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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十四章:国交?樹立
1172/1209

1172:五十五層遊覧

ダンジョンで潮干狩りを

Renta!等いろいろなサイトで発売中です。是非とも続刊のためにもご購入のほうよろしくお願いします。


帰還勇者の内事六課異能録

https://ncode.syosetu.com/n5185ko/


こちらもよろしくお願いします。

 五十六層に到着。リヤカーをセノごと下ろしていつもの位置にセット。そのままセノを置き去りにして五十五層へ行く。


「元気でのー、また用事があったら来る故それまでなー」


 明日にはまた来そうな気がする。酒の約束があるから今日は明日は明後日はと毎日確認に来そうだ。これは早めに見繕ってやって在庫にしておくか。複数本まとめて買って保管庫に放り込んでおくことにしよう。メモメモ。


 久しぶりに来た五十五層。相棒はナシ。最大五体ほどを相手取る場所だが、まずは一当てしてどのぐらいまで戦闘する余裕があるかどうかを調べなくてはな。もしかするとここがソロでは効率がいい場所、ということになるかもしれない。


 さて……一番近いのはベータ型二体とアルファ型三体か……あ、そういえばこいつらも名前変わったんだっけ。マーシャルソルジャーA型とマーシャルソルジャーB型だったな。A型B型と略称していこう。もし五十六層がセーフエリアじゃなかったら、C型かO型のどちらかが登場していたかもしれないな。


 B型二体とA型三体の集団にチェインライトニングを最大出力で仕掛ける。四重化により強化されたチェインライトニングはアルファ型を綺麗に黒い粒子化させ、B型の動きを鈍くさせる。そのままB型の片方に近接して圧切で文字通り押し切る。あまり手ごたえもなくするっと切断されたB型が黒い粒子に還っていく。残り一匹のB型も全力雷撃で対処。


 ちょっと火力過剰だったかな。一グループのマーシャルソルジャーを無事に倒せたところで戦力的に問題ないことを確認する。流石に隠蔽をオフにしてうろうろするのはモンスターが集まりすぎて危ないだろうからここは周りを見て一つ一つ確実に対処していくことにする。


 一番数の多いグループを対処できることに安心できたからか、その後は火力調整をしながらどれだけの威力でスキルを打てば、どのぐらいの力を入れて戦っていけば、どの手段を用いれば一発で倒すことができるか、等を考えながらマーシャルソルジャーの相手をしていく。


 A型はチェインライトニングで充分撃破できるほどにこちらの火力がインフレしている。さすがにA型五匹にもなると一匹残るが、それは改めて雷撃することで肉薄することなくA型を撃破できるのは確認できた。


 B型はさすがに耐久力が高く、A型が混じっているとチェインライトニングと雷撃の二段仕込みでないと撃破できない。ただ、全力雷撃の範囲攻撃で二匹同時に撃破できるのは確認できた。ここのモンスターはもうソロでグルグルと回るだけの実力を手にすることが出来た、という実感が少しずつ湧いてきた。


 インゴットも保管庫に入れれば重さは感じないので背中のバッグは空っぽだ。背中が軽くてとてもいい。まだ他の探索者も五十五層まで到着しているという可能性は非常に低い。まだまだ暴れてここで稼ぐ時間はあると考えていいな。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 午前中二時間かけてゆっくりと戦力評価。どのような形と距離でモンスターが反応するのか、距離に対して適切な攻撃手段はどれか、ドロップを軽やかに回収するにはどの距離で撃破判定が起こるようになるのがいいのかなどを色々と調べた。


 一旦五十六層へ戻り、お昼の回鍋肉丼を食べる。キャベツとピーマンがまだシャキシャキしているが、保管庫に入れておいたおかげで気候と料理が合わず若干暑い。もうちょっと涼しげなものを用意しておけばよかったかな。涼しげ……アイスコーヒーで良いだろうか。保温ポットからアイスコーヒーを注いで飲む。回鍋肉なのだから麦茶かウーロン茶が欲しくなるところだな。


 一人分綺麗に食べ終わり、しばらく休憩中。結衣さん達は今日お仕事なら今頃五十七層側の階段付近にいるだろうが、車があるとはいえ顔合わせのためだけに往復するのも少々面倒である。まあしばらく出会えないというわけでもないんだしまた今度だな。


 クロスワードを一問解いたところで胃袋の落ち着きを確認する。消化が進んでいることを確認すると再び五十五層に戻る。ここからはスピードを徐々に上げていく時間だ。いかにすれば美味しくモンスターを頂き続けることができるのか。ゴブリン大爆破、カニうまダッシュに続く新しい遊びだ。


