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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十六章:ダンジョンシティ構想

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1269:第三回ダンジョンマスター会談 1

 しばらくして、ネアレスが女の子と男の子、合計二人を連れて戻ってきた。


「お待たせしました。はじめましての人が多いと思いますので自己紹介をさせます。ユミル、出来ますか? 」


 ユミル、と呼ばれた女の子が前に出る。こっちはうさ耳なのか。うさ耳だが、顔の横にもう一つ耳が付いている。両方耳が付いている……どっちが本体なんだろうか。


「えっと、あの、はじめまして。ユミル……です……よろ、よろしくおねがいしますっ! 」


 かなり恥ずかしがり屋なようだ。もしくは人見知りなのかもしれない。出来るだけ刺激しないように注意を計らいながら対応するようにしよう。


「安村洋一です、よろしくお願いします」

「文月芽生です、よろしくお願いします」

「私、ダンジョン関係の偉い人で真中と言います。よろしくお願いします」

「はっ、はい、よろしくです……ネアレスさん、この人たち、怖くない人? 」

「大丈夫、みんな優しいから」


 ネアレスが優しく声をかける。それに安心したのか、椅子に座ったが、まだ少しびくびくしている。


「人見知りなので優しくしてあげてくださいね。それでは次、サムエ、自己紹介を」

「はい、サムエと言います! よろしくおねがいします!! 」


 青髪に金目、元気のいい美少年という感じだ。ミルコとはまた違った美しさの片鱗みたいなものがある。ダンジョンマスターはみんな美形なのかな……とおもったところでガンテツを思い出し、人それぞれか、と自分の中で話を終わらせる。


「では、司会進行は私安村が務めます。こっちの言葉で書かれた書類があるのですが、お互いに言語と文字でやり取りするのは現状不可能、ということは解っていますので、ノートとペンを配ります。それに好き放題自分でかみ砕いた内容を書き記して、メモ帳としてお使いください。足りなければまだ予備はありますのでいくらでもどうぞ」


 それぞれにノートとペンを配る。ユミルだけ置かれた瞬間ビクッと反応したが、初めてあった人に近づかれるなら仕方も無い所だ、決して知らないおっさんに近づかれてセクハラ! とか思われていないと信じよう。


 ユミルと対照的に、サムエは早速ペンの書き味のほうを確かめているらしく、何やら読み取れない言語を書き記し始めた。こっちのやる気は十分みたいだな。セノも猫から人型になって文字を書き込む準備を始めた。


「では、説明させていただきます。まずはネアレス、ユミル、サムエの御三人には、はるばる海外の……この星で言うところの遠い所からわざわざこちらへ来てまでダンジョンを増やす計画に参画していただきありがとうございます。詳しくはこちらの長である真中から長々と説明と演説をしていただくところですが、夜ですし出来るだけ手短に済ませる意図もありますのでそれは省略します」


 画面の前でうんうん、と頷いている真中長官。どうやら喋ってもいいけどそれよりも向こうの情報を聞きたい、という欲求のほうが上なのだろう。俺の真中長官は置いといて作業に入りましょうという流れにも逆らわず、画面の前で皆をそれぞれ見定めている。


「セノとリーンにも、こちらへの呼び水となる場所を作ってくれたことと、説得に向かってくれたことを同じく真中に成り代わってお礼申し上げます」

「形式的にはこのぐらいで良いじゃろう。我にとっては知らぬ仲というわけでもない、挨拶は簡素に済ませておいて、実際の内容のほうに話を移そうではないか」

「そうなの、だいじなのはなかみなの」


 ネアレス、ユミル、サムエの三人も同じく頷いている。やる気はちゃんとある、と確認が出来たところで書類に目を通して再確認する。


「では、まずこちらで用意したダンジョンの建設予定場所五ヶ所が決まりました。それぞれ順番に説明していきますのでちょっと長くなりますが全部の説明をしていきます。まずは一か所目。ショッピングモール……つまり、食料品から服や工具、それぞれを扱う店が集まった商店街のようなものだな。潰れたその商店街の建物を再利用してそこの中にダンジョンを作ってもらうという案が二件ある。どっちも人口密集地とはまではいかないがそこそこの人口を有している場所にあり、自動車……自動で動く馬車だと思ってくれればいい。それを駐車しておくスペースも充分に用意されているので、人を集めるには好条件な立地だ。乗り合い馬車なんかも豊富に通っているから、人が来ないという可能性はほぼゼロに等しいと考えてくれていい。近所にも探索者が住んでいるだろうから、目新しいものがそのダンジョンにあるならば喜んでその新しいダンジョンに通ってくれるという可能性は高い」

