2度目。ーーとうとう入学を果たしました。隣国だけど。・2
前話の年齢を間違えていたので訂正しました。
ロズベル(仮)15歳です。
所謂入学式を終えた後は各クラスに分かれます。学力と身分とを考えて細かくクラス分けされている。これは我が国でも同じようですわ。前日までに寮に入って(個人部屋です)寮の監督責任者からクラスも教えて頂きました。私はこの国で公爵・侯爵・伯爵位を賜っていらっしゃる方達と同じクラスですわ。そしてそこには王族もいらっしゃる。つまり。ドナンテル殿下とノクシオ殿下と同じクラス、というわけです。ボレノー様も伯爵家の方ですから同じクラスですわね。
これは有り難いですわ。殿下方にも私にも監視がついていてもクラス内までは監視対象にはなりませんもの。……コッネリ公爵がどこまで手を伸ばしているのかが疑問ですが。態と同じクラスに振り分けた、となれば相当自信があるとみるべきでしょうか。
白い木製の扉を開けると既に大半の方達が席に着いています。私はにこりと微笑んで軽く挨拶をしておきました。ところで席は決まっているのでしょうか?
「セイスルート嬢、こちらだ」
ノクシオ殿下が私を呼ぶ。親しみを込めた声を聞かせるという事は、私が殿下方と友人である事を隠す気はない、という事でしょうか? ノクシオ殿下の前にはドナンテル殿下がいらっしゃいます。ちなみにドナンテル殿下の隣はボレノー様。私の席はノクシオ殿下の隣のようです。
ふむ。留学生の面倒を見るのは王族の務め、というところ?
「久しぶりだな、セイスルート嬢」
「お久しゅうございます、殿下方。ドナンテル殿下には病の快癒誠におめでとうございます」
ノクシオ殿下が久しぶり、と言うので私はそれに則り返答をする。まだ何が目当てか判らないので手の内は晒さない方が良さそう。ドナンテル殿下にも挨拶をすれば片手で応えてくる。……?
おかしいわね。ドナンテル殿下って割と口滑らかというか……。要するにお喋りって事なのですが挨拶をする私に一言も返してこない。どういうこと?
チラリとノクシオ殿下を見れば然りげ無く首を触っていらっしゃる。ドナンテル殿下の首元をチラリと見てハッとした。お洒落のように見えるが首輪だ。私には分からないが何やら魔法がかかったものだろう。魔石が嵌め込まれた首輪をしている。
「セイスルート嬢、久しぶりに兄上に会った喜びでお忘れか? 兄上は病で声が出せないのだ」
「ああ、そうでしたわ。治ったと伺いましたから以前のように話が出来るものと思っておりましたの」
「そうか。それは済まなかった。兄上の病は完治とは言えないが、通常の生活は送れる程度には回復したのだよ」
ノクシオ殿下がニコニコと真実を織り交ぜながら現状を教えてくれる。つまり、ドナンテル殿下にかけられた魔法は話す事は出来ないだけで、日常生活に支障を来す事は無いらしい。
「まぁ。左様でございましたか。ドナンテル殿下、完治することを心より願いますわ。また楽しくお話出来ましたら幸いです」
「私も兄上と話したいが、声については医師の見立てではどれほどの期間がかかるか分からないようだ」
「まぁ。……でも必要に応じて筆談をされれば意思疎通は出来ますわね」
ノクシオ殿下の説明だと解除方法が見つかっていない、という事みたいですわね。おそらくドナンテル殿下は重要な事もポロッと口を滑らせやすいのでしょう。だから暫くはこのままのようです。重要で無ければ筆談でやり取りをすれば良いでしょうね。
ーーさて。ドナンテル殿下が話せないのは、誰の意思かしら?
コッネリ公爵か。それとも……この優しい笑みを浮かべた腹黒第二王子かしら?
お読み頂きましてありがとうございました。




