九話。
すみません。八話で書ききれなかった部分のみで短いです。
――思い……出せない!! 誰ェ?
と、私――六出梨だけが会話と記憶から取り残されております。恐らく私達の小学校時代の教員……なんでしょうけども私の記憶にこの人は存在しません。
「お知り合いですか?」
「お知り合いなんですか?」
私に向けられた久遠尾々からの質問に二文字言葉を追加して四季先生に伝言する。すると四季先生は「あぁ……うん。……ちょっと話がズレるんだけどさ? 去年の担任覚えてる?」と、何やら改まった上で変な質問をする。
私は頭を悩ませた末に「人種の男ぉ……? だったとしか……」と、返答をした。
「……」
「……」
「……5と6年生の時の担任。六出梨と二宮棗、君達二人のね」
「あらあらまあまぁ――……あらやだ本当ぅ?」
えも知れない沈黙の末、四季先生はようやく最初の質問に答え、私は私の担任だったとされる人物を見る。
「――?」
が、しかしそれでも砂粒程度にも思い出せない。今度は屑巣先生を睨んでいらっしゃる二宮棗に聞いてみた。
「あぁ」
「……」
終了! 睨みが更に増してしまわれたのでこの質問は終了です。
「へぇ? 類は友を呼ぶってか? 且つてのクラスの問題児と厄介者がこうして友達になってるとはな? それにしても二人共イメチェンを頑張られたようで」
「――あらあらまあまぁ」
人を小馬鹿にした表情。明らかに且つての教え子を見る目ではない。ましてや初等教育の現場で教え導く教師とも思えない。
未だに思い出せませんが、こんな感想を思わせたこの屑巣先生に思わず感心と関心を抱いた。
「ハッ! そう言う先生はお変わりなく。とてもとても残念に思います。――行こうか?」
「え? あっ……」
辛抱堪らんといった感じで話を終わらせ、久遠少年の返事を待たずに教室内に入っていく二宮君。慌てて追いかける久遠少年に続く形で私も教室に入り、四季先生は足止めのつもりかその場に残った。
――で、目的の荷物回収なのだが、うっかり幼馴染ちゃんの机の場所を聞いていなかった筈の私達が簡単に見つけられる所にあった。なにせ掃除中で殆どの机が前の黒板側に移動しているのにも関わらず、一つだけ放置されている机があったから。
「?」
そして何故かこの光景に既視感を覚える私。
あらあらまあまぁ何となく見覚えがあります。これは私の体験かな? 原因や虐めの内容はもうあんまり覚えておりませんが、入院する前に虐めを受けていたって事は覚えておりますのでその時にこれと同じ様な事をされてたのかな?
「――ん? なんだい?」
二人と少し離れていた私は、なにやら不服そうな顔で二宮君と久遠少年を見ている小学生達を発見。掃除道具を持っていながら明らかにやる気が無くサボっていたので声を掛けてみた。
――が、声を掛けた小学生達は私を睨んで、
「チッ」
「着いて来てんじゃねぇよ」
と、捨て台詞を吐いて一方的に離れていった。
「先輩! その……大丈夫でしたか? 僕のせいで悪口とか言われませんでしたか?」
「ん? あぁ大丈夫」
小走りで私の元へ来た久遠少年に、今の言葉と一緒に肩をすくめるジェスチャーをして安心させる。
――と、丁度そのタイミングで赤いランドセルを持った二宮君も集合し、そのまま後ろのロッカー側のドアから退出。離れた場所で退屈そうに話をしていた四季先生に一声掛けて、私達は且つての学び舎を後にしたのだった――。
それにしてもあの屑……屑之助? 先生の事を全くもって思い出せない。私だけが記憶から取り残されてしまている。
誰か助けて。答えに行き着くための過程を下さい。




