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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十六章:ダンジョンシティ構想

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1245/1255

1245:ダンジョン候補地選定

https://ncode.syosetu.com/n1273lk/

こちらもよろしくお願いします。

 書類を一つずつめくりながら俺自身も確認をしつつ、ネアレスに口頭で説明していく。ネアレスの下でダンジョン作りに勤しんでいるという残りの二人のダンジョンマスターについては、ネアレスから説明を入れていく……ということらしい。


「まずは、ショッピングモールの跡地……言い換えれば店がなくなって人が来なくなった寂れた商店街の大きな建物の中にダンジョンを作ってもらって、そこを経済活性化の起爆剤にしたいって話だね」

「ダンジョン街を本気で作ろうというわけですね。こちらのダンジョンでも周辺には鍛冶屋や食品店、宿屋、酒場、いろんなものが並んでいましたから、探索者の皆さんがダンジョンへ潜ったついでに寄って行ってくれるようなお店を募集することになるんでしょうか」

「多分そうなるだろうね。大きさとしては小西ダンジョンに比べればよほど広い敷地が用意できることになる。交通手段もここに比べれば幾分かいい感じになっている。車でも来れるし電車の駅も近い。最有力候補だけあって魅力的な立ち位置であるのは確かだな」

「車……というのは七十層で扱っていた乗り物のことですか? 電車というのもそれに類する物なんでしょうか」


 ネアレスは車と言われてもピンとこなかったらしい。向こうには自動車はなかったんだったな。


「そうだ。もしリクエストがあれば七十層までこのまま降りて試しに乗ってもらうこともできるぞ」

「それは楽しみですね。是非ご一緒したいです」


 このまま七十層へ行くことが確定した。今日は変則的な探索になることが確定した瞬間でもある。まあ、実際にこっちの文明の利器を体験してもらって文明度の差を解ってもらうことも交流の内だろう。


「ここの場合、周辺人口そのものが多いからこの辺りに住んでいる探索者がここのダンジョンに乗り換える可能性は高いとみてもいいよ。トレジャーダンジョンという真新しい形のダンジョンが出来上がってそれが近所にある、なら行ってみようって話にもなりやすいしね」

「たしかに、名物があるならそれを売りにするのは大事かもしれません。こっちのダンジョンでもあった話ですが、近くのトレジャーが湧かないダンジョンよりも少し遠くのトレジャーの湧くダンジョンのほうが人気があったりしたこともありました」


 トレジャーのオンオフがあるダンジョンというのが向こうにもあったらしい。向こうの言うダンジョンとはいったいどのような形態で運営されていたのか、それとも自然現象で生み出されるのか。その辺は真中長官へのお土産として残しておきたい話でもあるが、今脱線するのはまずいな。車で運転している間にでも聞いておこう。


「次は、高速道路のインターチェンジ……これも車に関する事だから後で乗り心地を確認してもらうとして、高速馬車専用の幹線道路の乗り降り駅、とでも言いかえれば解ってもらえるだろうか。そこの駅のすぐそばに割と広い土地が空いてるからここを活用して一からダンジョン街を作ろうという計画だな」

「高速馬車専用ということは、比較的遠くからでも探索者さんが駆けつけることができる、ということでしょうか? 」

「大体合ってるな。こっちは完全に一からの開発になるから、ダンジョンを設置してしばらくは不便かもしれないけど、すぐに便利に扱えるように……と、商店誘致や宿屋の建築なんかを始める手はずを整える用意はあるみたいだ。話が進んだ場合の余談として、既にいくつかの……商店と交渉してダンジョンが出来次第用地は用意するので建設をしてくれるように話は付けてあるとのことだ」

「すでに話がそこまで進んでいる……ということはここには是非作ってほしいということでしょうか」


 ネアレスが真面目な顔をしてこちらを見て来る。美少女だからおじさんでもちょっと照れるぞ。目をそらしつつ、書類のほうに目を通す。


「三番目も一番目と似たような場所みたいだ。こっちは最初のよりも周辺が寂れてるな。人口が少なすぎて巨大店舗が撤退したので周辺地域も人が離れていったようだ。土地は有り余ってるし建物もまだまだ新しいから結構しっかりしてる。後はダンジョンが出来てどのぐらい戻ってきてくれるかだろうな」

