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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十六章:ダンジョンシティ構想

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1257:六重化への道~布団は大好評~

 気持ちのいい朝、目覚め、そして今日は朝食を作らなくても既に調理済みのパンがある、という素敵な目覚めを得ることが出来た。アラームを掛けずに寝たのでいつもよりちょっと遅めの寝起き。おかげで身体はすこぶる快調だ。


 なにより、朝食を作らなくていいというのが朝の負担を和らげてくれてとてもいい。なんだかんだで楽しみにしている飯だが、たまには自分で作らなくてもいい朝があってもいい。そう思う。


 保管庫から温めるパンを取り出しレンチンして良い感じにすると、庭のダンジョンへ入り、リーンを呼び出す。


「今日の朝ご飯は色々選べるぞー」

「おはようなの。えらべるというのはどういう……これはおいしそうなの。やすむらがつくったの? 」

「昨日買ってきたものだ。残念ながらお手製ではない。でもどれも美味しいぞ」


 リーンの前にプリンパンをそっと置いてやる。リーンは手が汚れないようにしつつ、食べる。


「あまいの、それでもってやわらかくておいしいの。いいしごとしてるの」


 やはり気に入ってくれた様子だ。そのままモニュモニュと食べ続けている。俺も一緒に買ったサンドイッチとごぼうサラダパンをメインにして一つずつ味を確かめながら食べる。


 サンドイッチはオーソドックスだが基本をちゃんと抑えていて中々美味しい。何より、専用でここでパンを焼いて挟んでいる点がポイントが高い。スーパーの総菜売り場のパンとは一味違う美味しさを提供してくれている。


 ごぼうサラダパンはきんぴらごぼうにマヨと何かのソースを足したような食感だが、不思議とマッチしている。キンピラのシャキシャキ感が歯を喜ばせてくれてこれも中々に美味しい。


「もういっこたべていい? 」

「好きなのを選んでいいぞ」


 リーンがもう一つ、カレーパンを手に取ってサクサク具合を確かめながら食べている。


「辛くはないか? 」

「ピリッとしてるのがまたいいの。リーンこれきにいったの」


 リーンは辛いのは大丈夫らしい。ダンジョンマスターはみんな甘党というわけではないらしい。一番辛いのが苦手そうなリーンが平気でカレーパンを食べているのはちょっと不思議な感覚でもある。


 二人満足するまで食べ終わったところでリーンと相談、昨日起きた出来事について聞いてみる。


「実は昨日【雷魔法】の六重化にチャレンジしたんだが、どうも失敗したらしくてな。リーンは何か心当たりはないか? 」

「ろくじゅうか……むっつめのオーブをしゅうとくしたってことなの? なるほどなの……ネアレスいるの? 」


 リーンは虚空に向かってネアレスの名前を呼んだ。リーンよりもそっちのほうに詳しい、ということだろうか?


「はい、なんでしょう」

「やすむらがへんらしいの。ちょっとみてやってほしいの」

「変ではないんだけどな。ただ、【雷魔法】の六重化にどうやら失敗したらしい、というだけだ」

「六重化ですか……ちょっと失礼しますね」


 ネアレスが俺の額を直接触れて、いつものダンジョンマスターが俺の思考内を覗くようないつもの仕草をする。隣から何か花のいい香りがするな……安らぐ香りだ。ダンジョンマスターも香水つけるんだろうか。


「なるほど……大体わかりました。理由もこの場で言うことは出来ますが、安村さんは覚悟がありますか? 」

「覚悟の要るものなの? それ」

「まあ、一応はそうなります。結論から言えば、安村さんの【雷魔法】は六重化されていません。スキルオーブは無駄に消費した、という形になります」


 無駄……六千万をドブに捨てることになったわけか。残念だが、理由は知っておきたいな。


「原因は何だったんだろう。五重化までしか人体は対応していないってことなんだろうか」

「安村さんの解りやすいように解説しますと、【雷魔法】の五重化に対する習熟度がまだ六重化するほどのものになっていなかった、というのが原因になります」

「ということは、もっと使いこなして五重化に体を慣れさせることが出来なければ六重化は出来ない、と考えていいのか」

「そうなります。まだ伸びる余地があるとも言い換えられますね。なのでこのまましばらく戦い続けてみてください。多分、これ以上伸びしろがない、もしくは何か掴んだ、と体が自然に感じるポイントが必ず出てきますので、その時に改めてスキルオーブを手にしてみてください。そうすれば、きっと六重化することができるようになると思います。五重化までは問題なくスキルを鍛えられるようにはなってますが、それ以後に関しては探索者さんご本人の努力がないとたどり着けない領域、という風に考えていただけると助かります」


