表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

死神聖女!ざまぁを執行するサポートをしよう!

作者: simon


2作品目の短編小説です。誤字脱字があるかもしれませんが、温かく見守ってくださると幸いです。

「ハンスお前を追放する!」

ギルド内でそんな声が聞こえた。

「ど、どうして・・・」

「お前が役立たずに決まってるからだろうが!」

パーティーのリーダーっぽい人がそんなことを言っていた。

「(確か、あれは最近噂になっている「青の翼」だったかな?)」

俺は離れた机からそれを見ていた。

「(「青の翼」は男二人と女三人の五人パーティーだったかな?彼を追放してハーレムでも考えているのか?)」

話はさらに続いて

「俺だけじゃない。俺はパーティーメンバーで決めたことだ!」

「ごめんね、ハンス。私、彼についていくことにしたの。」

一人の女が彼にそんなことを言った。

「そんな!サーシャ!ずっと一緒だって言ってたじゃないか。」

「そうね、確かに言ったわ。でも、今は彼が好きなのよ。」

そういって彼を突き放す。そしてリーダーはニヤニヤ笑っている。

「(彼女を奪われたってところか・・・)」

そのあと、男は下を向いたままギルドを出て行った。

俺は、その姿が昔の自分によく似ていた。この世界では天職といった、ゲームのような職業がある。俺は転生するときにヒーラーを選択した。そして、この世界で、まあ、女になった。女になったときは正直いろいろあったけど、今は受け入れている。当時の俺はヒーラーは回復魔法しか使えず、回復量もポーションと同じかそれより劣り、転職までの経験値稼ぎ(レベル上げ)に時間がかかるため、どこのパーティーからも断られた。ヒーラーを育てるパーティーはそれこそ、お金があるような上位ランクくらいで、新人冒険者には自分のことでいっぱいなため、積極的にパーティーに入れようとはしないというのが理由である。中には俺が女だってことから、別の意味で仲間にしてくれると言った人もいたが、目元がニヤニヤして気持ち悪かったので断った。確かに自分でも言うのはあれだけど、結構な美少女でスタイルもいい。だがそれでも譲れないものはある。そして、俺は決めた!パーティーが無理なら俺は一人で強くなってみせると。ヒーラーだからと言って武器が持てないわけでもないので、その日から俺は回復魔法の訓練だけでなく、基礎体力などの筋トレをし、初心者でも簡単なクエストばかりを受けて生計を立てていた。そしてレベルがあがり、転職し「聖女」になることができた。聖女は回復魔法だけでなく攻撃魔法、支援魔法などが使え、攻守優れている。回復量もヒーラーの時とは格段に違い、部位欠損なども治すことができるため、パーティーからの勧誘が多い。

「(まあ、俺の場合は、チートスキルをもらっていたから聖女まで簡単になれただけで、運が良かっただけだけどね。)」

そう俺は「成長」というスキルをもらった、成長はそのままの通り、人よりも早く成長するといったものだ。もちろんそれなりの努力は必要だけど。

そして聖女になったとたん、パーティー勧誘が増えたけどすべて断った。当然だ!聖女になったから入れてやるって聞こえて腹が立つ。まあ、そんな感じで俺はずっとソロで活動を続けている。武器は聖女になったときに買った大鎌だ。そして、真っ黒なボロボロのローブ。聖女が大鎌を使うという異様な姿から、「死神」と言われるようになっが、今ではなんと冒険者最高のSランクにまで上り詰めた。理由は簡単、自分に回復魔法と支援魔法をかけた状態で戦い、「成長」スキルでガンガン成長していたら、いつの間にかSになっていた。とまあ、俺の話はここまでにして、さっきのハンス君を追いかけよう。

ギルドを出て少し走ったら、すぐに彼に追いついた。声をかけようと思ったら、彼から声が聞こえる。

「どうして、俺にはチートスキルが無いんだ・・・」ハンスは下を向いて、そんなことを呟いていた。相当落ち込んでいるようだ。それよりも

「チートスキルだって!」

流石の俺も驚いてしまった。

「誰?」

「ああ、済まない。大声を出してしまって。」

俺は素直に謝る。それよりも

「さっき、チートスキルって言わなかったか?」そう、チートなんて言葉はこの世界には無い。その言葉を知ってると言うことは

「え?言ったけど、まさか意味わかるの?」

俺は頷いた。その後、ハンスを連れて、自分の泊まっている、宿に向かった。



「こんな立派な宿に泊まってるんですね!」

ハンスは、驚きつつ俺に言ってきた。

「まあ、これでもSランクだからね。」

俺はそう言い返した。

「Sランク!最高位のランクじゃないですか?」ハンスが驚き俺に言ってくる。

「まあね。いろいろあったけど、何とかSランクになったって感じだよ。」

「そういえば、その恰好、もしかして死神さんですか?」

「当たり!周りからはそう言われている。」俺は苦笑いをした。

「荷物などは取りに行くかい?」

「いえ、荷物は大した物がないのでかまいません。お金も今持っているのが全財産ですし。」ハンスはそう言って苦笑いする。そして、ハンスは俺に確認するように

「やっぱり、転生者はチートスキルを持っているんですか?」そう俺に言ってきた。

「俺のスキルは人より早く成長するってもので、みんなより成長が早いだけで、正直、君が思っているようなものではないけどね。」

「それでも、みんなよりは早く強くなれるってことですよね。」

「努力はそれなりに必要だったけどね。」俺は今に至るまでの過去を少しだけ話した。

「そっか、でも強くなれるだけ、羨ましいですね。」ハンスは下を向いた。自分の才能のなさに嫌気がさしているのだろうか?

