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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十七章:閑話休題

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1285:平常運転

「じゃあ、僕は早速所定の階層にタイマーと宝箱出現の仕組みをあれこれ仕掛ける作業があるから足早に失礼させてもらうよ」

「その様子だと、七十三層以降はまだしばらくかかりそうだな」


 一応ミルコに早く次の階層をくれ、という言外の圧力は加えておく。もうこっちが七十二層を歩きとおしてダンジョンコアルームに行って帰ってきたのは確認しているであろうから、俺の次への要望もおおよそはわかっているだろう。


「まあ、これが一段落してからだね。次はボス階層の予定だからね。それなりにコストも手間もかかるのさ。さて、僕は今日中に間に合わせたいからもうちょっと頑張ることにするよ」

「おっと、行く前にエネルギーチャージをしていくと良い」


 コーラとミントタブレットを渡す。嬉しそうに受け取ると、早速コーラを飲み始める。


「最近はいろんな銘柄のコーラやミントタブレットをよこしてくれる探索者も居てね。色々楽しみにさせてもらっているんだが安村の選んでくる奴が僕には一番体に馴染むかな」

「そう言ってくれるとうれしいところだ。じゃあ後よろしくな」

「まあ、任せておいておくれよ。じゃあね」


 ミルコはコーラ片手に転移していった。コーラの飲み過ぎで糖尿病になったりしないよな。ダンジョンマスターはそういうのとは無縁のようだが、流石にあれだけ飲んでいると心配にもなる。


 宝箱の写真と受け取る際の動画は直接メールでギルマスに転送しておいた。向こうからもありがとうと返信が来たので、やり取りに問題はなかったようだ。


 後はいつも通りの仕事を始めるとしようか。結局早く来た三十分はギルマスとの連絡やらミルコとの相談やらでなくなってしまったので、いつも通り午前と午後に分けてやろう。今日のお昼ご飯はお手軽サンドイッチにしたし、その分密度高く探索が出来るはずだ。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 午前の部をササっと走り回って終える。キュアポーションランク5を二本手に入れたことで収入は充分に多い。これは午後も楽勝だな。昼食を広げてパクリパクリとサンドイッチを胃袋に入れる。今日の食事の飲み物もコーヒーだ。流石にサンドイッチにふかひれスープは似合わないからな。


 今日は食パンで言うところの四枚分を贅沢に使ったサンドイッチだ。胃袋に入りきらないということはないが、そこそこのボリュームがある。昼休みでしっかり休んで胃袋に過剰運動をしてもらわないといけないな。身体強化で胃袋の活動も短時間で済むようになってくれるといいんだが、そこまで細かい肉体操作はできないらしいので、大人しくたくさん食べたらその分休むことにしよう。


 しかし、やはりボア肉の生姜焼きが一番腹にグッと溜まるな。メイン食材だから当たり前と思いつつも、他の三品もそれぞれ味わう。食べ慣れた料理に食べ慣れたサンドイッチなのでこれと言って感想はないが、食パン四枚分のサンドイッチは腹を満たすのに十分な量を提供してくれた。午後からもいっちょ頑張るか。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 午後の部終わり。特に語るようなイベントもなかった。しいて言えば身体強化が一段階上がったことか。スキルオーブがそろそろ出てくれてもいいんじゃないですかねえ? というところだが、ミルコからポロッともらった謎ポーションの分があるのでその分収入は多かった、ということにしておこうと思う。


 いつも通りエレベーターにリヤカーを引き込み七層への倍速ボタンをポチ。移動するその間に魔結晶とポーションとフカヒレ二百個を積み込む。後四回分ぐらいは在庫があるので、芽生さんが居る時にでもまとめて回収して二人分の成果として一定の成果は残しておく事にしよう。流石にフカヒレを流通させるような商社みたいな伝手も能力もないので、ドロップ品の拡散はギルドに任せることにしよう。


 クロスワードを一問解いて七層に到着したらいつもの目隠し、そして六層ダッシュ。ダッシュしながら思ったが、もう七層のテントは要らないんじゃないか。流石に回収してしまっても良いはずだ。誰かが見てない内にこっそり回収するなり小さくするなりしてバッグに突っ込んであの階層ともおさらばしよう。ついでにノートの様子も見ておくべきか。書き込みのタイムスタンプを見れば使われている頻度が解るはずだ。


