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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十六章:ダンジョンシティ構想

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1249:七十二層階段探し

あの時助けていただいた地蔵です ~お礼は俺専用ダンジョンでした~

https://ncode.syosetu.com/n1273lk/

こちらもよろしくお願いします。

 七十一層側の階段に着き、車を降りる。ガソリンの量は……まだあるな。しばらくはダンジョンで乗り回しても問題ないだろう。危なくなってきたら自宅で車を出してガソリンを補充してガソリン代は全額経費。きっちり車を使い分けられる出来る男になるのだ。


 タイヤ痕も問題なし、ここまで車で来たと解るような痕跡もない。この階層ではしばらく楽が出来そうだな。何もないセーフエリアで車をかっ飛ばして移動時間を短縮できるのは体力の損耗を考えても充分に働いてくれている。


「さて……行くか」


 車の運転から解放されて軽めのストレッチをして、体の動きに問題がないことを確かめてから階段を下り、七十一層へ足を踏み入れる。


 踏み入れた瞬間赤くなる自分の真上に表示される点。前回も同じだったが、ここは階段を下りてすぐ戦闘になる。そして向かってくるのはサメ、というのも同じらしい。真上に向けて全力雷撃を撃ちこみ、サメを一発で黒い粒子に還す。空中でドロップをキャッチして保管庫へ仕舞う。今回はフカヒレはなしか。


「奇襲があると解っていれば対処はいくらでも方法はある、ということを一つ学んだな」

「前回も似たようなことしてた気がしますが、階段下りてすぐに奇襲に入るのは心臓にちょっとだけ悪いですね」

「毎回階段周りは安全にしてたら緊張感がない、というミルコの知恵かもしれない。ここは必ずサメの奇襲が来る、そういう位置であると解っていて、簡単に対処できるなら問題ないさ」

「さて、南に向かうか。この小さなクレーターを通り抜けたところで前回のおさらいついでにドローンを飛ばそう」


 南のクレーターを渡り切るまでには複数モンスターが空を飛んでいる影が見当たっている。ドローンを飛ばすまでもないが、グリフォンも何匹かは居るはずなのでリベンジバトル兼確実に勝てる方法の構築を試すために出会ってくれないと困るモンスターだ。


 サメとエイについてはそれほど問題にならないようにはなった。どちらも一撃で倒せないこともないし、一撃入れて芽生さんに止めを刺してもらう形でもいい。逆でもいい。前衛後衛ではないが、作業のスイッチが出来るのは結構大事なポイントでもある。


 早速一歩を踏み出そう。奥まで続くほの暗い空を、どこからきているか解らない光源に反射された惑星のそのまた反射された光りがぼんやりと照らし続けている。その照り返しがあるので、モンスターが真っ黒でない限りは飛んでいるかそうでないか、ぐらいの見分けは付く。もしも夜目なんかのスキルがあればここでも綺麗な星空模様が見えるのかもしれないな。


 そんな綺麗な星空を邪魔するサメとエイが襲い来るので順番に次々倒し、やがてグリフォンのところまでやってきた。


「じゃあ、翼は片方落とすようにするのでその後よろしく」

「よろしくされました」


 グリフォンが高速で接近するところを片翼の根元を狙って全力雷撃、翼を片方やられたグリフォンが体勢を崩し、地面に着地する。その瞬間、芽生さんのスプラッシュハンマーが同じく狙ったところに着弾。着弾点からウォーターカッターが複数枚飛び出し、グリフォンの首をスパッと落とし、胴体部分にも切れ込みを入れていく。


 グリフォンは首が落ちれば確実に倒せることは前回の探索で証明済。そのままグリフォンは黒い粒子に還っていった。今回はドロップは魔結晶だけ。流石にいきなり肉も爪も、と良い感じにはつながってはくれないらしい。


「次を狙おう。今日丸一日巡ればそれなりの数倒せるはずだし、七十一層でこの密度でも七十二層は期待できると思う」

「その為にも階段探しですねえ」


 そのまま真っ直ぐクレーターを進みながらサメとエイ、時々グリフォンの相手をしていく。エイとサメとグリフォンの割合で言えば一割ぐらいがグリフォンかな?という感じだ。モンスター自体の強さ的な問題か、グリフォンは生息していない。大理石マップの石像みたいなポジションにあたるんだろう。


 クレーターを渡り切り、芽生さんの索敵範囲でモンスターが居ないことを確認した上で再度ドローンを上げる。前回もここでドローンを上げたが、再確認だ。


 ここから南西に向かって岩石地帯があり、その向こう側に更にクレーターがある。クレーターの向こう側には大岩っぽい何かが存在することまでは前回確認した。今回はクレーターを乗り越えて岩石地帯に入り、そこのクレーターの向こう側に何があるのかを確認するのが午前中の作業だな。


