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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十一章:夏休み、あー夏休み、夏休み
1071/1207

1071:快眠快速

ダンジョンで潮干狩りを

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マツさんのゲル

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帰還勇者の内事六課異能録

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こちらもよろしくお願いします。

 アラームが鳴ってゆっくりと頭を持ち上げる。全身汗だくだ。眠ってる間に身体の色んな所の疲労が抜けたらしく、その分汗をかいたらしい。


「おはようございます、よく眠れましたか? 」


 ずっと警戒をしてくれていたらしい芽生さんから優しいモーニングコールが聞こえる。


「しっかり眠れはしたけど汗だくだな。ウォッシュ」


 全身に気持ちいい温水と温風が行きわたり、かいた汗や老廃物が黒い粒子となり直上に上っていく。


「これでよし、と。なんかたっぷり寝た気がするよ」

「時間的には四十分ぐらいですかね。それだけよく眠れたということはやっぱりお疲れだったんじゃないですかねえ」

「かもしれない。体調管理は自分で日々しっかりやるようにと言いながらこのざまでは返す言葉が無いな」


 身体を動かすとメリメリッと気持ちいい音が鳴り響く。どうやら睡眠中にあちこちの筋肉や神経もしっかりお眠りになっているようで、今すぐに動いて出かける、といった雰囲気ではない様子。


「まだ体はお眠みたいだからちょっと無理矢理起こすことにしよう。ストレッチが終わったら出かけるということで」


 全身をゴリゴリメリメリと動かす。仮眠だったが下手な睡眠よりも確実に効果があったと思われる成果が今音として奏でられている。やはり疲労回復には睡眠が一番だな。これをうっかりスノーオウルの枕でやっていたら体の調子は元のままだっただろう。


 そしてダーククロウの枕からじゃないと得られない効果もあるというのが解った。やはり枕は三種類必要だな。ダーククロウの枕、スノーオウルの枕、そしてダーククロウとスノーオウルの混合枕だ。それぞれ使い分けて体調管理と睡眠の質を上げるために邁進してもらおう。


 十分ぐらいかけてしっかり動かし、音が鳴らなくなってきたところでストレッチは完了。頭もスッキリしてきたし胃袋は落ち着いた。これでいつも通りの探索が出来るな。


「お待たせ、さぁ今日もノルマ目指して頑張ろうか」

「はい、今日も一杯稼いで帰りましょう」


 体調は良くなった。ならばいつも通り頑張れるだろう。早速五十九層へ向けて歩き出す。朝ここまでくるよりも足取りは軽く、今日の成果もバッチリ持って帰れるだろうという期待感が胸にあふれてきた。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 帰りの時間になった。流石に昨日の今日でスキルオーブが落ちるということは無かったが、ポーション十本と魔法耐性の指輪のドロップは有ったのでしっかり稼げたことに間違いはない。


 体調のほうは問題なく、休み明けのように軽やかに動いた。やはり昼食時の仮眠がかなり効いたらしい。それと同時にかなりの負担を強いていたんだな、という自分への戒めも含まれている。休む時はちゃんと休む、大事なことだと再認識した。


 無事に五十六層まで戻ってきて、エレベーターで七層に向かいつつ今日の戦果を確認。今日もアクシデントはあったとはいえ良い感じに稼げたし、自分の身体の稼働限界が六日連続稼働がギリギリだという自覚も出た。やはり七日に一度は休めということなのだろう。神だって一日休んだのだ、俺が一日休むことになんの不思議が有ろうか。


「さて、俺の肉体の稼働限界がちょっと解ったところで明日はどうしようかねえ。無理に動かして今日と同じになるではちょっとそれはそれで問題だが」

「お休みでも良いですよー? 私も私用で色々とありますし、明日ぐらい休んでください」

「そうさせてもらおうかな。ゆっくり体力を回復させてその後の六日の間確実に動くようにするのも大事だからな」

「無理して何日も動けなくなるのが一番だめですからね。一日一億稼げる男が数日動けなくなるなんて、ダンジョン庁からしてもかなりの損失ですよ」


 たしかにおっしゃる通り。ここは大人しく休んで英気を養おう。休みも大事、仕事のために休むわけではないが、調べものやここ最近の、特に価格改定やB+ランク開放された後の他の探索者の様子をじっくり調べて情報を集めることも必要だと考える。調べ物をしていたら実質的に休みではないが、体はしっかりと休めることは出来る。


