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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十七章:閑話休題

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1277:午後のサメエイ

 午後の部開始である。流石にまだ七十一層へ行く度胸はない。二匹同時に襲ってきて二匹とも返り討ちに出来る点では六十九層でも同じだが、グリフォンがここに混ざってくるとなると難易度が跳ね上がる。グリフォンを先にスタンさせればいいのか、それとも確実にもう片方を倒せばいいのか、という状況判断を短い時間でやってしまわなければならない。


 そこまで危険な判断が必要なだけの攻撃力を相手が保持しているので、まだソロで七十一層……というのは考えていない。芽生さんがいてこその七十一層、七十二層だ。そして二人合わせて一日四億を超えた金額を叩きだせるのも同じく芽生さんがいてこそだ。もし七十二層まで一人で潜れる、というような事態になったとしても、やはり芽生さんと潜るのを優先してあえて金を稼がない道を選ぶだろう。


 これは多分俺なりの甘えであり、芽生さんがいてくれないと寂しいという精神的な面も持ち合わせているのかもしれない。それはそれとして、ソロで稼ぐなら六十九層が階段からもエレベーターからも近くてそこそこ稼げるし、ドロップもそこそこする。ポーションのドロップ率が高いのもグッドだ。


 索敵二重化のおかげで余裕を持って探索することもできるし自由な探索が出来ていると言える。後は……ペースか。走り出すにはまだちょっと早いだろうか。少し早歩きを意識しながら進むとしよう。モンスターとモンスターの間で魔力を自己回復させながら進んでいるし、眩暈が来たらその場で立ち止まってドライフルーツを噛むことで瞬間回復はできる。


 現状の範囲ではあるが、普通の歩行スピードで六十九層を徘徊して眩暈が起きるまで戦いの密度を上げたことはない。おそらく七十一層でも、歩くだけなら問題はないだろう。すこし、歩く速度を速めていってみるか。上手くいけばいつもよりより多くフカヒレを集めて帰ってくることができる。その分稼ぎも上がってポーションも落ちて、安定した一日三億円男になれるって寸法だ。


 よし、ちょっと移動速度を上げていこう。限界が来るまでに何時間かかるか解らないが、限界が来たらそこでペースを落として休憩してまた歩けばいいのだ。【索敵】が多重化されて拡大された範囲分だけ自分の安全は担保できている。頑張って早歩きしてみるか。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 しばらく高速移動をしていると四つの点が見えた。どうやら高橋さん達も六十九層で探索をしているらしい。近づかないようにちょっと離れておくか。


 と、向こうからぐんぐん寄ってきた。俺に用事でもあるのかな。


「やあ、安村さん。お一人で結構なお稼ぎをしていらっしゃるようで」

「そちらも。目的はオーブ集めか何かですか? 」

「それがメインですね。もし出たらノートのほうに記述をお願いしますよ。流石にほぼ最深層のここで出るオーブですし、何か特殊なスキル……例えば浮遊とかそんなスキルがでるかもしれませんからね」


 浮遊するオーブか。多少とはいえ自力で空を飛べるという欲は確かにあるだろう。そういうチャンスはワイバーンでもあったはずだな? そういえばワイバーンからのスキルドロップ報告はまだ見たことがなかったな。帰ったらちょっと調べてみるか。各地でB+が三十五層近辺にたどり着いてるのだからそろそろ一件ぐらいはドロップ報告が出ていてもおかしくはない。


「そういえば最近スキルオーブ狙いで色々巡ったことはなかったですね。せっかくですしグリフォンのスキルオーブドロップでも狙ってみましょうかね」

「それが出来るの多分安村さん達だけでしょうしね。出たら是非一報をお願いしますよ」


 重ねてスキルオーブドロップの報告お願いをされた。まあ、ここをうろついてる間に拾う可能性が高いのは俺だ。それを考えてもドロップした後しばらく保管庫に放り込んでおいて高橋さん達に押し付けて何らかの交渉材料として渡すのも面白いだろうな。


「じゃ、俺は日課に戻るので……あっちに行けばモンスターが居ますよ。俺はこっちに向かいますので」


 俺の索敵で見える範囲のモンスターを指示してお互いに行く方向を定める。


「私からは見えないんですが……もしかして安村さん、【索敵】も多重化させましたか」

「させました。おかげでここの探索がずいぶん楽になりましたよ」

「なるほど……ここで索敵の多重化は安全面にバッファを持たせるには有効……と」


 山本さんがメモっている。何やら参考にされているようだ。向こうは四人だし、戦力的にもこっちよりは余裕があるはずだから七十一層へ潜っても何ら問題はないとは思うが、きっと地図作りとかそういう面での仕事をさせられているんだろうな。お役所仕事ご苦労様です。