 明日にでも早速やってしまうか。一年以上放置しているので朽ちてしまっていても仕方がないところだが、朽ちさせるようなバクテリアや細菌が七層に存在するかどうかはわからないが、きっと誰かにくっついて持ち込まれているだろう。ちょっと明日が楽しみになったな。


 茂君して戻ってきて、目隠しを外して再びエレベーターで一層に上がり、退ダン手続き。


「何か明日からイベントがあるらしいです。細かいことはこのプリントに書いてありますので明日から来るなら読んでおいてください」


 早速、連絡した事項が書かれたプリントを配られる。どうやら受付で全員に渡しているらしい。さすがギルマス、仕事が早い。


 そのままプリントの内容を読みつつ、査定カウンターで手続きを行う。やはりフカヒレ二百個のインパクトは大きいようで、今度は安村さん何をドロップさせてきたんだ、とちょっとガヤが出来る一幕もあったが、俺が最深層に潜っているのはもう周知の事実なので、最深層ではフカヒレをドロップするようなモンスターが存在する、と話題になっているのだろうな。


 五分ほどして結果が出てきた。今日のお賃金、三億四百七十八万五千円を手に入れる。今日は三億の男になれたな。やはりソロ活動だとこの辺りが限界のようだ。より実力をつけて七十一層でも活動できるようになればまた結果も違うのだろう。その為にも探索にもより力を入れて頑張らないとな。


 リヤカーを返却して支払いカウンターで振り込みをすると、振り込み操作の後で呼び止められる。


「安村さん、ギルマスが待ってるそうなので至急行っていただいても良いですか? 」

「心当たりがあるのでわかりました。とっとと仕事を済ませてきますよ」


 まだギルマス居たのか、仕事熱心だな。さてちょっと忙しそうなギルマスの顔でも拝みに行ってくるか。


 二階へトントン……と上がり、応接室に入ってからギルマスの部屋へノック三回。


「安村です、入りますよ」

「やあ、お疲れ様。こっちは一区切りついて受付で……あぁ、その紙。それを渡すようにしたんだけど、明日の本番に対して何かこっちでやっておくことってあるかな? 」


 ギルマスはイベントのせいでギルドに苦情が入らないかどうか心配らしい。改めて受け取った紙を念入りに見つめる。


『ダンジョンマスターミルコ氏主催イベント 宝箱を見つけて君も戦わずに報酬ゲットだ! 』


 そんな切り口から始まる紙には、イベントの期間、場所、シチュエーションなどが軽く説明されていた。


「これ、他の今後新しく出来ていくであろうダンジョンのプレオープンイベントみたいなイメージでいいんだよね? 」

「それで間違いないかと思います。ダンジョン利用者としては期間限定とは言わず常にやり続けてくれとは言われるでしょうが、記載されてる通り今回はバグフィックスも込みのイベントですからね。ここで運用がうまくいったら他のダンジョンでも行われるようになるかもしれないので奮ってご参加ください、というのは悪くない話だと思います。例えば隙間がギリギリ過ぎて宝箱が開けられない場所に出現してしまったとか、そういうのを潰すためかと」

「なるほどね。そう言うところで無茶をしないということと、モンスターは通常通り湧くのでイベントに熱中しすぎて怪我しないように、と注意書きも入れておいたよ」


 そういえば、具体的に何時から始まる、とは言ってなかったから早ければ今夜から始まる、というイメージでいいのかな。だとすれば宿泊組はちょっとお得になったかもしれないな。


「どういう風に出現するかとか、その辺も盛り込みたかったがモンスターみたいに見えないところで出現する、という可能性のほうが高かったからね。そこはあえて明記しておかなかったよ」

「解らないことは解らない、でいいんじゃないですかね。全てにおいてギルドマスターが知っている訳ではなく、あくまでダンジョンマスターのダンジョンの試運転のためのテスト、ということでしょうし。ミルコがしっかり見張ってバグつぶしや宝箱の中身の精査なんかをやっていくのでしょうから、我々がそこに口を出すのはかえってイベントに水を差すことになると思います」

「そうだよねえ。だからほどほどの文章で解ってることだけ書き込んだのがそのチラシになるんだが」


 ちゃんと俺が送った宝箱も画像サンプルとして表示されている。白黒だからちょっとわかりにくいかもしれないが、ちゃんと宝箱しているようにも見える。それがかえって月面マップでの宝箱の存在をひた隠しにしてくれるところもある。ちゃんとトリミングしてくれてもあるし、その辺の安全策はやってくれてあるみたいだ。