 題名は……マーシャルソルジャーダッシュでは安直すぎるな……A型B型を刈り続けるんだからABダッシュ……よし、エビダッシュと命名しよう。なんか美味しそうだけど落とすのはエビじゃなくてインゴットなんだよな。まあ細かいことは気にせずやっていこう。報酬が美味しければそれでいいのだ。


 まずは徒歩。普通の徒歩スピードでモンスターに近づいて手際よく倒していく。手順が決まったところで早歩きの姿勢になる。砂地で足を取られがちだが、そこでもたついてこけたりというほどここの砂は深く積み重なっているわけではない。あまり深く積もっていたら五十六層のタイヤ跡消しももっと大変な作業になっていただろうからな。


 A型B型どちらも五十七層のモンスターに比べれば魔法耐性も低く、物理耐性もそれほどではない。こいつらは攻撃さえ受けなければ問題なく倒せる。そしてこっちには遠距離攻撃手段が存分にある。一方的に蹂躙できるならこれはダッシュの条件に当てはまる。


 ここで一つ問題だ。グループごとに来る範囲でなら問題なく倒せるが、二グループ同時となると少々面倒だ。なので【隠蔽】はオフに出来ない。ここで【隠蔽】をオフにすると同時に複数グループが襲ってくる可能性が跳ね上がる。対処が難しいのは間違いないが、勝てないほどのものではないが……危ないことはしないという芽生さんとの約束は破ることになってしまう。黙っていてもいずれバレるだろうからそういうことはしないようにしておこう。


 上げるべきは殲滅速度と移動速度。殲滅速度はこなれていく間に徐々に詰めていけるだろうから後は移動速度のほうか。精々頑張って走るようにしよう。


 移動速度をジョギングぐらいのスピードまで上げる。まだスピーディーな戦闘とは言えないが、この広い赤砂の砂漠の中でスピード感あふれる演出をするというのもなかなか難しいのではないか? と思い始めた。ここが閉鎖空間で……そうだな、たとえば六十四層みたいに狭い空間で曲がった先にモンスターと即接敵、みたいな環境なら取れ高は充分にあるのかもしれないが、この広大な大地では次のモンスターまでにちょっと距離がある。なかなか難しい所だな。


 今日のところはインゴットを発掘して特殊な金属をばらまく仕事……ということでちゃんと世間のためになっているんだぞという納得感はある。これならいくら稼いでいても文句を言われる筋合いもなければ自分を責めるようなこともなく安心して探索が出来るな。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 時刻は午後五時。そろそろ撤収時間だな。ここから真っ直ぐ階段まで行って戻れば帰りの茂君にもいい時間になるだろう。急ぎ足で戻りの道を、いや砂漠を急ぐ。どっちへ行くともなく階段がギリギリ視界に入る範囲でグルグルと回っていたため比較的近くにいることだけは間違いない。階段までの間にはちゃんとモンスターが湧いている。これを倒しながら帰り道にかかるとしよう。


 帰り道もちゃんとスピードと殲滅速度、そしてちょうどいい感じの火力を意識しながら戦っていく。サクサクと倒しながら階段にたどり着き、階段周りを掃除した後五十六層に戻る。


 五十六層に戻ってリヤカーをいつも通りエレベーターに押し込んで七層へのボタンをポチ。ポチした後に荷物の仕分け。インゴットが……ざっと百五十本。魔結晶の量も考えると中々の収入になるな。


 前は芽生さんと二等分してたが、今日は一日の稼ぎでこれということは今までの倍の収入ということになる。これはちょっと査定が楽しみだな。


 エレベーターが七層に到着するまでの間暇なので雑誌を読みふける。一度読み流した内容だが何か気付きみたいなものを得られるかもしれない。とりあえず料理欄からだな。


 相変わらずダンジョン一品料理が多い。エレベーターが各地に出来たことで荷物の持ち込みの制限もなくなりつつあるのか、自動車で行く一人キャンプのような食材が増えつつある。普段俺が保管庫に入れている食材なんかも自分のテントの場所に置いておき、昼になったら調理しに戻ってくる、という形だ。悪くなりやすい肉類なんかも保冷剤と一緒に持ってくることで時間を持たせることができる。普段俺が保冷庫と保管庫の二段階保冷でやっているようなことだ。


