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成る程。では、お互い不干渉といきましょう。  作者: 夏月 海桜
初めての学園生活を送る2度目の人生
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2度目。ーー自称・ヒロインさんは私とは関係ない主人公?・2

「その件の令嬢ですが。授業中はおとなしいのですが休憩時間には1人でブツブツと呟いてます。その姿に恐れを抱いた学園の生徒達から遠巻きに見られていた所を見たのが、最初でした。それで万が一お嬢様が通われるならば……と調べてみたのですが。


ある生徒は只管に怖いと敬遠し、ある生徒は授業中ならばおとなしいからそのままで居て欲しいと愚痴を溢し、ある生徒は私はヒロインなのに何故ヴィジェスト殿下が居ないの⁉︎ と文句を言う所を見かけておかしな事を言うな、と心の病を疑っていました」


「えっ? ヴィジェスト殿下がこの国の第二王子殿下だと知らないの⁉︎」


ロズベル様、あなたヴィジェスト殿下の乳兄弟なのですわよね?


「それがどうやら記憶が曖昧のようでした」


記憶が曖昧……。なんだか胡散臭く思えるのは何故かしら。


「ねぇ、ヴィジェスト殿下にロズベルという名前の令嬢が乳兄弟で存在する事は確かなのよね?」


「はい」


「今はヴィジェスト殿下の側から離れているわけ?」


「……どういう事でしょう?」


「ヴィジェスト殿下の側にまだその件の令嬢が居るのなら学園は偽者よね?」


クルスは納得したように深く頷いてから「調べてみます」と誓う。いや、クルスはダメでしょ。


「あなたは怪我を治すのが先よ。ガリアかアレジにでも命じておきます」


本当に妙な具合になりました。自称・ロズベルと名乗った令嬢は間違いなく転生者だと思います。仮に本物のロズベル様ならヴィジェスト殿下と年齢も違えば隣国に居る理由も不明。


けれど()()()()()()()ヴィジェスト殿下が居ないのは当然で、本物のロズベル様ならばそんな事は分かり切っているはず。それともご自分が隣国に居る事すら気付いていないのかしら。


そう考えると寧ろ日本人としての記憶を持って転生してきた別人と考えた方が、まだ納得がいきます。この場合、ゲームユーザーの方が転生した可能性が考えられます。


()()()()()()()()()()()()姿()()()()自分の姿を確認したならば、自分がヒロイン・ロズベルだと思った……という所でしょうか。そうして勘違いしたまま休み時間のたびに学園内を彷徨いてヴィジェスト殿下を探す、という行動に説明がつきます。


同時に隣国なのだ、と理解出来ていないなら、ヴィジェスト殿下が居ない理由も分からないだろうし、抑悪役令嬢である私が居ない理由も分からないでしょう。また他の攻略対象にも会えずじまいのはず。


このように考えるとその令嬢は前世の記憶持ちである偽者説が有力ですわね。もし本物のロズベル様が、ご自分の側にヴィジェスト殿下が居ないと探しているのなら、ロズベル様の記憶が曖昧な事が原因なのでしょうけれど。


……いえ。ダメね。仮定に仮定を重ねて考えても所詮は仮定。事実がないのに考えても机上の空論の域を出ない。先ずは隣国で頭のおかしな令嬢さんが本物かどうかが大前提ですわね。

早急に調べてもらう必要がありますわね。

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