表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十六章:ダンジョンシティ構想

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1265/1304

1265:お小遣いとダンジョンマスター会談のおねだり

 朝だ。今日も体調は非常によろしい。天気もよろしい。布団の具合も非常によろしい。つまり、今日はダンジョン日和だ。うーんと伸びをして起き上がると、朝食のトーストを焼き、目玉焼きを両面焼き、キャベツをピーラーで千切り風にする。いつも変わらぬこのラインナップに、今日は昨日買ってきた単品パンがいくつか。今日も朝からガッツリ食べて探索用のカロリーをしっかり取っておこう。


 温めるものはレンチンして、熱さを損なわぬままに庭ダンジョンへ。誰にも邪魔されることのない、リーンと食事の時間だ。


「ご飯だぞー」

「わーいごはんなのー」


 リーンがいつも通り現れる。流石にダンジョンの中、手を洗って来いとは言えないが俺は手を洗ってきたので問題ない。


「きょうはいろんなパンがあるの。さすがやすむらなの」

「きのう買い物に行って来たからついでに買ってきたぞ。好きなのを選ぶといい」

「どれにしようかまようの……とりあえずいつものやつをたのむの」


 そういうと、自分でトーストにジャムを塗り始める。リーンもジャムトーストの魔力にすっかりはまってしまったらしい。


 カレーパンはリーンに残しておくとして……俺も一つパンを選んで適当に食べる。温め直しだが味は落ちていない感じがする。保管庫であまり時間が過ぎてないおかげでもあるだろうな。


「カレーパンはやっぱりおいしいの。おにくがごろごろなの」


 お肉ゴロゴロがお気に入りらしい。お肉ゴロゴロのカレーパンは今後も見かけたら買ってリーンに喰わせてやることにしよう。


 しかし、最近トースト以外にも色々食べているおかげか、少しだけちょっとお肉が付き始めてきたような気がする。昼食の量を調節するなりして何か考えて行かないといけないが……いや、でもエネルギー切れを起こして昏倒することに比べたらうっすら脂肪が付いている方が健康的ではあるからな。ちょっと多めのカロリー消費を心がけておいても良いし、いざ気になってきたらまたカロリーを減らしていけばいいはずだ。


「んー、このパンもおいしいの。またかってきてほしいの」

「食パンが無くなったら買い出しに行くからな。その時までしばらくお預けかな。後は店に売ってなかったら悪いけど買ってこれないぞ」

「そういうむりはいわないの、レディはひきぎわをこころえているの」


 ないときはないで良いらしい。無理に店を数軒回る必要がないとわかったのはありがたいところだ。安心して食事を再開する。今日は芽生さんも一緒だから昼食を用意しなければならないな。何を作ろうかな。安牌でカレーにするかな。そうと決まれば材料を用意してとっとと煮込みに入らないと少し遅れてしまうか。


 さっさと食事を終えると、リーンとごちそうさまをして机を片付け、家に戻る。炊飯器をセットしてザクザクと材料を切りそろえる。煮込み時間を減らすためできるだけ小さめに材料を切って、タマネギの事前炒めはなしにする。今からあめ色タマネギを作っていてはカレーを作っている間に昼になってしまうからな。その代わり玉ねぎはみじん切りにして炒め時間を短くできるようにしておく。


 肉を……肉は何にするか。チキンカレーの代わりにグリフォン肉でも良いが、お高いのをちょっと使うのは気が引けるので、今日はボア肉だな。玉ねぎを炒めてタマネギに火が通ったらボア肉を細切れにして焼いて、肉のうまみをタマネギと油に移す。その後で具材を一気に入れ込んで水を足して加熱。ちょっとアクを取ったらカレールゥを入れて弱火で時間ギリギリまで煮込む。


 後は時間一杯まで煮込んでしまうことにして、その間に着替えて洗濯をして干して……と時間内で出来る範囲の家事を同時にこなしていく。洗濯はウォッシュでも問題なく出来ると言えばそうなんだが、気分的に洗いたいときは洗うことにしている。特に下着関連はウォッシュで綺麗になっているのは解っていても、精神的な部分というか、忌避感みたいなものがあるのでそっちは必ず洗うことにしている。


 一通りの家事をこなしてカレーの煮込み具合を確認。良い感じにとろみが出てきている。シャバシャバカレーでなくなっていれば具材のほうにもしっかり熱が通ったことを確認できる。念のため一つ口に入れて確認。うむ、染み込み具合はまだまだだがしっかりと柔らかくなっている。


 一応完成ということで火からおろし、炊飯が終わっていた炊飯器もそのまま保管庫に入れていつも通りカレーライス定食の完成だ。後は……サラダを作るかどうかだが、今日は作っておくか。キャベツをザクザクとピーラーで千切りにして人参ときゅうりをスライサーで削り、謎ドレッシングを……丁度使い切ったな。また今度買い足しに行くか。


 柄、ヨシ!

