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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十二章:新階層来る
1125/1169

1125:時間いっぱい

ダンジョンで潮干狩りを

Renta!等いろいろなサイトで発売中です。是非とも続刊のためにもご購入のほうよろしくお願いします。

 その後も白血球と時々戦いながら三鎖緑球菌君とサナダムシを倒す。三鎖緑球菌君においては両者を合する数の倍以上の数倒しながら適当に通り道を記録していく。あまり残された時間はないので出来るだけ効率よく地図を作っていきたいが、所々に現れる白血球が戦闘時間を充分に使っていってくれるのでその分だけロスは発生する。確かに、これを芽生さんと俺で一匹ずつ交互に、なんてことをやるよりは最初から俺が懐に潜り込んでズバズバと切り裂いていく方が効率いいだろう。


 四十分経ったところでタイムアップ。道を引き返して階段まで戻る。帰り道は多少空いているので行きほど時間はかからないし白血球もいないので、それほど手間はかからずに階段まで戻ってくることは出来た。


「さて、六十七層はどれだけ広いのやら。次来る時はまだいいとして、本格的に六十八層を巡るという段階、つまり明後日か明々後日ぐらいになったら宿泊コースで行くことにするか。その時は夕飯も作らないとな。本当なら七十層が出来てからまとめて六十八層と六十九層を回りたいところだが、七十層が出来てなくても六十八層さえ攻略できれば休憩できるところがあることが解っている。なので今回の宿泊プランでは初めての宿泊施設を利用しようと思う」

「もしかして、ダンジョンコアルームで一泊するつもりですか? 」

「あそこ、暑くも寒くも無かったし、モンスターは出ないし、実質的に休憩所だろ? 使える内に使ってしまおうという意味では悪くないし、コアルームで一泊してきましたと報告することでちゃんとダンジョン探索は進んでいるぞというのを三者に伝えることができる」


 ダンジョン庁と、これを見ているダンジョンマスター達と、ミルコにだ。ちゃんと進んで活用しているぞというのを見せることで、他のダンジョンマスターからミルコへの早く次作れよの催促が飛ぶかもしれないが、それはそれでミルコがやる気を出して作ってくれるようになるかもしれないし悪くない話だとは思う。


「さて、急ぎ目に帰るか。思ったより六十七層に長居したおかげでいつもより遅い帰りになるが、その分稼ぎはしっかり得ているものだと思っていいぞ」


 六十七層でポーションが落ちなかったのはちょっと気がかりだが、六十六層から六十四層までに一本落ちれば充分な稼ぎと言える。


 六十六層に戻り、今日は真っ直ぐ地図に沿って帰る。小部屋には寄り道せず、帰り道をひたすらたどることになった。小部屋を通らないので三鎖緑球菌君が主な相手だ。小部屋にはサナダムシが居るが、今のところはパスで。今のところドロップするのは魔結晶だけであるし、醤油差しを落とす分だけ将来性のある三鎖緑球菌君のほうが相手としては今のところ美味しさを担保されている。二人ともその気になれば一撃で倒せるというのも大きい。


 帰り道に一本、ポーションを手に入れたのでこれも美味しさとして受け取っておく。今日の稼ぎはいくらになるかな。そのまま六十六層をやや早めのスピードで通り抜けて六十五層まで真っ直ぐたどり着く。ここでも一本出ればよりおいしいが、そう問屋が卸してくれるものではないだろう。


 六十五層の湧き具合は少し物足りないぐらいに感じるようになってきた。いい意味で慣れてきたのだろう。それだけ早く倒すことができるし帰り道の時間もしっかり短縮できるようになれる。行き道も短縮できればその分だけ深くて美味しい所で探索が出来るというもの。白血球で時間を取られるとはいえ、三鎖緑球菌君の多さがこのマップでの美味しさに直結するのでその数が多ければ多いほど美味しくなってくれるわけだ。


 ポーションはないだろう……と思っていたが、六十四層の階段を上がる直前にもう一本くれた。今日は美味しい日だ。そう思って帰ろう。明日も同じとは限らないが、今日は多めの収穫が期待できた、ということにしておくといい。何事も期待通りになる、というものではないのだ。


 六十四層ではさすがにポーションはでなかった。代わりにいつものワニ革と亀の甲羅をくれたのでこれを確実なドロップ品として保持しておく。やはり階層が深くなればなるほどポーションの値段が上がっていくので、ポーションの値段で収入の八割がたが決まってしまうのは仕方ない事だろう。とはいえ、魔結晶でも二千万から三千万ぐらいは稼いでいるため、数をとにかくこなすのが大事、というのは共通点としてお出しできるダンジョンで稼ぐポイントとしては認識されているだろう。