 つまり俺なら問題なく再現可能な料理たちがここに並んでいるということになるな。何かこの中で一品試しに作ってみるか、もしくは家で作って持ってきて味わってみるか。どれどれ……うむ、どれも美味しそう。手間を考えてみても中々色々楽しめそうなレシピがいっぱいだ。どれにしようかな……丸ごとキャベツステーキとかも悪くなさそうだ。キムチをアクセントにすればキムチ鍋にもなるし、シーズニングでやみつきキャベツ系かステーキソースをかけてよりステーキらしくニンニクを効かせるというのもいい。


 食事に悩んでいると七層に到着し、本を読みこんでいる俺を覗き込む探索者がこっちを見てびくっとしている。


「おっと、ごめん到着したか」


 すぐに動いてエレベーターを譲ると、バッグから取り出したふりをしていつものポン立てテントでリヤカーを隠しダッシュで茂君して帰ってくる。芽生さんが居ないと見張りが居ないから心配になってしまうのも夏休みの癖、という奴か。


 再びエレベーターで一層に上がると退ダン手続き。リヤカーを引いて査定カウンターへ。芽生さんを待っている必要もないので今日の受け取りは一括だ。


「今日は一括でお願いします。一人なので」

「承りました、少々お待ちください」


 魔結晶とポーションとインゴットの受け渡しを手伝いながらしばらく待って結果が返ってくる。今日のお賃金、二億二千五百七万二千円。やはり一人で適正よりチョイ下あたりを高速で回るとこういう結果になるのか。一日で一人二億稼いで帰ってくるのはさすがに他のパーティーでは真似できないだろうな。


 リヤカーを返してくるといつもの冷たい水を飲んで一服。はー、今日も仕事が終わった。ちょっと早めに帰ってきてこの結果なんだ、一日をフルに使って稼いだらどれだけの収入になるのか大体つかめてきたな。一日二億。深く潜る際はこれを基準にしていこう。


 さて、家に帰ったら買い物に出かけないとな。早速作ってみるキャベツステーキの元になるキャベツもそうだが、朝食セットの補充をそろそろしておく必要がある。後、セノに渡す酒もだな。一本一本買い付けて毎回渡すのは手間なので数本まとめて買ってしまうことにしよう。保管庫に入れて置く分にはまとめて入れてあっても問題ない。後はこまごまとしたものと、さっきエレベーターの雑誌で見た新作のシーズニングがあるらしいのでそれが売ってるかどうか確かめに行くのだ。


 バスの時間もちょうどいいし、テンポよくダンジョン探索が出来た。このまま何事もテンポよく進むと気持ちがいいんだが、さてどうだろうね。


 家に帰って、まずは夕食を済ませてしまうことにしよう。昼に作った回鍋肉丼の上にとろけるチーズとキムチを乗せて、レンジでしばらく温める。チーズがトロトロになったところで取り出し、醤油を一滴二滴かければキムチチーズ回鍋肉丼のできあがりだ。


 キムチの辛みとチーズの香り、そして回鍋肉の甘いたれ、そして米の甘みが無限に口の中を駆け巡っては跳ね返り、いつまでも噛んでいられるかのような味わいが俺を襲う。カロリー的にはちょっとお高めにもなるが、この美味さにはあらがうことは中々に難しい。うめ、うめ。


 あっというまに無くなってしまうぐらいの味の暴力に俺の胃袋も満足だ。お代わりがあったらもう一杯行けるぐらいには満足だ。さて、腹も満ちたところで買い出しに行くか。普段なら食事を何にするかを考えながらスーパーの中を巡ってうろうろするところだが、今日はもう夕食は済ませている。買うとしても小腹を満たす系の何かを適当に見繕うぐらいで済むだろう。


 さて、いつものところへ出かけるか……そういえば、テントの在庫はあったかな。七十層用のテントと連絡ノート用の机も今のうちに買っておくか。机のほうは両方経費で落ちるのかどうかは怪しいところだが、念のため経費として計上しておいて、後でやっぱ無理と言われたら諦める方向で行こう。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
抜き打ち毒ガス訓練とかないから おかわりしても良いぞ(・∀・)
> セノごと下ろして」 なごむ > セノを置き去りにして」 なご… > 相棒はナシ」 指差し確認は大事である > A型B型」 一周回ってる > チェインライトニングを最大出力」 おじさんの新し…
芽生さんいないから結衣さんのターンかと思ったらそうでもなかった。 安村さん結衣さんにも構ってあげなきゃいけませんよ~。
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