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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十三章:新たなダンジョンマスター
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1151:中古車巡り

ダンジョンで潮干狩りを

Renta!等いろいろなサイトで発売中です。是非とも続刊のためにもご購入のほうよろしくお願いします。

 佐藤会計事務所を後にし、その足で中古車巡りに出かけることにする。


 とりあえず会計事務所の駐車場で近くの中古車ショップを探しては移動するを繰り返していくことにしよう。この近辺には十カ所ぐらい中古車販売業者がある。片っ端から巡っていこう。


 まず一件目。目的は即納できる車だ。まずは今日中に取りに来て乗って帰れる車を探す。


「おはようございます! いらっしゃいませ!! 」


 元気のいい店員Aが飛び出してきた! コマンド?


「おはようございます。車を探しに来たのですが」

「どのような車をお探しでしょうか? 」

「今日中に乗って帰れる車を探しているのですが、こちらにそのような車はありますでしょうか? 」

「そうなりますと……こちらの車になりますね」


 案内された既にナンバープレートが付けられたままの車両をいくつか案内してもらう。目的のトルクの有りそうな車は……うーん、見事に箱車というか、軽規格限界ギリギリ一杯まで体積を膨らませました、みたいな車だらけだ。底も擦りそうだし欲しそうな車はないな。


「ありがとうございます。どうやら今回は御縁がなかったということで」

「左様ですか、また機会があればよろしくお願いします」


 すんなりと引き下がった店員。もしかしたら俺の目を見てこれはないな、と思っていたのかもしれない。


 気を取り直して次へ行こう。回る中古車販売業者はいくつもあるんだ。最初でくじけたからと悔やんでいられない。今日は忙しいぞ、と。


 次の店に着いた。車で来たのですぐ店員が気づいたのか、挨拶に来ている。


「いらっしゃいませ。本日はどのような車をお探しでしょうか」


 さっきとほぼ同じ対応だ。歓迎されてないのかな?


「出来るだけ早く、出来れば今日中に引き取って持って帰るつもりで車を探しに来たのですが、そういう車はあるでしょうか」

「申し訳ありません、当店の車は全てナンバーが外された状態で保存されておりますので、ナンバーを取得してから後日納車という形のものしか取り扱っておりません」

「そうですか……わざわざ出てきてもらってすいません」

「いえ、時々そういうお客様はいらっしゃいますのでお気になさらず。もし時間がかかってでも良いから好みの車があれば、というならご案内できますが」

「今日のところは御縁がなかったということで失礼します」


 次へ行こう。さあ、まだまだ巡るぞ。次はちょっと距離がある。十分ほど車を転がして到着したこの店……この店もナンバーは全部外してあるな。さらに次へ行くか。


 近場で残り六ヶ所。駅から近いラインには四ヶ所か。駅に近い所にあると嬉しいんだがな。駅周りを中心に回ってみるか。


 次に来た店は全品乗り帰り可能を売りにしていた。これは期待できそうだな。早速駐車場に車を停めて店内を見回らせてもらう。


 やはりここも箱型軽自動車が多い。世間のトレンドはやはりこういう車なのか。セダンタイプやそういうものよりSUVとかのほうがより人気も回転率も高いらしく、既に売約済の札が貼られているものもある。ここは持ち帰りは出来るのかな、どうなんだろう。


 とりあえず、車を探してる間に店員が来るかもしれないと考えて一台一台車を見て回る。SUVも選択肢に入れてやっていいかもしれないな。選択肢が増えたことによって目の前の車の光景が一つまた広がった気がする。


 さて、どうするか。目の前には選択肢としてSUVとジ〇ニーがある。この際費用とかは気にしなくていいので好きな車を好きなだけ、一台選んで乗り付けることが可能だ。


 ただ、二人しか載せないことを考えると……いやでもたくさん載る可能性はあるよな。例えば結衣さん達をまとめて運ぶとか。そう考えるとピックアップトラックの荷台に皆を載せていくという選択肢も取れる。うーん、これは悩むな。でも七人乗りはさすがにでかすぎるし。その微妙に訪れるかどうかわからないことのためだけにでかい車を選ぶという選択肢はあまりに幅が広すぎる。