「目標南西、小さなクレーターを越えた先の大岩の正体を見極めることにする」

「階段だと良いんですけどねえ」


 まだこの位置からではそれが階段なのか階段と同じ大きさの岩があるか、までの判断は出来ない。その判断材料を求める意味でも行くしかない。


 岩石地帯に向かって進む。地上のモンスターが居るならこの岩石地帯は遮蔽物も多く、非常に戦いにくい場面ではあるのだが、今回の敵は基本的には空中、しかも岩石が邪魔でサメも一旦地上に降りてきてから戦う、というパターンを取らないため、原則対空戦闘射撃になる。ひらひら舞うモンスターを相手にしなくてはならないため、芽生さんは非常に戦いにくそうにしている。


「ここは俺が一発目を撃つから、落ちてきたモンスターのトドメとドロップ回収に専念してもらった方が効率的かな」

「そうですねえ、無駄弾を撃って消耗するのも問題ですしそうさせてもらいますかね」


 俺が撃って芽生さんがトドメ。岩石地帯を抜けるまではそのコンビネーションで対応していくことになった。どっちも一手で済ませるので手間としてはそう変わらないが、ここはお互いのスキルの相性ということで納得してもらうことになった。


 グリフォンについては今までと同様に岩石地帯であろうとなかろうと芽生さんが止めを刺す役に徹してもらっている。そのおかげか、岩石地帯を抜ける前に芽生さんが身体強化の上昇を感じることが出来たらしい。やはりグリフォンは経験値的に美味しいモンスターなんだろうな。


 そう言う意味では俺もそろそろ身体強化の上昇が来てもいいかもしれない。ただ、ソロで散々六十四層で巡っている間に上がってる場合もあるので芽生さんとの差はある程度ある。俺が一回あがる間に芽生さんは二回あがるかもしれないな。


 無事に岩石地帯を抜けて、クレーターのところまで来たので小休止もかねてドローンタイム。ここまでほぼ一時間。周囲を確認してドローンを飛ばすと、大岩が階段であるらしいことが解ってきた。この大岩まではあと十五分という所か。今日の昼食はちょっとだけ遅めにとることになるかな。ともかく、七十二層までの道がある程度ハッキリしたことで後はモンスターの濃い所を探して日々の狩りの拠点と出来る場所を探し当てることができるかどうかがポイントである。


「階段みっけ。こっちで合ってたみたいだ」

「念のため階段まで行きますか? まだ体力的にも大丈夫ですし、帰りは湧きも少ないでしょうからそれほど消耗せずに帰れると思いますよ」

「そうだな。いざ近づいてみて実は階段じゃなくて階段に見えるオブジェクトだった! って可能性は排除したいしな」


 そのまま大岩のほうへ移動する。モンスター密度は相変わらずで、どんどん懐を潤してくれている。ポーションの出も良い。片道で一本出たなら帰り道にも一本出るだろう、と予測が付く程度には美味しい。これで午前中の収入は確実なものになったと考えてよい。


 グリフォンは相変わらず難敵だが、確実に倒せる手段というのが確立されたのでパターン外しが来ない限りは問題なく対処できる。これが索敵網ギリギリではなく、近距離スタートだった場合どう対応するかは多分次の階層へ行ってからの課題になるだろう。


 星空を見上げて索敵をしながらふと思う。この空、ちゃんと回転してるんだろうか? 今度星空をじっと見続ける機会があればそれを確かめてみよう。もしかしたらこの星空も固定で、マップの前後左右はループしていて……といういつものパターンだった場合、ロマンチックさが台無しでもある。


 そんなことを考える余裕も出てきた。やはり、体が階層に慣れ始めてきたんだろうな。エイが二匹づれでやってきたので近いほうから一匹ずつ雷撃で撃ち落とす。こっちに近づきながら撃墜されたエイを芽生さんが槍でトドメの一刺し。エイは一発で黒い粒子に還る。どうやらここのモンスターは総じて攻撃部分にあたる牙や爪以外の部分に関しては比較的柔らかい……前の階層のウィルスたちぐらいの防御力しか有してない可能性が高いな。


