五話。
CBD――カンナビジオール。
植物の麻に含まれる植物性成分のひとつなのだという。
植物の麻――わかりやすくいうなら大麻草だ。私のような理解の浅い人間ならば大麻は違法薬物の危険物……なのだが、一般的なCBDに限ってはそうではないらしく、大麻や違法ドラックに付き纏う精神作用や依存性がなく、リラックス効果に不眠・不安の軽減、抗炎症作用が期待されているのだという。By柊元生徒会長の解説より。
「あらあらまあまぁ……ではあれかい? 違法が付くって事は写真のこれには依存性云々があるって事かい?」
「Exactly! その通りでございます。――THCだったかな? それがあると大麻取締法で即アウト。豚箱へEntry」
「あらあらまあまぁ……ん?」
確か大麻とかって持ってるだけでも逮捕だったはず。そんな代物を目の前の人が持ってる。写真であったとしてもこうして実物を撮ってる――現・行・犯。
「――かつ丼、かつ無しでいいかい?」
「それは果たしてかつ丼と言えるのだろうか? ネギ入り卵掛けご飯ではなかろうか?」
「だって丼ものないんだもの」
メニューを見ながら嘆きます。此処のお店、ピザとスパゲッティといった基本洋風食もの。お米ものでかろうじてあったのが洋風カレーライスです。
「――」
「ん? なんだね? そんな顔をされてもないものはないのよ――! どうしてもカツ入りが食べたいっていうならお店変える?」
驚いたって顔をしていらっしゃる。――アレかな? カレーがあるなら当然カツカレーもある。カツカレーがあるならかつ丼が作れる。それなのにメニューには無い。ありえんやろがい! ってな驚きかな?
あらあらまあまぁ! 長いお勤め生活前の最後の食事。我が儘はある程度聞きましょう。
「ぁ、いや……教室の時と違って結構喋るんだな」
「? ――あぁ! 秋頃って言ってたっけね? 学校に来なくなったの。いやぁ~あの頃は今と違ってどうしても喋りにくくてね、精神的にも物理的にも」
「え? それってどういう――」
私の発言に喰いついた所で横にいる柊元生徒会長が「はいそこまで。都心部での大雪並みに積りそうな話はあとでしてくれ。今はこっちが先」と、写真を指で叩き、脱線していた所を軌道修正。話を戻します。
「それで? どうゆう訳でしょう? いきなり写真も見せられて”これが違法なブツです”って言われても蚊帳の外過ぎてわからんのだけれども?」
「あぁ確かに。――とは言ったものの私も彼の事情は知らんのだぁわよ。冬休みに入る前に”俺の幼馴染がCBDにハマってる。助けて欲しい”って言われただけ」
「あらあらまあまぁ。冬休みって結構前からなのね」
「ぅん? 薄情なんて言うまいね? ただの麗しい女子高生にどうしろと? って話よ。しかもポリスメンに手錠をプレゼントされる系の厄介話。赤の他人であればそんなものに耳を傾けるのは物好きか義を扱う人間しかおらんでしょうに」
義を扱う? あぁ警察とかか。正義の義。
「でも結局は此処でこうしてると。流石、我等が柊元生徒会長様。義理堅くてお優しい」
「やめいこそばゆいんだゼィ! でも此処は元を省いて欲しかったゼィ!!」
なんだかんだ言っても生徒が気になると。救いを求める声には答えたいと。素晴らしい人助け精神だ。あとツッコミも素晴らしい。この人が長だった生徒会はさぞ楽しかったに違いない。
「――」
「? あらあらまあまぁ……どうしたね?」
「えっ!? あっ……な、なんでもない!」
? なんだろう? さっきのは驚いたって顔だったけども、今のは信じられないって感じ? rarely?からOh my God! みたいな? しゃっくりしてたら確実に止まるレベルだと思います。