 明日は趣味の料理も横に置いといて出来合い物を買い込んでそれを徐々に消化していくことにしよう。引きこもる一日を過ごすのだ。


 七層に着いて茂君を回収するとそのままエレベーターで地上へ。退ダン手続きをして査定。今日のお賃金一億八十八万千円なり。ぎりぎり一億には届いたようだ。


「あ、安村さんだ。お久しぶり」


 支払いカウンターで振り込みを終わらせると、休憩室で休んでいる大木さんから声をかけられる。


「どうも御無沙汰ですね。調子はどうですか? 」

「中々難航してますね。おかげさまでB+ランクには上がれましたが三十五層まであと一歩ってところですね。次回にはたどり着いて見せますよ」


 どうやら小寺パーティーは無事にB+ランクに昇級できたらしい。ということは一緒にエルダートレントを狩ったらしい相沢君達もB+になったってところかな。彼らは元気にしているだろうか。


「頑張ってください。三十五層にも例のノートセットは設置してあるんで、情報交換の一助にでもしておいてください。後、酸素ボンベが置いてありますが多分必要がないので気にしないでください。あれは高山系のマップだと知った時にもしかしたら酸素が薄いかもしれないと思って試しに購入したものの使い所が無かった奴なんですよ」

「そんなものまで置いてあるんですか。お世話になることは無いでしょうが気になった人が居たらそう伝えておくとしますよ。安村さんは何層あたりをうろついているんですか? 」


 おっと、突然刺しに来たぞ。だが、ダンジョン庁からどこまで潜っているかを教える範囲はもうすでに伝えられているので胸を張って言うことが出来るな。


「今は五十六層周辺ですね。ここまで潜ると一日の収入もかなりのものになるんで頑張るだけの価値はあると思います」

「それは楽しみですね。すぐにでもというわけにはいかないでしょうが、精々頑張って追いつけるようにしますよ」


 芽生さんが着替えから戻ってきたので支払いレシートを渡す。芽生さんが振り込みをしている間にドライフルーツを取り出し、念のためにかじっておく。


「お、仕事終わりの一杯みたいなもんですか。気持ちよさそうですね」

「良ければおひとつどうぞ」

「これはご丁寧にどうも」


 一杯注ぐようなやり取りをした後二人で暑熱感と清涼感を味わい、気持ちよくなったところに冷水器から水を汲んで飲む。かなり体の中が涼しくなった感覚を覚える。やはり仕事終わりにはこの一杯がしみわたる。今ならキンキンに冷えたビールに代役を任せることもできる。酒を飲めるというのはある程度ストレスや体の疲れを取るのにも必要なことなのだろうか。


 バッグからスマホを取り出して着信が無いか確認すると、石原刃物から連絡が入っていることに気づいた。まだ営業時間内だよな、というのを確認してから電話を掛け返す。


「ちょっと失礼、仕事の連絡です」

「私はここで帰りますのでそれじゃあまた」


 気を使ってか本当に用事は無くなったのか、大木さんは去って行った。さては今こっちが何処に潜っているかだけを確認するために残っていたのか。またじゃんけんに負けて居残る羽目になったんだろうな。


「もしもし、石原刃物でございます」


 昭代さんの声が聞こえる。


「あ、お世話になっています安村です。ダンジョンに潜っている間にお電話を頂いたようで」

「あら安村さん。お電話をお待ちしておりました。主人のほうからおおよそできたとの話が出ましたので、一度安村さんに出来栄えのほうを見ていただこうと思いまして。何時でもよろしいのでこちらにいらして、細かい所の注文なんかを聞こうかと思いましてお電話差し上げたのですが、安村さんの都合のいい時でよろしいですので、一度顔を見せていただければと思います」


 どうやら試作品が出来たらしい。これは出来のほうが楽しみだな。明日休みだし、早速行ってみることにするか。


「では明日にでもそちらへ行こうかと思います。明日は都合はよろしいでしょうか」

「解りました。主人にもそう伝えておきますのでいつでもいらしてください、では失礼します」


 俺のために作られた俺だけの新素材武器か、男の子としてやはり胸が弾むものがある。


「明日どこか行く予定でも入ったんですか? 」


 芽生さんが戻ってきて途中から会話を聞いていたらしい。


「例の武器の試作品が出来たから一度見に来てほしいそうだ。早速明日行ってみることにするよ」

「お休みって言ってたのに……まあ、激しい運動をするわけでも無さそうですから休みには違いありませんね。隅々までチェックして精々いいのを作ってもらってください」

「そうする。さて、明日の予定も入ったことだし、今日は本当に真っ直ぐ帰ってコンビニ飯食べて休むか。明日気持ちよく起きられるようにしておかないとな」


 帰りのバスを待つのも今が一番つらい時期だろう。もう少しすれば少しずつだが涼しくはなっていく。とはいえ暑い中バスを待つのは体力の無駄遣いなのでギリギリの時間までギルドの建物で涼んでいくことにする。