俺は、そんなハンスを見ているとハンスから黒い霧みたいなのが出ているのが分かった。おそらく呪いだろう。そう思った俺は

「ハンス君、君から出ている黒い霧は気づいているかい?」

「黒い霧?何ですかそれ?」

「やはり、気づいていなかったか?おそらくだけど、ハンス君には呪いが掛かっている。」

「ええ!呪いですか!」さすがのハンスも驚く。

「おそらく呪解できる人がいなかったのか?気づく人がいなかったのだろう。良ければ解除しようか?」俺はハンスにそう言った。

「出来るんですか?」

「ああ、これでも聖女だからな。」聖女のスキルには呪いを解除できるスキルなどもある。

「え?ああ、そういえば死神さんって聖女が職業でしたね。」さすがのハンスも俺の職業に気づいたらしい。まあ、こんな恰好をしているけど、俺が聖女であることはギルドも知っている。

「それでどうする?」

「お願いします。呪いを解いてください。」

「了解。ほい、ディスペルっと!」サクッとハンスの呪いを解除した。本来はお金などを貰うのだが、転生者同士、今回はタダでいいか。そして、呪いが解けたハンスからは信じられないほどの魔力が湧き出してきた。

「な、なんだ!力がみなぎってくる、この感覚は!」ハンスも何が起きたのか分からないようだった。

「おそらく、呪いが解けたことによって、本来の力が現れたのじゃないかな?」

「これが、俺の力・・・」

「とりあえず、自分のステータスを見てみたら?」

ステータスは職業など、自分自身の情報を見ることができる。それ以外となると、ギルドにある魔道具、もしくは鑑定スキルなどレアスキルでないと確認ができない。

ハンスは俺の言葉に従うように自分のステータスを確認した。

「な!職業が村人から勇者になっている!」

さすがの俺も勇者には驚きを隠せなかった。勇者とは現在この世界では3人しか確認されておらず、すべてのステータスにおいて、最強と言われている。剣などの接近戦はもとより、攻撃魔法や回復魔法なども使用できると言った、ほぼ反則級の職業である。

「クックック・・・あはははは。」俺は笑いが止まらなかった。まさかこんな本物のチートと出会えることができるなんて。ハンスは笑っている俺を見てあたふたしていた。



「ふう・・・いや~笑った、笑った。まさか勇者とはね。」

「そこまで笑うことでしたか?」

「だって、こう言っちゃ悪いけど、追放された人が勇者だって思うと笑わずにいられない。クックック。」

「あはは・・・」ハンスは怒ることもなく苦笑いする。

さて、笑った俺は、この後、真顔になり

「それで、どうするの?今の君は勇者だ!追放した奴らに自分が勇者だって言って戻ることもできるし、あいつ等を見返ることもできるよ。」

その言葉にハンスはした向き、次に顔をあげてこう言った。

「いや、もう元のパーティーに戻る気もない。それに約束を破ったサーシャにも未練はない。そして、教えてやる。もう僕は昔の僕じゃない。君たちより遥かに強いってことを!」ハンスはこれまでに無いくらいの笑顔を俺に向けた。

「(ああ、そうだ。その笑顔だ!今まで自分を馬鹿にした奴らを見返してやるって顔だ!ヤバいな、ゾクゾクしてきた。)」俺は彼の顔に興奮を覚える。

「ふふふ、いい顔だ!ハンス君!俺は今の君の顔が大好きだ!」

「そうかい?ありがとう。君のような美少女に言われて俺もうれしいよ。」

二人はこれまで以上の笑顔を見せた。

「良ければ、俺を君のパーティーに入れてくれないか?」

「ん?いいのかい?僕はFランクの最下位だよ?」

「ランクなんて関係ないさ。これは運命だ!君に出会えたということに!そして、俺に君のサポートをさせてほしい。」

「ふふふ、まさか死神さんがサポートしてくれるとは・・・これ以上、頼りになる人はいないよ。」

俺たちは互いの手をとり

「改めて名乗ろう!俺はレティシア。TS転生者だ。」

「僕は知っている通りハンス。転生者だよ。それよりTSって・・・」

「おや、嫌だったかい?」

「いや、性別など僕にとって些細なことだ。これからよろしく、レティシアさん。」

これは、死神と呼ばれた聖女と最弱から這い上がってきた勇者との出会いである。

短編小説で投稿させていただきます。返事などは返せない可能性があるので、あらかじめご了承ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