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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十七章:閑話休題

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1281:ヘルプメッセージ

年末年始もいつも通りです。皆さんもお疲れ様です。

 朝だ。結局昨日は家近くのコンビニで買い食いをして帰った。やはりチャーハンと餃子と棒棒鶏だけでは俺の胃袋は満足しなかったらしい。昨日も頑張ったもんな、謎のポーションを一本拾えた分の身体へのいたわりは忘れてはいけない。ちょっとしたスナック菓子や健康飲料でそれが補えれば安いものだと自分でも思っている。


 いつもの朝食を作り終えて食べたところで、昼食を何にするか考え始める。最近フカヒレばかりだからな、もうちょっとフカヒレから離れるようなメニューを考えたい。久しぶりに揚げ物をするかな。今日はグリフォン肉も無しだ。もっと手軽な所で一品作ろう。さあ、唐揚げか、カツか、それとももっと他の揚げ物か。


 よし、ここはチキン南蛮風にしたウルフ肉の竜田揚げといってみよう。タルタルソースは既にあるし、甘酢餡は揚げてる間にササっと作ってしまえばいい。早速ウルフ肉を一口大にして味付け用のソースに漬け込むと、保管庫で十秒。これで三十分少々ソースに付け込まれたウルフ肉が出来上がった。片栗粉をしっかりつけて、衣が多めにつくようにすると、早速油の温度を上げて揚げ始める。


 チリチリチリ……という音から始まりジュワァ~っという揚げ物のいい音がリビングに広がっていく。いい塩梅になったら一旦上げて、二度揚げの準備。手間だが美味しくするための大切な手順だ。ダンジョン内でも美味しい食べ物を摂取するためには必要なことだろう。


 二度揚げの準備が出来たら再度揚げ。衣をつつき過ぎて身が崩れないようにしつつ全体に油が良く回るように時々箸で具合を見てやる。二度揚げの時間はそう長くない、一分から二分の間油にくぐらせやればそれで完成だ。出来上がった竜田揚げを油きりしながらちょっと保管庫へ入れておいて、その間に付け合わせのタルタルソースと甘酢餡、キャベツの用意をする。


 皿に細切りキャベツを敷きその上に竜田揚げをのせてやる……と、乗せる前に一つ気づいた。これ、そのまま丼に盛ったらより美味しそうなんじゃね? と。急遽皿を変更し、どんぶりに盛る準備を始める。皿は洗って元の場所に戻しておいた。米が炊けるのを待ち、米を丼に移すとキャベツ、肉、甘酢餡、タルタルソースの順番で載せていき、蓋を閉めて竜田揚げ丼の出来上がりだ。


 今日の料理はかなりシンプルになってしまったので、野菜ジュースをつけておくことにしよう。後は出かけるのを待つだけだな……と思っていたらスマホにメッセージが。布団の山本からだった。そろそろ在庫が乏しいので一回分納品出来ないか、という相談らしい。


 早速電話をし、店舗のほうに既に人が居るかどうかを確認すると、山本店長自らが電話口に出てくれた。今から納品に行くので朝一で検品お願いしますと伝えると、向こうからは感謝の言葉が出始めてきたので細かいことは到着してから話しましょう、ということで短めの電話にしておく。向こうも開店前準備で忙しいだろうからな。


 さて、朝からダンジョンという日程は崩れてしまったが、昼は間違いなくダンジョンで食べられそうだ。ちゃんと弁当は作ったし、着替えもした。後は社用車をガレージに出しておいて……念のため帰りに給油して帰るか。社用車の給油代金は確か経費に出来るはずだな。


 スーツに着替えて社用車に荷物を積み込むと、ちょっと早めに家を出る。開店前に到着するのは目に見えてるので、その間はラジオを聞くなりしてしばらく暇を過ごさせてもらおう。こういったちょこちょことした合間が出来る間にニュースでも聞いておかないと、ダンジョン内では昼食をとるときぐらいしか世間の様子を知る機会がほとんどない。


 新聞を取って読むぐらいはしていいんだろうが、ゴミが増えるし要らない情報のほうが多いと感じているので、やはりネットニュースでピンポイントで欲しい記事が狙い撃ちできる方が助かるというのが本音だ。


 時間になり店が開いたので早速山本店長に会いに行く。店長は事前に準備させておいてくれたのか、既に従業員の荷下ろしの列が作られていたのでそのまま引き連れて駐車場へ誘導し、車の中から羽根を順番に取りに来てもらう。いつものこととはいえお手間をおかけします、と声をかけていたらこれで仕事ができるので問題ないですよ、と返ってきた。どうやらやる気は充分にあるらしい。


