三話。
番外編ですが少々重い話をします。
温泉でワイワイガヤガヤシッポリホッコリ――。たまに女湯から麻紗姉さんの高笑いや、九々少女の悲鳴が聞こえますがまぁ……裸の付き合いはこれで二度目なのでね。しかも今後とも回数を重ねるだろうから女同士のスキンシップに早う慣れとくれ。
――さて、と。
「！ もう上がるのか？」
「うん。これ以上は此処に悪いから」
二宮君の質問に私は自身の胸元、心臓がある場所を叩きます。
かれこれ20分は浸かってるのでね？ これ以上は心臓に悪いから名残惜しいですが一足先にお暇させて頂きます。
「もしサウナに行った二人から質問を受けたら、寝そうだから先に部屋に戻ったって伝えて？」
「――ん。分かった。気を付けて戻れよ？」
「oui。じゃあまた後で。枕構えて待っとります」
そう二人に枕投げを楽しみにしていると遠回しに伝えて私は温泉を後にした。
「サウナは得意か？」
と、梨が温泉から出てった後に隣にいる帯々に聞く。すると帯々は少々苦笑いを浮かべながら「水風呂抜きなら得意です」と答えた。
「そうか。じゃあ最後、水風呂には入らなくて良いからちょっと付き合ってくれ」
「わかりました」
帯々の了承を得て、俺達は淳さんと四季先生がいるサウナの扉を開けた。
「失礼します。勝負中で悪いんですけどお話が」
「？ あぁいいとも。――お師匠、命拾いしましたね！」
「お前がな！」
と、年甲斐もなくいがみ合う二人。そんな二人の横に俺と帯々は座った。
そして――俺はずっと気になっていた事を聞く。
「梨と淳さん達の関係なんですけど、どうして御三方は……特に淳さんと麻紗緋さんは梨をあそこまで大切にするんですか？ 流石に弟ってだけではないですよね？」
三人、特に淳さんと麻紗緋さんは特段に梨の事を大切にしている。まだ半年と一緒に過ごしていないけど、それでも見ていて分かる程にこの二人は梨を大切にしているのだ。
――ただ、溺愛している訳では無い。愛している事は確かだがそれだけではないのも見ていて分かる。だからその事を聞きたい。帯々もいずれは知りたいだろうと思って連れてきた。
「淳。これはお前が決めろ」
「えぇ分かってます。――二人は梨の身体の事を梨本人から何処まで聞いてる？」
淳さんのこの質問に俺が「心臓は淳さんので、肺は麻紗緋さんのものだと……」と答える。ただ単に心臓と肺が悪いと思っていた帯々はそれを聞いて驚く。
「そう……そうか――」
淳さんは自分の胸元に手を置いてそっと目を閉じる。まるで自分の心臓の音を確かめる様に。まるで自分の心臓の鼓動を感じる様に。まるで何かを――嗜める様に。
そして、
「此処に」
と、長い沈黙が空け、淳さんは自身の胸元に置いていた手により一層の力が込められる。
「今言った通りで此処に梨の心臓が入ってる。麻紗緋には梨の肺が入ってる。そして梨には俺達の心臓と肺が入ってる――それも爆弾入りの不健康な代物が……」
「「！？」」
知っていた事。でも俺は帯々と同じく動揺する。それも次の言葉が出ない程に。思いつく事すら出来ない程に――。
すみません。此処はちゃんと書きたいので分けます。
