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ダンジョンで潮干狩りを  作者: 大正
第二十章:順風満帆の終わり

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1055:食集め、羽根集め

ダンジョンで潮干狩りを

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 食休みが終わってお互い動けることを確認すると早速三十六層方面へ歩いていく。ワイバーンは回避行動を求められるので避けてる間に食べたものがお帰りなさいしてくる可能性があるので、食休みはしっかり取った。


 久しぶりに下りた三十六層はまだやはり手付かずの様相といったところで、見れる場所、索敵で判断できる場所それぞれモンスターで一杯だ。くいっぱぐれることはないだろう。


 早速ダンジョンヴィーゼルがお出迎えに来てくれたが、初めて会った頃に比べてずいぶんゆっくり移動しているようにも見える。それだけこちらが強くなったということだろう。全力まで出す必要もない雷撃で一発で黒い粒子に還す。出力設定はこのくらいで良いらしいな。覚えておこう。


 サクサクと行きなれた道を進む。一本道の行きっきりの道なので迷う事も無く、索敵がある分だけ油断することも無く。しいて言えばワイバーンが索敵外からこっちへ向かってくることぐらいだが、ブレスもきっちり避けて下りてきたところに全力雷撃。ワイバーンは死ぬ。


 二匹同時に来ていたが芽生さんも冷静にブレスの着弾点を見極めてお互い回避をして、ワイバーンが着地してきたところに魔法矢とウォーターカッターで一気にトドメ。やはり三重化までされているとどんな攻撃でもきっちり仕留めることは可能らしい。


 早速お肉が出たのでこれで今日の昼飯は半分は戻ってきた。もう一個落ちれば今日の昼飯はほぼタダということになる。帰り道の分もあるしワイバーンはまだまだ居るので肉の消費量を気にする必要は無さそうだ。


 ダンジョンヴィーゼルとワイバーンを相手にしながら一時間かからないぐらいの速度でスイスイと三十七層への階段までたどり着いた。一人だともうちょっとまごついていたので、やはり二人で来るというのは大きいらしい。


 三十七層に下りて寒さを感じ始めたので上着の下にチョッキを着る。温かく感じるようになるか寒さに慣れるかしたらまた脱いで保管庫に仕舞おう。


「やっぱりこの階層は肌寒いですね。まだちょっと慣れないかも」


 芽生さんは少し寒そうにしているが、目の前に雪まんじゅうを見つけると自力で掘り出してスノーベアと戦い始め、動くことで体を温めようとしているらしい。


 そっちは芽生さんに任せて、こっちはスノーオウルの処理に回ることにしよう。三十七層の階段から西進し、まっすぐ木の並んだところを通る。木の一本一本にはスノーオウルが居ることが解っているので、雷撃かバードショット弾で弾いてやって衝撃を与え、こっちに気づかせ出てきたところを雷撃で一発処理。タイミングを間違えなければ割と近くにドロップ品が落ちてきてくれるのでとても楽。


 木が途切れたところで南進すれば階段が見えてくるのはこのマップのとても分かりやすくて褒めるべき点である。体がそこそこ温まってきたのか芽生さんの膝の動きもかなり機敏になっており、スノーベアも段々短い時間で倒せるようになってきた。要領を思い出し始めたという奴かな。


 真っ直ぐ南進して三十八層への階段へ到着。ここまでの金額は知れたものだが、ワイバーン素材を久しぶりに納品するということにはなる。ワイバーンの素材にどれだけ世間の注目が集まっているかまでは解らないが、他のダンジョンでも三十八層まで到達しているダンジョンはあるだろうから、物珍しさはないと考えておく。


 小西以外にもダンジョンはあるし、他のダンジョンでも最深層である最低でも三十八層までたどり着いてダンジョンマスターにより深いダンジョンを作ることを懇願し、それを受け入れられたうえで待っている場所だってあるのだ。そういう彼らの狩場となるのは三十五層付近。つまりワイバーン素材は充分に供給されているということが解る。


 おそらくそれも織り込み済みでの今回のワイバーン素材の値下がりだったのだろう。ついでにスノーオウルや熊胆も値下がりしたのは市場供給が適切に行われているという証拠でもあるのだろうな。


 三十八層の階段を下りて、木がひたすら並んだ気が狂いそうな地図へたどり着く。他のダンジョンではこの階層はどんな見た目なんだろうか。ここまで大量に木が並んでいるのか、それとももっと別なマップが供給されているのか。


