六話。
「んじゃあまぁ詳しい説明を頼むよ。奈々氏君」
「あ、あぁ……」
と、柊元生徒会長が彼に説明を求めます。
「俺には南帆と瑞乃っていう幼馴染が居るんだが、その2人がその……失恋と言うか……好きな人と最低最悪な終わり方をしたんだ」
「? 2人同時なので?」
「あぁ。南帆と瑞乃、2人とも同じ人を好いてたんだよ」
「あらあらまあまぁ」
まるで恋愛モノだぁ。それも昼ド~ラ。
「最低最悪な終わり方、ねぇ? まぁ追求はしないよ。それで? 最低最悪な終わり方をして、心に深い深いキズを負いまして、それを癒すでもなく逃げる為にコレに手を出しましたと?」
「あぁ」
柊元生徒会長が写真を叩き、彼がそれに頷く。
成程。非行に走るには十分な理由ですこと――と、1人納得していると柊元生徒会長が写真を指で叩きながら「いつから?」と質問する。
「去年の秋頃。確か冬に入る手前だ」
「結構経ってんね。入手ルートは?」
「分からない。共鳴しあってくれないなら教えないって言われた」
「共鳴?」
「?」
と、首を傾げる。しかしながら柊元生徒会長は早々に「あぁ、だからシンフォニー」と納得。隣で首を傾げ続けていた私に「シンフォニーは日本語で言う所の交響曲。要は楽器を皆で持ってどんちゃん騒ぎ。んでコレも、皆で使ってどんちゃん騒ぎって事さね」と説明をしてくれた。
「あらあらまあまぁ、つまり1人でキメるよりも複数人でキメた方が相乗効果的な云々かんぬんで気持ちくて良く良くキマっちゃるって事か。故にシンフォニー」
「赤信号云々ならぬ――違法薬物・皆でキメれば……いとおかし」
「これは酷い」
集団トリップに愛おしさを感じちゃいけんでしょうに。
「――ふむ」
「ん? どうしたね?」
貴方がそれを言いますか? という柊元生徒会長からの視線を無視して此処までの話を振り返る。んで誰もが行きつく結論に行きついたのでそれを口にします。
「やっぱり違くない? 相談する相手」
相談先が警察ではない赤の他人において、仲の良い友達なり担任や信頼できる先生なら非常に分かる。お世話になってる先輩でもまぁ分かる。でも何故にどうしてこうして生徒会長に行きついたのかが分からんとです。接点も最近みたいだし。
「それはそう――けど今となっては私で良かった。まぁ個人的な事情だけど」
「?」
「いやね? 夏にあった例の事件のせいで今年の学園行事は片っ端から中止になったじゃん? 文化祭然り、マラソン大会然り、球技大会然り、修学旅行然り。勿論、各部活の大会やらコンクリートやらも。挙句の果てには運営費を出してる大本の経営グループ様から最後のイベントである卒業式を”安全の為に一部の生徒のみ出席として残りの卒業生は教室か自宅のリモート卒業式にするべきだ!”って話も出てくる始末」
「あらあらまあまぁ、それは残念」
「――(ニッコリ)」
笑顔が! 怖いです!! しかも指差しまで。
あらあらまあまぁ、申し訳ない。同じ学校の生徒ではありますけども、教室ではほぼ蚊帳の外な上に学校生活の半分近くは憩いの場におりますのでね? そこの所は知らぬ存ぜぬでございますれば……。
「――まぁ? 一応、ね? 卒業式の件はあらゆる交渉カード使って無理くりに阻止したよ。でもそんな中この件が明るみになってみ? 自首なら上手い具合に言いくるめられる。でも警察の手によって取っ捕まったらそうはいかない。間違いなく再発する。そうなる前に何とかしたい」
「お~……? でももしそうなったとしても今度は親御さん達が猛反対するのでは?」
学校の教室ならいざ知らず、流石に自宅でするリモート卒業式なんて様式は親が黙ってはいないはず――と、思ったが柊元生徒会長はお手上げって感じのポーズをとる。
「無駄of無常。してどうするの? って話。最終決定権が向こうにある以上どうしようもないし、昔よりもSNSが普及してる現在でも親御さんがあーだこーだしようとそれがまかり通る事は稀。大事にしようとも世論を賑わかす新鮮なネタになるだけだよ」
「あぁ……なんとも無常で薄情だ事」
「そんなもんさ。世の中なんてものは。それに皆が皆、情に厚かったら人類なんてものはとっくに滅んでるだろうよ」
「あらあらまあまぁ」
悲しい。でも確かにそう思います。