「そういえば芽生さんの槍って、名前は付けたの? 」


 ふと、俺の銘に圧切と勝手に名前を付けたのを思い出して、槍を片手にポーズを決め込みながらドロップ品を拾っている芽生さんに聞いてみる。


「付けてないですね。これからの活躍によって銘が決まるものだと思ってください、今は無名の銘、無名でしょうね」


 今のところ付けないが、何か機会が有ったりすればつける予定だそうだ。何か特別な事柄があればつける、という所だろうか。


「鮫切とかエイ切とかどうよ」

「イマイチですね。やはり今のところは無名のままでいきます。もしかしたら次のボス戦で大活躍してかっこいい名前を付けられる可能性もありますし」


 なるほど、次のマップが開放される時にはボスも居ることになるわけだ。リッチ倒す時に間に合ってれば不死切とかになってた可能性もある訳か。タイミングは大事ってことだな。


 そのまま会話をしながらさしたる緊張感もなく無事に大岩までたどり着き、大岩が階段であることを目視で確認した。とりあえず午前中の目標はこれで完遂したことになるか。


「よし、午前中の作業終了。七十層に戻って昼飯にしよう」

「無理に七十二層に行かなくても後の楽しみってわけですか。チラッとだけ覗いていきませんか? 」

「うーん……そうだな、チラッと覗いて降りてすぐにモンスターが出るかどうかの調査をしておくぐらいは悪くないかもしれんな。ここに下りてきた時みたいに奇襲されることも覚悟していこう」


 階段を下りてその場を確認するだけはやることになった。階段を下りつつ、索敵を最大限活用する。階段を下りてある一定の高さまで下りたところで、索敵に引っかかるものあり。やはりここでも戦闘になるか。


 階段を下り切り、すぐさま上空を見上げると、そこにはよりにもよってグリフォンとサメの姿が。


「グリフォン一、サメ一、優先グリフォン。あいつら喧嘩はしないんだな」

「了解、グリフォン優先、サメは回避行動でなんとかしのぎます」


 グリフォンもサメも同時にこちらを感知、すぐさま攻撃に移るが、先にこっちのほうが攻撃モーションに入っている。グリフォンの片翼に全力雷撃が当たったのを確認すると、サメを同じく全力雷撃。同時に襲い掛かられていたら対応が難しかったところだが、サメのほうが若干遅れて襲ってきてくれたおかげで多少なり余裕をもって迎撃することが出来た。サメはそのまま黒い粒子に還り、グリフォンは芽生さんによって首を切り落とされ、こちらも無事に倒すことが出来た。


「ふう、六十九層は置いといて七十一層以降は階段すぐにモンスターか、覚えておこう」

「これはテストしておいてよかったってところですかね。ご飯食べて帰って来た時も多分またでますよ」

「出ると解っていれば後は何とかなる、か。とりあえずそう思っておこう。さあ、飯食いに戻ろう……と、その前に芽生さんあれ見なよ」

「どれですか……おおおおお、これは凄いですね」


 そこに見えていたのは、美しいオーロラだった。遠くの空でオーロラが七色に輝いている。七十二層の見た目のギミックはこれか。……よし、ちゃんと写真も撮った。後で飯時にでも真中長官に送っておこう。


 階段を上がりなおして七十一層に戻り、帰り道をドローンで確認。ここから真っ直ぐ北北東へ向かえばいい感じに階段までたどり着けそうだ。芽生さん曰く、通ってきた道の通りにすっぽりとモンスターが湧いていない道があるらしい。そこを通って帰るのも悪くはないがせっかく歩くんだしモンスターが居るほうを選びたい。真っ直ぐ北北東に向かって多少なりともモンスターが居る方向へ寄っていこう。


 グリフォンが少しでも多く居てくれればそれに越したことはないんだが……そう考えながらも足取りは確実に、六十九層への階段のほうへ向かっている。きっちり途中のモンスターは倒しつつ、だ。グリフォンもサメもエイも七十一層の湧き密度ならまだ充分に戦うだけの余裕もある。


 俺もちょっとずつ腹が減ってきた。階段に到着する頃には良い感じに腹が減ってくるころだろう。そこで保管庫から取り出されるほぼ出来たてのグリフォン肉の回鍋肉。楽しみにしておこう。


作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
槍の銘は…空中戦してるわけだし、やはり[蜻蛉切]なんだろうか…? スキルのレベルを数値化するってのは、ダンジョンマスターに頼むのは…まだ 優先度が低いか…
> スプラッシュハンマー」 改めウォーターカッタースライム、君に決めた > 七十二層」 ドキッ、グリフォンだらけの七十二層 ポロリ(レアドロップ)もあるよ > 岩石が邪魔」 岩を投げてグリフォンを…
ドローン君はなんだかんだで活躍の機会がそこそこありますねー 今後も撃墜されないように頑張って欲しいですね
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