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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二章:出来ればおじさんは目立ちたくない

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107:目覚めよ、と呼ぶ声が聞こえ

 


 昼の十三時ごろ目が覚めた。やはりダーククロウの枕は偉大だな。とてもスッキリとした目覚めだ。ありがとうダーククロウ。


 早朝に買っておいた昼食を食べ、ゆっくりと体を動かし始める。今日は休みだ。夜勤明けのような感じだが、枕のおかげで疲れはほとんど感じない。


 寝ている間に事態は進展したんだろうか。とりあえずスレッドを確認し、そのスレッドの進んだ数と内容でざっくりとした現状を知る。


 三勢食品はどういう選択をしたのだろう。ギルドはどうだろうか。


 探索者はバニラバーを持つものと持たざる者に分かれつつある。どうやらひと悶着ふた悶着あちらこちらであったようだ。想定内だ。


 バニラバーを販売している店は自店のホームページ上におおよそ似たような文言を残している。


「三勢食品製カロリーバーの在庫が欠品しておりますが、再入荷のめどは立っておりません。今しばらく入荷をお待ちください」


 探索者の集まる掲示板では「バニラバー購入報告」なるスレが立ち上がり、どこにどれだけ商品があったかの意見を交換し合い、買い占めては窘められるといった具合でスレッドが進行している。


 一本作るのに何秒かかるんだろう。ラインの原料投入から包装までに十秒かかるとして、時間三百六十個。二十四時間で八千六百四十個。


 探索者が八時間稼働で一分一匹半分ずつ消費するとして二百四十本。一日換算で三十六人分か。とてもじゃないが追いつかないな。それ以上に生産を増強するとしても同じ事だろう。


 それに、既存の取引がある企業以外からのオファーがあるはずだ。それを無視してもとてもじゃないが捌ききれないだろう。


 暫くスライム狩りはできないと思ったほうがいいな。バニラバー片手にうろうろしてるのも変な光景だが、現状だとバニラバーも持たずにスライムを狩るなと怒られかねない。


 四層以降での狩りになりそうだな。昨日の清州を見た限り、人を避けて小西ダンジョンに来る人も少なくないはずだ。そうなればいつものようにスライムと対話を楽しむ余地は無いだろう。


 五層で猪鍋を食いつつカラスをおつまみにするのがベターかな。きっと四層も混むはずだ。ゴブリンソードの在庫を増やしたいのが本音だが、普段ゴブリンを狩るようなパーティー層も一階層分下へ退避してくるんじゃないかと予想する。


 清州ダンジョン七層から帰ってこれたんだ、今度は小西ダンジョン七層に行こう。


 キャンプ費用は清州ダンジョンの一泊で実質稼ぎ切ってきたので、今後はキャンプ用品使い放題だ。使ったキャンプ用品を取り出して、軽く洗って干しておく。これで次回も問題なく使えるだろう。


 小西ダンジョン七層でキャンプするなら持ちこめるものは持っておきたい。清州ダンジョン七層はキャンプ地というよりイベント会場のような雰囲気だった。清州ダンジョンより規模の大きい高輪ゲートウェイ官民総合利用ダンジョンなら、十四層も似た雰囲気のまま存在するのかもしれないな。


 翻って小西ダンジョンでは片手で数えられる程度のテントがあるだけだろう。防犯の必要もないかもしれない。少なくとも小寺さんたちは七層でキャンプをしていた。なら「ここをキャンプ地とする 安村」とでも書きおきしておけば安心かもしれない。


 段々予定が立ってきた気がする。保管庫の在庫をチェックする。補充するようなものはない。精々出るときに冷蔵庫でキンキンに冷やした飲み物を入れるぐらいだ。


 食事を楽しみたいなら食材も入れておく必要があるな。キャンプで食べるようなきのことか人参とかピーマンとかキャベツとか、事前に刻んでパッキングして入れておけばいいだろう。肉は現地調達だ。


 後の物は大体そろっている。やはり向こうで何を食うかがメインになっているな。何喰おう。ちゃんちゃん焼きの肉バージョンみたいなものがお手軽かつ豪勢な気がする。


 あ、そうだ。まな板とアイマスクだ。特にアイマスクは買おうと思っていて結局忘れていた一品でもある。アイマスクの代わりにメモ帳を使用することになったが、やはりアイマスクが欲しい。


 まな板はプラスチックの、下敷きみたいなものでもいい。大事なのはそこにまな板があるかないかだ。まな板は人類が発明した素晴らしい製品の中で百本の指に入るぐらい凄い発明だ。忘れずに調達しよう。


 まな板・アイマスク・食料。後は何だろう。そうだ、米だ。やはりキャンプにはパックの米だな。


 冷めたまま食う事になるか? いや、スキレットで軽く焼いて焼き飯みたいにして具材を混ぜ合えばきっと美味いだろう。なんなら今自宅で試作しても良い。


 メモ帳にパック米ときちんと記録しておく。炊き立てご飯をラップでくるんでそのまま持ってくるのでもいいが、キャンプらしさからは少し外れる。やはりパックのご飯をそのまま投入して水も少量入れて、後はごま油を垂らせばいいな。ごま油のボトルは小さいものに詰め替えてもっていこう。