 やはりここは俺と芽生さんだけを運ぶ、もしくは乗れるだけ乗るという可能性を考えておこう。そうなると……やはり短いとはいえ乗り心地は必要だよな。さてどうするか。


「おや、いらっしゃいませ。お客様に気づかず失礼いたしました」


 店員がよっこらせと出てくる。


「すいません、勝手に見させてもらってました」

「構いませんよ、何かご質問とかご希望がありましたら受け付けますのでお気軽にどうぞ」


 それだけ言って店員は引っ込んでいった。どうやら勝手に見ていって、気になることがあれば何でも聞くぞという受け身の姿勢らしい。何も無ければ帰りに一言伝えておくだけで良いかな。


 まず外観から考える。砂漠で使うのだから汚れるのは当然。とすると、傷が残ってたりしてもまた新しくつくだろうから気にしなくてもいいな。そういう点では気楽だ。傷だらけの歴戦の猛者であっても、動いて走って乗れればそれでいい。かなり選択範囲が広がったと思う。


 そういう意味では逆に綺麗すぎる車は選択しづらいな。汚くてもいいから……と言ってもやはり売り物だからか、きちんと洗車はされている。敷地の隅にはちゃんと洗車場なのか水場もある。頑張って綺麗にしているんだろうなあという意気込みも感じる。


 冷静に考え直そう。俺は別に綺麗な新車に見える中古車を買いに来たわけではないんだ。砂漠で乗れてスタックしなくて、それでいて徒歩より早く進めるであろう自動車を選択して、それを保管庫に入れて五十六層で乗り回そうと考えているだけなんだ。年式が多少古くても問題ないし、無事に走ってくれればそれでいい。たったそれだけなんだ。そこに選択肢が生まれるとすれば、乗り心地がいいかどうかと社用車として使うので年式が四年落ちぐらいのものを選択しておこう、という話だけのはずだ。


 ここにあるのはまさにそんな選択にぴったりな車が二種類ある。SUVとジ〇ニーだ。どっちがいいかと言われると困るが……馬力があるのはSUVのほうだよな。この際ナビは役立たずだし音楽を聴いている暇もないだろうからついてなくてもいいが……中を覗き込むあたりで判断すると、全車両ついてるな。そして全車オートマだ。


 この際ついてるものはついてるとして考えよう。後は年式か。四年落ちぐらいの車がベターだと言っていたので年式を見ると、ジ〇ニーは二年前の車。対してSUVは去年から七年前にかけて複数種類ある。これでジ〇ニーの目はなくなったな。


 さて、残りのSUVで四年落ちぐらいで4WD。この条件に当てはまるのは二台。後はどっちにするかだ。二択まで選択肢を狭めることが出来た。後はこの車両が今日納車できるかどうかだ。ナンバーは両方ついてる。可能性は高いな。


「すいません、お聞きしたいんですが、ナンバープレートが付いてる車って今日中に納車って出来ますか? 」

「書類がそろってればこっちであとはやりますよ一通りそろっているとしたら……どれです? 」


 SUVの前に来て説明する。


「これとこれのどっちかを買おうと思うんですが」

「だとしたらこっちなら。もう片方は仮押さえが入ってるんですよ。先に唾つけたって奴でして」


 なるほど。だとすると俺の今後の愛車はこのSUVになるわけだな。


「解りました。じゃあこれ仮押さえでお願いします。今からお金持って徒歩でくるんで」

「了解しました。お名前伺ってもよろしいですか? 」


 名前と書類一式にサインを先に済ませると、家に車を置きに帰る前に銀行で口座から必要な金額の金を下ろしておく。せっかくなのでちょっと多めに出しておくか、この後買い物にも行くし慣らし運転もかねて公道を走っておいても悪くないだろう。