 とりあえずこの光景を上空と地上とでそれぞれ撮影しておく。こんなマップなんですけど他のダンジョンではどうですかね? みたいな尋ね方をしてみて反応を見る機会があるかもしれないからな。後、ドローンもたまには使ってあげないと。


「さて、どういう狩り方でいこうかねえ」

「一緒に行動して普段の狩り方をしているのだと多分効率的にあまりよくないですから、私は北に二本分離れて行動します。で、向かって東側に向けて移動しながら、北側と東側の木に対してスノーオウルに攻撃を仕掛けていこうと思います。その間に洋一さんは今の場所から真東に向かって、北、南、東の三ヶ所を同時に攻める。こんな感じでどうでしょう。トランシーバーがあるので、荷物が一杯になり始めたら持ってきますからその時は収納してください。そんな感じでどうですか? 」


 地図を頭の中に広げながら作りを考える。確かに合理的だな。芽生さんが三匹片付けられるかは解らないが、二匹なら何とかなるという意見も採用するにちょうどいい。もし思ったより芽生さんの進捗が進みやすいなら、もう一歩北へ踏み込んで三方向ずつ攻撃しながら歩くという手段も使えるようになる。


「よし、それ採用。かなり効率的な動きだと思う」

「まずはやってみて、改善点を探っていく方向で行きましょう。問題なければそのまま続行という事で」

「わかった。連絡はこれで……ちゃんと動くよね? 」


 試しに話しかけてみると、芽生さんのトランシーバーに応答があるのを確認できた。滅多に使わないからと言ってバッテリーが自然減して使えないという可能性もあったのだが、ちゃんと毎日メンテしていたようだ。芽生さんえらい。俺は保管庫に放りっぱなしだった。


「じゃ、始めますよーっと」


 芽生さんが進行方向へ向かう前に北へ向かって魔法矢を撃ちこみ、反応して飛び出てきたスノーオウル相手にウォーターカッターで一発で処理。ちゃんと手順二回で終わらせることが出来たらしい。こっちを向いて頷くと、頷き返し、芽生さんが一本分進むのを待ってこっちも移動を開始する。


 まずは進行方向から順番に……試しに弱い雷撃で試してみるか。弱めに雷撃を撃ちこんで水平に木へ打ち込むと、反応してスノーオウルが出てきた。これでバードショット弾も要らなくなったな。あまり同じ木を攻撃し続けるといつか折れてしまうだろうが、そこまで同じところを巡るつもりはないので大丈夫だろう。


 一本目、東、二本目の北……はさっき芽生さんが倒したので南側の木を攻撃する。同じ手順で二発で倒すと、東に向かって進む。道中にはスノーベアが居たので全力雷撃二発で消し飛ばし、ドロップ品を回収。まずはこのテンポでしばらく向かってみて、どのぐらいで芽生さんのバッグが一杯になるかを検証していこう。


 ひたすら東へ突き進む。芽生さんも肉眼でかろうじて確認できるかどうか怪しい距離ではあるが、無事に戦えているらしいことが解る。オペラグラスで視認してみると、ちゃんと進めているらしいことは確認できた。もうちょっとペースを上げても大丈夫かな。


 バチンと軽い雷撃を当てた後、サッと飛び出てくるスノーオウルを全力雷撃でバツンと倒し、収納。それを三方向で繰り返した後で前に進む。


 バチン、サッ、バツン! 収納。バチン、サッ、バツン! 収納。

 バチン、サッ、バツン! 収納。そして早歩き。


 バードショットも要らなくなった今では完全にスキル頼りになってしまったこのマップだが、不思議と悪い気はしない。だんだん同じ作業の繰り返しでいかにすればよりテンポよく進めるかだけを考える。今日一日で何キログラム持ち帰ることが出来るのか。普段一人でやってる分を考えると、芽生さんが居る分だけ多く持ち帰ることが出来るような気がする。楽しみだな。


 芽生さんのほうからも戦闘音が聞こえてきてそっちを見る限り順調に進んでいるので今のところ問題はないと思われる。



 バチン、サッ、バツン! 収納。スノーベア、バチン、サッ、バツン! 収納。

 バチン、サッ、バツン! 収納。そして早歩き。


 合間合間に挟まれるスノーベアも無難に処理しながら、真っ直ぐ東へ進む。芽生さんもこちらのテンポに負けない勢いで進んでいる。こっちが三つで向こうが二つのターゲットだが、俺のほうが作業に慣れているので進捗が早いのは当然のこと。


