2度目。ーー諸々の問題を見なかった事にしたいんですけど。・2
ああ。なんて言いますか、諸々の問題を見なかった事にしたいですわ……。いえ、本当は解っています。ドナンテル殿下とノクシオ殿下が軟禁生活を送られていると耳にしようが、ロズベル様が本物だろうと偽者だろうが気にしないで、態々隣国に留学しなければ良いのです。そうすれば問題を見なかった事に出来るでしょう。
でも。
私がマコトの時からの性分で困っている人を見過ごせないのです。もう2度目のケイトリンだからかだいぶ記憶は薄れていますが、それでも中学時代も高校時代も生徒会やら部活の副部長やら引き受けて仲間が困っていると手を差し伸べていた記憶があります。
だから。
押し付けられたようなお二方の友人の座でも、それを受け入れたのは私。そして友人と認めた人が困っている状況ならば、手を差し伸べてしまうのはもう性分。これが私だと自分で分かっているのですから、諦めると致しましょう。
「お嬢様」
「あらクルス。戻って来たのね」
私の護衛という名目の影3人は、引き続きクルス・ガリア・アレジが務めている状況です。そのクルスが偵察……いえ城下の様子を見て戻って来ました。
「ご報告をさせて頂いても?」
「変わった事があったかしら」
「あの頭のおかしな令嬢ですが」
ああ……早速その件なのね。私が無言で先を促せばクルスが心得たように続ける。
「どうやら王家の耳に入ったようで……ヴィジェスト殿下が直接会いたいと騒ぎ出している、と先程王家の影から聞き出しました」
……普通、主以外の者に軽々しく口を割らないのでは? だから影では有りませんの?
私の疑問が顔に出ていたのかクルスがあっさりと答えを出しました。
「この身を顧みず兄と王家の影を助け出した事から向こうの見る目が変わりまして。差し障りない範囲ならば話してくれるようになりました」
それは納得しましたが……ヴィジェスト殿下が騒いでいる云々は、やはり話せる範囲を超えるのでは? それとも……話せる範囲になってしまう程、つまりは隠し通せない程の状況という事でしょうか? それってヴィジェスト殿下がご自分の周囲に話している……だけでなく、イルヴィル王太子殿下もしくは国王陛下に直訴をしている状況、と言いません?
なんだか嫌な予感しかしないのは気のせいでしょうか……。
「その話……」
「ヴィジェスト殿下の件でございますか?」
「そうよ。それ、もしかして確定事項になりそうだとか言う?」
「さすがお嬢様。確定とは申しませんが、まぁ内定状況では有ります」
「別に当てたくなかったわ……。というか当たって欲しくなかったわよ。あの方ご自分が王族という意識があるのかしら。簡単にこちらに来たら、こちらの国と戦争になるかもしれない、とか考えてくれる気はないかしらね……。戦争にならずとも火種として燻りそうよね。この国にはコッネリ公爵がいるのに。何を考えているのか分からない、あの公爵が」
私が淑女らしからぬ溜め息を吐き出してもクルスは何も言わない。寧ろコッネリ公爵の名を出した途端に気を引き締めた。




