表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
初めての学園生活を送る2度目の人生
78/400

2度目。ーー拍子抜けする程に平穏な日々。

あれから1ヶ月あまりが経ちました。ボレノー様とは付かず離れずの距離を保ってはいますが、まぁクラスメートという事もあり妥当な距離感でしょうか。

但し私が警戒していたほどは接触が有りません。つまりイルヴィル殿下とヴィジェスト殿下の意向は放置、というところなのかもしれません。例のロズベル様(仮)の女性の件も学年が違う所為かお会いする事もありません。


多分学園の食堂を利用すればお会いする事になるやもしれませんが、この1ヶ月あまり。使用した事が無いのです。何故なら……


「ケイトリン。行くぞ」


「ケイトリン嬢、どうぞ」


……コレです。入学の式典を終えた翌日から前世で言うところの半日時間割など無く、オール1日時間割です。それ故にお昼も食べなくてはいけないのですが、お昼休憩になった途端にドナンテル殿下及びノクシオ殿下から共に昼食を摂るよう命じられたのです。


皆の前だから『命じた』のでしょう。居なければ断れるように『お誘い』だったはずです。つまり命じる必要がある、ということ。そう理解した私はその命を受け入れました。断れませんものね。

こうして私はボレノー様の心配そうな視線を横目に見ながら、婚約者の居ない女性達の刺々しい視線を浴びながら殿下方と毎日お昼を共にしています。一緒じゃないのは休日だけ。まぁ休日まで誘われていたら、私の立場が問題ですからね。


あくまでも『友人』だからであって休日まで誘われていたら『友人』を超える存在に思われても仕方ないです。ただでさえ、私は現在どちらか、或いは二人の『婚約者候補』と見られているのですから。


そういった目で見られると解っていても断らないのは、殿下方が私の身の安全を確保したいと思っていらっしゃることを知っているから、です。私の予想通り、私の命を狙いに来ている者が結構います。全く次から次へとワラワラ出てきますわね。殆どがクルス達影が排除していますが、数が多いので私も何度か撃退しました。休日は寮の部屋から殆ど出ませんもの。出るにしても行動範囲を狭くしています。


そんな経験をしている現状、殿下方の申し出を突っぱねるのは愚策でしょう。


そんなわけで偉そうな物言いのドナンテル殿下と私を(表向きは)優しくエスコートするノクシオ殿下と共に昼食を共にしています。殿下方専用のサロンに着くなりノクシオ殿下は私のエスコートをやめて、意地の悪い顔をしながらドナンテル殿下とニヤニヤニヤニヤするのが生き生きとしています。


ちなみにニヤニヤと私を笑うのは、ヴィジェスト殿下と私の関係をあの手この手で話させようと企んでいるからです。

ボレノー様に入学の式典を終えたあの日に声を掛けられて以来、ボレノー様との関係を根掘り葉掘り尋ねられ、ヴィジェスト殿下の事を言った途端「ああ成る程」とニヤニヤされるようになったのです。


だから。

()()()()()()()()()()()()()()()殿()()()()何の関係も無いのですわ。

毎日毎日よく飽きませんわね!


私の口から現在のヴィジェスト殿下との関係を話しても、未だ何か裏がある、と決め付けて殿下方はその何かを知ろうとしているのです。


ある日は侍女2人がかりで私の全身をくすぐらせて喋らせようとしました。

ある日は昼食を私の嫌いな食べ物ばかりにして喋らせようとしました。

ある日は2人がかりで口説き文句を垂れ流し、ある日は2人がかりで泣き落とし。


……そんな感じで毎日毎日よく考えつくものです。


私がそれでも殿下方を注意しない……というか怒らない理由は二つ。

一つは、それが殿下方の息抜きになっていると理解していること。

もう一つは、時間を決めていらっしゃる事。時間が過ぎると、さっさとやめて昼食にして食後はのんびりと午前授業の内容や課題などの雑談をしているのです。


だから私も殿下方の遊びに付き合っている。ただそれだけのこと。まぁそろそろ飽きて欲しいとは思いますけれども。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