「集客効果はあるのになぜそんな所がダンジョン候補地なのじゃ? ダンジョンなぞ作らずとも人がおるのではないのか? 」


 セノがもっともらしい意見を出してくる。


「実は同様の施設が近くにもう数件あってな。客の奪い合いで負けた施設が赤字で店の一部を閉めたんだが、新規の出店する店を捻出できずに今に至る、という理由がある。その客を復活させるための一つの手としてのダンジョン誘致なんだ」

「なるほど、探索者が通えば帰りにでも店に寄る、しかも稼いで帰った後なので財布のひもはそれなりに緩くなっているだろう、という目算じゃな」

「そういうことになる。一件目についてはセノの言う通りなんだ。ただ二件目の、もう一つのショッピングモールについては少々事情が異なる。こっちは周辺人口が減りすぎて赤字になって店を閉めた、ということになる。こっちは探索者が引っ越してくることによる生活需要が生まれてそれを起爆剤にしてうまくダンジョンを基準にした地域の活性化が出来ないか? という形での候補地になる」


 それほどいい立地ではないが、今後を見越すと良いダンジョンになる可能性はある、という希望的観測と社会実験の一つとしてのダンジョン建設案だ、ということを言ってしまうことにする。黙っていて後でだましたな! と悪い感情を抱かれるよりは話しておいてその上で他の選定地を選ぶということもできる。

「もし人が来なったらまた我みたいに放置プレイになるのかのう? 」


 セノがぼやく。セノは三年半放置プレイを決め込まれた経験がある以上、ちょっと不快感をあらわにする。


「今回はその心配は薄いと判断している。一つはダンジョンの構造だ。みんなにお願いした通信とエレベーターの標準装備、それとダンジョン庁から出されたトレジャーダンジョンという新しいシステム。この三つの武器があればどこのダンジョンも人が集まるポテンシャルは充分に持っていると考えられる。それに、今回ダンジョンが出来たらダンジョン庁から大々的に発表して、ここに新しくダンジョンを作ってもらいましたから皆さん揃って探索に励んでくださいと大口を叩けるようになる。既存のダンジョンが見つかったわけではなく、新しいダンジョンをダンジョン庁と協調路線で運営していく形が既に整っている。よほどのことがない限り新しいダンジョンという面では盛り上がるんじゃないかと推測している」

「その、もしダンジョンがうまくいかなかったら、何かあったりしますか? たとえば、ものすごく早く攻略されちゃったとか、逆に人気がなくて人があんまり来ないとか」


 ユミルが心配そうに質問をする。入力を終えた芽生さんの後に真中長官が発言する。


「その心配はしなくていい。こちらから声をかけていま人が少ないからダンジョンの宝箱も取り放題だしストレスなく探索が出来るとなれば、今同じ場所で稼いで行くよりも確実に儲かる道が見えている、とダンジョン庁のほうで発破をかけることができるからね。私たちの要望は出来るだけお互いの目指す点が同じところにある……つまり、我々はダンジョンの資源、魔結晶やポーションや他のドロップ品にお金の価値を持たせることでダンジョンから持ち出させる。ダンジョンマスター側は、魔素をドロップ品の形で持ち出させる。利益は一致しているんだ。後はコマーシャルをどのようにしていくかで決まるのだからそこはダンジョンマスターの責任ではなく、うまく世間に発表できない我々ダンジョン庁側の責任、ということになるだろう。だから気にしなくていいよ」

