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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十五章:ダンジョンマスターさん、いらっしゃい

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1233/1255

1233:食事を終えて~小西ダンジョンスレ~

 ちょっとお高級なイタリアンはそれなりの満足感を残してくれた。普段食べない地元食材を変化させたシェフの手腕に驚くところ。お貴族様ならシェフに伝えてくれ、満足な食事だったと。等と言いたいところである。


「ふぅ、私も稼ぐようになってからしばらく経つけど、こういう食事を楽しむ余裕はなかったかもね。そう考えると探索者って仕事をしてる時間がそのまま収入に直結するんだから、忙しい仕事ではあるのよね」

「お互いにな。今日は結衣さんの提案のおかげで美味い夕飯が食えたし、日々の料理に扱えそうなヒントも少し得られた。ありがとう」

「こちらこそごちそうさま。出してもらって悪いわね。それに一万円も超えちゃったから交際費で落とせないお金になっちゃったけど」

「デートの代金に糸目は付けないさ。美味い飯を食って、良い女の子と一緒に寝て、良い女の子と楽しむ。それだけできれば充分すぎるぐらいだ。明日への活力を大分もらったかな」


 素直な感想である。結衣さんは照れているが、本人も満足そうにしているので多分お互いに楽しめたというところだろう。


「じゃあ、私は帰るわね。名残惜しいけど、明日も探索するから……私も頑張るわ」

「六十二層の地図、要る? 純粋に歩き抜けるだけなら有ったほうが便利ではあると思うけど」

「そうね……一応貰っておくわ。これを見て動くかどうかはみんなの反応次第ってことにしておく」


 結衣さんに六十二層の地図をスマホで写真を撮らせておく。迷っても何とか脱出できるようにはしておいたほうがいいし、気に入らないなら六十三層にたどり着いてから六十二層を再探索して自分を納得させるという手もある。別に自分で探索しなければいけない縛りをしている訳ではないのだ、自分の納得できる範囲で探索が出来ればそれでいいのだ。


「じゃあね、無理しないでね」


 俺の顔を両手で包みながらキスされて別れを告げられる。別れと言っても明日ひょっこり会いそうな相手だ、名残惜しさはあるがそれほど深刻になることもないだろう。


「あぁ、またダンジョンで会おう」


 結衣さんが自分の車で帰っていく。見えなくなるまで見送った後、家に戻る。さて、夜まで暇になったな。ちょっとコンビニでも行って……そういえば今の時間帯のコンビニのおでんはどんな出来なんだろう。昨日に比べて時間が早い分染み込みが浅かったりするんだろうか。


 早速コンビニで、タンスのアレとおでんを買いなおす。昨日と同じ具材を頼むが、昨日に比べてどうも汁が薄い気がする。やはり時間が経って蒸発して、そのたびに汁とお湯を追加するから夜はどんどん煮詰まっていってより濃い汁が出来上がり、染み込み具合のいい大根とか卵が出来上がるんだろう。


 早速昨日と同じ具を選んで……そこそこの量にはなるが、これも休日のカロリー補給だ。今日は朝も食べていないし、その分少し遅いが食べることにしてチートデイということにしておこう。


 お菓子とコーラも含めてそこそこの量を買い込むと、家に帰って早速おでんを食べる。さっき程よく胃袋に飯を詰め込んだが、まだまだ胃袋には余裕がある。早速頂くとしよう。


 うむ、やはり昨日のほうがよく味が染みていた。時間帯で味が変わるのは間違いないようだ。午後九時ごろがより美味しくおでんを食べる機会がある、ということを覚えておこう。


 卵も大根もやはり昨日に比べると一味落ちる。もしかしたら昨日のほうがお腹が空いていたせいもあるかもしれないが、間違いなく昨日のほうが美味しかった。


 しかし、昨日は買わなかった餅巾着は中々の威力を発揮してくれている。昨日もこれを買えばよかったのか。もしかしたら餅巾着とちくわと牛すじを入れた状態でレンチンして温めたら、卵はともかくとして味がもっと濃くなってより染み染みに……そうだ、良い手がある。


 沸騰する寸前までレンチンした食べかけおでんたちを二百倍速にして保管庫に放り込む。その間に着替えや風呂の準備、家事のある程度をこなすと、保管庫から取り出す。するとそこには、ある程度蒸発したか何かで水分の少なくなったおでん汁と、その汁をすってより美味しくなったであろうおでんが出迎えてくれた。流石に冷めてしまっているのでもう一度温め直して、温かい状態でもう一度食する。