 荷物の受け渡しを終えて山本店長と対談。いつもの羊羹が出てきたので早速いただく。


「緊急ですいません。ちょっと予想よりもお客さんの数が多くなったものですから」

「冬ごもりの仕度、と言うところでしょうね。繁盛していて何よりですよ」

「さすがに本日は二回目……というのは難しいのでしょうね」


 山本店長が申し訳なさそうに念のためと言ってこっちの在庫状況を探ってくる。


「そうですね、いつもの量にはまだ足りない、と言うところですね。スノーオウルだけなら在庫はそこそこあるのですがダーククロウのほうが物足りない感じですね」

「なるほど……こちらも主に不足しているのはダーククロウのほうですので無理は言えませんね。スノーオウルとダーククロウと通常のダウンの混合品がメインで売れている状況で、それに加えてダーククロウと一般ダウンの混合布団が次に来るので、どうしてもダーククロウの羽根がメイン商材、ということになってしまっているのが現状ですね」


 なるほど、やはりネックになっているのはダーククロウの羽根のほうか。俺みたいに毎日通って取る探索者は居ないわけでもないらしいが、需要に供給が追い付いていないのは確からしい。


「まあ、今日もこの後探索には行くんですが、これ以上の納品となると正直厳しい面もありますので他の探索者の納品をあてにしてもらうのが一番だとは思うんですが」

「やっぱりそうなりますよね。安村様には充分すぎるほど当社は恩恵に与らせてもらっていますので無理は言えませんので、そっちのほうでなんとか確保を頑張ってみることにします」

「こちらも貯まり次第連絡して早めの納品を心がけるようにしようと思います。しばらくはギリギリの状態が続くと考えられますが、何とか耐えていただけると供給側としても焦らずに済むので助かります」

「ありがとうございます。何とか頑張ってみます。それでだめならお客様にはちょっと待っていただく、という形になると思いますのでそこは人気商品だからという理由でなんとか押し通そうかと」


 繁盛しすぎるのも困りもの、というあたりか。後三日通えば一回分の納品量には届くんだが、三日頑張って取りに行ってみて、溜まったらすぐに連絡を入れて休日に卸しに来る、という形でちょっと予定を組んでみることにしよう。


「では、私もダンジョンに向かって早速入手して来ようと思いますので、早めですがここらで下がらせていただきます」

「はい、本日はありがとうございました。いつもの品質、ということで処理させていただきますのでそこは安心していただけると助かります」


 まだ検品が終わっていないが、どうやらいつも通りということにしておいてくれるらしい。もうちょっと待つ時間が必要かもしれないとは思ったが少し得をしたな。この短いが貴重な時間を使ってダンジョン探索に使う時間を長めにとることにしよう……と、社用車の給油をするんだったな。給油に時間を取られるので結局は同じか。さっさと終わらせてダンジョンへ向かおう。


 山本店長にお礼を言いながら車に乗り、近所の中で一番安いセルフ給油に向かう。満タンまで給油した後レシートを保管。これは経費じゃ、だから収入には……ほんのちょっとだけ響くけどあまり気にしなくていい金額なんじゃと自分に言い聞かせ、これも後で佐藤税理士に渡す書類の束の中に埋め込んでおく。


 家に着いて車を収納したところでいつもの確認だ。これがないとダンジョン探索の一日が始まらない。もうお決まりになりすぎてて既に形骸化しているが、たまに忘れ物に気づくので助かっている。


 柄、ヨシ!

 圧切、ヨシ!

 ヘルメット、ヨシ!

 スーツ、ヨシ!

 安全靴、ヨシ!

 手袋、ヨシ!

 籠手、ヨシ!

 飯の準備、ヨシ!

 嗜好品、ヨシ!

 車、ヨシ! 給油もバッチリ!

 レーキ、ヨシ!

 保管庫の中身……ヨシ!

 その他いろいろ、ヨシ!