 ふむ……使いこなしが大事なわけか。まだ俺が六重化するにはヒヨッコだったってことだな。だが、大事な情報を得ることは出来た。これはダンジョン庁に共有しておくべき情報だな。


「解った、わざわざありがとう。せっかくだから好きなパンを持っていくといいよ」

「ふふ、では一つごちそうになりますね」


 ネアレスはそう言うと、アーモンドの形をしたパンと、グラタンパンとハンバーグパンの三つを持って転移していった。わざわざ解説のために出てきてくれてありがとう。


「そういうことなの」

「今の話題ならリーンでも説明できたのではないか? 」

「せっかくだから、おいしいパンをネアレスにもおすそわけするりゆうがほしかったの。あっちもあっちでがんばってくれているから、リーンなりのねぎらいなの」


 なるほど。次のホットドッグ型のパンをかじりながら、【雷魔法】の習熟度について考える。グリフォンをワンパンでスタンさせられるようになれば六重化も夢ではなくなるのかな。そう思うと俄然やる気が出てきたな。出力を極大にして出来うる限りの、全力雷撃の更に上の全力雷撃を撃ちこめるように調整をしていくということでおそらく合ってるんだろう。方針が決まれば後はちょっとずつ実行するのみだな。


 食事を終えてメロンパンのおやつをリーンに渡すと、机を片付けて家に戻る。家に戻った後で真中長官に報告。今のところ……今のところそこまでしか解っていない、という体をとったほうが色々世の中には都合がいいだろうな。


「スキルオーブの多重化は現状五重まで。それ以上は特殊な条件が必要な模様。六重化を試したけど失敗しました。六千万円がドブに消え去りました」


 こんなものだろう。これで同じように無茶をやる奴は居ないはずだ。後は周知されていくまでに少し時間がかかるだろうが、五重化が現状効率では最大、ということが伝わればいい。と、すぐに返信が来た。


「それは残念な結果だったね。でも、スキルの謎の一つは解明されたってことかな? お疲れ様」


 向こうも労いの言葉をかけてくれた。まあ、俺の収入からすれば微々たる金額ではある、ということは真中長官は知っているであろうからその点も含めて情報の出どころも隠してくれるだろうし安心かな。


 さて、今日は休みだ。休みにやることと言えば、布団の素材の配達だな。今日も十五キログラムと六キログラム、ガレージの社用車に用意して、少し時間を待つ。開店時間になったところで電話。いつも通りの量を持っていくと伝えると、向こうも忙しいのか、後ろで騒がしく聞こえる音もほのかに聞こえるが有り難いとの申し出を受けた。


 早速社用車を転がして布団の山本へ。到着して中の人に伝える。


「安村です、羽根の納品に来ました」

「お聞きしております。店長はただいま立て込んでおりまして、代わりに対応させていただきます」


 いつもは店長自らが出て来るが、今日は忙しいらしい。代わりの店員が対応をしてくれるらしく、奥に声をかけていつもの人々が羽根の受け取りに出て来る。


 順番にいつも通り品物を出していく。ちゃんと切れ間でここからスノーオウルと切り替えをしてもらって、全商品を渡し終えたところで中で待たせてもらっていると、いつもの羊羹が二個出てきた。有り難く頂いていると、奥から従業員が出てきて書類を置いていった。どうやらいつも通りの金額、重さで問題ないらしい。


