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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十一章:夏休み、あー夏休み、夏休み
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1076:予備材料は多めに

マツさんのゲル

https://ncode.syosetu.com/n7294kn/

帰還勇者の内事六課異能録

https://ncode.syosetu.com/n5185ko/


こちらもよろしくお願いします。

 昨日とは違い汗もそれほどかかずに起きられた。やはり原因は疲労か。大分お疲れだったんだろう。今日は快適に起きられたし体に違和感もない。いつも通りシャワーを浴びて朝食を作って、いい心持ちの中で食事をする。なんだかできる男みたいな感じがしてとてもいい。ありがとうダーククロウとスノーオウル。肉体的な部分はともかく睡眠をしっかりととれたと感じられるのはお前らのおかげだ。


 昨日は家に帰って各地のスレをチェックしていた。どうやら小西ダンジョンでは大体俺のせいではないか、ということになっているらしい。流石に俺に突撃インタビューしてくる、という流れにはなっていないようだからいいけど、もしそうなるならインタビューを受ける準備はしておかないといけないな。


 さて、今日の昼食は先日漬けた大根の漬物を添えて丼物にしようと思う。肉は……オーク肉で他人丼と行こうか。まず、漬けた大根をとりだし包丁で少し切り、一枚齧る。……うむ、ちゃんと漬かっている。味のほうも問題ないらしい。カビとかも見当たらないし、保管庫を利用した漬け物作りは今後考えていくか。


 タマネギを薄切りにしてシイタケをそこそこの大きさに刻んでおく。オーク肉をコマ肉風に切り刻むと焼き目が付くまで一旦焼いて、和風だしとめんつゆと共に軽く煮込み、煮立ったところで醤油みりん酒で味を調える。味がお気に入りの味わいになったら卵を投入して半熟風味になったところで火を止める。


 火を止めたまま保管庫に放り込み、米が炊けるまでしばし待つ。その間ぐらいなら半熟さを保ってくれるはずだからな。


 米が炊けたらどんぶりに米をよそい、それぞれに半熟で良い感じに温まったままの他人を乗せていく。最後に三つ葉を飾って終わりだ。どんぶりこれで完成。


 後は付け合わせのサラダが欲しいな。レタスをちぎってトマトを切って乗せて、マッシュポテトの粉末を水で練って上にディッシャーでカポッと乗っけてマヨ。余った分は今食べよう。更に上から粉チーズをかけて……チーズポテトサラダにした。本当はここに半熟卵を乗せてやりたいところだが、卵は他人丼でしっかり使ってるからここは無しで行こう。半熟卵を乗せるのはまたの機会だな。


 二人分の昼食が出来たところで下準備は終わりだ。さぁ出勤準備しよう。


 柄、ヨシ!

 直刀、ヨシ!

 ヘルメット、ヨシ!

 スーツ、ヨシ!

 安全靴、ヨシ!

 手袋、ヨシ!

 飯の準備、ヨシ!

 嗜好品、ナシ!

 保管庫の中身……ヨシ!

 その他いろいろ、ヨシ!


 今夜は買い出しに行ってミルコ用のおやつを買い集めておこう。今日は無しだな。


 ダンジョンの中でもできるだけ多めにドロップ品であるインゴットをかき集めて密度の高い戦闘がしたい。在庫としていくらかもっておけば芽生さんが槍を作る際にも原料として提供できるであろうし、そもそも俺が原料として渡した分も本来なら二人の共同戦果の中から出したものだ。俺だけ作ってもらって芽生さんの時は実費払いというのは不公平だ。平等になるようにうまいこと金額調整しておこう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 バスで芽生さんと合流。小さく話しながら今日の予定を伝える。


「おはようございます。今日は体調大丈夫ですか」


 声掛け一番体の心配をされる。前回がああだったから仕方がないとは言えるな。


「おはよう、今日は朝からピンピンしてる。疲れるのはまたしばらく先になりそうだ」

「それは何よりですね。で、今日はどうします。予定では午前中は五十五層でしたよね? 」

「そこなんだが、今日は一日五十五層としておくのはどうだろう? 五十六層の南北往復移動分の時間探索に当てることが出来るし、五十五層の密度は元々濃い。移動時間を使わなくていい分探索で稼ぐ時間が増えるし、インゴットの在庫を……ふむ」


 言葉を途中で切る。普段のバスより静かだ。どうやらこっちの動きに聞き耳を立てているような気がする。やはり価格改定以来目を付けられているのか、それともスレで俺のせいとされていたことが影響しているのか。みんな結構スレを読んでいるのか参加しているのか。どっちにせよここで話すのはすべて筒抜けということにもなるな。バスのエンジンがそこそこうるさいとはいえ、人がいる所で内緒に近い話を始めるのはこれからは控えていくようにしなければな。


