1086:明日の予定と新ダンジョンの様子
ダンジョンで潮干狩りを
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早速留守電の内容を聞き取る。留守電で入れておいてくれたということは緊急の連絡では無かったということだろう。緊急なら何回か電話をかけてくるはずだからな。
「あ、もしもし安村さんですか? 石原刃物の昭江です。商品のほうが出来上がりましたので、近いうちに引き取りのほうをお願いします。念のために来られる場合は事前に連絡を頂けると助かります。では失礼します」
非常に手短に、しかし必要事項だけを伝えておいてくれていた。ようやく出来たらしい、俺の俺のためだけの武器。楽しみで仕方がない。
あの切れ味、あの重さ、あの黒光りした刀身。結構時間がかかったがそれでも手早く済んだほうだろう。微調整に時間がかかったのはともかくとして、他の企業に頼むよりはかなり早く出来上がったのは確かだ。明日早速午前中に引き取りに行くことにするか。
電話を掛け返しておく。電話をもらった時間はついさっき。まだギリギリ非常識な時間とは言い切れない時間だ。
数回のコールの後、相手が出た。
「はい、石原刃物でございます」
昭江さんだ。色々と時間が省けた。
「安村です、お電話すいません、居たのに出ることが出来ませんで」
「いえいえ、元々こちらから一方的にかけておりますので。伝言のほうはお聞きになっていただけましたか? 」
「はい、明日の午前中に取りに行こうかと思いますが予定はそれでよろしいでしょうか? 」
念のため向こうの予定も聞いておく。こっちが良くてもあっちが来客では困るからな。
「午前中ですね。出来れば到着時間のほうが解るならその形でお願いしてもよろしいですか? 」
「解りました。明日の出発から途中にかけてご連絡差し上げる形でいいですか? 」
流石に分刻みで時間指定を出来るほど通い慣れていないので何分かかるかはおおよそでは測れるものの、バスの時間や遅れもある。まだ確定できるほど定かではないので一時間ほど前後するだろうが家を出る段階で連絡を入れることにしよう。
「はい、構いません。では、明日お待ちしておりますね」
「よろしくお願いします。では失礼します」
電話を終わる。よし、明日の午前中は品物の引き取りだ。その後そのままダンジョンへ向かおう。金額が金額だからちゃんと領収書も用意しないといけない。芽生さんにも伝えておいて……
「明日はちょっとゆっくりめの御出勤になりますかね。そのままダンジョンに向かうでしょうから私もついていきましょう。支払いは終わってるでしょうから実際に動いた金額の分だけ領収書切ってもらえばいいと思いますよ」
もう大体考えたことが伝わっていた。もういうことはないだろう。頷いてその通りだということを伝える。
さて続きを見るか。電話の間に三層をしばらく進み、四層への階段が見えてきたところらしい。三層から四層は階段間の距離が結構近いのかもしれない。
『階段の大岩が見えてきました。あそこまでたどり着けば四階層ですね。後三回ぐらい戦闘すれば良さそうですね。ここまでのドロップは……正直しょっぱいです。もうちょっとドロップ良くてもいいかなあぐらいは思ってます』
<まぁ、通り道みたいなもんだからな三層は>
<七層超えるまでは収入がしょっぱいのはどこのダンジョンでも同じらしいぞ>
<とりあえず主は七層まで立ち入ってエレベーター起動できるようになるのが先だな>
他のダンジョンででも同じだが四層あたりまでは収入が少ないのと似たようなものか。Cランクを越えてる探索者にとって七層までの道はただの通り道で収入を当て込むのも難しい、といった形だろう。
こうなった場合ダンジョンの設計として難易度調整が間違っているのか、それともCランク以上必須としたダンジョン庁の制度ミスなのか。どっちにしろせっかく作った階層を使われないのは少し寂しいような気もする。
「みんな七層まで下りたらエレベーターを使いだすだろうから、自分達で潜り込まない限りはここの階層をこうやって眺める機会は無いのかもしれんな」
「ただの通り道扱いですか。せっかく手を加えて作ってくれてあるのにもったいないですね」
「もしかしたらその内Dランクでも七層までなら潜ってヨシ、みたいになるかもしれないが、今のところは物珍しさという意味でも既存のダンジョンとマップ構成は同じみたいだしな。ガンテツには悪いがこっちとあっちの連係ミス、という点では失敗だったかもしれない」
