2度目。ーーとうとう入学を果たしました。隣国だけど。・1
年齢を記しておきます。誕生日などは明記しません。本話からの年齢。
ケイトリン・13歳。
ドナンテル・14歳。
ノクシオ・13歳。
ジュスト・13歳。
ロズベル(仮)15歳。
ヴィジェスト・11歳。
無事と言うべきなのかしら。とうとう入学を果たしました。入学式が挙行されている間(場所は講堂ですわ)チラリと壇上に視線を滑らせていましたらドナンテル殿下とノクシオ殿下がいらっしゃいましたわ。王族として壇上に上がっているようですわ。挨拶でもされるのかしら?
何にせよ、これはクルスからの報告に全く無かった事です。
もしやクルスが裏切った? いえいえ思い込みは良くないですね。可能性の一つとしてクルス・ガリア・アレジの誰かの裏切り。二つ目としては、報告が間に合わない程、急に決まった。まぁこちらの方が可能性は高いかしら。
それにしても不思議なのは、ドナンテル殿下は私とノクシオ殿下の1歳上。それなのにノクシオ殿下と一緒に入学を果たしているということ。どういった言い訳でドナンテル殿下の入学を1年遅らせたのかしら。その辺は噂話でも掻き集めましょうか。
ところで、新入生代表の挨拶や在校生代表の挨拶なんて無いのですわね。日本人の時は有るのが当たり前だったので新鮮ですわ。
「さて此処で皆さんには伝えておく事がございます」
司会の方は副学園長と仰っていらしたわね。皆さんの騒つき具合から察するに、何を言われるのか分からない、という所かしら。確かに後は閉式の挨拶だけのタイミングですものね。
「病を克服されたドナンテル第一王子殿下がノクシオ第二王子殿下と共にご入学されました」
成る程? ドナンテル殿下は病気だった、と。それは1年遅れて入学されてもおかしくないですわねぇ。ドナンテル殿下とノクシオ殿下が揃って手を挙げて微笑んでいらっしゃるのを察するに、元気になりましたアピールや兄弟仲良しアピールといったところでしょうか。
「更には今年は隣国から2人の留学生が参りました! 1人はジュスト・ボレノー君。もう1人はケイトリン・セイスルートさん。お2人共壇上に上がって下さい」
……あらあらまぁまぁ。事前に何の説明もなくいきなり紹介した挙句、壇上に上がって来い、とは随分な歓迎ですこと。
微笑みの下に苛立ちを抑えて壇上に上がって皆様にカーテシーを披露しておきます。隣に立つのはジュスト・ボレノー様。以前ヴィジェスト殿下の婚約者探しのお茶会で遠目には見ていましたが、近くは初めてですわね。
琥珀色の髪に漆黒の目。なんだか日本人だった私からすると親近感が湧きますわね。そして顔立ちは中性的ですが視線が冷めていますわ。……殿下方を見ても私を見ても、誰を見ても。他人に関心が無いのか、それともパフォーマンスか。まぁおいおいですわね。
一応口元は笑みを象り私と同じように仲良くして下さいアピールをされていますわね。友好ムードを醸し出せるのはさすが、といったところでしょうか。
それにしても殿下方からの物言いたそうな突き刺さる視線以上に、好奇心一杯の皆様の視線が突き刺さりますわ。前世のパンダやコアラってこんな視線を浴びていたのかしら?
お読み頂きましてありがとうございました。