 うむ、これはコンビニおでんをより美味しく食べるためのテクニックとして新しい手段を見つけたかもしれない。おでん汁だけ手に入ればもっと濃い汁を作って沸騰させて、保管庫で出来るだけ菌の少ないところでじっくりと煮出させて味を濃く出来る。悪くない作戦だ。


 中々美味しいおでんを食したところで本格的に胃袋が満タンになった。満足満足。さて、ネットでも見ながらダンジョンの話を眺めよう。


 どうやら、飯食いに行く前のテレビでの取材映像についてみていた人が四人ぐらい居たらしく、話題提供としての取材動画の作り方や、あの人型絶対偽物だよね、という話をしていた。ちゃんと見抜く人は見抜いてるんだな。俺はもっと体が太く肩幅もあるのですぐわかったらしい。


---小西ダンジョンpart20---


787:名もなき探索者

今日探索休みで昼間暇でテレビ見てたんだが、おじさんらしき物体がテレビの取材受けてたんだが……

おじさんあんなに線が細くなかったはずなんだ。別人を立ててその人に喋らせてる感が凄かった

身近でおじさん見てる人なら誤魔化せないあの代理のおじさんはいったい誰だったんだろう


788:名もなき探索者

そんな怪しい検証してたのか

そういえば、おじさん取材受けるなら金持って来いって話だったはずだから、その分の金をちゃんと払って取材したか、完全に別人に偽の取材の名目で喋らせたかだろうな


789:名もなき探索者

俺も見てた。喋ってる内容的にはおじさんだが、衝立の向こう側に居たのは別の人っぽかったな


790:名もなき探索者

ということは、取材は本当にやったが映像としての絵が取れないから代役を立てた、ってとこだろうな


791:名もなき探索者

おじさんの貴重な時間を考えれば……あの人いまいくら稼いでるんだ?

もしかしたら俺達はとんでもない化け物と同じダンジョンに潜っているのかもしれない


792:名もなき探索者

化け物も何も、深めに出来てる小西ダンジョンで最深層まで行って帰ってこれる時点で、俺らの収入ではとてもじゃないけど追いつけないほど稼いでるはず

むしろ稼いでいてほしい、そのほうが探索者に夢がある仕事だって思えるからな


793:名もなき探索者

いくら稼いでるかか……俺の手元の資料だと三十層で一時間ぐらい戦って、他のパーティーと被らずに戦える前提で、だがパーティー全員の合計が四百万前後だ

休憩込み八時間で三千万。四人パーティーで税抜きにされて六百五十万ぐらいが最高記録ではないが参考記録だな


794:名もなき探索者

少なくとも五十六層まではたどり着いてるおじさんの収入を考えるとはるか上を行っていると思われる

いっそのこと一日一億ぐらいいってくれてると夢があるな


795:名もなき探索者

おじさんが支払いカウンターで振り込みするところを横からチラ見してた俺氏、おじさんのざっくりとした収入を知ってしまっているので、おじさんがいくら吹っ掛けたかは知らんが多分吹っ掛けただけの金がかかっててもおかしくないとは思ってる


796:名もなき探索者

ということはかなり高額な取材料を提示した可能性が高いな

払えるなら取材を受けて、払えないなら受けない。頑として受けないと言い張って一部のメディアにだけこっそり教える、という形よりは公平な条件だとは思える


797:名もなき探索者

とすると、ギルドの休憩所に探索者らしからぬ人が集ってたあの日にでも取材してたのかな


798:名もなき探索者

心当たりがあるのか、雷電


799:名もなき探索者

あー、あの日か。居たわ、朝一からそういえば居たわ。あれ全員おじさんのおっかけだったのか

あれ以来見ないってことはその時に全員……全員同じ金額払うってことはないだろうから、各社で分担してまとめておいくらって話で支払うからそれで受けてもらえませんか? みたいな感じだったのかもしれない

一人あたりいくらって話だと多分おじさんが提示した金額にもよるが、おじさんの収入から換算する時給で考えれば誰も支払えないだろうし、不公平感が募るからな

その点全員……たとえば二十社あつまってそれぞれで分担して出し合ったらそれで目標額に届くからそれでどうですかみたいな?