 指さし確認は大事である。さあ、出遅れたがダンジョンへさぁすすもう。一応七層に途中下車して、茂君が茂っているか確認してから七十層へ向かおう。もし茂ってたらちゃんと回収してこれも一回分としてカウントできる。茂り具合はこの際半分ぐらいでも良い、確実に処理して少しでも多く入手しておくほうが大事だろう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 ダンジョンに着き入ダン手続き。


「今日はちょっと遅めですね。寝坊でもされましたか? 」


 受付嬢にいつもの時間じゃないですね、と確認をされる。


「朝一で納品作業に行って来たのでその分です。今から挽回しに行きますよ」

「そうですか、今日もご安全に。後、今日から新しく査定される品物が増えたそうですので念のため確認に行かれては? 」

「そうなんですね、ちょっと見てきます」


 新しい査定品か。醤油差しかフカヒレかどっちだろう。入ダン手続きを終えてからギルドの建物に戻るという行為はそう褒められたものじゃないが、確認しておくのは大事だろう。


 査定カウンターが片方開いていたので早速確認しておく。松川さんはいつも通りてきぱきと仕事をしているようで安心だ。


「松川さん、新しい査定品が増えたらしいけど、目録ある? 」

「あー安村さんおはようございますー。えっとですねー、こちらになりますよー」


 相変わらずやる気のなさそうな口調だが、やる気のなさそうなのは口調だけでギルドで一番査定が正確で手際も早いのは小西ダンジョンに通う探索者なら誰でも知っている。


 目録には、醤油差し三十万円とフカヒレ二万円の文字が躍っていた。どうやら今日からフカヒレも対象になったらしい。思ったより早く来たな。しかし、醤油差し三十万円はでかいな。これから結衣さん達も醤油差しにはお世話になることだろうし、ドロップする質量と値段で言えばポーションの次に高いドロップ品であると言えるだろう。


「ありがとう、これでため込んである荷物を下から持ち上げてくることができるよ」

「がんばってくださいねー。いつも通り仕分けて持ってきてくれると負担が減って助かるんですよー」


 松川さんに礼を言うと、早速リヤカーを装着して七層へ。さて、茂君は残っていてくれるだろうか。七層に到着して早速ダッシュで茂らない君へたどり着き、茂らない君から茂君を見る。茂君は……茂ってくれていた。ここから見えるあの量なら十分刈り取りの季節だ。早速ダッシュで駆け寄って、近づいてくるワイルドボアを文字通り蹴り飛ばしながら茂君へ近づく。


 いつもの手慣れた準備で電気投網を繰り出すと、茂君を覆うように全てを包み込んでバツッと一発雷撃を浴びせる。


 茂君は全て黒い粒子になって消え、後に羽根を残していく。前後を確認し誰も居ないのをみると、範囲収納で一気に収納。……どうやら一キログラム、きっちりあったようだ。これでまた布団屋に卸す機会が増えると言ったところ。


 これで今ダーククロウの羽根の在庫は二十四キログラムある。十五キログラムは自分の布団の効果が無くなった時に新たに発注する時用の予備として確保してあるので、実際に納品できる量は九キログラム。後三日でもう一回出せる、という根拠はここにある。ちなみにスノーオウルの羽根は四十キログラムあるのでこっちはもう今年中に取りに行く予定はない。


 茂君を回収し終わりまたダッシュでワイルドボアを蹴り飛ばし、ドロップを範囲収納しながら七層へ戻る。ここも人通りが随分少なくなった。小西ダンジョンの主戦場は七層からは離れてしまったようだ。


 七層でドローンを飛ばしてテントの様子を見るが、明らかに前に比べてテントの数も減ったし、駐輪場に置いてあった自転車もいくらかは二十一層に移動されてしまったように感じる。わざわざ小西ダンジョンで七層で休憩して九層に向かい、そしてCランクになるために清州ダンジョンで試験を受けるなら、初めから清州ダンジョンでやってしまってCランクになった後で小西ダンジョンに戻ってくるのが最近のトレンドらしいとスレで見かけた覚えがある。


 確かに清州ダンジョンの方が利便性ははるかに上だからな。もう一年近く行ってないわけだが、今あっちがどうなっているかはちょっと興味があるな。今度清州ダンジョンスレでも眺めてどういう状況なのか観察するのもいいかもしれん。むしろ昼休みにでも眺めてみるか。さあ、七十層へ下りるぞ。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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スキルの索敵と魔法や保管庫を組み合わせた遠距離攻撃や収納はできないのかな? 雷魔法の精密さを求めるなら全力雷撃を球状にして自分の周りにいくつか待機状態で浮かして必要な時に必要な分の雷撃を放てるようにと…
ギルド長に個人情報の件かるくジャブ入れるのかと思ってたけどやらないのね?
( ◠‿◠ )
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