに出ることにするか。小西ダンジョンに着いたらどうなってるんだと俺に確認を……取られても困る所なんだが、わやくちゃにされる可能性を考えると、探索時間を無駄にしなくていい分早めに出てそれから起きるであろう話し合いを乗り越えて、それからいつも通り探索に赴いたほうがいいだろうな。そうとなったら早速お出かけだ。


 柄、ヨシ!

 圧切、ヨシ!

 ヘルメット、ヨシ!

 スーツ、ヨシ!

 安全靴、ヨシ!

 手袋、ヨシ!

 籠手、ヨシ!

 飯の準備、ヨシ!

 嗜好品、ナシ! 補充忘れた!

 車、ヨシ!

 レーキ、ヨシ!

 保管庫の中身……ヨシ!

 その他いろいろ、ヨシ!


 指さし確認は大事である。今日も元気にダンジョン探索だ。ダンジョンについて何かあるかは、そうなった時に考えることにしよう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 小西ダンジョンに着くと、早速探索者の群れに囲まれる。



「安村さん、イベント始まるの知ってる? 」

「安村さん、宝箱ってどこに落ちてるの」

「安村さん、おはよう」

「安村さん、今日もスーツきまってるね」


 やはり、探索者の群れに囲まれてしまった。どうやら俺を待ち受けて少しでもいい情報を得られるようにしたいらしい。


「みんなが考えてることが大体わかるが、俺も昨日の帰りに受付でイベントについて教えてもらった側だから細かい情報はそもそも知らないぞ。知ってるのはこのぺら紙一枚分の内容だけだ。それに俺は潜ってる階層の都合上イベントには参加しないからどこに何がどう落ちてるか、なんて知る由もないぞ」


 一口に説明してしまうと、何だ、やっぱり知らないかーといいつつさっさと輪の中から抜け出す探索者も居れば、それでも何かヒント位解らないかな? と食い下がる探索者も居る。もともと半信半疑だったんだろう、ほとんどはこの説明で帰って行ってくれた。


「おはようございます安村さん」


 ふと離れない探索者の中に田中君を見つける。


「やあ田中君。今日も日勤ご苦労様」

「安村さんも朝っぱらから大人気ですね。その様子だと、やっぱりダンジョンマスターからは何も聞かされていない側ってことですか」

「後で呼び出して色々聞いておくことにするかな。そもそもイベントを開催した目的とか、期限付きなのはなぜか、とか」


 何も知らないふりをして田中君に説明するつもりで他の探索者にも聞こえるように話す。この会話の中で諦めて帰ってくれると嬉しいんだけどな。


「その辺は小西ダンジョンスレッドでも話題になってましたね。……ほら、この辺りです」


 知ってる、寝る前見てたから。


「デバッグ作業の可能性か。ミルコならあり得る話かもしれないな。ちょっと俺のほうでも情報がないかどうか調べて、もし何か有益そうな話があったらギルマスに伝える形にしようかな」

「じゃあ、今安村さんに聞いても」

「残念ながら。俺もちょっと宝探しには興味があるが……俺が行ってもお邪魔だろうし、みんなで楽しんでおいでよ。もしかしたらいいもの手に入るかもしれないぞ? 」


 田中君に暗にさっさと行って来いと背中を押す。田中君は目線でそれを察したらしい。


「そうですね、じゃあ早速突撃してきて何かしら成果を集めてくることにします。僕はこれで失礼しますね」


 ちょっとわざとらしい声を上げながら離れていくことにしてくれるらしい。田中君が離れだすと、他の探索者もこれ以上を俺を囲んでいるよりも宝箱を発見するほうが先なんじゃないかと思いだしたらしく、あわただしく入ダン手続きの列へ戻っていった。


 田中君にはいい宝箱が当たるようにお願いをかけておこう。さて、せっかく早く来たダンジョンだ、早く仕事を済ませて早く動いてしっかりと稼いで帰ることが俺の仕事だ。


 入ダン手続きをして、イベントの紙を昨日貰ったからいいよと受け取らず、そのままリヤカーを引いて七層へ到着。ここまではスムーズ。そしてダッシュで茂君を刈り終えると七層へ戻ってくる。ここもスムーズ。さて、七十層までのそこそこ長い待ち時間で何をしようか悩むところ。


 ミルコは忙しいだろうからこっちには来ないだろうな。ネアレス達も【鑑定】に対する課題で色々と忙しいだろうし、しばらく他のダンジョンマスターは来ないだろうと踏んでいる。国内で踏破させる予定のダンジョンの話も聞こえてこないことだし、完全にぽつんと咳をしても一人。仕方なくクロスワードを開いて七十層に着くまでの時間を潰す。次の買い出しでは百円ショップへ行って新しいのを仕入れるんだったな。覚えてる、ヨシ。


 調子よく三問進めたところで七十層にたどり着いた。体調もいいしお腹もまだ空いてない。午前中はしっかり動けそうだ。今日も三億の男目指して金を稼ぎに走るとしよう。


 六十九層に下りて、索敵を効果的に使用しながらエイとサメに触れ合う。フカヒレも二回ほど査定に送ったが、後三回分ぐらいはまだ残っている。明日は芽生さんとも潜るし、ちゃんと芽生さんにもあがりを渡すことができるな。


 さて、今日の収入はどれぐらいになるのか、ここは午前中に体力をフルに消耗するつもりで駆け足気味に進んでみることにするか。出会う回数が多ければその分だけモンスターとも出会えるし、ポーションだって拾うこともできるはずだ。ポーション一本で五千万円収入が変わってくるんだから、その分だけモンスター相手に戦っていくことは重要である。