800:名もなき探索者

何にせよ、それ以来その集団が見られなくなったということはおじさんは取材を受けて、その結果がそのテレビの番組だったってことになるのか

その内発売する探索者関係雑誌にもおじさんインタビュー乗るかもしれないな


801:名もなき探索者

どこの社で出るかは気になる所だな、あと逆にどこでは出てないのか

後はいつものダンジョン研究家のコメントに期待したい


802:名もなき探索者

ダンジョン研究家って弦間さんか? 彼だったら当日に既におじさんにインタビューしてたらしいぞ

良い感じのシブイ店で飯奢ってその店を紹介してくれたのと、東京での暇つぶしの恩とかでかなり安く情報を得ることに成功したそうだ


803:名もなき探索者

それを見越しておじさん接待とかは考えなかったのかな

それとも接待費では落ちなかったか、それとも弦間さんが即日インタビューしに行った慧眼を褒めるべきなのか


804:名もなき探索者

弦間さんの慧眼を褒めるところだろうな。あの場で何が起きたかまでは知る由もないが、現地勢の実況ログを前に流し見した感じだとおじさんが何か言った瞬間記者がダッシュでダンジョンから飛び出していったらしいし、何かを吹き込んだのは確か

そして、その吹き込みにつられなかった弦間さんがまんまとおじさんとの対話機会を得た、ということになる


805:名もなき探索者

もしかしたら、早く高ランク探索者に連絡付けて情報集めに行ったほうがいいんじゃないんですか? みたいなこと言って自分よりも高ランクの探索者の情報をあえて取らせに行った可能性があるな

おじさんのほうがよほど情報を持ってるだろうけど、あの瞬間に立ち会ってその本人に……たとえば俺よりもAランク探索者の意見聞きに行ったほうが良くね? みたいなこと言われたら真っ先に引っかかりそうな気はする


806:名もなき探索者

おじさんあの通りいたずら好きだからな。そんなようなことを言ってさっさとメディアを散らしていった可能性はある


807:名もなき探索者

俺でもそういういたずらはすると思うな。で、実際にAランク探索者に意見を求めても何それ俺知らないみたいなことを言われてあの場に残っている方が正解だったか、となるわけか


808:名もなき探索者

大人って狡い


809:名もなき探索者

俺達もみんな大人だろ


810:名もなき探索者

おじさん水面下でそんな攻防でマスコミの取材を回避してたのか

有名税は大変なことになりそうだったが、これで一息つくことになるのかな


811:名もなき探索者

テレビ取材を見てから取材を申し込むメディアも居そうだが、そっちにも同額吹っ掛けるんやろうな

そして最初の波に乗り遅れて取材をあきらめる記者も多数でそう


812:名もなき探索者

あえてその辺は大手に任せて、周りの俺らにおじさんについて取材を申し込みに来る記者も来るかもしれんぞ

将がダメでも馬なら射れると俺らにお鉢が回ってくるかもしれん


813:名もなき探索者

おじさんについて知ってることって……スライムが大好きだとか一人でエルダートレント討伐できるとかそのぐらいだぞ

意外と俺らが持っている情報は少ない


814:名もなき探索者

言われてみるとそうだな、ネタの題材にはよく上がってくるおじさんだが実態は俺達にもよく解ってない

しいて言えば二人パーティーで小西ダンジョンを潜り続けていて、仲が良いパーティーが居る、ぐらいしかネタがない


815:名もなき探索者

後、自分専用の荷物運搬リヤカーを持っている

六層と三十八層にもよく出現する

羽根集めて何処かに納品するのをギルド外の仕事としてやってる


816:名もなき探索者

ふむ……並べてみるとそれほど他の探索者と大差ない感じだな

おじさんをおじさんたらしめているものって言えばなんだろう? やっぱり潮干狩りか?


817:名もなき探索者

最近やってるところ見たことないよね、潮干狩り


818:名もなき探索者

おじさん高輪ゲートウェイ官民総合利用ダンジョンでも潮干狩りやったのかな


819:名もなき探索者

記念に一掘りやってたかもしれんな

目撃者が居ないので実際のところは解らんが

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
> ヒント」 トマトを入れてみよう > 良い女の子と楽しむ」 三段オチを思い付かなかったおじさん > 汁とお湯を追加」 継ぎ足し継ぎ足しで秘伝のタレみたくなっているコンビニ > 業務用おでんの具…
おじさんをおじさんたらしめているものの8割方は保管庫スキルとその間接的な恩恵ですからね… そのスキルのことさえ隠しきっていると、あとは案外他の上位探索者とあまり変わりがない印象、という。 保管庫のお…
やっぱいたずら好きおじさんってことは認知されてるんだなーw みんな薄々自転車とか色々あいつだろって思いつつ黙ってるなww
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