 そもそも二人きりではない場所で探索の相談をしているのが問題なのだが、今更それを止めるというのも妙な話。今日は五十五層に潜るという話しかしてないし、五十六層のドロップを運び込んでいる姿は目撃されているので周知の事実。それ以上のことを話さなければいいだろう。


「とりあえずそんな感じで。詳しくはいつも通り探索しながら相談していこう。今日もいつも通り稼いで帰ることにしよう」

「はーい」


 その後は無言でバス停まで過ごす。バス内は静まり返るかと思ったが、これ以上聞き出せる情報が無いと感じたのかそれぞれのパーティーメンバー同士での会話らしきものを始めた。


 この感じは、しばらくエレベーターの中で作戦会議という流れになりそうだ。出来るだけ情報を出さないでおこうというわけではないが、一挙一動が監視されてるというつもりで動こう。


 ダンジョンに着き芽生さんの着替えの間に涼しくなるため休憩室で水を一口。今と仕事終わりの時のこのタイミングの水の美味さに勝るものはなかなかない。保管庫に入っている水でもキッチリ冷やしていれば同じ冷たさを出すことは不可能ではないが、水が違う。ここはどこの水を使っているんだろう。今度気になったらギルマスにでも聞くか。


 しばらく涼んでいる間に芽生さんが到着した。ふと見るとスーツがヨれている。


「手入れをサボってるな。ちょっと曲がっているぞ」


 芽生さんスーツの少しヨれている部分を直してやる。


「もう二、三着買って着まわそうとは思っているんですが、中々行く暇が無くて」

「それこそ夏休み中にやり終わってしまうほうが良いんじゃないか? 」

「そうですね、次に洋一さんの身体に限界が来た時にでも行ってきますよ」


 襟元にスッと手を通し、ぱっと見で問題が無いように仕上げる。


「ありがとうございます。でもこの後すぐ動くからあんまり意味ないかもですね」

「その動くまでの間はビシッとさせておくのが大事だ。せっかく高い金出して買ったんだからな」


 準備が出来たところで早速茂君を刈り取り五十六層まで下りていく。その途中で芽生さんに色々伝えていく。


「昨日家に帰ってからいろんな情報源を調べたんだが、どうも色々とバレ始めているらしい。というか探りを入れられている節が見られる。ダンジョンマスターと仲が良い、というあたりまではもう周知の事実と考えても良さそうだ」

「今更ですが、バスの中や休憩室でそういう話をしてる時点である程度バレていたかと。むしろ今までそういう話を大っぴらにしているという自覚が無かったことのほうが問題では」


 どうやら芽生さんは薄々そう思っていたがあえて言わなかったらしい。もっと早く教えてくれればよかったのに。探索に夢中で意識してない所ではモロバレだったかもしれん。


 昔を遡ればスキルオーブドロップの時のことを考えて、色々と注意するべきでは無かったか。今までどこでどんな会話をしてきたかを考えたらかなりばらまいてるな。どうしよう? スレの流れだけ見たらギルマスにも色々と知られている可能性が高い。後でダンジョン庁から怒られるかな。


「うーん……うーん……」

「お、今更思い出して色々と脇が甘かったんじゃないかと悩んでいる様子ですねえ。でも悩んでもばらまいた情報や話は回収しようがないですから、考えるべきことは今後どうしていくかだけですねえ。今後ダンジョンの内容について話すのは二人きりの時かエレベーターの中だけにしておきましょう。それだけでもグッとばらまく話は少なくなるはずです」

「そうだな……よし、頭を切り替えよう。いつまでも悩んでいては五十五層で怪我するかもしれない。探索をする時は出来るだけ探索に集中しよう」


 よし、今更仕方ない。見られているのはもう慣れているんだ。ダンジョンの中でダンジョンマスターに見られているだけでなく、ギルドや家からの通勤経路でも、他の探索者に聞かれている見られているということを考えていこう。


「とりあえず今日は一日中五十五層に居るって事で。どれだけインゴットに需要があるかは解らないが値段分だけの働きはしてくれるはずだし、次の半年までに追いついてくる探索者が居るかどうかを考えると怪しい所だし、これは需要が間違いなくあるドロップ品だからな。時給で計算するところで考えても、今のところは五十九層で一日うろつくのと同レベルで稼げるはずだ」