 どんどん荷物が増えていく。保管庫があるので大きな障害にはならないが、少なくともテントセットは外に出しておかないと怪しさしかないからな。それ以外の物をバッグに詰めたふりをしておこう。


 調味料は小分けして持って行ったのは正解だった。次回もそうしよう。


 段々荷物が増えていく。保管庫に入れておくだけの物はバッグの中に入ってましたで一応の誤魔化しはきくが。保管庫の中のミネラルウォーターを冷蔵庫に入れておく。多少ぬるくはなるだろうが、実際飲む場面で冷たい水を飲めるのは精神的にリラックスする為にもあったほうがいい。


 こうして、準備を進めてる間にもスライムは飯を無理やり食わされ狩られていっているんだろうなぁ。


 若干祭りの蚊帳の外に居ると思わなくもないが、血走った目でスライムを探し続けるよりは精神的に良いだろう。探索者達にはぜひ稼いで帰ってもらいたい。


 さて、夕食何食べよう。外食でもいいが三食とも外食というのもなんだかなぁという気分だ。とりあえず材料探しにスーパーまで出かけようか。さっき思い付いた野菜炒めを試験的に作ってみるか。


 持っていく予定の食材でどこまでの物が出来るか確かめて、改めて持ち物に刷新を図るのがいい。となれば早速お出かけだ。車を出そう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 近所のスーパーまでチャリンコで三十分バスなら十五分。飛ばせば車で十分で届く距離だ。隣がホームセンターになっている、郊外型の施設だ。都会を半分履き違えたような片田舎にはよくある。


 ダンジョン生活になれると一般的に言われるところのバランスの良い食事とは縁が遠くなる。たまにはバランスよくというのを実証してみるのも良いだろう。食材を多めに買い込む。もちろん、ダンジョン用として持っていくものも追加で買っていく。


 スパイスなんかはまだストックに余裕があるからいいだろう。キャンプ最終兵器である小袋パックのカレー粉を視野に入れつつ、どんな味にしたいかを組み立てていく。


 パック米の六パックセットを二つで購入する。いくらあっても困らないからな、米は。温めるだけで食えるし腹に溜まる。


 おかげで我が家の炊飯器は稼働率が著しく低い。ダンジョン生活を始めてからは特にだ。もうそろそろ要らないんじゃないかと思い始めてすらいる。


 さて、メイン食材は米と肉野菜炒めを一緒に調理するズバリずぼら飯だ。先に肉野菜炒めを作り、残った水分と脂で米を温めつつ炒める。野菜を入れすぎた時は水分をある程度飛ばしてから米を炒めればいい。


 スキレット一つで調理できる範囲で手間がかからず美味しく、それなりに栄養バランスがよくカロリーが取れる方法がこれになる。後は適当に湯を沸かしてスープ的な何かを添えればいいだろう。


 栄養バランスと言えば、ダンジョンで活動していて、壊血病にかかったりしないのだろうか。ちゃんとビタミンCを摂取しているんだろうか。ビタミン錠剤を持っておくべきだな、隣のホームセンター行けばあるだろう。


 なんか荷物がだんだん増えてきたな。これは荷物が多すぎるのか、最初のキャンプトライアルがウカツ過ぎたのか判断がつかなくなってきた。とりあえず思いつくものは買ってしまって、家に帰ってから整理するか。そのほうが往復せずに済むだけ楽だな。


 一通り食料品を買いそろえレジへ行く。保管庫の中にはウルフ肉とボア肉が一つずつ、常にストックとして確保されている。これはモンスター肉で食ってみたい! というレシピに出会った時のためだ。


 秘蔵のブランデーを戸棚の奥底に隠しておくかのように、バッグの奥底に隠し持っているこの肉たちを一体いつどのように調理してやろうかという楽しみは探索者ならではかもしれない。


 スーパーで買い物を終えると隣のホームセンターへ寄る。車をわざわざ動かすのが面倒くさいと感じるぐらいの距離だが、まぁ仕方ない。


 アイマスクとまな板……と言っても薄っぺらいプラスチックの板だ。それを買う。これが有ると無いとでは料理の時に大きな差が出る。やはりまな板は凄いな。それとマルチビタミンの錠剤を一瓶。これで明らかに足りないものは買いそろえたはずだ。


 後、五百ミリリットルペットボトルが六本入るタイプのクーラーバッグを買う。これでキンキンに冷えた飲み物を持ち歩く偽装はOKだ。ビールでもコーラでも、保管庫に入っている時間を誤魔化してダンジョンで冷えたものを飲める。


それ用のコーラとビールを六本ずつ追加で買うとホームセンターを後にした。


夕食は肉野菜炒めチャーハンかな。残ればそれを朝飯にしよう。


家についてスマホを見ると「そろそろ帰ってきた? どうだった? 」とレインが来ていた。


「なんかイベント会場みたいだった」と返しておく。

「人多かった? 」「スライムより」

「儲けは」「バッチリよ」

「小西でも七層行けそう? 」「なんとかなりそう」


「良い出会いあった? 」「あった」



作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
醤油はどうした
これだけ各地で大量にスライム狩られてたら保管庫スキル落ちるんじゃ・・・ 落ちないなら、バニラの2個確定テーブルだと、それ以外のドロップ率がゼロになる罠があるとかかな?
やってる事が理解できん!おもんない
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