「うーん……中々に責任重大ですね。これはユミルには任せられないから他の場所に行ってもらうことにしますか」


 ユミル、というのが二人のうちの一人の名前らしかった。聞いた感じだと、責任とかそういう物へのプレッシャーには弱い人物なのかもしれない。第一希望はほぼ通ったということで良いんだろうか。


「その様子だとこっちの第一希望のほうは適任者がいる、とみていいのかな? 」

「ええ、もう一人のダンジョンマスターに任せておけば大丈夫だと思います。サムエなら早速トレジャーダンジョンの中身作りをしてくれてますし、比較的早めにそちらのお役に立てるようになると思いますよ」


 ネアレスがニッコリ笑顔で対応している。なんだろう、無茶ぶりをする上司みたいな空気があふれてきているような気がする。ネアレスってそんなにダンジョンマスターの中では偉いさんだったりするんだろうか。後、もう一人の名前はサムエといい、それなりに頼れるタイプのダンジョンマスターであることが窺える。


 ただ、そんなに頼りにできるとネアレスが言うところのダンジョンマスターが早々と踏破されてしまったのは何らかの理由があるんだろうな。


「そういえばリーン越しにセノから聞いてるけど、これ以上のダンジョンマスターの移動はないかも、という話だけどその辺はどうなんだろうね」

「そうですね。私が無理を言えばもう二人ぐらいは当てがありますけど引っ張ってきてみますか? 」


 うーん、多いに越したことはないとは思うんだが無理矢理引っ張ってくるのも悪い気がするな。是非お暇ならきてよねというのがこちらの意思であり、仕事しろと言える立場でもないからな。


「無理に移動させることはないと思うよ。移動しないならそうしない理由はあると思うし。ただサボりたいだけでその場にいるならその時は無理やりにでも働かせるところだろうけど、数千年スパンで物事を考える時に、果たして一年二年のサボりが許されないかどうかといえば……その辺はダンジョンマスターとしてはどうなんだろう? やはり休まず仕事しろっていうほうなのかな? 」

「そうですね、現に私がこうしてダンジョンマスター周りの仕事をしているのを考えるとふざけないでくださいねって言うところでしょうね。多少の休憩は必要でしょうが、三十八層から一切奥行きを作らずに踏破されたダンジョンマスターについては完全にサボりでしょうからそんな相手が居れば説教されても文句は言えないでしょうね」


 笑顔のまま怒っているかのような闘気を出すネアレス。美少女は怒っても絵になるな。やはり仕事はちゃんとしろってことなんだろう。


「まあ、ネアレスに任せるさ。首に縄付けてでも引っ張ってこなきゃいけない超おさぼりダンジョンマスターが居るならこっちに誘わない理由はないからな」

「覚えておきます。まだ実際に立てるまでにはやらなきゃいけないこともありますし、今の段階のダンジョンではすぐに踏破されてしまいますからね。しっかりと階層深くまで作ってから公表したいというところが本音ではあります」

「なるほどな……と、ダンジョン庁から注文が付いてるぞ」


 ページの終わりのほうにダンジョン庁から、というか真中長官からのメッセージが添付されていた。


「読むぞ。もしトレジャーダンジョンで一品物の装備品やレアアイテムを出す予定があった場合、【鑑定】のスキルが必要になると思われるが、現状こちらの国では一人しか【鑑定】の所持者が居ないためせっかくドロップしても効果が解らないまま使い続けることになる可能性が高い。この件について、【鑑定】のスキルオーブをいくつか都合してもらうか、一品物の存在率を著しく低くするか、他にやり取りする方法を新しく構築しなければならなくなるが、そのようなケースについてどう考えているのか……だそうだ」


 読み上げ終わると、ネアレスは腕を組んで右手を顎に添えて少し考えるそぶりをする。しばらく考えた後、言葉を紡ぎ出し始めた。


「そういえばそうでしたね。こっちの世界では【鑑定】はレアスキルでした。向こうの世界ではダンジョンに一人、それこそダンジョンマスターのような形で鑑定が出来る人が存在しているので考えてませんでした。そうなると、やはり現状は著しくドロップ率を低くしたうえで出すか、消耗品やそちらでの換金率の高い商品を提供するのが良い形になるんでしょうか」