「一日何個ほど取れるかも計算しておくべきですかねえ。もしギルドから直接納品の依頼が来た場合どれだけの時間かかるかというのを判断する物差しになるでしょうし、知っておくのは大事だと思います」


 今日は色々と計算しながら五十五層をしっかり回ることにしよう。モンスター密度も高いし戦闘中にアラームで知らせる感じでないと気が付いたら時間が過ぎ去っていた、ということにもなりかねん。一時間で何をどれだけ稼げるのか、今の強さで何処までそれをスピードアップできるのか、そのあたりを色々と計測していこう。


 五十六層にたどり着いてリヤカーをその場に置いて、軽くストレッチしながら五十五層へ上がる。まずは午前中、一時間半ほどかけて適当にモンスター密度が濃そうなところを探しながら軽く流す。久しぶりの五十五層の湧きっぷりは障害物が少ないことも有りかなりのモンスター数が居るように見える。実際は索敵に引っかかって赤くなって寄って来た奴を片っ端から雷撃と魔法矢か水魔法でぶっ飛ばすのが主な内容だ。


 実際のところもモンスターの湧き具合は五十九層と同レベルで湧いているような気がする。あの立派な壁を取っ払って何もない空間にした場合、五十九層と五十五層でどっちのほうがモンスターが多いのかはちょっと判断できない。しかしドロップ品のメインである魔結晶とポーションのドロップ率を考えれば、一匹当たりの美味しさは五十九層のモンスターのほうに軍配が上がるのは間違いない。


「なんか久々って感じがするなあ。この暑さといい、水分を奪われる湿度の低さといい、ダンジョンのマップの中では一番過酷な気がする。よくここを抜けてこられたな」

「ここで今から八時間ほど作業することになるわけですが、熱中症とかになった覚えはないので多分そこそこの涼しさみたいなものはあるとは思います。後は例によって直射日光が無い分体への負担は小さいのかもしれませんね」


 さて、一番近いのはあれだな。ベータ型二体とアルファ型二体……


「あ、しまった」

「どうかしましたか? 」

「こいつらの正式名称、聞いておくの忘れた。なんて言うんだろう? 」

「えーとですね、マーシャルソルジャーA型とマーシャルソルジャーB型ってなったらしいですよ」


 何で芽生さんが知ってるんだろう? どこかに正式名称でも載ってたのか。


「何で知ってるの? って顔をしてますが、ギルドに貼り出されてるドロップ品リストとドロップするモンスターのところに書いてありましたよ。AとBはほぼそのままですが、名前のほうはさすがに決めたらしいです」

「なるほど……でも正式名称は長いな。やはりこれからもアルファ型ベータ型と呼んでいくことにしよう」


 名前はちゃんとしているかどうかは大事だが、適度に短い事も大事だ。毎回マーシャルソルジャーとつけていくよりも、お互いが認識してるアルファ型ベータ型で通していく方が解りやすい。ダンジョンタンブルウィードも立派な名前がついているが結局マリモと呼んでいるしな。簡略して無駄な時間を無くすためには愛称は大事だ。


 早速目の前のベータ型とアルファ型を範囲攻撃が出来るようになった全力雷撃で焼くと、一撃で倒すことが出来た。やはり確実に威力アップしている。もしかしたら一人で五十五層を巡れるようにもなっているかもしれない。ただどれだけ連射できるかを考えなければいけないので今できたからと油断するのはだめだな。


「一発ですか。かなり威力上がりましたね。もうこれは雷帝とか新しく二つ名を名乗ってもいい感じかもしれません」


 なんか中二病くさい提案をされてしまった。雷帝安村……ちょっといい、と思ってしまう辺り、まだ俺心の中には中二心が残っているらしい。


「もうちょっと気の利いた二つ名がいいな。これでこそ俺、みたいな」

「じゃあ無限の荷物持ちとかそういうのはどうでしょう」

「保管庫が表に出せるようになったならそういうのは有りかもしれんな。海外のダンジョンでその手のレアスキルを保持してる人はやはり二つ名で呼ばれてたりするんだろうか。気が向いてみたら調べてみようかな……と」

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
> 原因は疲労か」 白雷の撃ち過ぎなのよ > 受ける準備」 小ネタを仕込むおじさん > これで完成」 気付いたら半分くらい食べ終わっているおじさん。 これだから丼ものはいけないなどと申しており …
潮干狩りおじさんがあなたの二つ名です!ヾ(*´∀`*)ノ むしろ雷帝?あぁ潮干狩りおじさんのことねってなりそう!
ライトニング潮干狩りおじさんに笑う 相棒の方は静かにしてるせいかまだつかないのよな
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