 圧切、ヨシ!

 ヘルメット、ヨシ!

 スーツ、ヨシ!

 安全靴、ヨシ!

 手袋、ヨシ!

 籠手、ヨシ!

 飯の準備、ヨシ!

 嗜好品、ヨシ!

 車、ヨシ!

 レーキ、ヨシ!

 保管庫の中身……ヨシ!

 その他いろいろ、ヨシ!


 指さし確認は大事である。さて、出かける準備は出来た。ちょっと中途半端な時間にはなるがもしかすると一本早くバスに乗れるかもしれない時間だ。芽生さんと同じバスになるかもしれない。家でうろうろしているよりも建設的だと思うので今日はさっさと出かけることにする。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 やはりバスで芽生さんと出会った。芽生さんは珍しいものを見る様な顔でこちらを見ている。


「おはようございます。早いですね」

「今日は一本早く出れた……洗濯もしたし料理もしたし、やれることは一通りやってきてのこの時間だから家事の手際が良くなったことは間違いないらしいな」

「昼食が手抜きだったりしませんか? 何を作ったかまでは解りませんが」

「今日はカレー曜日だよ。確かに時短はしたな。今日は具材が細かいから食べた感じという意味では手抜きに思われるかもしれん」


 たしかに手抜きと言えば手抜きだ。大き目具材をゴロゴロさせたままじっくり煮込んで、柔らかくしてからカレールゥを投入して煮込み、一晩冷蔵庫で寝かせて翌朝温め直したカレーに比べたらそれは手抜きと言わざるを得ない。


「まあ洋一さんのことですから食べられないものを出してくることはないと信頼してますのでその辺は安心ですが。あまり珍しいことをするとなにかしら失敗するかもしれませんよ? 充分注意してくださいね」

「信用ないなあ。逆に何かすごいものを拾ったりするかもしれないぞ? スキルオーブドロップの可能性すらあるかもしれん。何事も前向きにとらえることが大事だ」


 と、レインだ。真中長官から来ている。タイミングがいいな。こちらが潜るタイミングは大体把握されている、と考えていいんだろうな。


「こっちで決めた五ヶ所の候補地が決まったので小西ギルド宛てにデータを送っておいた。受け取っておいてほしい」


 ふむ、決まったか。五人分……リーンとセノの分も含めて、ネアレスとまだ顔を見たことがない二人のダンジョンマスターの分も込みで選定をして場所を決めた、ということだろう。


「追伸:出来ればこっちとダンジョンマスター五人と顔を突き合わせて話し合いたいところだけど、難しかったらいいよ。可能だったら日時を決めて第三回会談と行こう」


 追伸のほうが大事な情報だった。いずれリーンのダンジョンで全員顔合わせの上で俺が口頭で説明しなきゃいけないのだから、その日付と時間を決めて真中長官に伝えて、その場で話し合い、という形にするのがベターってところか。さては断れないと思って追伸にしたな、という気がする。


「どうやら潜る前にまた一仕事あるようだ。まあ、どうせ査定カウンターには用事があるし、ついでに寄っていくことにするか」

「査定カウンターに用事ってことは、何かのサンプル品の査定価格が決まったんでしょう? ちょっとしたお小遣いですかねえ」

「査定価格はまだ解らないけど、とりあえず預けてあったサンプルの分の金額だけは戻ってくるらしいから、それの受け取りのために芽生さんと潜るまで待ってもらってたんだよね」


 受け取りの際は査定カウンターに言づけておくということなので、直接査定カウンターに行っても問題ないだろう。芽生さんが着替え終わってから受け取って、それからダンジョンへ潜る流れで良いな。


 バスが小西ダンジョン前のバス停に到着し、バスを降りる。芽生さんはそのまま着替えへ向かうはずなので、着替えが終わるまで俺は休憩室で待つことにしようかな。


「とりあえず臨時収入があることは理解しました。着替え終わるまで休憩室で待っててください」

「こっちはギルマスのほうの用事を済ませてくるからゆっくり着替えておいで」


 支払いカウンターでギルマスが居るかどうかを確認。まだ居ないらしい。これは書置きを残しておいて、帰りに回収するパターンでスムーズに物事が進むかな。ギルマスルームに入り込むと、書置きを残しておくことにする。