「ドロップ品をそのまま宝箱に入れる、という形が無難だが、それじゃトレジャーっぽくはないよな。やはり武器とか防具とか、それっぽい物は欲しくなる。【鑑定】スキルの拡充、それもダンジョン人数分となるとやはりネアレス一人では決めかねるって感じか? 」

「うーん……新しいダンジョンが出来たってことで増やしてもいいんですが、こちらの希望した通りにスキルが流通してくれるかどうかは別問題なんですよね。いざ【鑑定】を出させたとしても、安村さんみたいにダンジョンのために使ってくれるかどうか、信頼できる人に渡るかどうか、悩ましい問題ですね」


 なるほど、そういう問題が出てくるか。南城さんの場合も偶然深くまで潜ってきてくれてはいるものの、たとえば【採掘】スキルはダンジョン庁の職員が保持しているが、仕事をしているという話をあまり聞いたことがない。多分意図的に探索を禁止させているか、どこかの官製ダンジョンの採掘作業に従事しているのだろう。


 かといってダンジョン庁の職員に確定で【鑑定】を持たせたりすることが許されるのか? という疑問がある。それはダンジョンマスター側のルールで縛られていそうなものだが、果たしてそこまでのことができるのか。


「ちょっと考える時間をください。これはエレベーターに匹敵するレベルの交渉事項ですので。エレベーターが設置された時も喧々諤々だったんですが、結果的に世界的に設置されるようになりました。もしかしたらトレジャーダンジョンの開発によって【鑑定】の所持者の数を増やすというのも考え物かもしれません。もしかしたら【保管庫】についても同様のことが言えるかもしれません」


 エレベーターってそんなに大ごとだったのか。そして、【鑑定】が増えるなら【保管庫】も増える可能性が十分にある、と。それだけダンジョンマスターとしては考えてくれている、ということにもなる。


「安村さん達の考える最良の結果、というのを考えると各ダンジョンに一人は【鑑定】を所持している人間がいる環境ということになるんでしょうか」

「多分……最悪でも一人、という形でこの間見せた画面越しに鑑定をするでもいいから正しく機能を説明できる人が欲しいという話にはなるだろうね。今の【鑑定】所持者にその任を常に当て続けるのは難しいということだろう」

「なるほど……私のほうで【鑑定】を持ってる人を増やすという意味では不可能ではないとは思いますが、やはり誰の手に渡るのか、というのが問題になると思います。出来ればその人もダンジョンに潜ってくれると遠隔から監視できる対象が増えて楽しいことが増えるという結果になりそうではあります」

「中々難しい話題だから、あくまでそういう要望がある、程度にとどめてくれると嬉しいかな。そこまで真剣に考える必要はないよ」

「そうですか、では検討しつつ私たちは引き続きダンジョンの続きを作るほうに力を入れていこうと思います。ちなみに安村さんとしては、トレジャーダンジョンに求める物って何ですか? 参考までに教えてください」


 トレジャーダンジョンに望むものか……ゲーム的に考えてしまうところがあるからな。どうしてもウィザー〇リィやメガ〇ンみたいな見た目の世界を感じることになってしまう。そう考えると……


「マップの見た目は洞窟マップか迷宮マップか廃墟マップか花園みたいなものが延々と続く形でも良いから、宝箱を探すって行動が楽しい所がいいな。既存のダンジョンで言えば、一から四、十三から十六、二十一から二十八層、四十五層から四十八層みたいな見た目で良いんだ。後は宝箱はその辺にポツンと落ちてる形でも、行き止まりに出来てる形でもいい。廃墟……二十一層から二十四層の見た目だと、色々探しどころが多いから楽しそうではあるかな。後は……」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
取扱説明書付ければいいとかちょっと思ったけど、それはちょっとださいしまず異世界の字が読めないから無理だもんな じゃあダンジョンのカード作るものは配ってるんだし、鑑定用アイテムを配るとか考えたけどそうし…
エレベータと同じようにダンジョン内に鑑定部屋を作って1人だけ入ってできるようにするのが無難なのかなぁ…
入手時だけ効果わかる、所持者にはわかる、鑑定できる場所を創る、道具で可能にするとか色々ありそうですがはたして ボスやモンスターの倒し方でも出現率変わる!とかだと面白いかもな たとえばでかいボストレント…
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