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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
初めての学園生活を送る2度目の人生
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2度目。ーー平穏な日々に終わりが訪れました。・1

入学から3ヶ月を過ぎたある日、ドナンテル殿下が休まれました。入学して初めての事態。ノクシオ殿下は固い表情。一見するとドナンテル殿下の病が再発して、それを心配するノクシオ殿下という雰囲気ですが。


常に昼食を共にしている私は知っています。


ドナンテル殿下に病は無いこと。

ノクシオ殿下が世間に浸透している程、ドナンテル殿下を心配していないこと。


それがコレです。何かあった、と私に知られたいらしい。ここまでわざと知らせてくるなんて……ノクシオ殿下の企みなのか、それともコッネリ公爵の思惑なのか知りませんが、挑発には乗って差し上げるべきでしょうね。ということで、授業終了後の昼食の時間。


「さぁノクシオ殿下、本日も参りましょうか?」


いつもは命じられるままに動く私が、初めてノクシオ殿下に声をかけました。ノクシオ殿下は一瞬目を揺らしてから、いつも通り私をエスコートします。


……ノクシオ殿下が感情を見せるなんて珍しいことですわね。


それも私を油断させる演技なのか、殿下の本音なのかは分かりません。分かりませんけれど、演技であろうとなかろうと感情の片鱗を見せられたのであれば、信じることにしました。だって、出会った頃のノクシオ殿下ならたとえ演技であっても、感情など見せるような可愛げなんて無かったですからね。


さて。今日も今日とて殿下方専用サロンに行くまでに通る道は変わっています。そりゃそうです。王族が同じ道を常に歩いていたら狙って下さいって言っているようなものですからね。護衛が居ても変わりません。かと言って、通れる道も決まっています。護衛が全く知らない道を通れば、万が一に逃げる際のルートも描けませんからね。


だから、何通りかの決められた道を通る事になるわけです。但しその通る道は、その日の朝に決定するので知っているのはごく僅かの人々。だから日常生活の中で王族が狙われる事になった場合、犯人若しくは犯人と通じている者がその僅かな中にいるわけです。


故に、内乱というか、王位継承争いというような緊迫した日常でもない限り、日々の生活で王族が狙われる可能性は低い。どちらかと言えば、非日常……例えば王族主催のパーティーや公務の一環である国内外の視察等の方が狙われやすい。視察のルートなど1ヶ月以上前から念入りに下見をして決定しますからね。


もちろん、知っている者は少ないはずですが、漏れる可能性が無いとも言えない。だから警備はいつも以上に入念なのです。……これも前回のケイトリン人生の殆どだった王子妃教育の一環で教わりました。王族って人に傅かれてふんぞり返っているだけって思う人はなれません。こんなに自由がない人種って奴隷以外は知りませんもの。


尤も私自身奴隷に会った事はなく、前世の日本人だった頃の歴史授業を朧気ながら覚えている程度ですが。

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