「そ、そうですか……なら、私頑張れるかもしれません」

「ユミル、これはあくまでまだテストの段階です。これから長い時間をかけて皆さんと頑張っていく最初の一歩なんですから、気負わなくてもいいのよ」


 ネアレスがユミルにそういって元気づける。姉妹っぽい関係だけど犬耳とうさ耳の姉妹というのも不思議な感覚ではあるな。


「他の三ヶ所も説明していこうか。順番に決めていくわけじゃなく、全部の場所を伝えた上で、それぞれが何処を担当するのか決めて行ってもらいたいからね。出来れば全員が納得するだけの場所を選んで候補地にしたいところだけど、もしここではダメ、と言うなら別の案もあるからそこは安心してくれていいよ」


 一応、五ヶ所以外にも選ばれなかった場所があるらしい。そっちもついでに書類に含ませてくれればよかったのに、とは思うがせっかく別の案があるなら、後で聞いておきたいところである。


「次の場所を説明する。さっき自動車と言ったが、自動車が高速で走るための専用の道がある。その降り口にダンジョンを立てるという案が一つ上がっている。説明が難しいことは出来るだけ省くが、遠くからの通いでも短時間で到着することができる場所にダンジョンを設置する、ということになる。ここに関しては土地の問題はない。自動車の駐車場も充分ある。他の店やホテルはまだないが、評判を聞きつければ何処かの企業……商会が建設しに来るかもしれない。周辺発展を見込んでダンジョンを立てるというのはさっきのショッピングモールの二件目と似たようなものだな」

「なるほど、その降り口周辺は何もないんですか? 」


 サムエ君が活発に意見を申し立てて来る。書類の写真を見せて確認させる。


「このような鮮明な絵があるんですね! やはりこちらの技術は凄い……でも確かに何もないですね。ちょっとした建物があるだけで残りは畑に見えますね。なるほど。ダンジョンの美味しさに全てがかかってくるってわけですね。探索者ってそんなに流動的に動くような物なんですかね? 前に僕が居たダンジョンだと、深くまで潜ってくる探索者の顔って大体同じだったようなイメージ有りますけど」

「まあ、それはそうかもね。ただ、一旦深く潜ってしまえばその後も続いてくれる可能性が高いって意味では全ての場所にとって同じであるし、新規のダンジョンだから人が来ないかもしれない、というのも同じぐらいの確率で存在する。どうなるかは実際に動かしてみて、それからじゃないと難しいってところかな」

「なるほど。僕らはいうなればその第一歩ってことですか。同じ場所じゃなくて違う場所にダンジョンが立っても固定客をつかめるかどうか、そのあたりを調査してデータとして蓄積させていくわけですね? 」


 サムエ君は頭も回るな。こっちの意図をある程度察してくれているようだ。真中長官も画面の前からうんうんと頷いていて、おおよそこっちの意図は通じているんだ、という意思表明をしている。


「だいたいそんなところだ。ここまでの説明で疑問点や聞いておきたい点はあるだろうか? 」

「かいそうは、なんかいそうぐらいまであればいいの? ぐたいてきなかいそうのいけんがあればさんこうにしたいの」


 リーンが手を上げる。リーンのノートにはこれまたよく解らない文字が書き連ねられている。その文字が正しく向こうの文字として認識できるのかどうかが解らない以上、リーンなりに頑張っているのであろうことは察せられる。


「そこについては出来るだけ深く、というのがこちらの希望だ。小西ダンジョンほどじゃないにせよ、他の踏破されたダンジョンの階層である三十八層より深ければ当面問題はないと考えている。それに、深く潜り始めてからでも新たに階層を増やしていくことができるのは他のダンジョンの例からして認められているため、とりあえず目安は四十四層辺りまで作っておいてくれると助かるが、厳しいかな? 」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
> 男の子」 ほう > うさ耳」 ロップイヤー確定 > ガンテツを思い出し」 気まずい気分になるおじさん > 人が集まるポテンシャル」 差別化をしていくダンジョン > 決めて行ってもらいたい」…
鮮明な絵かあ 写真かそれに近い魔法の道具みたいなものはなかったんですかね? 立地や周辺環境も見せた上で気に入ってくれる場所があればいいんですが
( ◠‿◠ ) 向こうの文字で書かれた文章とか言語学者が大喜びしそう
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