「真中長官からデータが送られていると思うので、印刷して用意しておいてくれませんか。帰りに取りに来ます 安村」


 これをデスクにおいておけば気の利いたギルマスなら用意してくれることになるだろう。これでよし。一階に戻ると、芽生さんは万全の状態で待ってくれていた。着替え結構速かったな。


「さあ行きましょう。今日は続きです。階段を発見するべく頑張りましょう」


 いつもの芽生さんにしては気合充分。なんだか今日はいつもよりやる気である。


「なんかあったの? やたらやる気に満ち溢れている気がするけど」

「実は、【水魔法】が買えたので一つ強くなったところなのですよ。試運転が楽しみで仕方ないんです」


 なるほど、そういうことか。さて、芽生さんの試運転はさておき、まずは査定カウンターへ用事を済ませておくか。査定カウンターはいつもの松川さんが座っている。


「おはよう、ギルマスから支払いの件聞いてる? 」

「おはようございますー。えーとですねー……あぁ、書類で回ってきてますねー。二等分で良いですかー? 」

「うん、二等分でお願い」


 少し待って、二等分されたレシートの金額が出て来る。二千二百五十万。百本預けてあったはずだから……一本当たり五十万円ってところか。査定金額とは別とは言われていたものの、豪快に買い上げてくれたもんだな。そのまま支払いカウンターで振り込みを依頼。朝の小遣いとしてはまあまあ悪くないな。


「仕事する前にお小遣いをもらえたのは良い感じですねえ。今日も張り切っていきましょう」


 更にやる気に満ち溢れた芽生さん。今日は何かいいことがるかもしれないな。幸運は稀によくあるという感じで続くことがある。このまま探索も上手いこと回ってくれることを願っておくか。


 いつも通り入ダン手続きをしてからの茂君ダッシュ、そして七十層へ向かう。


「そういえば、ダンジョンマスターにお願いする場所、決まったらしいよ。現状五人分らしいけど」

「五人分って言うと、セノさんやリーンちゃんの分もあるってことですよね。フリーのダンジョンマスターが一人も居なくなるって事になりますか。それはそれで少し寂しいことになりそうですね」

「まあ、そうだな。毎朝の報連相が無くなるって意味では少し寂しくなるが、食費が浮くようにはなるかな。二人分の朝食作るのも慣れてきたところなんだけどなあ」


 リーンを餌付けするのはなんだかんだでなかなか楽しかった。


「寂しいなら私が住みましょうか? 半同棲ってことでリーンちゃんの代わりに私が毎朝ご飯を食べに、なんなら夜も一緒に居ますよ? 」

「そっちに不都合がなければそれもありだな。大丈夫か? 大学に通うのに遠くなったり定期の学割が効かなくなったり不都合は生じないか? 」

「今更学割が使えようが使えなかろうが、収入から考えたら微々たるものですから気にしなくていいですよ。それに家賃も同じです。家が二つになったと考えたら悪い話ではないですからね。朝食が自動で出てくる環境、実家以来で中々楽をさせてもらえそうです」

「たまには作ってくれてもいいのよ? 芽生さんの心と手間の籠った手料理も味わってみたいと思う」

「そこは考えておきます」


 もうちょっと頻繁に来てくれてもいいんだけどな……家に来い! とこっちの意思を伝えるわけでもないのでやんわりとだが、そう伝えておくことにする。


 言葉にしなきゃ意味がないとは言えるものの、呼び寄せて一緒に生活していく……いずれはそういうことにもなるのかもしれないが、その前に同棲してお互いの役割分担やそれぞれの得意不得意や性格の不一致なんかを確かめておくのも必要だと何かで読んだことがある。


 その第一歩としてカギを渡しておいたんだが、あまり有効活用されていないところを見るとよほど用事がないのか、今の自分で満足していてそこまで気が回っていないのか、それ以上にやりたいことがあるのか。何にせよ、焦ることはない。ゆっくりいこう。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
玉ねぎや根菜類は電子レンジで加熱しておくと調理時間短縮できますよ~ 飴色にはならないけど。 そして以前から言われていた(一応)部外者である安村さんがギルマスルームに勝手に入れるのは違和感がある。 町工…
やったことないけどカレーの玉ねぎは切ってからレンチンした後に水を加えつつ炒めることで時間短縮できるって聞いたことあるな…
( ◠‿◠ )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