 サメもエイも一方的に虐殺するだけのモンスターになってしまったので面白みはどれだけ早く倒せてどれだけ早く移動して、そしてどれだけ早くドロップを空中回収して次に行けるか、と言うところに焦点が絞られてきた。このままスピードを上げてカニうまダッシュならぬサメうまダッシュに走り込みたいところ。どうせ同じ美味さならエイよりサメを多く倒したいところ。サメのほうが突撃してくる角度に対して雷龍を打ち込みやすい。


 エイのほうは斜め上から攻撃してくるので、空中で倒すとそのまま地面にドロップアイテムが落ちて来る。ポーションなんかが割れてしまっては大変だと毎回空中でキャッチしているが、今のところ目の前でポーションが割れて五千万円がふいになってしまうという現象は避けられているが、これ実際に倒す時にはどうなるんだろうな。


 今のところ動きも魔力も問題はない。この調子で午前中にすべてを使い切るつもりで全力で動くか。さて、走るぞ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 午前中を走りながら探索することで、歩きペースに比べて三割増しぐらいのペースで走り切ることが出来た。流石にポーションは三本は落ちなかったが二本は落ちた。午前の儲けとしては……うむ、悪くないな。


 昼飯のグリフォンの照り焼きを取り出すと、早速食べ始める。表面は甘辛タレがたっぷりとしみこみ茶色い部分が全体を覆っており、中心部ではしっかりと焼かれたグリフォン肉だけの部分がチラリと覗いている。キャベツにもたれはかかっていてタレが美味ければすべてが美味いと表現するだけの余裕はある。


 早速まず、口の中にご飯を入れてまずご飯の美味しさを楽しむ。その後、グリフォン肉の照り焼きを一切れ口の中に入れてゆっくりと咀嚼する。しっかり焼き目をつけたにもかかわらず、内側はしっとりとしており表面のカリカリさとの対比が良い。そして全体を包むタレがそれを調和させるように口の中を刺激し、唾液がじゅるりと音を立てるように湧き出て来る。


 これはいいな。鶏の照り焼きの上位品目としてグリフォン肉はちゃんと存在する場面と言えるのではないか。あえて違いを言うなら鶏皮にあたる部分がないのはマイナス要素かもしれないな。ただ、鶏皮に負けず劣らず表面はうっすらと白い膜に覆われていたのでそれが皮の役割をしていたのかもしれない。とにかく柔らかく、ジューシーで、おいしい。


 キャベツのシャキシャキ感で口の中の肉の柔らかさと一緒に噛みこんで、一気に飲みこむ。甘いキャベツに甘いたれ、そして甘く炊けたご飯。今日は全体的に甘い食事だな。ジンジャーエールか何かが似合う食事だったかもしれない。とりあえず手持ちにジンジャーエールはないので、苦い系の飲み物と言えばブラックコーヒーしかない。ここはコーヒーでしのいでおこう。


 ご飯がどんどん進む。ちょっと多めに炊いてきて正解だったな。グリフォン肉の量に対してご飯の量が少なくならないようにしてきたが、ちゃんと今日は全部を胃に納めるだけのバランスのいい食事量になったはずだ。後は気になったらいつもの野菜ジュースを飲んでおけばいいだろう。


 ご飯二合とグリフォン肉四百グラム、多分焼いてる間に少し小さくなっているだろうが、それでも結構な量だった。付け合わせのキャベツも含めて全てをきちんと頂き切って、最後にコーヒーをグイッと飲み、ごちそうさま。今日も美味しかったよグリフォン。一人で取りに行ってあげることはできないけど……と、芽生さんに昨日のポーションを納品した件をレインで報告しておくか。


「色々あってポーション三本揃ったんでギルマスに検証用として渡しておいた」


 食休み中に芽生さんとレインでちょっとやりとり。


「宝箱イベントが始まってるらしいですが参加はしないんですかねえ? 」

「ここの階層にまで来るなら参加するところだけど、みんなが頑張ってくれる事だろうから蚊帳の外かな。スレでも覗いて何が出たかとかバグがあったかとかその辺をまとめて後でミルコに報告するぐらいかな」

「では、一人寂しく六十九層ですか、頑張って三億稼いでくださいね」

「今日はそれ以上に稼げる気がするのでちょっと踏ん張って稼いでみようかな」

「明日に疲れを残してヘロヘロで探索出来ないなんてことにならない程度に頑張ってくださいね、私のために」


 ちゃんと釘を刺されてしまった。午後は午前程のペースで回ることは出来ないが、出来るだけ早いペースで回ることにするかな。それとも一回限界が来るまで探索して、それから考えるべきか……悩むよりは実行か。今はこの満足した腹とグリフォン肉のまだまだ見えない奥深さの余韻に浸るとしよう。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
> 一昨日のニンニクの匂い」 病気になってしまったおじさん > ROM専」 複数アドレスから必死に火消しをしていたおじさん > 嗜好品、ナシ!」 ナシ! > 探索者の群れ」 フナムシのように蠢く…
囲まれても話せる内容って特にないもんねえ むしろ中身に関しては掲示板でみんながどんなの落ちたかの報告が楽しみなくらいですな
そういえば、鑑定がホイホイみんな持つようになったら、主人公のスキルの保管庫、バレる可能性大だな。
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