流石に何から何までお互いに議論しつつ、サンプルを見てダンジョンを新しく作る……とまではいかないだろうし、ガンテツと我々の間の友好も俺個人はともかくとして日本国としてもそれほど深いわけではない。できて今更苦情、というか変更点やドロップ品について色々とお互い言うことはあるだろうし、あっちはあっちでよろしくやってくれる人材が居てくれることを祈るしかないな。
動画は進み、四層の階段を無事下りた。どうやら戦力的にはこのまま七層まで行けそうな雰囲気だが、そこまで見続けていると夜更かしが過ぎる。適当な所で切り上げるのが大事だろう。
「そろそろ寝るか。大体知りたいことは解ったし、後日アーカイブを見るでもいい。今でないとみられないイベントというわけでもないだろうから大まかにダンジョンとしてそれほど大きく違いが出るわけではないということと、他の探索者がどのように探索を進めているかが解れば充分だ」
「そろそろ我慢できませんか。そんなにこの芽生ちゃんが魅力的ですか? 」
胸元を少し開けて、綺麗に出来ている谷間を見せつけてくる。
「結構な時間お預けを喰らってるからな。息子のほうも暖機運転開始だ」
芽生さんを抱き寄せて胸元を顔の前に持ってくる。風呂あがりで同じボディソープの香りがしながらも、ほのかに女性の胸の谷間の独特な匂いがする。
「やらしい人ですねえ。ベッドまで我慢できませんか? 」
「我慢できるがここでちょっとパワーを蓄えておいたほうが色々と楽しみの時間が増えてうれしいかな」
「明日の約束もありますし、あまり遅くまで時間がかかるのもダメですからね。ちゃんと夜は寝るんですよ? 」
芽生さんがなにかしらささやいているが頭に入ってこない。パソコンの電源を落として芽生さんをそのまま抱きかかえると、ベッドに優しく放り投げる。
「いやん、たべられちゃう♪」
わざとらしく言っているが、そういいつつ嫌がっているそぶりは一切見せない。自分から胸元を晒しておいていやんはないだろういやんは。
「たーべちゃーうぞー」
食べることにした。
◇◆◇◆◇◆◇
---新熊本第二ダンジョンpart12---
326:名もなき探索者
スレの流れも大分落ち着いてきた感じか。多分進める所まで進んだのと、実況配信のほうで人が分散されてるからだろうな
327:名もなき探索者
最初の内は何処のパーティーが最初に七層まで進んで七層の様子がどうなってるかってのを追うまでみんなで一喜一憂してたからな
しかし、ドロップ品査定が安いのか高いのかまだ判断付かないのが痛手ではある
328:名もなき探索者
一応魔結晶は前ダンジョンと同程度から少し多いぐらいだから単純な収入で見ると前ダンジョンよりも稼ぎやすくはなっている。
ただ、ダンジョン入場者がCランク以上ということを考えると、七層まで行く間の収入はぶっちゃけ誤差レベルでしかない。その先でどれだけ稼げるようになるかがポイントだろうな
329:名もなき探索者
エレベーターも他のダンジョンに比べて広めに作ってあるし、階段もリヤカーをそのまま引っ張りながら探索できるようになってる。つまり、利用者の意見を聞いてダンジョンを改良しました、みたいな部分が見える当り、ダンジョン庁と新ダンジョンの間で何らかの意見のやり取りみたいなものがあったと考えられるだろうな
330:名もなき探索者
前ダンジョンスレからいるけど、小西ダンジョンで行われたらしい会談なんかの話は出てなかったから、どこかで意見交換会が行われた、という可能性が高いな。何処で情報をやり取りしたのだろう
331:名もなき探索者
ダンジョンが無くなったダンジョンマスターは何処に存在しているのか、という話でもあるな。ダンジョンが無い何もない空間に一人ぼっちなのか、それともダンジョンという異空間ならどこにでも移動できるのか、それともこっそり俺達に紛れて一般生活してるのか
332:名もなき探索者
引っ越してきたお隣さんはダンジョンマスターだった。こっそりダンジョンに潜って人知れず強くなります、俺を追い出したパーティーは元気にしていますか
そんなタイトルのラノベがあっても悪くないな
333:名もなき探索者
現実がラノベに追いつきつつあるな。実際ダンジョンマスターは専用の部屋みたいなものをそれぞれ持ってるんだろうな。そうじゃないと普段からダンジョンのどこかしらをうろついていることになるし、それならもっと目撃証言があっていいはず
334:名もなき探索者
ダンジョンはダンジョンとして、ダンジョン全体の管理ルームみたいなものがあるのかもな
そこできっと探索者が頑張っている様を覗いて楽しんでるんだろう。俺らが生配信を楽しんでいるように
335:名もなき探索者
それはそれで面白そうだが、自分で作ったダンジョン攻略されて楽しいもんかな?
