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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
初めての学園生活を送る2度目の人生
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2度目。ーー今の話、聞かなかった事にして良いですか?・1

後書きに補足があります。読まなくても問題ない補足ですので、お時間のある方はお目を通して下さい。補足がある分、長めです。

「前置きとか面倒だから結論から言う」


食事が終わりドナンテル殿下が眉間に皺を寄せて口を開いた。直後にノクシオ殿下が同じ表情で私を見て告げる。


「まぁ簡単な話、ケイトリン・セイスルートを“王太子”の筆頭婚約者候補者にしたらどうか? って話になりました」


へー。ケイトリン・セイスルートって同姓同名の令嬢がこの国にもいらっしゃるのねぇ。お会いしたいわぁ。


「ケイトリン。お前のこと、だからな?」


私がノクシオ殿下の発言で他人事のようにふんふん、と聞いていたらドナンテル殿下が釘を刺してきました。……やっぱり私ですか。私。わたくし……。


「って、何故そういう話になったんです⁉︎」


「あ。ようやく現実を認識したね」


「認識したね。じゃないです! きっちり説明して頂きましょうか?」


ノクシオ殿下ののほほんとした発言に、私は怒りを込めて伺います。……そりゃそうだ。何故私を巻き込む。


「一つは、俺とノクシオにそろそろ婚約者を宛てがいたい国王陛下と重鎮の意向」


「もう一つは、兄上と私のどちらを王太子にするのか派閥が足の引っ張り合いをしていてねぇ……。それに嫌気が差した国王陛下が、じゃあ君が選んだ方を“王太子”にすれば良いって」


ドナンテル殿下とノクシオ殿下が演劇のように言葉を割り振って説明する。あら事前に話し合ったわけでもないのに、綺麗に割り振り出来てますね。……ってそうじゃない。


「だから、何故、私が巻き込まれているんですかっ!」


問題は其処だ!


「「そんなの、俺(私)達が興味を持つ令嬢ってお前(君)だけだから」」


おおっ! 出会った頃からだと考えられないくらい、綺麗なハモリっぷり! 感動! ってそうじゃないっ!


「……要するにまだまだ婚約者など決めたくない殿下方は、婚約話をのらりくらり躱せるのにちょうどいい存在が、私だと」


「さすがケイトリン。呑み込み早くて助かるよ」


私が結論を出せば、すかさずノクシオ殿下が褒めてくるが、ちっとも嬉しくない。寧ろ不敬を働いて筆頭の地位どころか婚約者候補者そのものを辞退したい。


「だからといって勝手に私を巻き込んだ上に、私と婚約した方を王太子にするとか、どんだけ私を巻き込むんですか!」


「でも、ケイトリンだって知っているだろう? この辺の国々では婚約者……つまり将来の王太子妃、引いては王妃が居ない王子が王太子の位に着けないって」


私が怒ればドナンテル殿下がそんな事を言う。そう。どれだけその王子が王太子の地位に着くのに相応しい、と目されていても、その王子に婚約者が居なければ、一王子のままだ。王太子……つまり未来の国王の位に着くにあたり、未来の王妃の位に着く令嬢も共に評価される。


どれだけ王子の資質が国王向きでも婚約者が王妃向きの資質でなければ、王太子にすらなれない。それがこの近隣諸国の決定だ。コレ、なんでこんな事になっているのかって言うと、30年程前にとある国で“王太子”の位に着いていた者が恋に狂い、筆頭婚約者候補者を貶めて自分が恋した女性をその座に着けた。


そこまでは、まぁ醜聞ではあるし、筆頭婚約者候補者の令嬢からすれば酷いものではあるものの、大目に見られたそうな。しかし、その王太子が選んだ女性は準男爵位のご令嬢で、学問は一番下辺りの学力。マナーも高位貴族からすれば眉を顰める程。王太子妃……未来の王妃は、自分で外交をする事もあるが、語学力も当然無い。その他諸々王妃どころか、高位貴族令嬢には当然有るべきものが何にも無い。


という事で、彼女を選んだ王太子は、彼女を説得して必死に勉強をさせたりマナーを学ばせたり……と奮闘したものの、国王陛下から不可と認定された。王太子そのものの資質は悪く無かったけれど、恋に狂って筆頭婚約者候補者を貶めた事が当然貴族達の記憶に残っている。何しろ人目が多い所でやらかしたのだから、目撃者は多数だし、噂が噂を呼んだのだからまぁ仕方ないこと。


そんなわけで、国王陛下は、父親としては息子を切るのは辛かっただろうが。国王としてはこのままでは国内の貴族達や国外からも厳しい目を向けられる、と判断して王太子を廃嫡にした。


そんな事件があった事から、王太子に選ばれる王子はその妻となる方すら含めて鑑みられるのだ。……逆を言えば、王太子じゃない王子なら誰を選んでも良いって言えば良いのよね。


だから多分、前回のケイトリンの人生で母国では王太子が決定していたから、ヴィジェスト殿下は、私との婚約を破棄するとか言えたんだろうけど。万が一、イルヴィル殿下が王太子に決定していなければ、さすがのヴィジェスト殿下もあんな事を仰らなかっただろうし。……言わなかったわよね? それとも恋に狂って、何も考えずに宣言されたのかしら?


まぁ今となっては、もう分からない事ですけどね。

少し補足。


当然ながらケイトリンが記憶を取り戻す(というか2度目の人生を送る前)までの歴史は、1度目も2度目も変わりません。なので30年程前の出来事は変わらないし、時期も合っています。


尚、この30年程前の王太子サマは準男爵位のご令嬢と結婚したものの、彼女から“王太子”だから近付いたのに……と詰られ続ける事10年以上。なんとか愛を取り戻すために頑張っていたけれど取り戻す事叶わず、失意のうちに病を得て若くして(多分30歳前後)他界。


準男爵位のご令嬢は、世間から王太子を誑かした悪女と罵られ、その国の王都から逃げ出して地方で自分好みの男を探すも、振られ続けて未亡人のままそれなりの年齢で他界。


彼女の両親は娘の所業と王太子の座に居た娘婿の悲運に準男爵の地位を返上して平民として生を全うしました。


王太子の筆頭婚約者候補者のご令嬢は多少、準男爵位のご令嬢に嫌味は言ったものの、その程度くらいしか悪い部分は無かったので、国王陛下から詫びとして良い縁談を結んでもらい、夫の浪費癖を諫めて尻に敷きながら夫の家を盛り立てて生を全うしました。


国王・王妃は両親として、息子の事を最後まで憂いましたが(若くして亡くなった事を知った時はかなり悲しみました)良く国を治めたため、今でも(ケイトリンが活躍しているこの時代)その国は存続中です。(後継は第二王子が国王になった)


以上。お読み頂きまして、ありがとうございました。

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