 ただ、この先は解らない。もしかしたら大型モンスターが出てくるマップもあるかもしれないし、ワイバーンは……あれは大型と言えば大型だが、性能的には中型に近いような気もする。どちらにせよ美味しいモンスターであることに変わりはないのでバンバン落としてモグモグ肉を喰っていくことをお勧めできる。


 肉と言えば、ロックタートルの肉は何でドロップしないんだろうな。エンペラに強い思い入れがあるダンジョンマスターが居て、そこを強く推奨したとかそんな感じだろうか。もし他に新しいダンジョンが出来たとしたら、きっとロックタートルも今後は肉を落とすようになるかもしれない。そうなればその分だけすっぽんの乱獲防止なんかにも影響は出始めるだろう。


 六十三層に戻ってきた。ドロップ品は……かなりの量だな。そしていつもより遅く帰ってきたせいもあるが、やはり六十六層でしっかり稼げた分が大きいのだろう。ポーションも予想より多く落ちたしな。


 リヤカーに荷物を積んでエレベーターの中に入り、一層のボタンを押したところで休憩。流石に今日は疲れがある。ドライフルーツをもう一枚噛んで、ここで疲れを置いていこう。よこでぐんにょり気味に疲れを見せている芽生さんにも口に咥えさせてやろうと思ったが、なかなか口を開かない。ほっぺたにプニプニとドライフルーツを押し付けていると、やがてそれに反応して口を開いた。


 しばらくして芽生さんがぶるっと体を震わせる。やっぱり疲れてる時にはこれだよな。癖になってしまいそうではある。とはいえ、ドライフルーツ使ってまで無理な進捗気味に今日の探索を進めたのは反省点か。明日はもうちょっと緩めに行こう。


「明日は緩めに行くか。六十六層の地図をもうちょっと解りやすくするぐらいで止めておいて、六十七層と六十八層は後日に回そう」

「それがいいかもしれませんね。さすがにちょっと……うーん、今日は疲れました。帰ったらそのまま寝てしまいそうです」


 どうやらおねむのほうも来ているらしい。これは俺も帰りのバスで寝る奴だな。運転手さんには悪いが二人そろって起こしてもらおう。


 仮眠をとるという意味では今が一番そのタイミングではあるが、完全に寝入ってしまってエレベーターが開いても中から出てこない、なんて周りに迷惑をかけることを考えると今は疲れを取るだけにしておいて、眠るのはバスの中だけにしておきたいな。


 その場に尻をつけて座り込んで、あぐらをかいて壁にもたれかかって時間をしっかり取ってある程度の疲労を抜いた。


 一層に戻っていつも通りの手順で査定カウンターに荷物を置く。査定カウンターでも少し並ぶことになった。いつもより遅い分、他の探索者の帰り時間と被ったようで、芽生さんは先に着替えさせて休憩室で涼んでもらいつつ、ゆっくり疲労抜きをしてもらうことに。休憩室で横になっている芽生さんを横目に、順番を並んで待つ。十五分ほどの待ち時間の後、査定のタイミングになった。


 査定は魔結晶の重量を量り、甲羅とワニ革の個数を数えてポーションの種類の判別と個数確認。魔結晶に結構な重さがあったので五分ほど査定に時間はかかったが、ちゃんと二分割されたレシートが手渡された。今日のお賃金、一億四千七百九十七万二千六百円。六十五層以降を探索する中ではかなりの金額になった。


 休憩室で休んでいる芽生さんに結果のレシートを渡すと、元気が戻ってきたのか起き上がって支払いカウンターに並ぶ。現金なものだなあと思いつつも、自分も頑張った分の成果は出たんだなという確実な金額を振り込みにして帰る。


 帰りのバス停でちょっと蒸し暑い中会話に入る。他に聞いている人もいないので声は少し控えめではあるものの、情報的に問題ない範囲で話を続ける。


「さて、今日の出来高のおかげでちょっとした元気が回復しました。もうちょっと楽にこの金額を稼ぎたいところですね」


 芽生さんが懐をポンポンと叩きつつ、嬉しそうにしている。ちょっと頑張るか頑張らないかの差で数千万変わってしまうとなれば、努力のし甲斐があるという所だろう。


「そのためには七十層にたどり着いて、逆走する形で六十八層で稼ぐ、というのが楽な道かもしれんな。まだしばらく時間がかかりそうだぞ」

「ミルコ君の進捗ありきですか。どうします? えらく頑張ったおかげでダンジョンコアルームで休む予定が次の階層につながっちゃってたら」

「その時こそ七十層でゆっくりできるだろう。もしも六十九層しかできてなかったとしても、何とか見つけてダンジョンコアルームで一泊できる。心配することはあんまりないと思うよ」