「じゃ、俺達は引き続き探索して行くので、そちらもお気をつけて」

「また今度会いましょう。その時までにお互いスキルオーブが出てると良いですね」


 互いに挨拶をして別れる。さて、また早歩きでモンスターのほうへ寄っていく。今日の稼ぎはどうなるやら。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 時間になり、帰る仕度を始める。早歩きした分だけ今日は収入はちょっと多いはずだ。高橋さんと数分立ち話したとはいえ、その分以上の利益は出ていると考えられる。フカヒレもなんだかんだで結構貯まった。


 七十層に上がり、リヤカーを引き倍速で七層へ。今日の稼ぎは……ポーションがいつもより一本多いな。やはり早歩きした分のあがりはあったようだ。これは査定が楽しみだな。


 流石に少し疲れが来ているのか、全身に少しばかりの疲労感が襲う。普段二人で回るような場所を一人で回るだけのプレッシャーはそれなりに感じていたらしい。ドライフルーツを噛みこんでしゃきっとした後でまたクロスワードを始める。芽生さんが居ると帰りも話が出来て楽しみが色々とあるんだが、今日は一人なので雑誌を読むかクロスワードを攻略していくか、そのぐらいしか楽しみがない。


 俺ですらこの環境なので、他の探索者にとってはもっと苦痛に感じる所だろう。エレベーターの中でじっと待ってるのはそれなりにストレスが感じられるはずだ。俺がお願いしてつけてもらった倍速ボタンは結構効果的に使われているようだし、好感度も上がっている。俺のせいにされていたスレッドの内容はさておき、下手に騒いでおくよりも普通についたから便利になったよねー、ぐらいの気持ちでいたほうがいいな。


 七層に到着し、ダッシュで茂君を狩り終わってリヤカーの所まで戻ってくる。いつも通りいたずらもされていないようなのでそのまま一層に上がり退ダン手続きを終えて査定カウンターまでリヤカーを持っていく。


 査定カウンターは空いている。倍速で上がっていくおかげでちょうどいい感じに空いた時間に来れているのは、その分の時間を探索に回して稼ぎをより多くして帰るかどうかはその時の気分で決めているが、無理しないというのがモットーなので早く上がるほうが回数としては多い。


 今日もいつも通り仕分けた後の魔結晶とポーションを渡し、お互いニコニコ笑顔で査定を受ける。査定嬢も自分で仕分けてから査定する必要がないためだ。


 三分ほどで査定は終わり、今日のお賃金、三億四千四百六十七万六千六百円を手に入れた。きっちり三億以上稼いで帰ってこれた。


 休憩室でぬるま湯を飲んでいると、査定カウンターのほうで少しばかりざわつきが発生していた。覗いてみると、緒方パーティーが帰ってきたらしい。Aランク探索者が初めて小西ダンジョンで査定を受けに来た、というので他の探索者への刺激になっているようだ。


「やあ、安村さん。無事四十二層までは到着しましたよ。安村さんはしっかり稼げましたか? 」

「一日三億の男ですからそれなりには。そちらも無事に到着出来て何よりでした。お怪我なんかはありませんでしたか? 」


 ふと後ろを観察すると、安村さんが緒方さんに物怖じもせずにやり取りしているとか、さすがは小西ダンジョンの看板探索者だぜ面構えが違うとか、そのような声が聞こえてくる。今朝会って帰りがたまたま同じになったから話になっているだけなんだけどな。


「ここの四十二層近辺は良いですね、程よい狭さで稼ぎ場にはもってこいみたいです。散々稼いだ後だったりするんですか」

「四十三層がお勧めですよ。ドウラクとリザードマンが完全に分離して生息しているのでどちらかとだけ戦いたい、という場合非常にわかりやすいです」

「参考にさせてもらいますよ。今日のところは顔見せと腕試しだけに来たので早いですが帰ります。またお会いしましょう」


 また会いに来るのか……会いに来るのはダンジョンマスターだけで充分なんだけどな。まあ嫌う要素があるわけでもなし、探索者同士の交流という意味では悪い話ではないんだろう。