「そういえば、いくらぐらいを見越してお願いしたんですか? 」


 今更だが、予算のほどを芽生さんに聞かれる。


「前金はかなり払った。後は現物支給でインゴットをいくらか渡した。それ以外は……いくらになるんだろうね? 考えてなかったや」

「いけませんねえ。それだけ高級な武器なら資産扱いになりますから、毎年減価償却しながら経費として引かれていくことになります。確実に後で税理士さんに相談することになりますよ」


 外付け計算装置から注意が飛んできた。たしかに一発経費で落とせるようなものではないだろうな。


「ちゃんと領収書は貰うし、早めに連絡して後で忙しいことにならないようにはする予定ではある。とりあえず物が出来てからだな。今のところ出費は……多分五百万ぐらいだと思う、時価で」

「大層な買い物しましたね。まあその出費の内いくらかはギルド価格指標でしょうから実際にはもっとかかってると考えて良さそうですね。私もお願いしましょうかね、新しいの」

「じゃあ試しに明日ついてくるかい? 多分俺の紹介だって話を通せば優先的に作ってくれると思うよ」


 芽生さんも次の階層や今の階層での切れ味に対して効果的であるかどうかを判断する時期に来ているだろうし、使っている得物もそれなりに消耗しているだろうから買い替えを意識してもいいタイミングなんじゃないだろうか。


「そうですね……じゃあ明日また連絡ください。行く時間合わせて合流しましょう」

「解った。一応午前中行く予定だからそれだけは今伝えておく」

「さすがに一日丸ごと使ってという話でもないでしょうから、午後は完全にフリーになりますね。たまには実家に顔を出しに行くのも悪くないでしょうし何かお土産持っていきましょうかね? 」

「ダンジョン産の肉でも持っていくか? ある分からなら都合できるぞ」

「明日決めることにします。とりあえずエンペラを何枚かと後は適当に用意してお土産で喜ばせていこうかと思います」


 バスの時間が近づいたのでバス停にぞろぞろと探索者が移動を始める。それについていき、バスはかなり満員に近い状態になった。流石に今日は座って帰れないな。


「明日は車で行くんですか? 」

「いや、あそこを車で通行するのは俺には勇気が必要過ぎる。バス停も近いし、素直に公共交通機関で行くことにする」

「そうですか、なら時間も合わせやすいですね。名古屋駅で合流できるように調整します」


 明日は新武器のお披露目会と言ったところか。今からでも楽しみだ。どんな形でどんな重さで、どのくらい斬れるんだろう。亀の甲羅でもスパッと行けたりするんだろうか。石像も斬れるのかな。ガーゴイルは今の直刀でもスッパリいけることだし、それ以上のものを提供してもらえるんだろうか。ワクワクしてきたぞ。楽しみで今夜はぐっすり眠れそうだ。


 そもそも刃の形も定かではないんだよな。試しで見せた直刀をサンプルにまた直刀で来るかもしれないが、切れ味や素材の味を活かした結果反りのある日本刀風になりました、なんてことにもなっているかもしれない。流石に剣であることは間違いないが、それも含めて楽しみが大きい。


 逆にコレジャナイ感満載のものが来たとしても、いざ持ってみて違和感なく振り回せたらそれはそれで美味しいかもしれないな。


 駅で芽生さんと別れて自宅に帰る前にコンビニで夕食を見繕い、ついでに馬肉を焼いて疲労を残さないことを考えておくのも悪くないな。料理はしないということになっているので、馬肉は刺しで食べよう。後は追いチーズ。コンビニ弁当のチーズドリア、君に決めた。ついでに追いチーズ分も購入して店を出る。


 明日は休みと言いつつ結局半休だが、それも悪くない。体を動かさないことに間違いはないので今日はゆっくり休んで明日しっかり休めるように……あれ?

作者からのお願い


皆さんのご意見、ご感想、いいね、評価、ブックマークなどから燃料があふれ出てきます。

続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

後毎度の誤字修正、感謝しております。

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― 新着の感想 ―
ここで熊手をもらってタイトル回収!?
> 温水と温風」 丸洗いできるタイプのおじさん > メリメリッ」 > ゴリゴリメリメリ」 異音を出すおじさん > 音が鳴らなくなってきたところで」 しつこい異音のおじさん > 体調は良くなった」…
おお、お休みと出来上がりが重なったようで どんな新武器が出来ましたかねー、楽しみですわ
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