「なるほど、それもそうですね。二日後は安心して潜れそうです」


 いつも通りバスが来て、バスに乗り込むと最後部座席で爆睡。そして駅について運転手さんに起こされるいつものパターンを経験した後、そのまま電車で最寄り駅にまでたどり着いた。家の近くのコンビニで夕食の物色をする。


 宿泊当日のご飯何作ろうかなあ。片方はカレーにしたいな。もう片方は……どっちにしろゆっくりした環境で休めるだろうから腹に溜まるものが良いな。昼食は軽めにサンドイッチとかごった煮だけとかそういうものにしておいて、夕食をカレー、夜食兼朝飯でいつもの朝食セット、これが無難かな。後は小腹が減ったように軽く摘まめるパンとかカロリーバーとか、そういうものを持ち込んでおこう。


 とりあえず今度の宿泊コースの分の買い出しは明日以降にして、今日しっかり探索に時間を使ったおかげで帰りが遅くなった分、家に到着してから翌日の準備に使える時間も少ない。睡眠時間を削りたくないので今日のところは買い出しは無しだな。明日は使える食材の範囲で作れるものを吟味しておこう。


 そうすると夕食は何にするか……コンビニ飯でそこそこ腹に溜まってちゃんと栄養バランスが取れるようになってる食品、もしくはシリアルやオートミールとかそういうものを買ってそれで満足しておくか。オートミールにミルクプロテインなんてどうだろう。合わせたことはないがちょっと試してみるか。サラダ……サラダ欲しいな、昼にもちゃんと摂ったがもうちょっと胃袋に入れてあげたい。パッケージの出来合いサラダを買っていこう。


 家に着いて洗い物を一気に片付けた後、部屋着に着替えてソファーに横になる。流石に家に帰ってきたら疲れを感じ始めた。六十七層の白血球は中々の耐久力を有していた。攻撃こそされなかったものの、あのまま完全に包み込まれたらどういう攻撃によってダメージを受けていたんだろう。やはり圧死だろうか。流石にそこまで試す勇気と無謀は持ち合わせていないけれど、気になる。三鎖緑球菌君とのバトルをゆっくり眺めてどうなっていくのかを確認するのも悪くないかもしれないな。


 このままゆっくり眠ってから……いや、そうなるとまずい寝起きになる。もうちょっと耐えよう。眠いながらも買ってきた小袋のシリアルにミルクプロテインをかけて、サラダと共に胃に流し込む。たんぱく質は充分とれているとは思うので後はサラダでビタミン類が満足してくれるかどうかだ。腹は満たされたが同時に眠気も相当なものが来ている。だが布団を汚したくはないのでちゃんと風呂に入って寝間着に着替えてから布団にダイブだ。


 風呂に入って体のあちこちを綺麗にして、ゆっくり湯船につかる。湯の温さが心地よい。外の気温もあって、あまり暑すぎる風呂には入りたくない時期でもあるし、この風呂の中でかいた汗がほんのり湯に溶け出していくようなこの丁度いい感じがいい。


 充分に温まって汗を流した後、いつも通り冷水を頭からピシャッと浴びて、体を引き締める感じを味わうと汗をしっかり拭いて寝間着に着替える。後やっておくようなことはあったかな。明日の仕込みは……大丈夫だな。明日は切って焼くだけレシピだ。……たまにはチャーハンとかでも良いかもしれないな。中華スープをつけて餃子と焼売も冷凍のものを焼くだけの奴をつけて。


 そのぐらいの緩さのシュウマイ餃子チャーハン定食ぐらいなら、時間的に宿泊の時は難しいだろうが昼食に贅沢に中華を食べる、というのもいいかもしれない。今後のためにメモっておこう。さて、今度こそ本格的に眠気が襲ってきた。眠い間に寝るとするか。眠いということは身体が睡眠を求めているということだ、欲求に素直に従って、また明日元気に起きられるようにしよう。

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
コアルームでの寝泊まりは果たして出来ますかねー?w 出来たら誰に自慢することでもないですがコアルーム宿泊という謎の実績は解除されそうですなw
( ◠‿◠ )
なんだかんだ頑張ってダンジョン作りそうな気はする泊めさせてやるものかーてきな
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