むしろ攻略されないように頑張って最深層にたどり着かれないように続きを作るような気がする。少なくとも俺ならそうする
336:名もなき探索者
頑張らなかったか、他に理由があるダンジョンが攻略されていったってことじゃないか?
三十八層が最下層に設定されてるダンジョンが複数あってそこが攻略されてることを考えると
つまりダンジョンのプリセットが三十八層までしかなくて、そこから先は各ダンジョンマスターが自分で拡張するために頑張っている、というあたりじゃないか?
337:名もなき探索者
だとすると、ここのダンジョンマスターは今のダンジョンが気に入らなくて新しく作り直させるためにあえて作らなかった、という可能性が出て来るな
それはそれで面白いが、このダンジョンが面白いかどうか、稼げるかどうかはまだちょっと未知数だな
338:名もなき探索者
現状最深層潜ってるの十二層だっけ?
339:名もなき探索者
配信でやってたのは十二層だな。実際にはもっと深く潜ってる探索者はいるかもしれん。マップ的には廃墟あたりだな
340:名もなき探索者
しかし、事前に解っていたとはいえ七層の居住環境の良さはいいな。サバンナほど暑くなく、その気になれば本気で住める。【生活魔法】さえあれば色々と困らんしな。食料は現地調達できるし完全自給できる。住民票を移せるならダンジョンに住むのも悪くないかもしれんな
341:名もなき探索者
そこに郵便を届ける人の苦労も考えろよ。後納税書類なんかもちゃんと届けるようになるだろうし、銀行行くのが面倒くさくなるぞ
342:名もなき探索者
日本政府がダンジョンを住所……というか日本国内として認めるかどうかによるな。モンスターによる治安の悪ささえクリアすれば確かに居住地域として認められんこともないとは思えるが、ダンジョンが踏破された時が問題だな
343:名もなき探索者
ダンジョンに住んでる人はたまにいるけど、そういう人ほどちゃんと地上でも生活基盤を持ってて企業探索者だったり色々あったからな
エレベーターが出来始めてからは完全居住者は減ったらしいが今でもぽつりぽつりとは居る
ダンジョンに籠って生活して、時々地上に戻って査定受けてそのお金で生活に必要な食料やなんやらを買って身綺麗にして、また帰ってくる
344:名もなき探索者
その食料の問題も解決してしまったのがこのダンジョンなんだが、果たして住む人が出てくるのかどうか
Cランク以上ってなってる時点である程度の社会的地位があることだし、ダンジョンの中に住むだけの理由がそれほど高いとは思えんが
345:名もなき探索者
とりあえず七層の場所取り合戦も一段落したことだし、ここからはダッシュ勝負で誰が一番深く潜るかを競っていくのか、それともダンジョンの味覚を楽しみながら色んなドロップ品を精査していくことになるのか
346:名もなき探索者
今のところ七層までのドロップ品は査定可能品として換金できるからな
それほど高い金額ではないとはいえ、ちゃんと引き取り先を確保してくれてる辺り、ダンジョン庁にはありがたみを感じる
347:名もなき探索者
そのうち地元でもダンジョン産の食品を使った地産地消の料理店なんかも出始めるんだろうな
348:名もなき探索者
>>347
もう計画されてる
ダンジョンすぐ近くの定食屋がダンジョンから直接食品を仕入れてる姿が目撃されてる
近いうちに店からの発表が出ると思う
349:名もなき探索者
米が雑味が少なくて甘味は少し強めで美味しいらしい、というのは解っている
日本人なら米にはそれぞれ一家言あるだろうから必ずだれが食っても美味い、と言い切るのは難しいだろうが、何処の品種に近いのかどうかは今研究中らしいとのこと
350:名もなき探索者
何処の米を参考にしたんだろう。遺伝子鑑定すれば近い味を特定できるかもしれんな。しかし、品質が一定なのが確実ということは大量生産には都合がいい米ということにはなる
その為には大量にドロップ品を集める必要があって……と、なかなか難しいが、米不足小麦粉不足で悩む可能性が少なくなる、という意味ではこのダンジョンの意義はそれなりに大きいということになるな
作者からのお願い
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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。
後毎度の誤字修正、感謝しております。