 羊羹と温い茶を頂いてのんびりしていると、山本店長が忙しそうにしつつも顔合わせにこっちへ来た。


「忙しいようで何よりですね。この様子だと次の納品も早くしたほうがいいですかね? 」

「どうも安村様。正直なところ在庫があるならもうひとっ走り行ってきてもらいたいぐらいですね」

「そこまでですか。やはり冬に備えて……という来客が来ているとみていいんですかね? 」

「そういうことになります。在庫のほうがあるなら今日中にでも納品してもらってもいいぐらいですよ」


 ふむ……山本店長には解らないようにこっそりと書類を読むふりをして保管庫の中身を確認する。後二往復ぐらいはできる量は貯まっているな。


「もう一回分ぐらいならあるかもしれません。戻って確認してきましょうか」

「お願いできるならそうしたいですが、お忙しいのによろしいのですか? 」

「まあ、今日は休みですしこの後何か予定があるわけではないですからね。善は急げとも申しますし、早速持って来ましょう」

「助かります。本当にありがとうございます」

「では、早速家に取りに帰って戻ってきますよ。書類は二回分まとめて納品ということでやっておいてくれると助かります」


 山本店長にでは行ってきますと頭を下げて、羊羹を口に放り込んで茶を飲み切ると、早速家へ帰り、そのままガレージへ車を突っ込むと羽根を補充、再度布団の山本へ到着。久々に長めに車に乗ってる気がするな。最近はここにでも来ない限り車を長く運転することもなくなってきたな。


「お待たせしました、再搬入お願いします」

「ありがとうございます。早速手配いたします」


 また搬入作業を手伝い、合計三十キログラムのダーククロウの羽根と十二キログラムのスノーオウルの羽根を納品した。伝票は今日の分としてまとめて精算してもらうことになった。振り込みはお任せしているので、振り込みを確認次第メールで領収書を切る、ということになっている。


 納品処理を終えて再び応接場所へ座ると、また羊羹が出てきた。今回は一切れだけだったが、わざわざ御足労をおかけした、という意味での一切れなんだろう。二切れ出てきても俺は一向にかまわんがちょっとカロリーオーバーになるところだったかな。ともかく頂いて、また温めに淹れてもらってある茶を飲む。


「ふぅ……久々に車をちゃんと運転した気がしますよ。たまにはしっかり運転しないと腕が鈍りそうでダメですね」

「本日はお手間をおかけして申し訳ありません、でも、ありがとうございました」

「もともと今日は一日オフで午後は何もスケジュールを入れてませんでしたからね。ちょうどいいと言えばちょうどいいタイミングでしたよ」

「今回はお礼の申しようもありませんね。おかげでかなりの数の注文をさばけそうです」


 とりあえずダーククロウの羽根も三十キログラムあれば……四割は材料に出来ると言っていたのだから十二キログラム。全部羽毛布団にしたとしても十枚から十二枚ぐらいは作れる計算になる。混ぜ物をすればもっといくだろうから安心できるな。


「ともかく、間に合って何よりでしたよ。この冬の寝心地がまた人気を呼んで需要が増えることになりそうですかね」

「そうなるかと思います。今年も従業員にはボーナスには期待をしておいてほしいものですね」


 後ろでガッツポーズする店員に思わず苦笑いしながらも、仕事があって忙しくてそれできちんと給料がもらえているなら何よりだ。ここの店の経営はうまく立ち回っているらしいな。


「それでは、今度こそ失礼します。またダンジョンに通って貯めておきますね」

「またよろしくお願いします。緊急の際は連絡を入れさせてもらいますので、その時はどうかご承知願います」


 送り出されて布団の山本を出る。さて……昼時だが、何処かのファミレスに行くか。朝食べたパンはまだ保管庫に残っているのでこれを消費するか……でもそうなると夕食は作ることになるよな。むしろパンを夕食かおやつにでも回して、せっかく出掛けているのだから外食で済ませるほうが効率的だな。


 さて、どこに向かうかな……近場だといつものチェーン店になるがそこでいいか。普段頼まないメニューにチャレンジしてみるのがいいな。夕食はパンだな。もしくは何か作るか……ああ、腹が減り切らない内にとっとと店に行ってしまおう。腹が減ると運転にも支障が出る。まずは近場で良いからとにかく胃を満たそう。それまでは保管庫のコーラを軽く飲んで緊急糖分補給だ。さあ、店に行くぞ。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
リーンが管理職みたいなことしてる? 同僚をちゃんと労う気遣いができるというのはいい子ですね。
ごぼうサラダパン美味しいよね わかる〜
最近熟練度稼ぎのブートキャンプサボっていたからね
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