七話。
「さて、今度は私が把握している諸々の現状と今後の話をしよう」
と、柊元生徒会長が話します。
「残念なことに我が校でもCBDが流行りつつある」
首を傾げると柊元生徒会長から説明を受ける。どうやらCBDは現在大学生を中心に爆発的に流行っているのだとか。我が校では3年生を中心に流行っているとも。
「あぁちなみだけれども現在の法律では未成年のCBD使用は容認されているよ」
「え? そうなの? まんま電子タバコに見えるんだけれども……」
まじまじと写真を見る。やはりどう見ても電子タバコの類です。
「別に全てのCBD製品が写真のそれってわけではないよ。普通にオイルやらグミやらもある。――まぁ電子タバコの見た目をしたソレも実は容認されてるんだけれども」
「え? そうなの?」
「そそ。一応未成年の喫煙欲云々を煽らないよう店舗での販売はしていないみたいだけどね。たぁだぁ~――」
と、柊元生徒会長は自身のスマホを取り出しては手早く操作。少しして会長のスマホが小刻みに振動したかと思えばそのスマホの画面を見せてきた。
見せられた画面には電子タバコと購入手続き完了のメッセージがあった。
「このようにネット通販だと普通に買える。もちのろんで年確なしよ」
「あらあらまあまぁ。ちなみにお値段はナンボでしょ?」
「5000円くらい。べイプ系でいっちゃん安いのだと……諸々買って3000円くらいだね」
「あらあらまあまぁ!? それならコンビニでバイトしてシレっとモノホンのタバコを買った方が良かないです?」
「良かないみたいよ? なんでもモノホンのタバコだと得られる背徳感と言った快楽感情よりも罪悪感やら入手難易度、バレた際の諸々リスク等の不安感情のが勝ってしまう場合が多いんだとさ。それに比べてこっちだったら入手が容易く、多少の不安感情程度済むんだとかなんとか。なんだったら実演使用からの合法の二文字が付くだけでその多少の危機感すらサヨナラバイバイ。大人びた自分に酔えるみたいよ」
「なんてこったい」
でも確かにそう言われると納得です。悲しい事に。
「本当になんてこったいって感じ。そして我が校でもCBD利用者が増加傾向にある。んでこれ。これのせいでマズい状況が非常にマズい状況になった」
写真を叩く。それなりに強く。笑みは崩さかったけれどもその表情からは何処か険しいものがあった。
「ただでさえ我が校の生徒達は夏の一件以来非常に不安定になってる。故に必然か偶然か、不安等を緩和し、少々ニッチな悦に浸れるCBDなるものが流行ってしまっている。――んでこの違法CBDの御登場ときた」
「あらあらまあまぁ。現CBD利用者の間で流行ってしまうと」
「きっとね。目標も娯楽も、当たり前に享受できる筈だった青春の醍醐味云々を奪われた我が校の生徒達は非常に危うい。特に将来さえ危うくなった今の3年生は。――今の3年生、その多くが我が校の生徒ってだけで大学や就職時の面接で怪訝な顔をされたそうだよ。早期に決まっていた推薦だって白紙になった生徒も少なからずいる。浪人数は過去最大だよ。んでそんな状況に不特定多数と使用する事を推奨とされたこれ。もう、ね? ガソリンスタンドで銃撃戦するようなものでしょこれ。それかガソスタでヤニ吸う阿呆に花火」
「あらあらまあまぁ……」
素で、あまりにも酷い現状と報告に言葉を無くす。
あらあらまあまぁ掛ける言葉がございません。まさかそんな悲惨な状況になっているとは思わなんだ。
「だからまぁ爆発四散する前になんとかして奈々氏君の幼馴染から写真のブツから手を引かせ、多少のリスク程度で済むなら販売元を突き止めて潰す。あとどうやら未成年にCBDべイプを実販売している悪~いお店もあるっぽいからそれも出来ればって所かな」
「成程。――では早速」
私は目の前の彼に手を差し出します。
「その幼馴染と話をしてみましょ」
「!?」
「?」
ギョッ、と彼の顔が強張った。
「? あらあらまあまぁ先ずは話をしなきゃと思ったんだけども……」
「そ、それはそうかもだが……こ、心の準備をさせて欲しい……たの、む」
「あらそう……」
と、出した手を引っ込めました。
あらあらまあまぁ――あれかな? 今、共鳴しているのかな? と、それにしても彼、何故に私と話す時に高確率でどこぞの巨人みたいな顔になるのだろうか? わたしゃどこぞの頭進撃か?




