表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
初めての学園生活を送る2度目の人生
68/400

2度目。ーー諸々の問題を見なかった事にしたいんですけど。・3

「コッネリ公爵に動きが?」


クルスのその顔つきを警戒する。クルスは「さすがお嬢様ですね」と頷いてから一呼吸分、間を置いた。


「ドナンテル第一王子殿下の母親である側妃なのですが。彼女の実家についてもお嬢様が気にされていたので調べた事は、覚えておいでですね?」


クルスの問いかけに虚を突かれたけれど、直ぐに記憶を引っ張り上げる。


「ええ。確か実家は落ちぶれた伯爵家。それも養女だったわね。落ちぶれた伯爵家に援助する代わりに、娘を伯爵家が迎え入れて養女として王家へ差し出した。……という話では?」


「はい。その伯爵家に援助していたのが、この国で有数の商人だともご報告致しましたね」


「そうね。その商人の娘が側妃でしょう?」


「お嬢様は不思議に思いませんでしたか?」


私の確認をクルスが別の質問で躱してくる。不思議に思う? 何を?

首を傾げて考える私にクルスは答えを告げてくる。答えられなくても問題ない質問だったようだ。


「伯爵家に養女として迎えられ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()の不可解さに」


私はクルスの言葉にハッとする。確かにその通りだ。落ちぶれた伯爵家に援助する代わりに娘を養女にする。という提案を持ちかけたのは、まぁ無い話ではない。……子どもを政略の道具と考える貴族の悪い部分ではあるけれど。


けれどあまりにもタイミングが良過ぎる。落ちぶれたとはいえ、側妃が養女として迎えられた伯爵家は、この国では歴史ある名家。その名家に()()()()()()()()()()()()()()


いえ、令嬢は居たけれど若くして亡くなっていたわね、確か。それもちょうど側妃と同じくらいの年齢の……まさか。

けれど、そう考えれば辻褄も合うしここまでスムーズに話が進む事も理解出来る。もし私の推測が当たっているとしたら……1年2年程度の計画案ではなく数十年を掛けて練り上げられた計画の実行に他ならない。


でも。この推測が当たっているとは思えない。


いくらなんでも……そんな自分の代ではなく、子の代になってでも、王家を乗っ取ると考える者が居るだろうか。

居るとしたなら、その人物は必ず望んだ物を手に入れる人間だろう。そういった人間が計画したのならば……この国はもう8割方乗っ取られていると見る方が良い。


だって誰が思うだろう。


女を国王陛下の側妃にするために、伯爵家にいた側妃に近い娘を(病死や自殺という方法で)排除した後。その伯爵家を態と落ちぶれさせ、裕福な商人が援助を申し出て代わりに娘を伯爵家の養女にしろ、と迫る。

そうして迎えられた養女が()()()()()()()()()()()()に焦れた臣下に後押しされ、国王陛下の側妃の地位を得る事になるなんて思わない。

一体誰がその経緯を疑うというのだろうか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