 ドロップ率から逆算すると、一本進むたびに百グラムの羽根がドロップしているはずだ。芽生さんの手持ちはおおよそ確認はできる、ということか。芽生さんの最大積載量がどれだけまでいけるのかは解らないが、一時間に一回回収できれば上々、というところか。


 バチン、サッ、バツン! 収納。バチン、サッ、バツン! 収納。

 バチン、サッ、バツン! 収納。そして早歩き。


「あーあー、こちら芽生ちゃん。一回預かってください」


 しばらくして、芽生さんから一報が入る。どうやら荷物が辛くなってきたらしい。普段荷物を持ちなれないので仕方がないか。でも無理に荷物を背負って負荷がかかって変な負傷をするのはこの階層では勿体ない。


「解った、そっちに寄る」


 駆け足で道中のモンスターを処理しつつ芽生さんを肉眼で目視、駆け寄って芽生さんの荷物を受け取る。


「慣れてくると楽しいですねこれ。もうちょっとスピードアップできそうです」

「じゃあスピード上げていくか。もうちっとだけスピード上げていけばループを一周して帰って来れそうだ」

「じゃあ一ループして帰る感じでどんどん行きましょう。そうなるとこうして話している時間もロスですね。さっさと元の位置に戻って続行しましょう」


 芽生さんがやる気充分なので阻害しないよう頷くと、そのままドロップ品だけを収納してさっさと元の位置に戻る。どうやらスピード勝負を挑まれたような気がするので、俺が元の位置に戻る間にも芽生さんは先に行ってしまっている。あんまり離れるとトランシーバーの範囲外になっちゃうんだけどな。


 バチン、サッ、バツン! 収納。バチン、サッ、バツン! 収納。

 バチン、サッ、バツン! 収納。そして早歩き。


 手早く処理するのがお好みらしいのでこっちもスピードアップ。ゆったり狩りを楽しむのも悪くないが、勝負を挑まれた以上手を抜いてわざと負けたり最初からあきらめたりするのは性分じゃない、きっちり本職の実力というのをお見せしていかなければいけない。さぁ、気合入れていこう。


 ◇◆◇◆◇◆◇


 急ぎ足で倒しては芽生さんと時々連絡を入れて集合して回収を繰り返す。そして元の階段までループして戻ってきた。


「本当にループしているんですね。何気にループしている階層を真面目にループして戻ってきたのは初めてかもしれません」

「そういえばこの階層ぐらいかもしれないな。ここは羽根集めには絶好のポイント過ぎるから、同じ仕組みで出来ている階層が他のダンジョンに無ければ絶好の羽根集めスポットとして有名になるに違いない」

「何せ木があるだけモンスターも湧いてるってことですからね。さぁ帰りましょう。予定よりちょっと早くなりましたが問題はないですよね? 」


 保管庫の中身を確認すると、スノーオウルの羽根は十キログラムほど増えていた。普段一人で回る量に比べれば時間効率もドロップ効率も高い。中々良い感じである。ついで狩りのスノーベアのおかげで金額もそこそこ。実質二人でバラバラの狩りをしていた形になるのでその分多くなった、と考えればいいな。


「予定より多く査定されそうだし、今日は中々の収入になった。まあ普段ほどではないがきっちり回収できたと言えばそうなる。正直予想以上の量になった。ありがとう」

「これは帰りが楽しみですね。さあ、今の速いペースを乱さないようにとっとと帰りましょう。まだ夏休み初日ですし、今日は軽く流す感じで終われたということで」


 三十七層三十六層と問題なくそのままの早足ペースを乱さないようにしながら戻る。モンスターは当然のように湧き直しているが、ワイバーン以外は素通りするように倒していけるために時間効率は良い。


 ワイバーンもそんなに数が多いわけではないので本来なら無理矢理上空から叩き落してでも通過したいところだが、空中に居られるとせっかくのドロップ品が谷底に落ちてまた上から降ってくるという形になってしまい時間のロスが発生する。


 ここは大人しくブレスを吐き終わって地上に下りてくるのを待って冷静に撃破する。当然、時間のロスをさせられた分強めに焼いておく。タイムイズマネーだ。ワイバーンも覚えていってほしいものだな。

作者からのお願い


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続きを頑張って書くためにも皆さん評価よろしくお願いします。

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( ◠‿◠ )
> 自力で掘り出して」 クマ掘っちゃった > 雷撃かバードショット弾で」 とうとう玉節約し出した > 近くにドロップ品」 挑発スキル的なもの無いかな > ちゃんと毎日メンテして」 両方保管庫にし…
一生懸命にお仕事したのにタイムイズマネーとダメ出しくらうワイバーン君可哀想
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