 さて、バスの時間も近づいてきたことだし、今日の夕食は何にするかな。買い出しは……今日中に行っておいても問題ないな。


 固形スープの素なんかを数をそろえて仕入れて、どれがフカヒレに一番うめえ味わいを吸わせてくれるのか比べるというのもなかなか楽しいかもしれない。よし、帰ったら買い出しに行こう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 帰りのバスでも結局緒方パーティーと同じバスに乗ってしまったが、帰りのバスでも絡んでくるほどなれなれしい、という御仁ではないらしい。バスの中で次の潜る予定なんかをパーティー内で共有しているようだ。


 そのままお互い我関せずの様子でバスを降りて電車で帰る。流石に電車の方向は別だった。これで電車や降りる駅まで同じだったらどんな顔をすればいいのか解らない所だったな。


 家に着いて車を出し、いつものショッピングモールで買い出し。食パンとキャベツと卵とバター、いつものお高いセットを買い出しして、夕食もここで見繕ってしまうことにする。


 夕食より先に、スープの素を探す。いくつかあったので、固形で売ってるポン入れで鍋が出来る奴や汁そのものが袋で入っていて、質量のある奴、それぞれを用意してみた。美味しかったらまた買うし、おいしくなかったらそれでおしまいという意味でも二つ買うよりはここは一つで止めておいて一番うめえ奴ランキングを決めた後、それに基づいて購入していくのが良いだろう。


 さて、夕食である。今日は汁気のあるものを食べたいな。汁気と言えばカレーだが、カレーにフカヒレ……確かフカヒレカレーってのもあったな。後は天津飯とか中華丼でもいいし、マーボー豆腐にしてもいい。麻婆豆腐を単品で買ってご飯は別……あぁ、そうだご飯だ。そろそろ家のコメが切れかけていることを思い出した。ナイスプレーだ俺。早速二キログラムの米を銘柄の違うものを二種類購入。自宅用の米を確保したところでもう一度弁当コーナーに戻る。


 さて、中華にフカヒレは鉄板だが、鉄板過ぎるのもイマイチ面白みがない。ここはあえて麻婆豆腐にフカヒレ、というのを試しておいて、失敗したらそのときは料理経験値が少し増えたことにしておこう。


 丁度いい感じに麻婆豆腐丼が一つ残っていたのでこれを購入。後はつまみになるサラダと揚げ物を数点。栄養バランスは……今日のところは考えないことにした。野菜は後日、たくさん摂ろう。


 会計を済ませて家に帰って、マーボー豆腐の蓋を開けるとそのままフカヒレを細かく刻んだものを混ぜ込んで他の惣菜と共にレンジで温めておく。その間に片付けとか色々を済ませることにした。


 食事の準備が出来上がり、部屋着に着替えると早速食事開始だ。今日も出来合いだが、朝食と昼食は自分で作ったのである程度の自炊は出来ていると考えよう。それよりもお腹が空いた、早く食べたい。


 フカヒレの食感と豆腐の柔らかさが対比として現れ、口の中で不思議な食感を覚える。口の中でとろけていく豆腐と、フカヒレが口の中でほどけていく感触、そして短い間でもちゃんと汁を吸いあげたフカヒレの味わいがいい感じだ。フカヒレもちゃんと中華に合わせれば美味しくできるじゃないか。惣菜で買ってきた鶏の唐揚げとマカロニサラダと大根の漬物の小鉢で舌を時々リセットしながら最後までしっかり味わう。


 今日の夕食は……成功の部類に入るだろう。次回外食にフカヒレを混ぜ込む際はもっと汁気のあっておいしそうな物を選んでそれにチャレンジしてみよう。フカヒレの在庫はいくらでもあることだしまた一パック開けて、今度は煮汁として鍋用のだしパックを使って色々調味を加えてみる楽しみはあるんだ。今日みたいに昼のスープ代わりとして一品ずつフカヒレをスープの素で煮出したものを加えていくことは悪い話じゃない。


 さて、風呂に入って明日の準備するか。明日は何を作ろうかな……

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
一日で42層って緒方パーティ早すぎない? エレベーター相乗りさせてもらってんかな
カレーにフカヒレはどうなんだろう 高級食材有り余ってるので何でも試すって言う事なんだろう
ギルドに個人情報の件を釘刺すんじゃなかったっけ?
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