 銀行で多めに四百万ほど下ろしてから家に帰って車を置き、店に向かう前に昼飯のことを考えてなかったことに気づく。車を受け取ってからゆっくり食事するか。徒歩で駅へ向かって電車で一駅、到着したところでまた徒歩でさっきの店へ急ぐ。


 店へ到着して再び店員に声をかける。胸のプレートをよく見ると店員ではなく店長だったが、細かいことはどうでもいい。俺は早く車を買いたいのだ。車を買って颯爽と乗りこみ、そのまま昼食と買い物へ出かけて家に着いて収納。それが今日の予定だったはずだ。予定では全部の店を回るつもりだったが、ここですべてが解決するならそれも星の巡り合わせということだろう。もう必要書類は書いてしまったし、必要な資金も調達してきた。後は買うだけ。


 なんでだろう。つい最近スキルをポンと三千万円出して買って来たばかりなのに、それよりはるかに安い車を購入するのに少しドキドキしている。これはやはり物が形として残るものだからか、社用車として今後使っていく相棒への期待か、それとも年齢からくる動悸か。息切れはしてないから救心の必要は無さそうだな。


 必要な金額をきっちりそろえて出し、ハンコを押せば名実ともにあのSUVが俺のものになる。会計の前に鍵を渡されて、念のため内部の再確認を要求される。


「念のためです。思ったのとここが違う、と言われると支払いの後で文句を言うお客様も時々居られますので」


 とのこと。鍵を開けて中に入り、匂いを嗅ぐ。しっかり消臭はされている様子。新車特有のにおいも完全に抜け、前の持ち主の残り香も……それっぽいものはない。でも念のためしておこう。ウォッシュ。


 車の内部に染みついていたらしい何かが黒い粒子になって外へ抜け出ていく。その光景に驚く店員。


「探索者の方でしたか。今のがスキルって奴なんですかね? 初めて見ましたよ」

「一応。清潔に保つというか綺麗にするというか、そういうスキルです」

「それだけで色々食っていけそうですね。で、問題のほうはありそうですか」


 問題は……ダッシュボードの中を開けると車の説明書とか必要書類とかが一式入っていた。車検もまだ切れていない。


「問題はなさそうですので会計お願いします」

「解りました。どうぞ事務所のほうへ。御住所やなんか色々の情報の記入をお願いします」


 事務所で書類に記入し、支払い、ハンコ付き。これでヨシ。


「じゃあ、乗って帰りますね」

「はい、お気をつけて。本日はお買い上げまことにありがとうございました。こちら粗品になります」


 ティッシュを五箱セットでくれた。さて、このまま昼食へ出かけるか。流石に店から出てすぐに車が止まるとか、早速ぶつけるとかそういうことはなかった。さて、普段より車がでかい分だけ少し考える必要がある。普段が小さめのセダンなだけ大きい車に運転しなれないこともあるが純粋に乗り慣れない車はいつもより注意して運転する必要がある、否、普段の車でも注意して運転する必要がある。運転免許テストならこうだな。


 さて、昼食を取りに……なんかうどんが食べたくなったな。近所の製麺所のカレーうどん唐揚げのせ、後乗せネギたっぷり天かすたっぷり。これにしよう、もちろん大盛だ。


 食べ終わったらそのまま普段のホームセンターとスーパーに寄って、食パンと玉子とキャベツ、それからノートの追加分の補充だな。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
昔軽自動車を即金払って乗って帰ったことがあったけど、普通車も同じ事できるのかな? コメント欄見てると普通車は無理そう?難しい?
中古車とはいえこんな簡単に買えるものかと思うが探索者が居るような世界だし法整備も我々の想像する常識とは異なる部分もあるのかも知れない。 現実なら刀剣類は銃刀法違反であり美術品扱いでの所持しか認められな…
おじさん!安村さん!メモ!メモ! ノートだけじゃなくてメモもわすれないで!
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