「そういえばせっかく来たので一品、新しいドロップ品の相談をしたいんですがいいですかね? 」

「ほう、グリフォン以外にも新しいモンスターが居たのかね、それは初耳だ」

「いえ、そのグリフォンのレアドロップ品にあたる品物なんですが、新型のポーションがドロップするんですよ」


 保管庫から三本の謎のポーションを取り出す。ギルマスが手に取ってほほお……と眺めるが、中に入っている液体の色に少々困惑している。


「これ、本当にポーションなの? なんか虹色に光ってるし毒っぽさがあるんだけど」

「そこが解らないので、本数を溜めこむまでは提出を遅らせていたんですよ。一本だけだと実際の効果を得られるまでの検証段階で使い切ってしまう可能性がありましたから」

「なるほど、そこまで考えてくれての三本か。これは……相当高額になるかもしれないものなんだよね? 」


 ギルマスがそっと机の上に置いて、ポーションを急に大事そうにし始めた。


「その一本で今までの流れだと……一億七千五百万円ぐらいになりますかね。家が買えますな」

「ギルド税だけで私が三年ぐらい雇える計算になるね。とんだ富豪と会話してるな、私は」


 またギルマスが金の話を始めた。今日もしっかりギルド税は納めてきたので問題はないはずだ。


「さて、この三本はきっちりダンジョン庁で預かって、解析、検証、実験に使わせてもらうことにするよ。順番から行けばヒールポーションのランク6ってことになるんだろうけど……なんかそういう雰囲気でもなさそうだし、特殊なポーションっぽいから時間がかかるかもしれないが問題ないよね? 」

「輸送途中で破損した、とか言われても困りますからきちんとその辺をやってくれるなら」

「解った、厳重に梱包して送付することにするよ。その辺の手続きはもう慣れたから任せておいて」


 ギルマスが胸を張って言う。まあ、これまでも新しいポーションが出るたびに発送してもらって途中で壊れたとか盗まれたという話を聞いたことがないので、そのあたりはしっかりしているんだろうな。


「じゃ、俺はこれで。明日からのイベントには参加しないとは思いますが、みんなが楽しんでくれることを祈ってますよ」

「私は宝箱が取れなくてこっちに苦情が飛んでこないように祈ってるよ」


 ギルマスルームを後にし一階に戻ってきて、いつものぬるま湯をもらう。ふぅ、これで今日のお仕事終了だ。今日の夕方にはもう配布を始めている様子だったので、今頃家に帰ってこんなイベントが始まるらしいぞ、とネットで噂になっていても不思議はないな。


 時間が来たのでバスに乗って帰る。バスの間暇なので小西ダンジョンスレを見るが、早速話題になっているようだ。これは家に帰ってからのんびり眺めるのが良さそうだな。周りがどんな反応をしているのか、後で印刷しておいてミルコたちに読ませて探索者側からの感想としても聞かせておかないといけないだろう。


 家に帰ったらまず夕食を……たまにはパスタでも茹でるか。ソースはたくさんあるから適当に選んでそれで終わりにしておこう。それに向いたソースはやっぱりトマトソースかな。いろんな栄養価もあるし、ストックにも二つある。一人分の奴だからストックが二つあるんだったな。これは後でもう一回買いなおしに行かなきゃいけない奴か。それまでパスタは封印だな。


 電車に乗り換え家に着き、片付け物を済ませて風呂も沸かして今日はのんびりせずにパパッと終わらせると、早速スレッドの様子を眺める。どれどれ、どんな流れになっているかな……

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
虹色の確定色だしエリクサーかもね、これ以上のポーションはないという頂点かも? もしくは今までとは全く関係なく若返る事が出来る若返りのポーションという線も考えられるが、まあその場合でも全ての傷や病気は治…
虹色ポーション、効果は期待できそうだけど飲むのに勇気いりますねーw
> まだしばらくかかりそうだな」 後でやろうと思ったのに言うんだもんなーと拗ねるミルコ > 安村の選んでくる」 赤いラベルのカロリーを無視したタイプ > 受け取る際の動画」 何この謎ポーション!と…
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